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AMFニュース [2024年4月23日号]

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就業時間外の顧客対応
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何が問題か

例えば、仕事用のスマートフォンをオンにしているとき、

社内や社外から連絡があれば、

それが就業時間外であっても応じる人は少なくないでしょう。

諸外国においては、

「つながらない権利」に関する法的規制を設けているところもありますが、

今のところ我が国ではそのような規制はありません。

この問題を放置することによるリスクには、

①その対応時間が労働時間に該当し、

従業員から残業代の請求を受ける可能性があること

②オンとオフの境界が曖昧のまま、

結果として長時間労働となり、従業員の心身に悪影響を与え、

業務災害につながる可能性があることが挙げられます。

 

より対策が必要なのは

社内連絡への対策であれば、

社内での取り扱いを検討し対策を講じることは、

それほど難しくはないかもしれません。

一方顧客への対応については、

顧客満足度等の問題もあり対策が難しい面があります。

とはいえ、何も対策を講じず放置することは、

上記のような問題が生じる可能性があります。

 

考えられる対策

最初に検討すべきは、就業時間外の顧客対応を必要とするか否かです。

業種やサービス内容によっては、顧客満足等の観点から、

就業時間外の顧客対応が必要なこともあるでしょう。

この場合の対応を、各従業員の判断に任せるのではなく、

就業時間外の顧客対応を義務であることを明確にして、

そのうえで、事業主としての対応残業代の支払や、

従業員の健康に関する安全配慮義務)を行う体制づくりが必要になります。

他方、就業時間外の顧客対応は不要とする場合には、

社内外にその旨を周知することが必要になります。

特に、顧客に対して周知する際、

顧客への対応を担当者である従業員に任せてしまうと、

それまでの両者の関係によっては、なし崩し的になり、

結果として、就業時間外の対応が継続してしまうことも考えられます。

ここは上司や経営者が、会社を代表して顧客と向き合うことが

必要になるでしょう。

「柔軟な働き方」と「仕事のオン・オフの曖昧さ」は表裏一体の関係ですし、

国も「つながらない権利」の検討を進めています。

それぞれの会社でこの問題をどのように捉え、

どのように対応していくか、今後の重要課題になることが考えられます。

 

AMFニュース [2024年4月16日号]

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         一気に倍額!
接待飲食費の金額基準の改正
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交際費の基本

交際費の損金算入については、

法人の資本金ごとにルールが定められています。

資本金100億円超:交際費の損金算入は一切認められません。

資本金100億円以下1億円超:飲食費等の交際費の50%を損金算入可能。

資本金1億円以下:飲食費等の交際費の50%か、

800万円までを損金算入かを選択適用。

尚、個人事業主については、税法上の上限額はありません。

 

変わったのは飲食等の金額基準

令和6年度税制改正では、

上記の交際費の損金算入のルールは変わらなかったものの、

「交際費にしなくて良い」という飲食費の金額基準が、

令和6年4月1日以降、一人5,000円以下から1万円以下に変更となりました。

新型コロナウイルス感染症の影響から、

窮地に立たされていた飲食業界ですが、徐々に持ち直してきており、

あわせて企業が使っている交際費の金額も回復傾向にあります。

ただ、物価の動向等を踏まえると「5,000円では法人間の接待に使い辛い」

という感想を抱いていた方も多いのではないでしょうか。

今回の改正については、今般の価格転嫁、

ひいては賃上げという経済の好循環につながる事も

期待されているのでしょう。

 

基準変更の注意点

適用が4月1日のため、3月末決算法人以外の法人については、

期中に5,000円と1万円の金額基準が混在するため、

経費精算システム等で、誤りが無いようチェックする必要が出てくる場合が

あります。

また、交際費ルールを社内規定等で定めている場合は、

改正を視野に入れて、社内規定等を改めるか検討しましょう。

また、税込経理・税抜経理により、

交際費にしなくて良いかの判定基準が変わる

(税込の場合11,000円で交際費等に含まれ、

税抜の場合10,000円仮払消費税等1,000円で交際費に含まれない)

のは従来と同様です。

税抜経理の場合は、支払い先がインボイス発行事業者か否かでも、

判定に影響がありますから、ご注意ください。

AMFニュース [2024年4月9日号]

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フラワーギフト券の消費税
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取引先の訃報を知り、

故人を偲んで供花を遺族に贈るとき、

お花を買って贈ると消費税が課税されますが、

フラワーギフト券を購入して贈ると消費税は課税されません。

 

物品切手等の譲渡等は非課税

ギフト券など商品券の販売に係る消費税の扱いは、

資産の譲渡等に該当しますが、非課税です。

これは、ギフト券の販売が前払金的な性格を有していること、

消費税は実際に物品の引渡しが行われたときに課税されるため、

ギフト券販売時にも課税すると二重課税となるので、

回避したいためとされています。

ギフト券と引き換えに商品を引き渡すとき、

販売店は売上に係る消費税額から仕入れに係る消費税額を

仕入税額控除します。

 

会計の取扱いは引渡基準

企業会計においても商品券の販売は、

商品を引き渡したときに売上計上する販売基準(実現主義)によります。

商品券を発行したときは、預り金として計上し、

商品引渡し時に売上に振替える処理を行います。

収益認識基準では、商品券発行者と購入者との間で、

将来、商品と引き換える約束をしているため、

商品を引き渡す履行義務の充足まで契約負債として計上します。

 

法人税も引渡基準が原則に

法人税は収益認識基準の導入前まで、

商品券の発行時の売上計上を原則とし、

例外的に引渡し時に販売基準による売上計上を認めていましたが、

収益認識基準の導入により、

商品を引き渡したときに売上計上する販売基準が原則となりました。

また、引換未了の商品券については、

発行日から最大で10年を経過する日の属する事業年度終了時の

引換未了残高等を、益金の額に算入することとされています。

 

ギフト券の運営会社と加盟店の消費課税

フラワーギフト券の運営会社は、

全国のフラワーショップから加盟店を募集して、

発行したギフト券を販売してもらいます。

加盟店は顧客からギフト券の提示を受け、

花を引き渡し、運営会社から販売代金を回収します。

ギフト券を発行して加盟店に卸す運営会社の消費税は、

資産の譲渡等に該当せず、不課税、

加盟店が販売するギフト券は非課税、

引換未了のギフト券の収益計上も資産の譲渡等に該当せず、不課税、

ギフト券と引換えに販売する花の代金は課税となります。

フト券は、言わば花を顧客に引き渡すまでの媒介者、

という役どころでしょうか。

AMFニュース [2024年4月2日号]

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「固定残業代」近年の裁判傾向
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固定残業代のインパクトは甚大

固定残業代制度を導入している企業は多く、

それが労働基準法に照らして適法かどうかによって、

経営に与える影響は甚大なものになります。

仮に、自社の固定残業代制度が有効と認められない場合には、

①残業代を1時間分も支払っていないことになる

②これまで支払っていた固定残業代部分も

残業代計算の基礎賃金に組み込まれる

③裁判に至れば裁判費用や場合によっては

付加金の支払いを命じられることがある、

といったリスクが生じ、

文字通りの三重苦に追い込まれる可能性があります。

そのため、固定残業代の支払が有効となるための要件、

判断要素を検討することは極めて重要であり、

特に裁判で有効とされた事例または無効とされた事例の検討は、

大いに参考になります。

 

近年の裁判傾向から見た注意点

近年の裁判傾向から、

固定残業代制度の有効性について注意しなければならないのは、

大きく2点です。

第一に、固定残業代制度を設計する際、

その制度導入の目的に正当性、合理性が必要です

(「コストダウン」などの目的では無効になる可能性が高いでしょう)。

また、従業員への十分な説明を行うなどにより、

その導入手続きの妥当性を確保することによって、

制度内容及び計算方法に合理性が認められ、

裁判上も有効と認められやすくなります。

第二には、固定残業代の金額の定め方について、

通常の労働時間として支払われるべき金額が多く含まれている、

つまり、通常の労働時間の賃金を構成する基本給を、

固定残業代に振り分けただけと判断され得る場合には、

有効とは認められない可能性が大きくなります。

そのため、固定残業代制度を設計するときには、

自社における、平均的な残業時間などの数値や、

法令遵守を意識した残業時間の目標数値などに基づく、

合理的な金額設定が必要になると解されます。

 

導入にはメリットデメリットを考慮

繰り返しになりますが、

自社における固定残業代制度について、有効性が認められない場合、

経営に与えるインパクトは甚大なものになります。

固定残業代制度の導入に関しては、

メリットとデメリット両面を考慮して、

残業代の支払は、固定残業代がよいか、

労働基準法通りの計算がよいか検討が必要です。

AMFニュース [2024年3月26日号]

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 定額減税が開始されます
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令和6年6月から始まる定額減税について、

国税庁「定額減税特設サイト」では、

制度紹介、Q&A、様式集が公開されています。

合計所得金額1,805万円以下の居住者は、

令和6年分所得税額から本人3万円、

同一生計配偶者と扶養親族1人につき3万円が控除され、

令和6年分個人住民税所得割額から本人1万円、

同一生計配偶者と扶養親族1人につき1万円が控除されます。

 

与に係る定額減税

給与支払者は、

令和6年6月1日現在の在職者(基準日在職者)から

扶養控除等申告書の提出を受けた場合(甲欄適用者)、

6月1日以後、最初に支払う給与・賞与等の源泉徴収税額から

月次減税額を順次控除します(月次減税事務)。

年の中途で同一生計配偶者や扶養親族の異動などが生じた場合は、

年末調整にて精算します(年調減税事務)。

減税額は各人別控除事績簿を備えて管理し、

源泉徴収票の摘要欄には、定額減税控除済額を記載します。

扶養控除等申告書に記載していない

合計所得金額900万円超の基準日在職者の同一生計配偶者や、

16歳未満の扶養親族には、

「源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る

定額減税のための申告書」等の提出を受けます。

 

公的年金等に係る定額減税

公的年金等の支払いを受ける者は、

公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出することにより、

6月1日以後、最初に支払う年金の源泉徴収税額から

定額減税額を順次控除します。

年の中途で同一生計配偶者や扶養親族の異動などが生じた場合は、

年末調整にて精算します。

 

事業所得・不動産所得・退職所得の場合

事業所得・不動産所得のある納税者は、

予定納税額から定額減税の本人分が控除されます。

さらに、予定納税額の減額申請の手続により、

同一生計配偶者分、扶養親族分の減税額相当額を控除できます。

予定納税のない納税者は、確定申告にて定額減税額の控除を受けます。

退職所得のある納税者は、源泉徴収時に定額減税額の控除は行われず、

確定申告にて控除を受けます。

 

住民税額からの控除方法

住民税所得割額からの控除は、

給与所得で特別徴収の場合、令和6年7月分から令和7年5月分の11か月で

均等額を控除。

普通徴収の場合、第1期分(令和6年6月分)から順次控除。

公的年金等は、令和6年10月分の特別徴収税額から順次控除。

控除しきれない額は、調整給付金で支給されます。

 

AMFニュース [2024年3月19日号]

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消費税の課税制度の切り替え
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本則・簡易・2割特例

中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、

売上に係る消費税額を基礎として、仕入れに係る消費税額を

算出することができる簡易課税制度が設けられています。

みなし仕入れ率は事業区分によって異なり、

消費税の納付税額を売上に係る消費税額の10~60%とすることができます。

また、令和5年10月から開始されたインボイス制度に合わせて、

免税事業者からインボイス発行事業者となった事業者の方を対象に、

消費税の納付税額を売上に係る消費税額の2割とすることができる制度が

新設されました。

本則・簡易の切り替えルールについて改正はありませんが、

まとめておさらいをしておきましょう。

 

2割特例は手続き優遇

2割特例の適用は

①令和5年10月以降に免税事業者からインボイス発行事業者になり

②基準期間(前々年もしくは前々年度)における課税売上高が、

1,000万円以下の事業者であれば、資本金1,000万円以上の新設法人や、

調整対象固定資産、又は高額特定資産の取得により、

免税事業者とならない事業者等、特殊な状況でなければ受けられます。

2割特例を受けるために、事前に届け出の必要はなく、

消費税の申告時に2割特例を受ける旨を付記することで適用となります。

本来は簡易課税制度の適用を受けるためには、

課税期間の初日の前日までに、

「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があるのですが、

2割特例利用者が簡易課税制度の適用を受けるには、

その課税期間の末日までに届け出を提出すれば、

簡易課税制度の適用を受けることが可能です。

 

簡易から本則は原則2年縛り

簡易課税から本則課税への切り替えは、

原則2年たたないと変更できません。

簡易課税を選んだ場合、2年間は簡易課税が適用されます。

ただし、基準期間の課税売上高が5,000万円超の場合は、

強制的に本則課税が適用されます。

その翌年の基準期間の売上高が5,000万円以下になった場合は、

1年で簡易課税に戻ることになります。

本則から簡易の切り替え、

または任意で簡易から本則への切り替えを行う場合、

課税期間の初日の前日までに届け出を提出する必要があります。

AMFニュース [2024年3月12日号]

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親子や婚姻関係確認手続き
 戸籍謄抄本が不要に
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改正戸籍法の施行

令和元年に成立していた改正戸籍法が、

システム構築などで5年の歳月を経て、令和6年3月から施行されます

今まで本籍地の市区町村でなければ戸籍謄本を取得できないため、

手続きに手間と時間がかかっていましたが、

いよいよ新システムで不便を解消することができるようになります。

改正点は次の3点です。

①行政手続きにおける戸籍謄抄本の添付省略が可能に

②戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略が可能に

③本籍地以外での戸籍謄抄本発行が可能に

上記各項目を見てみます。

 

行政手続きにおける戸籍謄抄本の添付省略

例えば、

健康保険の被扶養者認定や、

国民年金第3号被保険者の資格取得事務において、婚姻歴の確認等親子関係

婚姻関係は手続きにマイナンバーを利用することになっているので、

戸籍の添付は不要になっています。

 

戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略

婚姻届や養子縁組届などの様々な戸籍の届出の際に、

戸籍謄抄本の届出が不要になります。

さらに戸籍の届出提出後、電子化されることで、

すぐに新しい戸籍謄抄本ができるようになります。

 

本籍地以外での戸籍謄本発行が可能に

欲しい謄本の戸籍の本籍地が全国にあっても、

住んでいる市区町村や、勤務先の最寄りの市区町村の役場の窓口で、

自身の戸籍の他、配偶者、父母、祖父母、子の戸籍謄本を

取得できるようになります。

窓口に行くときは顔写真付きの本人確認できる証明書が必要です。

さらに、オンラインで行政手続きをする際に利用可能な戸籍の証明書として、

新たに「戸籍電子証明書」が発行されるようになります。

パスポートの発給申請時にこの証明書を行政機関に提示することで、

戸籍証明書などの添付が不要になり、

今後、他の手続きにも拡大される予定です。

AMFニュース [2024年3月5日号]

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国税庁からのお知らせ
令和7年1月から控えは印なしに
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申告書等の控えに収受日付印を押さない

国税庁は令和6年1月4日に、

令和7年1月以降は申告書等の控えに収受日付印の押捺を行わないこととする、

と発表しました。

対象となる「申告書等」とは、
国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類の他、

国税庁・国税局・税務署に提出される全ての文書とのことです。

令和7年1月からの書面申告等における申告書等の送付時には、

申告書等の正本(提出用)のみを提出してください、

Web上でお願いしています。

また、必要に応じて自身で控えを作成

提出年月日の記録・管理をするようにも呼びかけています。

 

申告書等の提出事実を証明する方法

例えば個人が融資を受ける、奨学金の申請を行う、保育園の手続きする、

等の際に、確定申告書の控えを要求されることがあります。

ただ、この控えについては、

「収受印があること」が控えたりうる要件であり、

収受印がない控えについては、個人の収入等が証明できないため、

各種手続きに利用できない可能性が大です。

オンラインサービスを利用せず、

紙媒体で効力のある収入証明を手に入れる場合には、

税務署に対して「保有個人情報の開示請求」を行うか、

「納税証明書の交付請求」を行う必要があります。

個人情報の開示請求は手数料300円、

納税証明書は税目ごと1年度1枚につき400円です。

 

オンラインなら無料

e-Taxを利用した申告であれば、申告等データの送信が完了した後に、

税務署からの受信通知がメッセージボックスに格納されます。

ここから申告書等のPDFファイルを無料でダウンロードすることができ、

こちらには受付日時等が記載されますから、

旧来の控えの役割を果たすものが欲しい人はe-Taxを活用しなさいね、

という風に聞こえます。

国税庁は税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)

進めているとしていて、その一環の措置とのことなのですが、

便利な機能が増えて利便性が向上する方が多い一方、

インターネット等のサービスを上手く使えない方にとっては、

不便になることは確かです。

また、不便ならまだしも「手続き等ができない人」が出てきてしまわないか、

少し心配になります。

AMFニュース [2024年2月27日号]

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免税店制度の不正利用対策
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政府が発表した令和5年の年間訪日外客数は約2,506万人。

インバウンドの回復により、観光地は外国人旅行者で賑わい、

飲食店や宿泊施設にも活気が戻ってきています。

旅行者の買い物には出国時、

持ちだすことを条件に消費税が免税となりますが、

制度の不正利用への対応が課題になっています。

 

免税店制度とは

外国人旅行者が買い物した場合、

消費税が免税となるのは、家電製品や衣料品、

バッグなどの一般物品は1日当たり5千円以上、

化粧品、医薬品、酒などの消耗品は、

1日当たり5千円以上、50万円以下が対象になります。

免税店は国の許可を受けた事業者が営むことができます。

外国人旅行者は、購入の際、

パスポート等を提示して短期滞在の在留資格などの確認を受けます。

購入記録情報はWEBシステムを介して国税庁に送信され、

出国時に税関で確認を受けます。

事業用や販売用としての購入が見込まれないなど要件を満たしていれば、

消費税を負担せずに商品を購入できます。

海外では購入時に税金を支払った上で、

出国時に税関で返金してもらう方式ですので、

日本の免税店制度は海外より利便性が高いと言えます。

 

免税店制度の不正利用

その一方、

購入した商品が、国内で転売されてしまうケースが増加しています。

出国時手許に商品がない場合、

消費税を課税されるルールとなっていますが、

実態は徴収できないまま、出国されてしまうことが多いようです。

国税庁は不正利用防止のため、

免税要件を満たさずに販売した事業者には、課税処分をしています。

そのほか、国税庁のサイトでは、

事業者が化粧品を外国人観光客に販売したように装い、

架空の課税仕入れと、架空の免税取引を計上した事例が紹介されています。

 

税制改正で購入時に消費税徴収を検討

令和6年度税制改正大綱では、免税店制度の不正利用を受け、

商品販売時に外国人旅行者から、消費税相当額を預かり、

出国時、税関に持ち出しが確認されたときに返金する仕組みを検討し、

令和7年度税制改正にて結論を得るとしています。

販売現場では、外国人旅行者の買い物が免税となる要件を満たしているか、

判断に難しい対応が求められており、

手続きの簡素化と、外国人旅行者の利便性を損なわずに、

インバウンド需要にこたえる制度見直しが求められています。

AMFニュース [2024年2月20日号]

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労働基準監督署の調査で
 是正勧告される場合とは
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労働基準監督署は事業所にとって、

労働保険料の申告か、時間外労働の協定書提出くらいしか利用しない、

という企業も多いかもしれません。

労働基準監督署は、

各都道府県労働局の直轄組織であり厚労省の出先機関です。

労働基準法や労働契約法、安全衛生法、労働災害補償法等、

労働に関する法令について企業が遵守しているかを調査、

取り締まりや各種手続きを行う機関です。

時に事業所調査が入りますが何をするのでしょうか。


労働基準監督署の調査とは何を見る

労働基準監督署の調査は何をするのか?

1.定期監督・・・年度の計画を定めて行われる監査です

2.申告監督・・・定期的あるいは労働者からの申告などをもとに

立ち入り調査をする

3.司法警察事務・・・度重なる指導にもかかわらず是正しない場合、

重大、悪質な事案等は強制調査を行い検察庁に送検します

労働基準監督署の調査の目的は、

労働基準法に違反していないか、不備がないか調べます。

特定の業種に集中して行われる場合もあります。

調査の結果法令違反があれば、是正勧告書、

法違反というほどではないが、改善すべきところは指導票で指摘されます。

期日までに是正内容を是正報告書に記載、労基署に提出します。

労基署調査が行われた事業所のうち約15%が

「申告監督」(内部告発的な相談)です。

従業員や退職した社員の残業代の未払いや、不当解雇、

パワハラによるメンタル不全などの通報を受け、

内容や真偽の確認、裏付け事実などを調査します。

申告者保護のため、申告があったことはふせられます。

 

調査される主な項目は

・事実内容や経営内容、組織図

・従業員数や派遣労働者の有無、外国人労働者の有無

・労働条件、労働条件通知書、労働者名簿

・労働時間 労働時間管理

・記録の方法

・就業規則、残業時間等協定書・賃金に関すること、最低賃金も含む

・年次有給休暇の管理簿・安全衛生に関する事項

・定期健康診断等健康管理 等

いずれにしろ日頃から法令遵守と健全な経営、

社内のコミュニケーションを図っておけば、

調査に入られても慌てることはありません。

AMFニュース [2024年2月13日号]

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解雇に関する誤解
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誤った「解雇」の認識を持っていませんか

最近では、「日本では労働者を解雇することは難しい」

という考えが浸透してきていますが、

それでもまだ、「1か月分の給料を支払えば解雇できる」といった、

誤った理解をされている経営者や管理職も一定数存在するようです。

「解雇」について正しく理解しないと、労務トラブルに発展した場合、

会社が多額の損害を被ることもありますので注意が必要です。


労働基準法の解雇制限

労働基準法(以下「労基法」)では、

業務上災害による休業期間中や、産前産後休業中、

及び、これらの後30日間の解雇の禁止(労働基準法第19条)や、

労基署に労基法違反の申告をしたことによる解雇の禁止

(同第104条2項)など、

一定の事項を理由とする解雇制限が定められています。

また、労基法に定める解雇の手続き規定として、

会社に少なくとも30日前の解雇予告、

又は30日以上分の解雇予告手当の支払いを義務付けています

(同第20条1項)。

つまり、解雇予告や解雇予告手当の支払いはあくまでも手続きにすぎず、

当該解雇が有効か無効かは別の論点となり、

仮に無効とされた場合にはこれらの手続きは意味を成しません。

 

労働契約法による解雇制限

労働契約法第16条には、

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、

社会通念上相当であると認められない場合は、

その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められています。

民法では契約自由の原則から、解雇の自由が認められますが、

解雇は労働者にとって死活問題になりかねないことや、

会社と労働者の力関係を考慮して、民法の特別法である労働契約法で、

解雇に一定のブレーキをかけています。

 

会社が注意しなければならないこと

このように解雇を有効とする場合には、

労働契約法の条件(客観的合理性+社会的妥当性)を

満たさなければなりません。

繰り返しになりますが、

解雇が有効とされて、

はじめて解雇予告や解雇予告手当の支払いが意味を持ちます。

さらに解雇が無効となった場合には、

当該労働者はずっと会社に在籍していることになりますので、

給料の支払いが必要になりますし、

争いになった場合には会社に損害賠償が請求されることも考えられます。

これらのリスク回避のためには、

一時の感情で労働者に解雇を言い渡すことなどがないよう、

冷静な判断が求められます。

AMFニュース [2024年2月6日号]

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金は何歳からもらえば有利なの?
 受給年齢の繰り上げ繰り下げ
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年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給

老齢年金の受給開始は原則65歳からです。

60歳から早めにもらうこともできます。

65歳より年金受給を早める(繰り上げ受給)と、

65歳受給より減額された額(1か月ごとに0.4%減額)で支給され

一生その率は変わりません。

逆に65歳になっても元気で働けて収入もあるならば、

65歳より遅く(繰り下げ受給)申請できます。

その場合は65歳受給より増額 (1か月毎に0.7%増額)されます。

2022年4月からは、繰り下げ年齢が70歳から75歳に引き上げられました

(昭和27年4月2日以降生まれの方で未請求の方対象)。

75歳で受給すると受け取る年金は最大84%増額になります。

銀行定期預金の利息が年0.002%の時代に、

昨今これを上回る運用手段はないでしょう。

 

いつから年金をもらい始めるとお得なの?

70歳までの繰り下げ制度は今までもありましたが、

繰り下げをした人は国民年金では1.5%、厚生年金では0.9%しかいません。

70歳までの就業が普通になれば増えるかもしれません。

しかし繰り下げをためらわせる要因の最大の理由は自分の寿命です。

自分の寿命がいつ来るかわからないので、

もらい始めて数年で亡くなり、

65歳から受給していた場合の額より低くなってしまうケースも考えられます。

寿命は誰にもわかりませんので悩むことになります。

 

受給開始年齢の損益分岐点の計算結果

繰り上げで受け取った方は、77歳で65歳から受け取った方に追い抜かれます。

70歳に繰り下げた場合は81歳で65歳開始を抜き、

75歳開始は、86歳で65歳開始を抜きます。

繰り下げはおよそ11年超が分岐点になります。

2022年時点で男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳。

これは平均値なので男性の死亡者数のピークは89歳、

女性は92歳と結構遅いのですが、

受給を遅らせすぎても短期間で死亡し、もらい損になるかもしれません。

あるデータでは平均的な寿命の男性85歳、女性90歳を前提にすると、

70歳くらいで受給開始するのが最大値になるという計算結果も出ています。

自分の健康状態、いつまで働けるのか、預金等の資産はいくらか、

年金を請求する前にライフプランについて考えてみましょう。

AMFニュース [2024年1月30日号]

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旅行予約サイト経由で利用の
  際のインボイス書類
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旅行サイトで予約の国内ホテルインボイス

宿泊を伴う出張の際に、

インターネットの宿泊予約サイトを使うと、いろんなホテルを比較しながら、

1つの窓口で宿泊予約から代金決済までできて、結構便利です。

会社に出張経費を精算するには、

領収書等の明細の添付が必要となりますが、

こうした旅行サイトの領収書等でも何ら問題はないのでしょうか?

特にインボイス制度が開始してから、会社の経理部門から、

「領収書等はインボイス番号が記載されているものをもらうように」

という通達が出ているところも多いかと思います。

予約サイトの領収書には予約サイト会社の登録番号の記載はありますが、

実際に宿泊という役務提供を受けたホテルの登録番号は、

どこにも見当たりません。

 

仲介者交付特例で予約サイトの番号でOK

①ホテルなどが委託者で

②旅行会社が受託者となって

③買い手に販売する形式では、委託販売となり、

インボイスのやり取りは

①委託者→②受託者、

②受託者→③買い手となります。

③の買い手である出張者の旅費精算に際しては、

②受託者である旅行会社=予約サイトの発行する書類が

適格請求書ということになります。

そのため、

①の大元の役務提供者ではなく、

②の予約サイトの登録番号でOKということになります。

一方、旅行予約サイトにも、海外の事業者で、

どこが一番安い価格を提示しているかの情報を提供し、

宿泊先等の予約に誘導するサービスもあります。

こうした海外業者の場合は、委託販売ではないので、

媒介者交付特例が適用されません。

国内の宿泊先等からインボイス書類をもらえなければ、

消費税の仕入税額控除ができず、

10%高い価格で利用した結果となってしまいます。

 

会社の経理部で方針を定め運用してもらう

たとえば、

宿泊費15,000円+消費税10%1,500円の場合で考えてみます。

インボイスが発行される国内事業者の予約サイトでは経費が15,000円で、

消費税1,500円は売上に係る消費税から控除されます。

一方、インボイスが発行されない場合には、

経費が16,500円となり、

消費税1,500円が控除される機会はなくなってしまいます。

みかけは価格が安いサイトを使ったつもりでも、

結果的に会社負担の金額が増えてしまう場合も起こりかねません。

社員任せも結構ですが、

ここは会社の経理部で方針をしっかり定めての運用がよいでしょう。

AMFニュース [2024年1月23日号]

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令和6年度税制改正大綱
 個人所得課税編
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定額減税の実施

定額減税は所得税額の特別控除として、

合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合2,000万円以下)

居住者に適用されます。

所得税の減税額は、本人3万円、

同一生計配偶者と扶養親族1人につき3万円です。

給与所得者、公的年金等の受給者は、

令和6年6月以後の源泉徴収税額から控除、

事業所得者は第1期分予定納税額(7月)から控除されます。

個人住民税の減税額は、本人1万円、

控除対象配偶者と扶養親族1人につき1万円です。

給与所得者は、特別徴収の場合、

減税分控除後の金額を各月に按分して徴収、

公的年金等の受給者は、令和6年10月以降の源泉徴収税額から控除、

普通徴収は、第1期納付額から控除されます。

 

ストックオプションは魅力のある制度に

税制適格ストックオプションは、

権利行使時の課税を売却時まで繰り延べ、

譲渡時の株式譲渡益に課税する制度です。

スタートアップ企業が資金や人材をM&Aにより機動的に取得できるよう

自社で株式を管理することで証券会社等による保管を不要とし、

付与対象となる社外高度人材の実務経験を上場会社の役員は1年以上

(現行3年以上)とするなど要件を緩和するほか、

権利行使価額の年間合計額の限度額を、

設立後5年以上20年未満である非上場会社と、上場後5年未満の会社は

3,600万円、設立後5年未満の会社は、2,400万円(現行1,200万円)、

に拡充します。

 

住宅ローン控除は子育て世代を優遇

住宅ローン控除では、

19歳未満の扶養親族を有する子育て世帯、夫婦のいずれかが

40歳未満の若者夫婦世帯には、これまでの借入限度額を維持します。

また、合計所得金額が1,000万円以下の者に、

床面積要件を40㎡以上に緩和する取扱いは、

令和6年12月31日まで延長されます。

令和6年入居 子育て世帯・若者夫婦世帯

<借入限度額>

認定住宅・・・5,000万円

ZEH水準省エネ住宅・・・4,500万円

省エネ基準適合住宅・・・4,000万円

 

住宅リフォーム税制も子育て世代に配慮

上記の子育て世帯、若者夫婦世帯が、

子育てに対応した住宅リフォーム工事を行い、

令和6年4月1日から令和6年12月31日までの間に居住の用に供した場合は、

工事費用相当額(上限250万円)の10%相当額を所得税額から控除します。

AMFニュース [2024年1月16日号]

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 老後資金を用意するには
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年金だけで生活するのはますます難しく

老後不安と言われていても、

実際は50代になってからようやく年金について意識する人が多いと思います。

しかし高齢者の増加と若年労働力の不足で、

年金受給額は目減りする傾向で推移しています。

簡易生命表によると、2022年時点で日本人の平均寿命は男性81.05歳、

女性は87.09歳です。

中年より下の世代も、

公的年金以外の生活の手段を打っておく必要があるでしょう。

 

老後に必要なお金

総務省家計調査報告(2022年)によれば、

1世帯で平均は月額約244,000円です。

一方、厚労省の2022年の夫婦のモデル年金の受給額は約22万円です。

これは夫が老齢基礎年金は満額、

老齢厚生年金は平均標準報酬月43.9万円で40年間加入したと想定、

妻は専業主婦で既存年金が満額支給されたときの想定なので、

現状とかなりちがうかもしれません。

ですからこの条件の年収がもう少し低い層や自営業者などは、

年金だけでは不足することが目に見えています。

国民年金だけの加入者は、

会社員や公務員などの厚生年金や共済組合の加入者より

受け取る年金額は少なくなっています。

ここで比較をしてみましょう。

国民年金と厚生年金に38年間加入した時との比較をしてみると、

在職中平均年収と年金見込み額(厚生年金)

・400万円…約 6.0万円/月

・500万円…約 7.3万円/月

・600万円…約 9.7万円/月

・650万円…約11.5万円/月

・800万円…約12.6万円/月

上記に基礎年金の月額6.5万円を足します。

これと比較して、国民年金は収入に関係なく月額約6.5万円です。

これだけでも大きい差があることがお分かりでしょう。

 

どのように備えるべきか

貯蓄の他、国民年金基金や小規模企業共済、iDeCo、民間の個人年金、

終身保険、つみたてNISA等非課税で積み立てできるものも多く、

早めに老後資金を確保したいものです。

投資については、どのくらいのリスクまでなら許容できるかを

よく考えて行いましょう。

長い期間かけて積み立てて運用していくことになるので、

準備は若いうちから考えておくことがよいでしょう。

ねんきんネット登録で年金見込み額の試算ができます。

AMFニュース [2024年1月9日号]

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社会保険料控除
家族分社会保険料の負担
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所得控除での社会保険料控除

居住者が、各年において、

自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の

負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額は、

その居住者のその支払い年分の所得控除の対象となります。

本人名義でない家族名義の社会保険料も控除対象にできるということです。

生計を一という要件なので、

扶養親族に該当しなくても差し支えありません。

支払った人の所得控除となるので、

家族名義の社会保険料を、

それぞれの家族の所得となる年金や給与から天引きされているものは、

対象にはなりません。

 

会社員が負担するケース

会社員でも、生計を一にしている配偶者や子供(20歳以上の学生等)、

又は親などの国民年金保険料や国民健康保険料、

後期高齢者医療保険料、介護保険料、

国民年金基金掛金などを支払ったような場合には、これに該当します。

過去何年分かをまとめて支払った場合でも、

その年中の支払額はその支払年の控除の対象となります。
 

学生への特例

なお、学生には、

申請により在学中の国民年金保険料の納付が猶予される

「学生納付特例制度」が設けられています。

この場合、社会人になって稼ぐようになってから、

猶予を受けた保険料を自主的に納付(追納)することができます。

追納分も追納時の社会保険料控除の対象となります。

会社員であれば、

勤務先での年末調整による社会保険料控除の対象になります。

社会保険料控除には上限がありません。

そのため、実際に納付した保険料が所得金額から全額控除されます。

 

国民年金には前納制度がある

国民年金保険料を支払う場合は、前納制度にも注目すべきです。

今年のある月から来年3月分までの保険料を、

まとめて納付することもできます。

来年分の保険料が含まれていても、

今年支払ったものは、今年の社会保険料控除の対象に出来ます。

前納の月数に応じた割引率で保険料減額の特典も受けられます。

国民年金保険料の前納制度では、

2年先の3月分までの支払いを済ませることも可能で、

その場合も、

支払全額をその支払年の社会保険料控除の対象にすることができますが、

3年に亘る各年分の保険料に該当する額を、

各年に控除するという方法も選択可能となっています。

 

AMFニュース [2023年12月26日号]

  

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管理職と管理監督者は同じではない
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管理職は組織の役割、管理監督者は労基法

会社組織の中で管理職は部下のマネジメントを担うとともに、

自らもプレイングマネージャーであり、

様々な課題がその双肩にかかっています。

その中で管理職が労働基準法上の「管理監督者」にあたるのか、

残業代の問題はないのか、

管理職と労基法上の管理監督者の違いを考察してみます。

管理職は会社の全体や一部を管理する役割を担い、名称も違いますし、

役割、責任範囲、指導、取組すべてが会社ごとに違います。

労基法で定める「管理監督者」は一定の定義の下で運用するものであり、

管理職と同じとは限りません。

 

管理監督者とは

労働基準法第41条では、

労働時間に関する規定の適用除外の中で

「第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、

次の各号の一に該当する労働者には適用しない。

1.別表一第六号(林業を除く)または第七号に掲げる事業に従事する者

2.事業の種類にかかわらず、監督もしくは管理の地位にある者

又は機密の事務を取り扱う者

3.監視又は断続的労働に従事する者で、

使用者が行政官庁の許可を受けたもの」とし

管理監督者は、

「一般的には部長、工場長など労働条件の決定、

その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、

名称にとらわれず実態に即して判断すべきもの」

定義されています。

管理監督者は経営者と一体的な立場であることから、

自ら労働時間の裁量権を有しています。

労働時間、休憩・休日、時間外、休日労働の規定は適用されませんが、

深夜労働・深夜割増の対象ですし、年次有給休暇付与の対象になります。

ただし、管理監督者も加重労働防止チェックのため勤怠管理は必要です。

 

管理監督者にあたるのかチェック

①採用・解雇・人事考課・労働者の時間管理の責任と権限があるか

②賃金など待遇に関して基本給や役職手当などが十分でなく、

一般従業員とあまり変わらず、

長時間労働も責任として行わなければならない、等のことはないか

上記のような状態では、

管理職と言っても「名ばかり」ということになります。

この場合は残業代を支払うことになるでしょう。

AMFニュース [2023年12月19日号]

  

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令和6年度から徴収開始
 森林環境税は1,000円
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森林整備等に関する税金です

森林環境税は、パリ協定(気候変動問題に関する国際的な枠組み)の下に、

温室効果ガス排出削減目標の達成や、災害防止を図るため、

森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設されました。

徴収方法は、住民税の均等割と併せて1人年額1,000円が徴収されます。

森林環境税は国税なのですが、

住民税と併せて徴収されるというちょっと変わった扱いになります。

徴収した森林環境税は、一度国に納付された後に、

その税収の税額が「森林環境譲与税」として、

区市町村・都道府県に按分され譲与される仕組みになっています。

 

増税だが負担増ではない?

森林環境税という新たな税の導入で、

「増税か」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

平成25(2013)年度から令和5(2023)年度の10年間、

「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための

施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」により、

都道府県民税500円、市区町村民税500円が加算されていましたから、

この臨時的措置との入れ替わりに森林環境税が導入されるため、

額面を見ると支払うべき税が増えるというわけではありません。

 

先行して譲与が行われているが……

令和元(2019)年度から、徴収する森林環境税に先駆けて、

国庫から都道府県・市区町村には森林環境譲与税が配分されています。

配分基準は、

「私有林や人工林の面積に応じて50%」

「人口に応じて30%」

「林業従事者数20%」となっているため、

森林とは縁遠い都市部の自治体にも多額の税金が配分されます。

都市部においても例えば

「森林体験ツアーの助成」や、

「学校で使用する机・いす等の国産材を使用した製品の購入」

などに活用している自治体もありますが、使用用途が定まっておらず、

基金として積み立てている自治体も多いようで、

NHKの報道によると、

2019年度からの3年間で約840億円が配分された内、

約395億円が未活用とのことです。

住民税非課税のように、

所得等によって森林環境税も非課税になるケースがあります。

AMFニュース [2023年12月12日号]

  

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        お葬式と税金
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故人をしのぶ儀式と税金

お葬式は亡くなった方へのお別れやお見送りの儀式です。

お通夜や告別式の流れ、宗教宗派によって変わる作法、

ご挨拶の言葉など、日常生活とは異なるマナーが多く、

少々苦手という方も多いのではないでしょうか。

また、残されたご遺族には相続税等、

税金周りの手続きが必要になる場合もあります。

お葬式と税の関係を確認してみましょう。

 

相続税を計算するとき

続税を計算するときは、負担した葬式費用を遺産総額から差し引けます。

例えば、

①お葬式や葬送に際し、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用

②ご遺体やご遺骨の回送にかかった費用

③お葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用

(例えばお通夜などにかかった費用など)

④お葬式にあたりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用

⑤遭難事故等の場合のご遺体の捜索または運搬費用

上記は相続税を計算するときに差し引けるものとなります。

逆に、

①香典返しの費用

②墓石や墓地の費用

③初七日や法事の費用については、葬式費用ではないと判定されるため、

遺産総額から差し引くことはできません。

 

香典・弔慰金と税金

香典については、故人ではなく喪主やご遺族に支払われるもの、

という扱いになっています。

前述した葬儀費用とはならない「香典返し」は、

故人が返しているわけでもないし、故人が貰っているわけでもないので、

葬儀費用とはならない、という解釈です。

また、社会通念上相当と認められる香典については、

所得税及び贈与税は非課税となっています。

会社から出る弔慰金については、

実質上退職手当金等に該当する部分については相続税の対象です。

また、それ以外の部分については明確な取り決めがあり、

①業務上の死亡の場合:給与3年分

②業務上の死亡でない場合:給与半年分

を超える弔慰金については、

相続税の対象となります。

全日本冠婚葬祭互助協会によると、

勤務先関係の香典の相場は5千円が目安。

ただし地域性や関係性により異なるとのことです。

AMFニュース [2023年12月5日号]

 

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税制改正の流れ
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今年は特に注目されている?

税制は、税負担の公平確保などの理念に沿いつつ、

経済社会の変化に対応できるように、毎年見直しが行われています。

通常12月になると、変更案である「税制改正大綱」が発表されます。

今年は首相が「所得税を減税する」と発言をしており、注目されていますね。

税制改正がどのような流れで行われるのか、見てみましょう。

 

要望が色々なところから出ている

例年8月ごろ、各省庁により税制改正の要望が提出されます。

これを与党の税制調査会が審議し、与党税制改正大綱をまとめます。

この要望については関係各省庁や税制調査会に、

それぞれ業界団体などが提言等を出しています。

例えば一般社団法人日本ビルヂング協会連合会は国土交通省へ、

日本税理士会連合会は財務省・国税庁・総務省へ、

経団連は与党の税制調査会へ提言や要望を出しています。

また、税制改正については、

中長期的な税制の在り方を検討する内閣府の審議会である

(政府)税制調査会の答申なども反映されています。

 

この後は国会の出番

税制改正大綱が閣議に提出され、閣議決定されると、

税制の改正法案が国会に提出されます。

改正法案は財務省が国税の法案を作成、総務省が地方税の改正案を

作成します。

改正法案は、国会の財務金融委員会や総務委員会での審議を経て、

本会議に付されます。

衆議院・参議院のどちらか先に可決されると、

もう一方の院で同様のプロセスによって審議されます。

両院で可決されると改正法案は成立し、

改正法に定められた日から施行されることになります。


やはり税制改正大綱がヤマ

さて、首相の発言した「減税」の詳細な内容がいつ分かるかと言えば、

与党発表の税制改正大綱が、ほぼそのまま国会を通過しますから、

気になる方は、

12月に自民党や財務省のWebサイトに公表される税制改正大綱や、

ニュース等をチェックしましょう。

また、税制改正の元となる、

各省庁からの要望事項は財務省Webサイトに公表されていますし、

業界団体がどんなことを提言しているか等も、

各団体のWebサイトで閲覧可能です。

AMFニュース [2023年11月28日号]

 

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2割特例の適用に「不適用届出書」
   提出が必要な場合がある
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令和5年10月31日付国税庁の周知依頼

インボイス制度を機に、

免税事業者からインボイス発行事業者として、

課税事業者になった事業者には「2割特例」という

3年間の納税の経過措置が設けられています。

これに関して、国税庁から、

「インボイス発行事業者の登録申請書のほか、

インボイス制度開始の日(令和5年10月1日)を含む課税期間に係る、

『消費税課税事業者選択届出書』を提出している場合には、

課税時間の末日まで『課税事業者選択不適用届出書』を提出しないと、

2割特例が適用されなくなるから要注意!!」

ということを周知してもらうよう日本税理士会連合会宛に依頼がありました。

 

何らかの理由で選択していたら再度検討を

インボイス制度を機に、

免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になる場合には、

インボイス発行事業者の登録申請書を提出すれば、

インボイス制度開始の日(令和5年10月1日)から

インボイス発行事業者となり、同日から課税事業者となっています。

同日からの適用であれば、

「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要でした。

しかしながら、何らかの理由、

(=たとえば、令和5年10月1日より前に設備投資等があり、

その消費税還付目的があったなど)で、

「消費税課税事業者選択届出書」を提出していた場合には、

国税庁からの周知にある追加手続きをすべきか否か、

再度納税額のシミュレーションをし直して、対応を確認する必要があります。

予定通り設備投資等がなされていれば、

当初の選択通りでよいかもしれませんが、

経済事情の悪化等で設備投資が先延ばしされていた場合などには、

見積納税額の計算のし直しが必要となるでしょう。

 

ギリギリまで検討できるが早めに対応を

通常、消費税の課税選択等の適用申請は、

適用を希望する「課税期間の初日の前日までに」とされています。

しかしながら、経過措置関連では、

「課税期間の末日までに」という措置が取られており、

今回の「2割特例適用のため『課税事業者選択不適用届出書』の提出も

課税期間の末日までに」とされています。

どちらが得なのか、損をしないのかのシミュレーションをする時間は

課税時間の末日までありますが、

通信環境システムの不具合などで遅れることのないように、

早めに対応した方が良いでしょう。

AMFニュース [2023年11月21日号]

 

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損害賠償金等に
  税金はかかるのか
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損害賠償金等は基本的には非課税

事件や事故に遭った際、

被害者が治療費・慰謝料・損害賠償金などを受け取ったとき、

所得税は非課税となります。

国税庁は具体的な例として、

①心身に加えられた損害について支払いを受ける慰謝料など

②不法行為その他突発的な事故により、

資産に加えられた損害について受ける損害賠償金など

③心身または資産に加えられた損害につき、

支払いを受ける相当の見舞金を挙げています。

 

収入となるケースもある

上記のような損害賠償金については原則非課税となりますが、

個人事業者が受け取る収益補償や、

必要経費を補填するために受け取る損害賠償金については、

既に必要経費に算入された費用や、

将来必要経費に算入される費用を補填するものですから、

事業所得の総収入金額に算入することとなります。

例えば、

①配達中の事故でダメになった商品について損害賠償金を受け取った

②車両が店舗に飛び込んで損害を受け、

その店舗の補修期間中に仮店舗の賃借料の補償として、

損害賠償金を受け取った、といった、

損害を受けた資産が事業用資産の場合は、事業所得の収入金額になります。

また、事故により事業用の車両を廃車とする場合で、

その車両の損害について損害賠償金を受け取ったケースは、

車両について資産損失の金額を計算する場合、

損失額から損害賠償金などによって補填される部分の金額を差し引いて

計算します。

なお、この場合の車両に対する損害賠償金は非課税となります。

 

やけに細かい損害賠償金の説明

国税庁のWebサイトを見ると、

「質疑応答事例」には

「ガス爆発事故に伴い被害者が受領する損害賠償金等」や

「マンションの施工不良に伴う耐震補強工事により損害賠償金として

受領する仮住まい保証金について」など、

やけに細かい状況の損害賠償金に対する説明ページが用意されています。

おわかりの方も多いと思いますが、

これは過去に大きく報道された事件・事故に関係する内容です。

質疑応答事例のページは、

「国税局において納税者の方々からの照会に回答した事例等のうち、

他の納税者の参考となるものを掲載する」という説明ですが、

局所的な事例が取り上げているのは、

報道に対するリアクションなのでしょうか。

ちなみに、ケガの治療費として受けとった分は、

医療費控除の支払金額から差し引きます。

AMFニュース [2023年11月14日号]

 

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年末調整の基本  
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年間の所得税額を再計算する作業

年末調整は、

給与を受ける人それぞれについて、

原則毎月の給与や賞与などの支払いの際に源泉徴収した税額と、

その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、

その過不足を精算する手続きです。

過不足が起こる原因としては、

①生命保険料控除や地震保険料控除等の控除が発生する

②扶養控除・配偶者控除の額が変わる、

等があります。

毎月の給与や賞与などから源泉徴収される税額については、

あくまで1年間の見込みの所得により決まるため、

「年末調整で出す予定の生命保険料控除」等は加味しないように

なっています。

また、扶養・配偶者控除の額が変わるケースについては、

「大学生の子供がアルバイトに勤しみすぎて、

扶養範囲以上の給与を得てしまった」とか、

「配偶者の収入が産休・育休に入ったため減った」等が考えられます。

 

年末調整できない所得控除

医療費控除や寄附金控除等については、年末調整ができない所得控除です。

これらの所得控除については1月1日から12月31日までの間で計算するので、

年末調整以後にも発生する可能性があるため、年末調整で取り扱えません。

基本的には従業員個人が翌年確定申告するものとなります。

 

住宅ローン控除の初年度も年末調整NG

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)については、

2年目以降は年末調整可能です。

ただし初年度については、

そもそもの「住宅ローン控除を受けられるか否かの審査」が必要

となっており、確定申告で控除の申告と併せて、床面積や入居日、

居住用かどうか等の審査を行っています。

よって年末調整を行うことができません。

 

「令和6年」からの変更点

住宅ローン控除の2年目以降は年末調整可能で、

現在は「借入金残高証明書」の添付が必要ですが、

令和6年からは添付が不要となります。

金融機関から税務署に直接残高証明書が送られるようになるためです。

来年以降は人事・労務担当者も、年末調整のチェック作業が

少し楽になるかもしれませんね。

AMFニュース [2023年11月7日号]

 

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“税"であっても税理士業務
 対象外の印紙税その他の税
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“税"のことなら税理士に聞け!?

紙の契約書を作成したり、

5万円以上の金額を受領したりした際に貼り付けて、

消印(割り印)を押しておかなければならないのが印紙税です。

それを忘れて税務調査で指摘を受けると、

最大で納付すべき印紙税×3倍の本税+過怠税が発生します。重いです。

“この文書の作成には印紙の貼付が必要か?金額はいくらか?"となると、

関与先会社は、“税のことだから顧問税理士に聞け"となります。

問い合わせを受けると何とか調べて回答しますが、

じつは税理士はよくわかっていません。

業務対象外なのです。

 

印紙税は税理士業務の対象としない租税

税理士が業務の対象とする税は、税理士法で決まっています。

「税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、

税務代理や税務書類の作成及び税務相談を行うことを業とする」

と決められていますが、

その対象とされる租税から、印紙税は除かれています。

万一、印紙税で税務上の問題が発生しても、

税理士は納税代理人となれません。

他に除かれている税金は、登録免許税、自動車重量税、

電源開発促進税、国際観光旅客税、関税、とん税、

特別とん税及び狩猟税並びに法定外普通税及び法定外目的税です。

登録免許税や自動車重量税そして関税なども、

一般の事業会社にもなじみのある税金ですが、税理士業務の対象外です。

「法定外税」とは、地方税法に定めがなく、

各地方自治体の条例で定められる地方税です。

具体的には、法定外普通税では、

「核燃料税(原発のある都道府県)」他、

法定外目的税では、「宿泊税(東京都)」、

「産業廃棄物税(多くの都道府県)」他があります。

 

印紙税等税理士業務外は会社主体で調べる

会社の儲けに対して課税される、

法人税や事業税・法人住民税は税理士業務であることが明らかですが、

その他の税金でもわからないことがあったら、

まずは顧問の税理士に聞いてみましょう。

たぶん、業務対象外と前提を示したうえで、

何らかの解説や説明はしてくれるものと思います。

ただし、印紙税などの税理士業務の対象外の税金については、

税理士は責任を負えません。

あくまでも会社が主体となって納税関係の対応に当たることになります。

不明点は、国税庁のサイトをよく読み、税務署に相談するなどしてください。

AMFニュース [2023年10月31日号]

 

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カスタマーハラスメントの心理的負荷
        労災認定基準の改正
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労災の心理的負荷による認定基準とは

「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正され、

令和5年9月1日に通知されました。

精神障害・自殺事案については、

これまで平成23年度策定の「心理的負荷による精神障害の認定基準について」

に基づき労災認定が行われてきました。

この度の改正は近年の社会情勢の変化を考慮し最新の医学的知見を踏まえて

「精神障害認定の基準に関する専門検討会」において検討を行い、

報告書が取りまとめられました。

 

改正のポイント

①「業務による心理的負荷評価表」(※)の見直しがなされました。

具体的事例としては、

「顧客や取引先、施設利用者から著しい迷惑行為を受けた」

いわゆるカスタマーハラスメントが追加されました。

別の事例では、

「感染症の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加しました。

心理的負荷が「強」「中」「弱」となる具体的例を拡充し、

パワーハラスメント6種類型のすべての具体例が明記されました。

②精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲が見直されました。

症状の悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも

「業務による強い心理的負荷」により悪化した時には、

悪化した部分について業務起因性を認める。

③専門医3名の合議により決定していた事案について、

特に困難なものを除き1名の意見で決定できるように変更されました。

令和2年にパワーハラスメントの出来事の追加がありましたが、

今回はさらにカスタマーハラスメントの事例などが追加され、

より認定基準の範囲が広がりました。

企業はこのような事例を見て、

自社にも類似の出来事がないかを検討することが、

ハラスメント予防となるでしょう。

(※)実際に発生した業務による出来事を同表に示す

「具体的出来事」に当てはめて負荷(ストレス)の強さを判断する。

AMFニュース [2023年10月24日号]

 

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給料の差押えと会社の対応
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給料の差押え

給料の差押えとは、自社に勤務する従業員が、何らかの事情によって、

その有する借金等の債務を返済できない状態(滞納している状態)において、

債権者が債務者である従業員の勤務先(第三債務者)に対して、

有する給与債権を差押えることです。

なお、ここでは、会社を「第三債務者」と呼びますが、

これは法律上の呼び方であり、会社も当該従業員の債務を負うというような

意味ではありません。

ただし、会社は法律の定めに従って一定の手続きを行う義務があります。

 

給料の差押えがあった場合の会社の対応

(1)従業員に給料の全額を支払ってはいけません

給与債権が差押えられた場合には、

裁判所から第三債務者である会社に対し、

「債権差押命令」という書面が送られてきます。

この書面を受け取った会社は、差押えの対象である従業員に、

その給料の全額を支払うことはできません(一部を支払うという意味です)。

なお、労働基準法との関係などから、従業員本人の同意を得ず、

一方的に会社が一定額を控除して良いのか、疑問が生じる経営者も

いるかもしれませんが、差押えは民事執行法に基づく手続きという法律行為

すので、従業員本人の同意なく給料の一部を控除しても問題ありません。

 

(2)従業員等に支払う給料の計算給料は、

生活の維持を図るための大切な原資であることから、

その全額を差押えることは禁止されています。

したがって会社は法律(民事執行法第152条第1項)に規定する計算方法により

計算した金額を、給料から控除して債権者に支払うことになります。

なお、本稿では詳細な計算方法については省略しますが、

「給料及び賞与と退職金については計算方法が異なること」、また、

「債権の性質(消費者金融などによる通常の債権と養育費などの特別な債権)

によっても計算方法が異なる」という点について述べておきます。

 

(3)陳述書の提出「債権差押命令」には陳述書が同封されていることが

ありますが、その場合には、会社は、陳述書に必要事項を記入して、

裁判所及び債権者に返送する必要があります。

AMFニュース [2023年10月17日号]

 

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最低賃金の仕組みと今後の見通し
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最低賃金が過去最高で上がる

最低賃金が全国平均で1,000円を超えたことが話題になっています。

最低賃金とは、企業などが労働者に最低限支払うべき「時給」のことで

生活に直結し影響を与えます。

 

対象者は

対象となるのは正社員の他アルバイトや派遣社員等すべての方です。

使用者は1時間当たりの賃金を最低賃金以上にしなければなりません。

最低賃金には各都道府県が個別に決める「地域別最低賃金」と

特定の産業別に定める「特定最低賃金」の2種類があります。

一般的には地域別で見ます。

 

最低賃金はどのように決められるのか

厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会が、

景気や雇用に関する指標などを参考に引き上げの額の目安を議論します。

経済実態に応じて都道府県を3つのランクに分け賃上げの目安を提示、

これをもとに各都道府県の地方最低賃金審議会で議論し、

最終的に都道府県労働局長が決めます。

 

正社員の最低賃金はどのように出すのか

会社員で月給制の場合、

毎月の給与のうち基本給と一部の手当てが最低賃金の対象となります。

通勤手当や時間外手当、賞与などは含まれません。

基本給などを年間ベ ースで換算し働いた時間で除したものが

「時給」となります。

 

最低賃金の計算例

1日8時間勤務、年250間日の労働とします。

月の基本給16万円、職務手当25,000円、

計185,000円の方の1年の給与は2,220,000円、

それを1年の労働時間2,000時間で除すと1時間当たり1,110円です。

東京都の場合ですと、

9月までは1,072円、10月からは1,113円ですので、

最低賃金を下回ってしまうことになります。

下回っている場合は少なくとも最低賃金分までは上げなくてはなりません。

下回る雇用契約を本人と交わしていたとしても、

最低賃金法で決められた最低賃金額とみなされます。

岸田首相は主要国と比較した賃金水準の低さや物価高を上回るには、

2030年半ばに全国平均時給1,500円になることを新たな目標にする

と言っています。

つまり毎年時給43円程度は上げていく方向ということでしょう。

これにどう向かうのか、経営側にとって非常に大きな課題だといえます。

AMFニュース [2023年10月10日号]

 

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  通勤手当の税と社会保険
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通勤手当と所得税

給与所得者に支給する通勤手当については、

非課税限度額が設定されていて、その金額までの支給であれば、

支給された通勤手当には所得税がかからない仕組みになっています。

非課税限度額は

●交通機関又は有料道路を利用している人の場合:

1か月最高150,000円

●自動車・自転車などを使用している人に支給する場合:

片道55キロ以上1か月最高31,600円~片道2キロ以上10キロ未満

1か月最高4,200円

●交通機関の通勤用定期券を支給の場合:

1か月最高150,000円等となっています。

なお、通勤距離が片道2キロ未満で自動車や自転車などを使用している人に

支給する通勤手当は全額課税となります。

規定されている額よりも多く通勤手当を支給した場合、

超過分は給与として課税されます。

 

通勤手当と社会保険料

通勤手当は限度額までは所得税は非課税なのに対して、

社会保険料の算定に利用する標準報酬月額には含めて計算することに

なっています。

所得税と社会保険の扱いの差は、所得税は

「職場に行くための手当は結果的に手元に残らないから非課税」

という考え方で、社会保険料は、

「労働の対価として定期的に受けた労働者の生計に充てられる手当なので

計算に入れる」

という考え方の違いのようです。

 

通勤手当とインボイス

適格請求書等保存方式の下では、

帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の対象となります。

ただ、社員に支給する通勤手当については、

社員が適格請求書発行事業者ではないため、

適格請求書の交付を受けることができません。

そのため通勤者につき通常必要と認められる部分については、

特例で記帳のみの保存で仕入税額控除が認められています。

また、この「通常必要と認められる部分」については、

所得税の非課税限度額を超えているかどうかは問わないため、

所得税の非課税限度額との条件を混同しないように注意しましょう。

AMFニュース [2023年10月3日号]

 

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インボイス制度
基本的な緩和措置等のまとめ
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仕入税額控除にまつわる経過措置・特例

2023年10月から始まったインボイス制度ですが、

インボイスを機に免税事業者から発行事業者になった場合の経過措置と、

免税事業者から仕入れる課税事業者に対する経過措置があります。

期間はいつまでなのか、どのように負担が軽減されるのか、

基本的な部分になりますが、見ていきましょう。
 

免税事業者から仕入れた際の経過措置

適格請求書等保存方式の開始後は、

本来インボイスが発行できない免税事業者からの仕入れについては、

仕入税額控除を行うことができません。

ただし、インボイス制度開始から一定期間は、適格請求書発行事業者以外、

つまり免税事業者からの課税仕入れであっても、仕入税額相当額の一定割合を

仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

令和5年10月から令和8年9月までは、仕入税額相当額の80%、

令和8年10月から令和11年9月までは仕入税額相当額の50%がみなし控除の

認められる割合となります。

なお、この経過措置の適用を受けるためには、

帳簿及び請求書等の保存が要件となり、帳簿については「80%控除対象」等、

経過措置の適用を受ける旨の記載が必要となります。

 

免税から課税事業者になる場合の特例

インボイス制度を機に、免税事業者からインボイス発行事業者、

つまり課税事業者になった場合は、売上に係る消費税額から、

売上税額の8割を差し引いて納付税額を計算して良いという特例制度が

利用できます。

例えば売上700万円、消費税額70万円で、実際の仕入税額が15万円

(仕入150万円)のサービス業の方の場合、

・本則課税:70−15=納税55万円

・簡易課税(みなし税額控除70万円×50%=35万円):70−35=納税35万円

・2割特例:70×0.2=納税14万円

という軽減になります。

2割特例の適用に当たっては、事前の届出は必要なく、

消費税の申告時に2割特例の適用を受ける旨を付記することで、

適用を受けることができます。

この特例を利用できる期間は令和5年10月1月から令和8年9月30日までの

日の属する各課税期間となります。

AMFニュース [2023年9月26日号]

 

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         インボイス制度
適格簡易請求書と帳簿のみ特例
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適格請求書に必要な記載事項

令和5年10月から始まる仕入税額控除の要件となる

「適格請求書等保存方式」、いわゆるインボイス制度。

その適格請求書には必要な記載事項が定められていますが、

実は様式については法令等で定められていませんから、

例えば手書きであっても記載事項を満たしていれば、

適格請求書として認められます。

また、適格「請求書」と銘打っていますが、

「納品書」「領収書」「レシート」等、名称も問わないことになっています。

ただし、適格請求書を交付することができるのは

税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者に限られます。

必要な記載事項は

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称・登録番号

②取引年月日

③取引内容(軽減税率の対象か等)

④税率ごとの区分合計額(税抜又は税込)及び適用税率

⑤税率ごとに区分した消費税額

⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称、となっています。

 

適格簡易請求書とは?

不特定多数の方に対して販売等を行う小売業、飲食店業、

タクシー業等に係る取引については、いちいち書類の交付を受ける

事業者の氏名などを記載するのが困難です。

そのため、「適格簡易請求書」の発行が認められています。

適格簡易請求書に必要な記載事項については、

「適用税率・消費税額」の記載はどちらかの記載があればOK、

交付を受ける相手の氏名又は名称が不要になっています。


帳簿のみの保存で仕入税額控除

事業者の氏名を記載どころか、

領収書等の発行が困難であるケースについては、

請求書等の保存が要件から外れ、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で

仕入税額控除の要件を満たします。

帳簿のみの保存が許されているものを例示しますと、

①3万円未満の公共交通機関による旅客運賃

②適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)が記載されている

入場券等が使用時に回収される取引

③3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品購入等

④切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス

(ポストに差し出されたものに限る)

⑤従業員等に支給する、通常必要と認められる出張旅費、等です。

AMFニュース [2023年9月19日号]

 

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制度開始目前のインボイス登録
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令和5年10月1日に開始するインボイス制度を目前に控え、

免税事業者がインボイス発行事業者となるための登録手続きを確認します。

 

登録申請書の提出

登録を受けようとする者は、所轄税務署に登録申請書を提出します。

申請はe-Taxでも提出できます。

令和5年10月1日に登録を受けたい場合は、前日の9月30日までの

申請が必要です。

申請は発信主義で扱われ、郵送の場合、9月30日までの通信日付印が

必要です。

令和5年10月2日から令和11年9月30日までの間に登録を受けたい場合は、

登録日を指定できます。

登録希望日(提出日から15日以後の登録を受ける日を指定する)までに

登録申請書の提出が必要となります。

例えば、令和6年1月1日に登録を受けたい場合は、

15日前の令和5年12月17日までの提出が必要です。

なお、免税事業者が課税事業者となる場合は、

本来、課税事業者選択届出書の提出が必要ですが、経過期間中

(令和5年10月1日~令和11年9月30日)については、

登録申請書の提出のみで手続きが終了し、

課税事業者選択届出書の提出は不要です。

 

登録しないと生じる不利益

免税事業者がインボイス登録をしない場合、

販売先は仕入税額控除できなくなる(経過措置あり)ので値引きを要求され、

契約を打ち切られるリスクが生じます。

免税事業者も仕入先に支払う原価や経費に係る消費税額を自己負担することと

なります。

 

取引条件を改定して消費税を転嫁する

消費税は、本来、消費者が商品やサービスの提供を受けて負担した税額を

事業者が納付する制度であり、

事業者は取引価格に消費税を転嫁する仕組みとなっています。

そこでインボイス発行事業者となる機会を利用して、

取引先と取引条件の改定交渉を行い、消費税を販売価格に転嫁することが

必要となります。

国はインボイス制度導入の円滑化のため経過措置を設けており、

売上に係る消費税について最初の3年間は、

消費税の負担を2割に減じています(税率10%×20%=実質税率2%)。

また、免税事業者からの仕入れに係る消費税について最初の3年間は、

仕入税額の80%、次の3年間は50%部分を仕入税額控除できます。

この期間に契約条件の改定交渉を行い、消費税を価格に転嫁して

本来の制度と整合させましょう。

AMFニュース [2023年9月12日号]

 

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フリーランスのインボイス対応
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声優やカメラマンなどフリーランスとして働く人には、

10月から始まる消費税インボイス(適格請求書)の負担が生じます。
 

申告事務の煩雑さ

これまで免税事業者として仕事をしてきたフリーランスが、

インボイス発行事業者となる場合、登録申請手続きに加え、

登録後は、登録番号等の記載した請求書の発行、

仕入先から交付されるインボイスの保存、消費税の申告等が必要になります。

 

収益の圧迫

免税事業者のときは、契約金額に消費税額が含まれているかを気にせず、

全部を収入金額としてとらえていましたが、

インボイス発行事業者となると、納税義務が生じます。

申告納税の必要性は理解できても、

現実は、委託先に消費税分を請求できなかったり、

値引きを求められたり、それでは免税事業者のままでいようとすると、

契約を打ち切られることも懸念されます。

 

簡易課税制度、2割特例の活用

国税庁は、申告事務の煩雑さを和らげるため、仕入税額控除にあたり、

仕入先から交付されるインボイスの保存を不要とできる簡易課税制度を

用意しています。

第五種事業の場合は、みなし仕入率50%となり、

消費税を簡便に計算することができます。

さらに、税負担を軽くするため、インボイス制度の施行後3年間は、

納付税額を売上に係る消費税額の2割に軽減する特例を利用でき、

負担軽減措置がはかられます。

 

委託者との条件交渉

新たに生じる消費税額の負担を委託者とどのように分担しあうかを

双方で話し合うこと、これまでの収入を維持するためには、

消費税相当額を委託者から新たにもらうか、

あるいは全額もらえなくても、双方で負担額を分け合うことが必要です。


フリーランス新法による働く環境の整備

令和5年5月、フリーランス新法が公布されました。

業務委託する事業者は、フリーランスに優越的地位の濫用が規制され、

取引条件の明示が求められるようになり、

フリーランスの取引適正化や就業環境改善が図られます。

2024年秋頃に施行予定です。

岸田内閣は「新しい資本主義」構想のもと、アニメ、映画などの分野で

クリエイターの育成、創出を目指しています。

フリーランスにとっては報酬底上げの機会となると同時に、

自身の技量や経験値を高め、委託先から選ばれる存在になることも

大切になるといえそうです。

AMFニュース [2023年9月5日号]

 

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NISAへの誘いと現NISA
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老後への早期の準備を

老後の生活を豊かにするには、健康、生きがい、まとまった資金が必要です。

健康と生きがいは、運動や食事や趣味や人間関係などへと

テーマが拡がっていきますが、老後生活資金については、

年金の外は若い時からの資産形成に拠らざるを得ません。

総務省の家計調査報告では、65歳以上の夫婦世帯・単身世帯の平均値として、

消費支出に対し16.8%の収入不足となっている、と報告されています。

この不足を補うに足る余裕資金の確保が不可欠です。

政府は預金だけではない資産形成として、投資をすることを勧めています。

株式などの投資で出た利益を非課税とするNISAやiDeCoが代表例です。

確かに、預金で持つよりも資産を増やせるのが投資の魅力です。

預金と異なり元本が減る可能性はありますが、長い期間でやり方を工夫すれば

大きな損失を出す可能性は減らせます。


NISAで1800万円の資産形成を

NISAとは、個人の投資による株式・投資信託等の配当・譲渡益等を

非課税とする税制優遇制度で、今年の税制改正で大改造されました。

令和6年1月1日からの新NISAは、非課税期間が無期限となり、

年120万円限度の安全性重視型の「つみたて投資枠」と、

年240万円限度の自己責任型の「成長投資枠」とになります。

両枠併用は可です。

なお、無期限化に伴い、非課税保有限度額が、両投資枠全体で1800万円

(成長投資枠のみでは1200万円)の制限が設けられました。

最低このくらいの老後資金を長期的に蓄積しておきなさい、

という政府メッセージのように見えます。

 

旧NISAと新NISAの併用

令和5年末までの現行NISAは新NISAとは別建てなので、

令和5年12月31日までで打止めとなり、以後は5年、20年の

非課税期間満了経過とともに旧NISAは消滅となり、

順次課税口座にその時の時価額で移管されることになります。

しかし、新NISAが出来たからと言って、旧NISAに不都合があったわけでは

ありません。

2023年中に旧NISAをはじめれば、生涯非課税で運用できる金額が

増えることになります。

少しでも早く積立投資を始め、少しでも多くの非課税枠を確保することの

意味では、新NISAを待たずに現NISAに挑戦すべきです。

AMFニュース [2023年8月29日号]

 

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ふるさと納税の
  内部ルール変更
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ふるさと納税の見えにくいルール変更

個人のその年の所得・控除によって決まる控除上限金額以内の寄附であれば、

自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度ですが、

管轄する総務省によって、たびたびルール変更が行われています。

とはいえ、寄附側のルールではなくお礼の品を送ってくれる自治体側の

ルールです。

例えば「お礼の品は寄附額の3割以内でなければいけない」とか、

「地場産品でなければいけない」等、普段我々が寄附先を選んでいる

ふるさと納税ポータルサイトでは見えない、募集側の部分に様々なルールが

存在し、ルールを破ってしまった自治体については、

2年間ふるさと納税を募集することができなくなります。


今年の変更点

ふるさと納税制度は前述の通り「お礼の品は寄附額の3割以下」

という価格制限の他にも「お礼の品を含む経費を合計して寄附額の5割以下」

という制限もあります。

この制限ですが、変更前は「寄附の募集に要する費用」、

表現されていたので、自治体が寄附した人に送る、

ワンストップ特例申請書や、寄附金の受領書については

「5割までの経費」に入れなくても問題はなかったようです。

変更後には「受領を証する書類に関する事務など、付随して生じる事務に

要する費用を含む」と明言されているため、

これまで5割の計算外だった費用も入れて5割まで、

と計算しなければなりません。


どこが削れるか?

送料や書類代、送付の人件費や宣伝広告費を削ることは

なかなか難しいでしょう。

寄附額に準じたお礼の品の割合を下げて、経費を寄附額の5割以内に納める

自治体が多いのかもしれません。

ふるさと納税はその当年の所得や控除で自己負担が2,000円で

お礼の品が貰える「控除上限金額」が決まります。

年末でないと正確な金額が分からない、という方も多いのですが、

給与収入のみ等で所得や控除の見通しが立てやすい方は、

今年は9月までに寄附を済ませておくと、少しお得になる可能性が

あるかもしれません。その他にも今回は、「熟成肉」「精米」については

原材料が地場産品でなければダメ、と追記されました。

AMFニュース [2023年8月22日号]

 

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将来の老齢年金受取額を
    増やすには
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年金額を増やしておきたいとき

現在では「年金ネット」で自分の国民年金・厚生年金の加入記録の確認や

将来の見込み額の試算も簡単にできるようになっています。

将来の試算額より多くもらえるようにするには次のような方法が取れます。

 

①繰り下げ受給・・・

特別支給の老齢厚生年金が受給できる方を除けば

老齢年金の受給開始は65歳です。

この開始時期を本人の希望で66歳以降に遅らせることにより

受給額を増やします。

これを「繰り下げ受給」といいます。

繰り下げを行うことによって老齢年金の受給額は繰り下げ1か月につき

0.7%増額されます。

繰り下げ受給は66歳から75歳までの間に請求できます。

ただし、昭和27年4月1日以前生まれの方は70歳になるまでです。

例えば70歳までですと42%、75歳までですと84%増額され、

率は生涯変わりません。

自分の健康具合などを考えて決めましょう。

 

②70歳まで働く・・・

働いて厚生年金に加入し続ければ加入期間が増えるので

年金額も増えます。その間の繰り下げも考えられます。

会社が継続勤務を認める会社であれば可能となるでしょう。

 

③保険料の追納・・・

経済的な理由で国民年金保険料の全部または一部の免除を受けた

期間のある人は、その内容に応じて年金額が減額されます。

10年以内に保険料を追納すれば追納保険料が反映されます。

学生納付特例制度などの納付猶予を利用した方も、

10年以内なら追納しておけば反映されます。

 

④国民年金の任意加入・・・

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合、

70歳未満の方で40年間の納付期間が足らず、

満額受給できない場合なども60歳以降に任意加入することができます。

ただし、厚生年金保険、共済組合に加入中の方は任意加入できません。

また、国民年金には付加保険料(月額400円)を支払うと将来の受け取りは

200円×付加加入月数分が受け取れます。

 

⑤厚生年金の任意加入・・・

会社に勤めていて70歳になれば、厚生年金から外れますが継続して働くとき、

老齢年金を受けるのに加入期間が不足しているときは事業主が同意すれば

保険料は折半、同意しなければ本人が労使分の保険料を支払う任意加入制度が

あります。

iDeCoに加入したり国民年金基金に加入したりすることも、

年金額を増やす方法です。

AMFニュース [2023年8月15日号]

 

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労働基準監督署の調査
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はじめに

「労働基準監督署が来た!」

ドキッとしますよね。ただし、労働基準監督署の調査といっても

「労働基準監督署のどの部署が来たのか」でその内容は全く異なります。

ここでは、労働基準監督署の組織とその組織ごとの調査内容についての

概略をお話ししたいと思います。



労働基準行政の組織

日本における労働基準行政のトップ機関は厚生労働省です。

その下部組織として全国47都道府県に都道府県労働局があり、

さらにその下の組織として全国に321の労働基準監督署と

4つの支署があります。

また、労働基準監督署の内部にはその地方により、

若干の名称の違いがあるところもあるようですが、おおむね

①監督課(若しくは方面)

②安全衛生課

③労災課

④業務課(若しくは監督課庶務係)

と呼ばれる組織が置かれています。


労働基準監督署の組織と業務

① 監督課(若しくは方面)

主に労働基準監督官が配属されている部署で、一般的なイメージの

労働基準監督署による調査(正式には監督)が行われ、

調査の種類には、実際に監督官が現場に赴き調査をする「臨検監督」、

代表者や人事担当者に監督署に来てもらい、聞き取り等の調査を行う

「呼出監督」などがあります。

 

② 安全衛生課

労働災害が起こった場合の調査や、労働災害が起こらないようにするための

事前の調査が行われます。

具体的には製造業や建設業における設備の状況等に関する調査の他にも、

労働者の健康確保のための指導(メンタルヘルス指導など)も行います。

 

③ 労災課労働災害保険申請時の書類審査や必要に応じて実地調査を行い、

労災保険の支給決定を行います。

また、労働保険料徴収に関する業務もここで行われます。

 

④ 業務課(監督課庶務係)

基本的には、監督署内における労務管理や経費の管理などの

庶務が行われる部署になりますが、賃金構造基本統計調査などの

統計調査の取りまとめを行う部署でもあります。

これらの各部署の業務内容を踏まえ「労働基準監督署が来たが、

どこの部署で何を調査に来たのか」確認をして慌てずに対処しましょう。

AMFニュース [2023年8月8日号]

 

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どちらが正しい選択
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 製造業は生産性が重要?

1個・売価100円・材料費10円・外注費10円・年間人件費1,000万円・

その他経費1,000万円の会社で1年間に25万個売れた場合で考えてみます。

①25万個作って25万個売れた場合、

売上2,500万円−(材料費250万円+外注費250万円+人件費1.000万円+

その他経費1,000万円)=製造利益0

②50万個作って25万個売れた場合、

売上2,500万円−(材料費500万円+外注費500万円+人件費1,000万円+

その他経費1,000万円−期末在庫1,500万円)=製造利益1,000万円

②の方が倍作って売っているため、1個当たりのコストが安いということに

なります。


キャッシュフローで見ると?

①25万個作って25万個売れた場合入金は2.500万円、

出金も2,500万円でトントンです。

②50万個作って25万個売れた場合入金は2,500万円、

出金は倍作っているので3,000万円になり、500万円のマイナスです。

更に利益が出ておりますから税金もかかってきます。

 

生産性かキャッシュフローか?

経営者としては、売上予想が25万個の場合、50万個作って在庫にするか

25万個に留めるか難しい選択となります。

25万個の場合は人件費やその他経費が50万個より少ないだろうという

ご意見もあろうと思いますが、半分にはなかなかできませんから、

若干利益は出たとしても1,000万円の製造利益は難しいと思います。

 

損益分岐点売上は?

損益分岐点売上とは原価を変動費と固定費に分け、

何個売れれば固定費を回収できるかという考えに基づいた売上です。

今回の例で計算すると

1個の限界利益=粗利益は100円−材料費10円−外注費10=80円(80%)です。

固定費は、人件費1,000万円、その他経費1,000万円で合計2,000万円です。

2,000万円÷80%=2,500万円が損益分岐点売上です。

要は25万個以上売らないと利益は出ないことになります。

50万個作るか25万個に留めるかそこが問題です。

AMFニュース [2023年7月25日号]

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相続に関わる手続上の期限
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3か月(熟慮期間)以内に 

相続が発生した場合、相続人は相続の開始及び自己が相続人であることを知ってから

3か月(熟慮期間)以内に単純承認・相続放棄・限定承認の中から、

どれかを選択しなければなりません。

熟慮期間の間に相続放棄または限定承認がされなかった場合は、

単純承認したとみなされます。

また、3か月の熟慮期間中に被相続人の預金から現金を引き出して使うなどの行為が

あった場合は、単純承認をしたとみなされ、相続放棄や限定承認を選択することが

できなくなります。

 

4か月以内に

相続人は、被相続人の相続開始年の1月1日から死亡の日までの期間の所得金額、

及び、所得税額を計算して、相続の開始があったことを知ってから4か月以内に

準確定申告書を提出し、納税をしなければなりません。

 

10か月以内に

被相続人からの相続による取得財産に係る課税価格の合計額が、

遺産に係る基礎控除額を超える場合、その財産を取得した人は、

相続の開始があったことを知った日から10か月以内に、相続税の申告書を提出し、

納付をしなければなりません。

 

1年以内に

遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び、

遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年間で時効により

消滅します。

 

3年以内に

令和6年4月以後は、所有権の登記名義人について相続の開始があった時は、

その相続により所有権を取得した者は、相続の開始があったことを知り、かつ、

所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記申請を

しなければなりません。

遺産分割で所有権を取得した際は、分割の日から3年以内の登記申請も

義務づけられています。

 

10年以内に

令和5年4月以後は、遺産分割協議に関して、特別受益と寄与分の主張をすることが

できる期間を相続開始の時から10年とするという内容の期限が設けられており、

その結果、遺産分割協議に実質的に10年の期限が設けられることになりました。

相続人全員の同意がない限り、法定相続分でしか遺産分割することができなくなり

ました。

AMFニュース [2023年7月18日号]

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日本在住で海外企業に
リモート勤務の所得税と社会保険
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給与格差と円安が海外会社就職を後押し?

リモートワークでの勤務が普及し、業種によってはフルリモートで

居住地が会社の近くでないところでも問題ないという会社も増えています。

極端な話、海外の会社と雇用関係を結び日本に在住のまま働くことも

できます。

円安が続いている2023年では、特に英語ができるITエンジニアであれば、

人件費がより高い海外の会社にリモートワークで勤務し、年収アップを狙う

ことも可能となっています。

 

所得税の課税関係はどうなるのか

話を単純化するため、前提として、リモートで海外勤務するITエンジニアは、

全世界所得が課税対象となる所得税法上の日本の居住者とします。

また、勤務する海外会社は日本に支店や駐在員事務所など拠点となる場所や

給与支払事務所を持たないものとします。

さらに、給与を支払う海外会社は日本との租税条約がある国にあり、

給与所得者の居住地でのみ課税されるものとします。

給与は国外から日本の銀行口座に送金されますがその際日本の所得税の

源泉徴収は行われません。

そのため年末調整での課税関係の清算の対象とはならず、

自分で確定申告をしなければなりません。

円口座に振り込まれる場合は給料日に振り込まれた金額の合計が、

給与収入となります。

日本もしくは海外会社所在国にある銀行の外貨預金口座に外貨で振り込まれる

場合は、入金日のTTM(電信仲値相場)で円換算します。

所得税の計算で、所得控除や税率・税額控除他は税法の規定通りに適用され

す。



社会保険等の加入の可否はどうなるのか

日本在住で海外企業にリモート勤務の場合には、国内に社会保険の加入となる

適用事業所がありませんので、社会保険の加入はできません。

健康保険は国民健康保険、年金は国民年金に加入することになります。

労働保険も、事業場がありませんので、適用されません。

そのため、海外企業にリモート勤務の場合には、労災保険も雇用保険も加入

できません。

労災保険に代わるものとして、損害保険で付保しておくことの検討をお勧め

ます。

雇用保険が付保されないことを補うには、雇用契約書で何らかの手当て

(=例えば解雇予告期間を長く設定する等)を設けてもらうなどの事前の交渉

が望まれます。

AMFニュース [2023年7月11日号]

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同月得喪−入社月に退社した
 場合の社会保険
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メールでの退職届もへっちゃら!

インターネットでの業務が常態となっている環境下では、

前触れもなくメールで退職届を送りつけて出社しなくなってしまう事態も

起きているようです。

こんな振る舞いをされたら、せっかく時間と費用を掛けて採用していたと

しても、会社側としても引き留めには動かないことになるでしょう。

社員が入社したら社会保険や労働保険の加入手続きをします。

退職したら脱退手続きをすることになります。

同じ月に同一人物の入退社があった場合、なかったことにして

何もしなくともよいのでしょうか?

 

同月得喪の場合の社会保険料

同じ月に社会保険の資格取得と資格喪失が発生することを同月得喪

といいます。

(注)社会保険の資格取得日は入社日であり、資格喪失日は退職の日の翌日

です。

そのため、入社した月の月末に退職した場合は同月得喪とはなりません。

社会保険の保険料が発生するか否かは、原則として月末時点で被保険者資格が

あるかどうかで判断します。

月末退職の場合は退職月の分の社会保険料まで発生しますが、

月末よりも前の日までに退職すると退職日を含む月の社会保険料は

発生しません。

しかしながら、同月得喪では、月の途中の退職でもひと月分の社会保険料が

発生します。

社会保険に日割りの考え方はありませんので、たとえ一日の在籍でも、

会社と社員で社会保険料がひと月分折半負担となります。

 

同月中に次の会社で資格取得等の場合

同月得喪の人が同じ月のうちに次の就職先で社会保険の資格取得をしたり、

就職せずに国民年金保険への資格変更手続きをしたりした場合には、

先に喪失した厚生年金保険料の納付は不要となります。

この場合年金事務所から先に喪失した会社に厚生年金保険料が還付されます。

本人負担分も本人に返還されることになります。

これは同じ月に対応する年金保険料の二重払いがなされないようにするための

手続きです。

なお、上記は年金保険料の話であり、健康保険料(介護保険料を含む)は

還付されません。

また、雇用保険料や源泉所得税は、支給された給与額に基づいて計算される

ものですので、やはり次の資格取得等による、還付という制度はありません。

給料の日割り計算額より本人負担の社会保険料が多くなった場合の徴収や、

厚生年金保険料の返金などに備え、退職後も連絡手段は確保しておきましょ

う。

AMFニュース [2023年6月27日号]

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税金よもやま話
  嘱託警察犬と税金
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  嘱託警察犬制度とは?

嘱託警察犬とは、各県警(東京都の警視庁は嘱託警察犬不採用)が

民間の犬と訓練士・飼い主に委託する警察犬の制度です。

年1回の審査会があり、犬と指導士(もしくは飼い主)が参加し、

合格すると一年間嘱託警察犬として委嘱されます。

警察が直接飼育・訓練をしている直轄警察犬は、ジャーマンシェパードや

ラブラドールレトリバー等の大型犬種のみと規定されており、

警察犬といえば大きい犬というイメージの方も多いかもしれません。

ただ、近年では嘱託警察犬については犬種の指定もなく、

広報活動の場での活躍や、捜査の物々しさの軽減も視野に入れた

小型犬の採用も増えているようです。


 嘱託警察犬出動で報酬が支払われる

嘱託警察犬が出動すると、1件当たり数千円の報酬が支払われます。

これは業として行っていれば事業所得、そうでない場合は雑所得に

分類されます。ただ、犬が確定申告を行うわけではありません。

どんなに可愛く、家族の一員であったとしても犬は法律上「物扱い」

となっているため、その報酬は訓練士、もしくは飼い主が貰うことになりま

す。

訓練士が犬とともに出動するハンドラーとなって報酬を貰っている場合が

多いようですが、民間の訓練所に飼い主が預けるなどして能力を磨いている

ケースであれば、訓練費の支出が多く、報酬に税金が課されることは

あまり考えられません。

嘱託警察犬制度は飼い主のボランティア精神で支えられている側面も

ありそうです。

 

  ペットと経費計上

猫カフェや犬カフェといった「動物そのものが事業」であれば、

当然ペットの購入費用や餌代、病院代等の関連費は全て経費計上できます。

近年では、ペットとの生活をブログやYouTube等の動画サイトで公開し、

広告収益を得る人もいます

ペットが事業の利益に関係していればかかる費用は、

経費として認められますが、個人所有のペットの場合は収益がきちんと発生

しているかがポイントとなるでしょう。

ただ飼っているだけ、では経費として認められませんからご注意ください。

法的には「物扱い」といえど、動物愛護管理法が改正され殺傷・虐待等が

厳罰化されています。

AMFニュース [2023年6月20日号]

 

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ありがちな労務管理上の
  うっかり違法
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職場に潜む無意識の法令牴触

退職時は元の勤め先とは円満に終わりたいもの。

ところが場合によっては再出発を気持ちよくできないトラブルになるケースが

後を絶ちません。そのような場合を見てみます。

①転職して前職企業の重要データの持ち出し、営業秘密の漏洩をするケース。

不正競争防止法違反になるかもしれません。

また、同業他社に転職し前職の顧客リストを持ち出して活用したケースも

同法に抵触します。

営業秘密以外でも前職で知り得た情報の持ち出しは、問題になる場合が

あります。

就業規則や退職時の誓約書で外部への情報漏洩を禁じられていることが多く、

前職企業への秘密保持義務が生じます。

②海外の研修後一定期間の退職に対してかかった費用を会社が請求した。

労働基準法第16条に違反します。

業務に関連する研修であれば返還命令はできません。

③転職した元社員の勤務評価を転職先企業から尋ねられ、

たとえ良い評価だとしても勝手に答えてはなりません。

個人情報の取り扱いで本人の同意が必要です。

もちろん同意なく調査会社に依頼する行為も、職業安定法に抵触することが

あります。

働きぶりや周囲の評価について前職に尋ねるのは同法に抵触する可能性があり

ます。


その他うっかり違法

④試用期間の解雇

⑤育休明け社員の本人に確認せず楽な業務への変更は、育児介護休業法に

抵触の可能性。

⑥妻が妊娠したと報告を受けた上司、祝福をしただけで育児休業等の説明をし

ない。同じく育児介護休業法に抵触

⑦年俸制で残業代込みとしている(残業がついているのか表向きわからない)。

⑧パワーハラスメントで「昔はその程度は許された」と古い価値観を押し付け

たり、取引先からのセクハラは「我慢して」と言うのも違法性あり。

⑨本人の病気やLGBTなどはうっかり他言しない。必要以上に本人に聞かないこと。

以上のように無意識に行ってしまっている慣例的な言動について日頃の行為を

ふりかえってみましょう。

AMFニュース [2023年6月13日号]

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9月30日は土曜日
 インボイスの登録申請
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到達基準と発信基準

納税者が提出する書類の効力は、

原則として書類が税務官庁に到達した時に生ずることとなりますが、

郵便・信書便により提出された納税申告書、申請書、請求書、届出書、

その他の書類については発信主義が適用され、通信日付印により表示された日

提出日とみなされます。

しかし、この規定はアナログ時代のもので、デジタル時代の電子申告では、

到達基準と発信基準に差異がないため、過去の遺物としての性格の規定に

なりつつあります。



土日祝日等と「期限の特例」

この規定の対象は、提出期限の有るものの期限内提出の判定のためのもの

でしたが、提出期限については、また、「期限の特例」というものがあります。

申告書等の提出等に係る期限が土日祝日等に当たるとき、

「これらの日の翌日をもつて」その期限とみなすというのが「期限の特例」

です。

令和5年10月1日からインボイス制度が始まりますが、

インボイス発行事業者の登録同制度の開始日から受けるには、

原則として令和5年3月31日までの申請が必要でした。

ただ、4月1日~9月30日までの間に申請すれば制度開始日の10月1日から

登録を受けられ事にもなりました。



「期限の特例」の対象か?

そこで、この制度開始日から登録を受けられると規定された原則規定と

経過措置規定での、それぞれの登録日の末日である3月31日と9月30日

についてみてみると、3月31日に係る規定には、インボイスの登録を

受けようとする事業者は、令和5年施行日の6月前の日までに

登録申請書を提出しなければならない、との期限の定めがあり、

仮に3月31日が土日等に当たる場合は「期限の特例」の対象となりますが、

9月30日に係る経過措置規定には、そのような期限の定めがありませんので、

「期限の特例」の対象となりません。

そして、令和5年9月30日は、たまたま土曜日なので、

「期限の特例」は使えません。



インボイス番号は書けないので

なお、同年9月末までに登録申請を行ったとしても、

即座に登録通知があるわけではないので、通知が来るまでの間は

インボイス番号を書けないものの、仮のインボイスを交付し、

通知後に正式なインボイス番号を知らせる補完行為が必要です。

AMFニュース [2023年6月6日号]

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インボイス不登録免税業者
  との取引での損失額
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インボイスが始まるけれど

2023年10月から、インボイス制度(適格請求書保存方式)がスタートします。

インボイス番号の確認や取得状況についての問い合わせが来ている、

との話をよく耳にするようになりました。

平成28年度 与党税制改正大綱では、国内823万の事業者のうち、513万者余(63%)が

免税事業者で、うち435万が個人の免税事業者、77万が法人の免税事業者とされていま

した。

すなわち、インボイス制度導入により、日本国内の63%もの事業者が影響を受けるの

す。

ただし、免税事業者と言えど、消費税を請求する権利が消費税法上ありますし、

また、仕入消費税分を転嫁しないで自己負担とする義務などありません。

インボイス制度が消費税請求の権利、転嫁の権利を踏みにじるのだとすると、

それは由々しきことです。


8割特例を用意して損の緩和と受容奨励

免税事業者のままでは、インボイスを発行できないので、

免税事業者と取引する課税事業者は、消費税の仕入税額控除が適用されなくなり、

損をすることになる、と言われています。

その損を緩和せんとするのが、8割特例です。

インボイスのない免税事業者との取引額の消費税10%消費税について、

8割にする、いうものです。

消費税込みで110万円の取引とすると、仕入税額控除は10万円の8割80,000円となり、

控除除外された20,000円は経費として損金算入され、

法人税等の負担税率が30%だったとすると、6,000円の法人税額等の減少効果を生み、

合わせて86,000円の税負担軽減となるので、免税事業者との取引で損をする額は、

10万円−86,000=14,000円です。

消費税率10%の中の14%部分です。税抜取引額の1.4%です。


2割特例では免税事業者が損を被る

免税事業者がインボイス発行事業者となった場合には、2割特例が用意されていて、

負担する消費税額は、消費税額10万円の場合、その2割の2万円です。

法人税負担まで考慮すると上記と同じく1.4%です。

免税事業者が2割特例を適用すると、その取引相手は仕入税額控除100%可能です。

どちらかに1.4%の税負担を負わせようとするインボイス制度ですが、

そんなに大きな金額の負担ではないので、当面は、いずれの選択になろうと、

取引への変化などはなさそうに思われます。

AMFニュース [2023年5月30日号]

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正しい残業の考え方
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残業は法律違反?

労働基準法32条では「会社は1日につき8時間、1週間につき40時間を超えて労働をさせ

てはならない」と規定しています。

したがって労働基準法の大原則に立ち返るならば、1日8時間又は1週間に40時間を超え

る労働、いわゆる残業(時間外・休日労働)は法律違反になります。

しかし実社会では残業は普通に行われています。これらの会社は労働基準法違反を犯して

いるのでしょうか?

当然そんなことはありません。その理由を見ていきましょう。
 

残業が認められる法的根拠

会社を経営していくうえで、従業員に残業をしてもらう必要は生じるでしょう。

しかし、前に見たように何もしないで残業をさせた場合には労働基準法違反になります。

それではどのようにすればよいのでしょうか。

次の3つの条件を満たすことにより合法的に残業が認められるようになります。

①雇用契約や就業規則等で「残業を命じる場合がある旨」を合意する

②労働基準法37条に規定する以上の残業代(割増賃金)を支払う

③36協定の締結と労基署への届け出

ここで誤解を生じやすい点があるので注意して下さい。

ほとんどの会社で③の36協定の締結と労働基準監督署への届け出はしていると

思います。

ただし、最高裁の判例は、

「36協定の届け出のみでは従業員に残業をする義務は生じない」としています。

そこで「従業員に残業をする義務を生じさせる根拠」として

①の雇用契約書又は就業規則等で「残業を命じる場合がある旨」の合意が必要になるわけ

です。

なお、①の従業員との合意について、一定の条件を満たす就業規則による場合には、

「残業をすること」について各従業員の個別の同意は不要になります。

つまり、その従業員が「残業はしたくない」と言っても会社は残業を業務命令として、

命じることができることになります。

また、残業代について一言加えると法律上の考え方は、

労働基準法37条で計算した残業代以上の残業代を支払えば、

条件を満たすとしているので、必ずしも同法通りの計算方法による必要はない

しています。

「残業」に関するトラブルはたくさんあります。正しい理解でリスクを減らしましょう。

 

AMFニュース [2023年5月23日号]

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消費税2割特例が使える場合

 簡易課税選択届の先延ばし
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インボイス制度負担軽減措置の2割特例

インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として

課税事業者になった者は、仕入税額控除の金額を、

特別控除税額(課税標準金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の

返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の100分の80に相当する金額)

とすることができます。いわゆる2割特例です。

2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として

課税事業者になった事業者が対象です。

基準期間における課税売上高が1千万円を超え事業者等、

インボイス発行事業者登録と関係なく事業者免税制度の適用を受けないこととなる場合

などは対象外です。

の特例の適用に当たっては、事前の届出は必要なく、

消費税の申告時に消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記すれば

適用を受けることができます。

また、2割特例の継続適用といった縛りはなく、

課税期間ごとに2割特例を適用して申告するか否か判断することができます。

2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の

属する各課税期間です。



卸売業以外は一般課税で2割特例が柔軟

2割特例は、一般課税と簡易課税のいずれの選択でも、適用することが可能です。

簡易課税計算で、卸売業はみなし仕入率が90%ですが、

それ以外の事業は80%以下です。

そのため、卸売業以外の事業の場合、特例が適用できる期間は2割特例を使った方が

納税額は同じか少なくなります。

簡易課税での計算は、一般課税での計算とは違い、売上げの消費税よりも

仕入れの消費税の方が多くなっても、マイナス分が還付される仕組みとは

なっていません。

マイナスに備え、一般課税で計算できる柔軟性を残すため、

簡易課税の選択を先延ばしした方が良いかもしれません。


特例を適用した課税期間後の簡易課税選択

2割特例の適用を受けたインボイス発行事業者が、

2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、消費税簡易課税制度選択届出書を

出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けるこ

とができます。

免税事業者から課税事業者になることで自社に消費税がどう影響してくるのかの

シミュレーションをしっかり行い、こうした緩和措置をうまく活用してください。

 

AMFニュース [2023年5月16日号]

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役員貸付金にご用心
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そのお金は利息も返済も必要です 

役員貸付金とは、会社から役員に対して貸し付けているお金のことです。

往々にして経費支払いの際にまとまった金額を法人口座から引き出したものの、

一部何に使ったのかわからない不明出金が出て、

当面の処理として役員貸付金にするといったケースが多いようです。

時には利益を出すために、

費用の一部を役員貸付金として粉飾するような場合にも使われます。

いずれにせよ役員貸付金という勘定はあまり良いイメージはありません。

貸し付けたお金には利子を付けなければならず、

役員が返済をしなければならないものです。

役員貸付金が増えていることに明確な理由がない場合、

金融機関が粉飾を疑ったり、

「個人と法人の区別が曖昧な可能性がある」と判断し、

融資を控えることがあるため注意が必要です。



役員貸付金の問題点

役員貸付金が増えると法人の資金は減少します。

資金は減少しているものの、

法人税法上は貸したお金には利息を付けなければならないため、

収益があるものと計算されますから法人税が増えることがあります。

もし役員が役員貸付金を返済できず、法人が債務放棄を行ったとしても、

役員の資産状況や支払い能力に照らして、

その状況が適当でないと税務署が判断した場合は、

法人税は減らず、役員個人は所得税等の増加となります。

また、役員が貸付金を返済しないまま死亡してしまった場合には、

法人からの借入金は相続財産となるため、

相続人が法人に返済をすることになります。



どうやって返す?

役員貸付金を返したいが、

役員の手元に資金がない場合の返済方法を検討してみましょう。

役員報酬の一部を貸付金の返済に充てる:

手取りを減らしたくない場合は役員報酬の増額を検討します。

ただし、個人負担の所得税等は増加します。

役員退職金を返済に充てる:

退職金の一部を相殺して精算すると、個人の負担も少なくて済みます。

なお、退職金が過大な場合は、税務上損金として認められないリスクがあります。

役員の資産を法人に売却:

物や権利の移転で返済に充てます。当然譲渡所得税は課税されます。

 

AMFニュース [2023年5月9日号]

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神社仏閣にも電子化の波?
  お賽銭の電子マネー化
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寺独自のお賽銭コインを販売

神社仏閣のお賽銭も、コロナ禍と最近の電子マネーの普及により、

徐々に形態が変わってきています。

あるお寺では電子マネーしか利用できない自動販売機で、

その寺専用のコインを販売しています。

それを賽銭箱に投じて、祈りをささげるといった具合です。

自販機に現金が残らず、賽銭箱にも換金できないコインがたくさん、

という風になりますから、防犯対策にもなっているようです。

直接電子マネー賽銭はNGの場合がある

「直接お賽銭を電子マネーで払う」という方法は、

実は多くの電子マネーでは取扱いができません。

というのも、電子マネー加盟店規約で

「この電子マネーは商品やサービスの対価としての支払いのみに使えます」

としており、

法人・個人間の「送金」に対応していないためです。

よって、前述のようなコインの販売は規約違反とならないような対策でもあるわけです。

なお、みずほ銀行が提供しているJ-Coin Payについては、

神社仏閣でのお賽銭を奉納する際に直接利用が可能であると告知しています。

おそらく電子マネーサービスが銀行法に基づいているか、

資金移動業法に基づいているかで差異がでているものと思われます。

お賽銭コインの所得は非課税か

宗教法人等の公益法人等については、

収益事業から生じた所得に対してのみ法人税が課税されます。

例えば境内にある駐車場の収益や墳墓地以外の不動産の貸付け、

一般的な販売価格での小売等は収益事業となります。

ただし、お守り、お札、おみくじ等の販売のように

売価と仕入れ原価との関係から見て、

その差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく、

実質的な喜捨金と認められるような場合は、

収益事業には該当しません。

また、一般の物品販売業者でも

販売されているような性質の物品でも、

参拝にあたって神前・仏前等にささげるために下賜するものは、

収益事業には該当しません。

このような条件を見ると、電子マネーで購入したお寺専用コインについても、

非課税となりそうですね。

 

AMFニュース [2023年5月2日号]

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役員の選任・登記の懈怠での
過料の発生とその他のリスク
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突然届いた「過料決定」書

「主文 被審人を過料金50,000円に処する。

本件手続費用は、被審人の負担とする。

理由 被審人は、左記会社の代表取締役に在任中平成31331日取締役は退任し、

法定の員数を欠くに至ったのに、令和43月〇日までその選任手続を怠った。

適条 会社法976条・・・年月・裁判官名」

こんな書類が突然届いたらびっくりしますよね。

裁判所からは何の連絡もなく、いきなり社長の自宅に郵便が届いたようです。

社長が電話で裁判所に問い合わせをしたところ、

過料額(法令上では100万円以下)は、

どの登記をどの期間懈怠(かいたい=やるべきことをやらず放置すること)

したかによって変わってくるとの説明を受けたとのことでした。

裁判所の説明内容を聞いたところ

対象と期間を考えると納得できるものではありましたが、

この種の過料は普段から注意をするようにして、避けたいものです。

 

選任懈怠と登記懈怠

取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年です。

非公開会社(株式譲渡制限会社)の場合、定款の規定でそれぞれ10年まで延ばせます。

役員の任期が満了となるタイミングで役員を再任もしくは新任の選任をし、

登記事項発生日から2週間以内に法務局に登記しなければなりません。

顧問の司法書士がいれば、

任期が切れるタイミングでの選任と法務局への登記手続きを

適時の対応と登記で懈怠となることは避けられます。

中小のオーナー企業で役員の交代もなく、任期を10年にしている場合に、

選任懈怠が多い傾向にあるようです。

 

過料発生以外の懈怠のリスク

任期満了による退任や辞任の登記をしないままでいると、

登記簿上はその会社の役員であることになります。

自分はその会社ともう関係がないと思っていても、

登記簿上は役員である状態が続いてしまうと、

会社に重大な損害が出てしまった場合などに経営陣の1人として

経営責任を問われてしまう可能性があります。

最悪の場合、多額の損害賠償となる可能性もあります。

役員の任期は毎年の定時株主総会に際して毎回確認するとともに、

登記事項が最新の状態になっているかどうか

定期的に登記簿謄本で確認するようにしましょう。

役員の自宅住所が変わった場合も変更登記が必要です。

任期に係るものではないので余計にうっかり忘れがちです。

AMFニュース [2023年4月25日号]

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   相続の基本
   遺産分割協議の流れ

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遺産分割協議の流れ

遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きです。

遺言書がある場合は、原則遺言書通りに遺産分割をしますが、

遺言書にない遺産については分割協議の対象となります。

遺産分割協議は相続人全員の参加が必須です。

参加すべき相続人を調査する必要がある場合、戸籍資料などから確認します。

遺産分割の対象になる相続財産を調査・把握する必要もあります。

遺産が後から出てきた場合、遺産分割をやり直すことになる場合もありますが、

分割協議書に後から出てきた遺産の取扱いを記載しておけば

その通りに扱うことになります。

遺言書の有無、相続人の確認、遺産分割の対象になる財産の把握を終えた後、

遺産分割の協議を行い、合意内容を記載した遺産分割協議書に相続人全員が署名捺印し、

1通ずつ所持すれば遺産分割協議は終了です。

遺産分割には法律上の期限はありませんが、

相続税の申告は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」となっているため、

それまでに遺産分割を完了しておくとスムーズです。

分割ができなかった場合の相続税申告

10か月以内に遺産分割が終わらない場合は、

暫定的に法定相続分による相続税申告を行います。

後に修正申告や更正の請求を行うことになりますが、

小規模宅地等の特例や配偶者控除等の適用を受けるためには

原則期限内申告をしなければいけません。

期限後に優遇措置を受けるためには、暫定的な申告時に

「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する必要があります。

遺産分割協議で決まらなかったら

遺産分割協議が決裂してしまった場合、家庭裁判所で調停が行われます。

裁判官が提示する調停案に相続人全員が同意すれば調停は成立します。

遺産分割調停も不成立になった場合は、家庭裁判所が審判を行います。

法定相続分を基準としますが、相続人から提出された主張や資料を総合的に考慮して、

遺産分割の方法は決定されます。

財産目録があると財産の把握が簡単です。

いざという時に周囲の人が困るのを防ぎます。

AMFニュース [2023年4月18日号]

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 期中で適格請求書発行事業者
 となる免税事業者の経理

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101日登録日でもいまから要経理変更

いよいよ今年101日からインボイス制度がスタートします。

101日からの適格請求書発行に向けて準備は進んでいますか?

まだ半年も先だし、会計事務所がサポートしてくれるから大丈夫"

と高をくくってはいないでしょうか。

これまで免税事業者であっても、取引環境を鑑みて、

適格請求書発行事業者としての登録を受けることを選択した方も多いかと思われます。

登録を受けると消費税の課税事業者となり、

消費税申告の義務が発生し、

それに伴い日常の会計記帳の方法も変わってきます。

個人事業者の方や日本で多い3月決算の会社等は、

101日を待たずに新たな経理方法で記帳を始めた方が良い時期が

じつはすでに始まっているのです。

申告データ収集を考え課税区分の入力開始

新たに令和5101日から登録事業者となった場合、

登録日から課税期間の末日までの期間について、消費税申告が必要となります。

個人事業者の場合は同年101日から1231日まで、

3月決算法人の場合は同101日から令和6331日までの消費税データが

最初の申告に必要となります。

では、101日以降の分から課税データがあれば十分なのでしょうか?

その年の申告のことだけを考えるとそれで十分です。

しかしながら、将来の「基準期間の課税売上高」となる課税売上高"

算定のことを念頭に置くと、

930日までの免税期間も含めた当課税期間全体で算定することと考えられることから、

期首からの仕訳に課税区分を入力した方が良いようです。


会計事務所に相談して万全の体制を!!

適格請求書発行事業者の登録日である令和5101日が属する課税期間開始の日から

登録日の前日である930日までは免税事業者であるため

税込み経理をしつつ課税区分を分け、

101日以降は税抜き経理に切り替えていくことになりそうです。

その点からすると、インボイス制度開始に伴い、

免税事業者が期の途中で適格請求書発行事業者の登録を受ける場合は、

すでに新たな経理処理がスタートしていると言えます。

貴社の経理をどう処理すべきか顧問の会計事務所とよく相談してください。

後から遡って面倒な処理をしなければならなくならないよう、万全な対応が望まれます。

インボイス制度への対応では会社ごとにいろいろな問題が考えられます。

国税庁のQAでも112の問いが想定され説明されています。

AMFニュース [2023年4月11日号]

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  相続の基本
 配偶者控除と法定相続人

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遺産の総額から一定額控除できる金額

相続税は「相続した財産(+3年以内の贈与財産)から、

負債や葬式費用等を差し引いた後の額」が

基礎控除額を上回っている場合にかかります。

基礎控除額は

3,000万円+600万円×法定相続人の数となります。

この基礎控除を引いた後の課税遺産の総額を

相続人ごとの法定相続割合で按分したものに税率がかかり、

相続税額が決まります。

相続税にも「配偶者控除」が設定されており、

配偶者が取得した正味の遺産額が、

①16,000万円

遺産額に配偶者の法定相続分

(子供がいる場合は1/2)を掛けた金額のどちらか多い金額までは

相続税がかからない仕組みになっています。

配偶者がとても優遇される制度になっていますが、これには

「財産の維持形成に対する配偶者の内助の功や

今後の生活の保障などを考慮して設けられている」という説明がなされています。

法定相続人と順位

法定相続人とは、民法で定められた遺産を相続できる人です。

遺言書があれば相続できる人は法定相続人に限られませんが、

遺言書が無い場合は法定相続人に遺産が相続されます。

法定相続人は「配偶者」と「被相続人の血族」です。

血族相続人には相続順位が定められています。

1順位:子供、代襲相続人(直系卑属)

2順位:親、祖父母(直系尊属)

3順位:兄弟姉妹、代襲相続人(傍系血族)

「代襲相続人」とは、「本来の相続人」が亡くなっていた場合に

代わりに相続人となれる人のことで、その相続人の子等(直系卑属)です。

法定相続で割合が異なる

民法で定められている法定相続を行う際には、

この法定相続人の順位によって分割割合が異なります。

例えば、配偶者と子供がいる場合は配偶者1/2、子供1/2が法定相続分で、

配偶者と兄弟姉妹がいる場合は配偶者3/4、兄弟姉妹1/4が法定相続分です。

また、子や兄弟姉妹が複数人いる場合は、

それぞれの法定相続分を人数で割って算出することになります。

法定相続人が多い方が控除額は増えますが、遺産分割は大変ですね。

AMFニュース [2023年4月4日号]

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   相続の基本
   遺言書と遺留分

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自分の財産をどうするのか書き残す

遺言書は自分の財産を誰に、

どれだけ残すのかという意思を書面にしておくものです。

遺言には大きな効力があり、遺言書さえあれば、

遺産は基本的に遺言書通りに分割されます。

スムーズに相続ができるようになり、

遺産の分け方をめぐっての相続人の争いも少なくなるので

「争続にならないために」といったキャッチコピーでお勧めされることも多いようです。

3種類の遺言書

遺言書には3つの種類があります。

自筆証書遺言:

自分で記述し、証人が不要、保管も自分でできるので手軽に作成でき、

費用がかからないのがメリットですが、

形式に厳格なルールがあるため、無効になりやすいデメリットがあります。

また、自筆証書遺言の保管者や発見した相続人は

遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければなりませんので、

相続人にとっては若干の負担となります。

ただし、令和27月から運用が開始された

法務局への自筆証書補完制度を利用した場合は検認の必要はなくなります。

公正証書遺言:

公証役場に依頼し、公証人が記述する遺言書です。

公証役場で原本を保管してくれるので、紛失等のリスクが少なく、検認も不要です。

また、公証人に自宅や病院に出向いてもらって作成ができるため、

文字を書けない状態でも作成が可能です。

ただし、証人が2人必要となり、

自筆証書遺言に比べると作成費用や手間がかかります。

秘密証書遺言:

内容を秘密にしたまま存在だけを公証役場で認証してもらえる遺言書です。

遺言書があるという事実を確実にするのが目的です。

遺言の内容をあまり知られたくない場合等に使うようですが、

無効になりやすい、紛失や隠蔽、発見されないリスクがあり、あまり使われていません。

遺言は遺留分に気をつけて

遺留分とは、一定の相続人に対して、

遺言によっても奪うことができない遺産の一定割合のことです。

遺留分があるのは、

配偶者、子(代襲相続人含む)、直系尊属(被相続人の父母、祖父母)で、

兄弟姉妹は遺留分を有しません。

遺留分を超えた遺言も無効ではなく、遺留分減殺請求を出すまでは有効です。

AMFニュース [2023年3月28日号]

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  個人の青色承認取消しと
   期限後申告

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時々見かける青色承認取消しの誤解

個人の青色申告は、所得税を正しく納税するために行う制度で、

複式簿記の帳簿やそれに伴う書類を保存する必要がありますが、

一定の水準を満たす場合は、最大65万円の所得控除を受けることができ、

専従者給与や損失の繰越控除、減価償却の特例や貸倒引当金の計上が可能となります。

たびたび見かける誤認は

2事業年度連続で期限内216日~315日)に申告しないと、

青色申告の承認を取り消される」

というものです。

2事業年度連続で期限後申告となった場合、

青色申告の承認を取り消されるのは法人の場合のみで、

個人についてはこの条件で取り消されることはありません。

税務署の対応について確認を行っている「事務運営指針」を確認しても、

法人の青色申告の承認の取消しについては

「無申告又は期限後申告の場合における青色申告の承認の取消し」という項目が

確認できますが、

個人の青色申告の承認の取消しについての事務運営指針には、その項目がありません。

個人の青色申告の承認が取り消されるのは、

「帳簿書類を調査等で提示しない場合」

「帳簿書類の備え付け等の税務署の指示に従わない場合」

「仮装・隠ぺい等を行った場合」などです。


青色承認が取り消された場合

税務調査等で青色申告の承認の取消しが行われた場合、

その原因となった年分のうち、最も古い年分以後については、

承認が取り消されたものとして扱われます。

また、青色申告の承認の取消しを受けた場合、通知後1年間再申請はできません。

青色承認は取り消されないが

個人の所得税の確定申告を、期限後に申告した場合は、

青色申告特別控除の65万円

(電子申告等の要件を満たさない場合は55万円控除)が受けられなくなります。

これは65万円控除の要件に「期限内に申告する事」が入っているためです。

なお、10万円控除の要件には期限内申告は含まれていませんので、

期限後申告の場合でも10万円の青色申告特別控除は受けられます。

青色取消しにはなりませんが、無申告加算税や延滞税に加え、

65万円控除不適用というペナルティーも課されてしまいますから、

やはり期限内に申告するに越したことはありませんね。

AMFニュース [2023年3月21日号]

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  「年収の壁」対策
   年金と税制

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首相の発言

先日、岸田首相が「年収の壁」への対応策を検討すると表明しました。

所得が一定水準を超えると扶養対象外となり

税や社会保険料の負担が生じる「年収の壁」ですが、

働き手不足が続く中、就労抑制の一因として見直し対応策を検討するとしています。

壁の1つは社会保険制度です。

現在の制度では

従業員が101人以上、

週の労働時間20時間以上、

月収8.8万円以上(年収106万円)といった

条件を満たす場合に社会保険に加入します。

101人以上(2410月から51人以上)の会社のパートは106万円、

それより規模の小さい企業では年収130万円が壁となっています。

年金の構造

公的年金の構造は2階建てであり、

1階は20歳以上の全員が基礎年金(国民年金)に加入します。

2階部分がサラリーマン等の厚生年金等加入者です(第2号被保険者)。

サラリーマンの保険料は給与天引きで、

その人に扶養されている専業主婦(夫)は

保険料の支払いなしで国民年金を支払っていることになります(第3号被保険者)。

また、それ以外の自営業者、非正規雇用者、学生、失業者、自営業者の配偶者等は

自分で国民年金保険料を支払う第1号被保険者になります。

サラリーマンに扶養されている配偶者は年130万を超えると扶養に入れないので、

対策としての選択肢は3つです。

年収を130万未満にする、

30時間以上働き厚生年金に加入する、

③101人以上事業所で厚生年金加入条件であれば加入する。

パート勤めで年収130万円以上の方は、

将来無年金にならないよう国民年金か厚生年金に加入しましょう。

税制では別の壁が

税制度の扶養の壁は103万円と150万円があります。

所得が一定以下の配偶者を持つ人の配偶者控除は

配偶者の給与収入が年103万円以下である場合に最高38万円の控除があります。

配偶者の収入が103万円から201万円の場合に控除が受けられますが、

150万円を超えると控除額が段階的に減る仕組みとなっています。

年金と税制両制度を修正するには年金改革と所得税法の修正と調整が必要となります。

今後どのようにして壁を克服していくのでしょうか。

AMFニュース [2023年3月14日号]

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 カスタマーハラスメント
  が増えている

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顧客や取引先の著しい迷惑行為

厚生労働省ではカスタマーハラスメントについて

「顧客や取引先のクレームや言動のうち、要求の妥当性を欠いたり

態度が社会通念上ふさわしくなかったりして労働環境が害されるもの」を

カスハラと定義しています。

昨年12月に公表された連合の調査によると

カスハラで一番多いのは「暴言」55.3%、

次に「説教など権威的な態度」46.7

だそうです。

カスハラは増えているが取り組みは遅い

同調査は最近5年間で発生件数が増えたと回答した人は36.9%あり、

人手不足によるサービスの変化や低下、

中でも「コロナで発生件数が増えた」と答えたのは

2211月では23.1%ありました。

コロナ禍のストレスで怒りの沸点の低下が挙げられます。

カスハラが発生するきっかけは、

勘違い、嫌がらせ、商品・サービスへの不満もありますが

「制度上の不備」との回答も16.3%あり、

それは「不備な体制や制度の放置」でもあり、

会社の責任もあるということを言っているようです。

2010月の厚労省の調査では約6千社のうち

カスハラの取り組みを「特にしていない」企業は57.3%で

「顧客の理不尽な要望への対応も優れたサービスへの一環として

我慢して見逃してる企業も多い」とのことです。

カスハラの取り組みが進まない要因は、

多頻度、長時間などのクレーム等、どこからがカスハラなのか難しく

対策の立て方にもわかりにくい面があることです。

日常にある出来事として体制整備

カスハラを受けた人は「心身に不調をきたした」26.7%、

「仕事を辞めた・変えた」10.5%などの回答もあります。

カスハラにより従業員のストレスが高まって心身に不調を来たし、

業務が行えなくなる様子などを見た他の従業員が辞めてしまう、

そのような情報が広まり採用難になるといった悪循環に陥らないようにしたいものです。

カスハラを放置せず発生した場合の相談窓口、

カスハラの判断基準、社内規定、対策マニュアル整備等を進めると同時に

クレームに1人で対処せず初期対応の重要性を指摘し

会社と情報を共有することが大事です。

AMFニュース [2023年3月7日号]

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 インボイス制度の2割特例
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令和5年度税制改正ではインボイス制度導入に伴う納税者の負担軽減措置の一つとして、

「小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(2割特例)」が導入されます。

納税額は簡便な計算で算出

2割特例は業種を問わず、納税額を売上税額の20%とするもので、

計算方法も簡易課税制度と同様、簡便なものとなります。

対象期間は3年間

2割特例の対象期間は、

令和510月1日から令和8930日までの日の属する課税期間となります。

個人事業者は、令和5年分(1012月分のみ)から令和8年分の申告まで

4回の申告が対象となり、

3月決算法人は、令和63月決算分(10月~翌3月分のみ)から令和93月決算分まで

4回の申告が対象となります。


適用要件

2割特例は、上記の対象期間において、

インボイス発行事業者の登録、課税事業者選択届出書の提出がなかったとしたならば

納税義務が免除されることとなる課税期間

(令和5101日の属する課税期間であって、

令和510月1日前から引き続き課税事業者選択届出書の提出により

納税義務が免除されないこととなる課税期間、

課税期間の特例の適用を受ける課税期間を除く)

に適用されます。

また、基準期間の課税売上高が1,000万円超、資本金1,000万円以上の新設法人、

調整対象固定資産や高額特定資産の取得等により

納税義務が免除されない課税期間についても適用されません。

なお、課税事業者選択届出書の提出により、

令和510月1日の属する課税期間の初日から納税義務が免除されない場合で、

インボイス登録申請書を提出しているときは、

当該課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出すれば、

当該課税期間の初日から免税事業者に戻り、

登録日以後は課税事業者として2割特例の適用を受けられます。

財務省は救済措置と説明しています。

2割特例の適用は申告書に付記でOK

原則課税、簡易課税のどちらを選択している場合でも

2割特例の適用は毎期、申告時に決めればよく、

確定申告書に2割特例を適用する旨を付記することで行えます。

2割特例の適用期間が終わったら

2割特例の適用期間が終了し、

翌課税期間から簡易課税の適用を受けたい場合は、

翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出すれば適用できます。

AMFニュース [2023年2月28日号]

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   減価償却の基本
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発祥は19世紀の鉄道会社

減価償却は、高額な機械設備等の経年劣化が生じる資産の購入費用を、

購入した年にまとめて経費計上するのではなく、

使用可能年数に応じて分割して経費計上することを言います。

減価償却は19世紀の鉄道会社が発明したといわれています。

車両・線路・駅舎・鉄橋等、鉄道会社は固定資産が多く、

当時は車両や線路の質も今よりは悪かったため壊れやすく、

鉄道事業の運営にはコストがかかるため、

投資家からの出資がなければ事業運営は困難でした。

投資家が安定した配当を目指し投資を行うため、

鉄道会社は減価償却を生み出し、年ごとに費用計上を行い

「安定して利益が出ていますよ」という説明をしたのでしょう。

減価償却できるもの、できないもの

減価償却の対象は、有形・無形の固定資産のうち10万円以上のもので、

かつ年を重ねて消耗して価値が減ってゆくものです。

有形の資産の例は建物、機械装置、車両運搬具等です。

また、無形の資産とは、ソフトウェアや営業権等となります。

固定資産でも「消耗して価値が減ってゆく」が適用条件となっているので、

土地や絵画、骨董品等の時間が経っても価値が減少しない資産は減価償却できません。

また、使用可能な期間が1年未満のものや、

取得価額が10万円未満のものについても減価償却ができません。

なお、20万円未満10万円以上の減価償却資産は一括償却(3年間)可能、

中小企業者等は30万円未満の減価償却資産は300万円を限度として

全額損金算入可能等の制度があります。

減価償却資産の耐用年数とは

減価償却は使用可能年数で分割して年ごとに必要経費を計上しますが、

この使用可能年数は、法定耐用年数として公的に決まっています。

素材や用途に応じて耐用年数が異なるものもあり、

例えば「事務所用の建物」の場合、

木・合成樹脂 24

木骨モルタル 22

鉄筋コンクリト 50

金属製 骨格材の肉厚により2238

などと様々です。

ちなみに牛や馬、りんごの樹やぶどうの樹などにも耐用年数は定められています。

AMFニュース [2023年2月21日号]

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  貯蓄から投資の時代へ
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資産所得倍増プランとは

政府は、企業等に貯蓄された325兆円の現預金を

人・スタートアップ・GX(脱炭素)DX(デジタル化)といった

重要分野への投資につなげていくことを後押しするとともに

家計に眠る現預金を投資につなげる、勤労所得に加え

金融資産所得も増やしていくことが重要として

「資産所得倍増プラン」を掲げました。

これまで投資経験のない未経験者の方約8000万人に

資産形成に1歩踏み出してもらう働きかけを行う方針です。

7本の柱の取り組み

プラン推進のため7本の柱を一体化して進めるとしています。

当面の目的として家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせる

NISAの抜本的拡充や恒久化を発表

②iDeCo制度の改革、加入年齢の引き上げ等

消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供の仕組み作りの創設

雇用者に対する資産形成の強化

安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実

世界に開かれた国際金融センターの実現

顧客本位の業務運営の確保

企業による雇用者の資産形成に向けた強化

「資産所得倍増プラン」の柱の一つである雇用者への資産形成の強化において

企業は従業員が資産形成に関するアドバイスを得られるようにしたり、

所得水準を上げたり

中小企業においてもつみたてNISAや企業型確定拠出年金(DC)、iDeCo等が

広がる取組をすることが求められます。

投資教育では分かりやすい説明が必要でしょう。

企業年金運用で企業にも責任を求められる

一方で金融庁は企業年金の運用について
企業自身にも責任を求める方針です。

企業型DCについては運用されずに資産放置が2600億円もあったり、

確定給付企業年金(DB)では

知識のない担当者が金融機関に任せきりであったりで

運用戦略がないなどの問題が起きています。

企業にどのようなことが求められるのか今後の法改正での動向が注目されます。

AMFニュース [2023年2月14日号]

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  健保と労災どちらを
   使うか迷うとき

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副業先に移動中でのけが

社員が副業先に行く途中でけがをした場合(ここでは社員の副業は認めていたとします)

副業先での契約はどのような契約をしていたのかが問われます。

使用者と労働者、つまり雇用関係にあったのか、単なる請負契約であったのかで

労災保険か健康保険で対応するかが変わってきます。

作業過程は本人の自由意思に任されていて仕上がれば報酬の支払いがある等の場合、

使用従属関係は認めにくいといえます。

たとえ契約書が請負関係になっていたとしても

実態が使用従属関係にあるとして副業先との間に労働者性があれば

業務上のけがと判断され労災保険の対応ということになります。

健康保険は業務外の保険事故だけではない

健康保険は従前、
業務外の事由による疾病、負傷、死亡、出産に関し、

保険給付を行っていました。

しかし社会情勢の変化で働き方も多様化し、

被保険者が副業で請負業務中に負傷した場合や、

被扶養者が請負業務やインターンシップ中に負傷した場合など

健保も労災からも給付がうけられないケースが多く出て、

平成2510月から健康保険の改正で

業務災害以外の疾病、負傷、死亡、出産に関する保険給付を行うことになりました。

つまり副業で業務請負により仕事をしていれば健康保険になります。


法人役員が業務上の事故でも健保の場合も

法人の役員の業務上の負傷については

労使折半の健康保険からの給付は適当でないとされ、

法人の役員としての業務に起因する負傷は原則として健康保険ではないとされています。

なお、被保険者が5人未満の適用事業所の法人の代表者などは

一般の従業員と同一の業務に従事していた過程での傷病は

健康保険の保険給付の対象になる特例があります。

また、中小企業の事業主は労災保険の特別加入をすれば

労災の給付を受けることができます。

健保を使ったが労災であった場合

もし労災であったのに健康保険証を使用して受診をしたときは

受診した病院に健保から労災に切り替えがきくかを確認し、

できないときは一時的に全額自己負担をしたうえで労災保険に請求となります。

切り替えができる場合は窓口で支払った額を返還してもらい、

労災保険の5号用紙(業務上)か16号の3(通勤災害)の請求用紙で

受診した病院に提出してください。

AMFニュース [2023年2月7日号]

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 休職時の社会保険料の
  労使負担は?

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社員が病気やけがで休職した時

従業員が病気やけがで労働の提供が難しくなった時

休職にすることがあります。

最近では精神疾患を発症して休職をするケースが増えています。

休職制度は労働基準法上絶対に設けなければならないものではありませんが、

設けていなければ従業員がけがや病気になり、

それが一定程度長期にわたるときは

会社としてどのように休んでもらうかを決めておかないと

困った事態になってしまいます。

期間はいつまでか、

休職を認める条件とは何か、

復帰の条件や届け出についてなど、

就業規則に規定しておくとトラブルが回避できるでしょう。

休職期間中の社会保険料の負担について

休職中は給与の支払いは原則として必要ありませんが、

休職中でも社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は免除されませんので、

従業員負担分・事業主負担分ともに保険料を納めることになります

(産前産後、育児休業期間中は労使とも保険料免除制度があります)

休職している従業員から自己負担分を徴収する必要があります。

休職期間中にも給与を支払っている会社なら控除はできますが、

そのような会社は限られています。

一般的には休職期間中の給与支払いがないので、

従業員からの保険料の徴収方法を具体的に決めておくことがいいでしょう。

休職に入る際には本人によく説明しておきましょう。

社会保険料の徴収方法

休職中の社員が傷病手当金の対象者であるなら

傷病手当金をいったん会社が受領し、社会保険料控除後に本人に支払う。

この場合は傷病手当金申請書の受け取り代理人の欄に記載し本人の同意が必要です。

休職している従業員に毎月、社会保険料の請求書を出し

期限を定めて会社に支払ってもらう。

会社が立替えて支払い復職後に徴収する。

復職後の賞与で相殺する。

退職金支給対象者なら退職金で相殺する。

の方法は復職できない場合や退職した場合は相殺できないことがあります。

の方法が適当でしょう。

会社は労力がかかりますが、

ルールを決めて金銭トラブルにならないようにしましょう。

AMFニュース [2023年1月31日号]

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 マイナンバーカード
 健康保険証に寄せられた質問

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マイナンバーカードと健保証の一体化

202210月デジタル庁よりマイナンバーカードと健康保険証を一体化し、

紙やプラスチックの保険証は2025年秋をめどに廃止する方針が打ち出されました。

デジタル庁に寄せられた意見や要望で主だった内容を

「よくある質問」として公表しています。

質問と回答の一部を抜粋します。

利用上の不安を払拭するものです。

マイナンバーカード取得は任意ですか?

国民の申請に基づくもので変更ありません。

取得しなくても保険診療受診できます。

マイナンバーカード保険証を使える医療機関が少ない。

⇒20234月以降すべての医療機関・薬局で

マイナンバーカード保険証を使えるよう勧めています。

保険証と一体後、カードを落としたりなくしたりしたら再発行まで使えませんか?

紛失などは再発行手続きに現在は受け取りまで

12か月かかっているところを10日程度で取得できるよう検討中です。

マイナンバーカードは「人に見せない」、「大切に保管」と言っていたのに

持ち歩いてもいいのですか?

持ち歩いて使ってください。

落とした場合でもパスワードがわからないと使用できません。

ICチップは無理やり読み込みをすると壊れ悪用できないようにしています。

マイナンバーを人に見られても大丈夫ですか?

マイナンバーを使う場面では顔写真で本人確認することになっています。

オンライン利用でも電子証明書を利用します。

マイナンバーだけ、名前とマイナンバーだけでは情報は引き出せません。

マイナンバーカードを落としたりして

税や年金・医療などの情報流出はないのですか?

マイナンバーカードのICチップの中身は

氏名、住所、生年月日、性別、顔写真、電子証明書、住民票コードで、

税、年金、医療などの情報は記録されていません。

マイナンバーから紐付けされた個人情報は流出しませんか?

マイナンバーの利用で個人情報を見ることは

各々の行政担当職員しかできないようになっています。

マイナポータルサイトで行政とのやり取りが記録されるので確認できます。

 

以上のように国民の心配事には答えていますが、

紛失、システム故障、今後個人の情報を統制監視する動き等もないとはいえず、

皆が必ずしも望んではいない中で不安はつきません。

保険証がマイナンバーカードと一緒になることは便利な半面、不安もありますね。

AMFニュース [2023年1月24日号]

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 令和5年度税制改正大綱
  消費課税編

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小規模事業者の納税額を2割負担に軽減

フリーランスなど免税事業者が、

令和5年10月1日から令和8年930日までの日の属する各課税期間に

インボイス発行事業者となった場合、

税額負担を2割に軽減する措置が適用されます。

みなし仕入率が80%の簡易課税制度と同じ計算方法となります。

特例の選択は、申告時に確定申告書に付記することで行えます。

この特例は、課税期間の特例の適用を受ける課税期間及び、

令和5年101日前から課税事業者を選択している事業者には適用されません。

特例の適用を受けたインボイス発行事業者が、

適用を受けた課税期間の翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出したときは、

その提出した課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。

インボイス交付の事務負担を軽減

(1) 一定規模の事業者は帳簿のみ保存で可

基準期間の課税売上高が1億円以下または

特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者は、

令和5年10月1日から令和11年9月30日までの課税仕入れが1万円未満の場合、

帳簿のみの保存で仕入税額控除ができるようになります。

(2)1万円未満の値引はインボイス不要に売上げに係る対価の返還等が

1万円未満の場合(1回の取引の課税仕入れに係る税込金額で判定)、

適格返還請求書の交付義務が免除されます。

これにより振込手数料相当額が控除されて支払を受ける場合も、

返還インボイスの交付は不要となります。

インボイス登録制度見直しと手続き柔軟化

免税事業者がインボイス登録申請書を提出し、

課税期間の初日から登録を受けようとする場合、

当該課税期間の初日から起算して15日前の日

(現行は当該課税期間の初日の前日から1か月前の日)までに

登録申請書を提出するよう期限が緩和されました。

また、インボイス発行事業者が登録の取消しを求める届出書を提出し、

翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合は、

その翌課税期間の初日から起算して15日前の日

(現行はその提出があった課税期間の末日から30日前の日の前日)までに

届出書を提出するよう期限が緩和されました。

なお、令和5年10月1日からインボイス登録を受けようとする事業者が

登録申請書を令和5年3月末までに提出できなくなった場合、

「困難な事情」の記載がなくても、4月以降に登録申請できるようになります。

AMFニュース [2023年1月17日号]

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 令和5年度税制改正大綱
  個人所得課税編

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個人所得課税では、「資産所得倍増プラン」をもとに、

NISA制度やスタートアップ支援制度を中心に見直しが行われます。

NISAは投資枠の拡充と制度を恒久化

新たなNISA制度では、

投資枠が「つみたて投資枠」として、120万円(これまで年40万円)、

「成長投資枠」として年240万円(これまで年120万円)、

併用を可能にして、合計で年360万円、累計1,800万円

(うち成長投資枠の累計は1,200万円)まで大幅に拡充されます。

非課税となる保有期間は、無期限とし、制度の恒久化が図られます。

令和6年1月から適用されます。

<つみたて投資枠>

投資上限額・・・年120万円(従前は年40万円)

非課税期間・・・無期限(従前は最長20年)

<成長投資枠>

投資上限額・・・年240万円(従前は年120万円)

非課税期間・・・無期限(従前は最長5年)

スタートアップへの再投資に非課税措置

スタートアップへの資金供給を強化するため、

保有株式の譲渡益を元手にして、創業者が創業した場合やエンジェル投資家が

プレシード・シード期のスタートアップに再投資を行った場合、

20億円を上限に株式譲渡益に課税しない制度が創設されます。

また、ストックオプション税制の権利行使期間の上限を

15年(現行10年)に延長し、スタートアップの事業を後押しします。

高所得者の税負担を適正化

税負担の公平化の観点から、極めて高い水準の所得者に対して、

基準所得金額から3.3億円を控除した金額に22.5%の税率を乗じた金額が、

基準所得税額を超過する場合には、その超過した差額について

追加的に申告納税を求めます。

令和7年分以降の所得税から適用されます。

相続空き家の特例は適用要件を改正

相続空き家の特例は、建物譲渡の翌年215日までに

耐震基準に適合させるか、取壊し等を行えば適用できるようになります。

また、建物、敷地の相続人が3人以上の場合、特別控除額は2,000万円とされます。

令和6年1月1日からの譲渡に適用されます。

特定非常災害損失の繰越控除期間を5年に

特定非常災害により生じた損失について、

雑損失や純損失の繰越期間を例外的に5年(現行3年)に延長します。

AMFニュース [2023年1月10日号]

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   フリーランスと労働者
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両者の区別の重要性

近年「雇用によらない働き方」として所謂フリーランスが増加傾向にあり、

国も成長戦略の一環としてこれを後押ししています。

一方で雇用による働き方である労働者とフリーランスを比較すると

各種労働法及び社会保険法の適用に相違があります。

また税法の観点からもこれらの区別は労働者であれば給与、

フリーランスであれば外注費となり、

源泉所得税や消費税の仕入税額控除に影響を及ぼします。

これらの理由から当該取引相手が労働者であるかフリーランスであるかの区別は

実務上とても重要となります。

労働者性の判断(労働基準法の見地から)

労働基準法上の労働者の定義は同法9条で

「この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、

賃金を支払われる者をいう」とされています。

具体的には最高裁判例の積み重ねにより、

学説上も有力で実務でも使われる以下の判断基準が示されています。

「指揮監督下の労働」といえるか

(ア)仕事の依頼等への諾否の自由の有無(仕事の依頼等を断れるなら労働者性が強い)

(イ)業務遂行に当たっての指揮監督の有無

(仕事の進め方等についての指揮監督があれば労働者性が強い)

(ウ)勤務場所や勤務時間に関する拘束の有無

(仕事をする場所や時間が拘束されているなら労働者性が強い)

(エ)代替性の有無

(依頼された仕事を自分以外の第三者に行わせることができなければ労働者性が強い)

報酬が労務対償性を有するか否か

(報酬が貰えるのは労働を提供したからか、又は仕事を完成させたからか)

補強要素

(ア)事業者性を有するか

(独立して事業を営む自営業者としての性質を有するか)

(イ)専属性が認められるか(取引相手以外の仕事をしていないか)

(ウ)公租公課の負担関係、採用の過程等

参考(労働契約法の見地から)

労働契約法上の労働者も労働基準法上の労働者の定義と大きく変わることがなく、

少なくとも労働基準法上の労働者であれば労働契約法上の労働者であると解されます。

AMFニュース [2022年12月27日号]

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コンビニの適格請求書登録番号は
店舗ごとに違う可能性大

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適格請求書保存方式開始まで1年を切った

令和5101日から消費税の仕入税額控除の方式が

適格請求書保存方式(いわゆるインボイス方式)となります。

インボイスとは、「売手が、買手に対し正確な適用税率や

消費税額等を伝えるための手段」であり、

一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。

インボイスを交付できるのは、インボイス発行事業者に限られます。

インボイス発行事業者となるためには、

登録申請手続を行い、登録を受ける必要があります。

登録を受けた事業者には国税庁から登録番号が通知されます。

仕入れる側は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で

請求書等に記載されている登録番号が正しいものであるかどうかの確認ができます。

フランチャイズの店舗は事業者が別の者?

コンビニエンスストアなどフランチャイズ方式で展開されている事業は、

店舗の事業主はコンビニ本部の会社ではなく、

加盟店オーナーの個人事業もしくは法人となります。

そのため、適格請求書発行事業者の登録番号も、

コンビニ本部の番号ではなく、その店舗の事業主の登録番号となります。

フランチャイズ本部の直営店もありますので、その場合は本部の会社名となります。

仕入税額控除の要件となる帳簿の記載事項には、

「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」があります。

フランチャイズの場合、コンビニチェーン名だけではなく、

店舗名までの記載が必要だということになります。

相手方登録番号の帳簿記載は不要です

仕入税額控除に際しての記帳要件は、

令和5101日以降も現在の区分記載請求書等保存方式と同様であり

相手方登録番号の記載は不要とされています。

よって、経理入力時に登録番号入力の懸念は不要です。

とはいえ、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトとの

登録番号の検証機能を備えた会計ソフトを使っている場合、

正しい名称で登録すると実在性の確認もできるので、

自社の会計ソフト次第では、入力した方が便利な場合があるかもしれません。

出張経費の精算でコンビニ利用の実額を旅費としている場合、

現在でも、食料品は軽減税率の8%、

その他は10%、レジ袋も標準税率の10%と、

確認と記帳に他のレシートの3倍くらい時間が掛かります。

買い物には便利なコンビニですが、消費税の面から見ると、少し面倒な存在です。

AMFニュース [2022年12月20日号]

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12月はふるさと納税の
  書き入れ&駆け込み月

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ふるさと納税のテレビCMが増えている

テレビをつけると、有名人や芸能人を起用し、コント仕立てで、

ふるさと納税なら○○・・・

ふるさと納税のポータルサイト名を連呼させているテレビCMが目に入ります。

特に12月になってからはうるさいくらいに頻出しています。

高額なテレビCMを打っても、

自社のポータルサイトからふるさと納税手続きをしてもらえれば、

自治体からの手数料で十分ペイするという意図での投資なのでしょう。

また、ポイントサイト経由でふるさと納税を行えばポイント還元がありますが、

12月はこのポイントの還元率が高くなる月でもあります。

このポイントサイトで広告を行っているのも

ふるさと納税ポータルサイトの会社です。

まさに12月はポータルサイトの書き入れ時で広告に力を入れているのでしょう。

12月は納税者のふるさと納税駆け込み月

ふるさと納税には、この金額までの寄附だと
寄附金控除の計算で差し引かれる

2千円以外の部分が所得税や住民税の税負担から控除されるという、

「控除限度額」があります。

この「控除限度額」は、その年の所得税の負担額が決まれば、

ふるさと納税ポータルサイトの会社などが

提供しているシミュレーションサイトで簡単に計算できます。

サラリーマンの場合、12月の年末調整が終わり、

その年の源泉徴収票をもらえば、

ギリギリまで寄附できる「控除限度額」を計算できます。

サラリーマンには、最後の給料をもらったら年末に向け駆け込みでふるさと納税をする、

12月がふるさと納税駆け込み月です。


ポイントももらって限度額まで寄附する!

前年の源泉徴収票や今年の住民税決定通知書を参考にすると、

今年の大体の「控除限度額」の目途は立てられるはずです。

この金額を参考に今年のふるさと納税の寄附先を

事前に探しておきましょう。

そして今年の源泉徴収票をもらったらギリギリの限度額まで寄附できます。

食料品等の物価上昇が続く中、ふるさと納税でこうした物品を返礼品で獲得することは

賢明な対応策ともいえます。

寄附に際してポイントサイトを経由すれば、ポイント還元があるので、さらにお得です。

AMFニュース [2022年12月13日号]

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 インボイス制度
 免税事業者の選択と経過措置

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免税事業者はインボイスで選択を迫られる

令和510月開始のインボイス制度は、免税事業者の方に選択を迫ります。

免税事業者のままでいた場合、今まで認められていた取引相手の仕入税額控除が

減ってしまう可能性があるからです。

課税形態によって異なる取引相手への影響

では、実際どんな取引相手に影響があるのかを見てみましょう。

自分が免税事業者、相手も免税事業者

お互い消費税の納税義務が免除されているので、影響はありません。

また、取引相手が消費者の場合も、仕入税額控除を行わないため、影響はありません。

自分が免税事業者、相手が簡易課税制度適用の課税事業者

簡易課税制度は「みなし仕入れ率」で売上に係る消費税額から控除を行うため、

適格請求書を発行していない免税事業者相手でも影響はありません。

自分が免税事業者、相手が課税事業者

簡易課税制度でない課税事業者は、令和510月以降は適格請求書がなければ、

仕入税額控除ができません。

ただし、令和510月から最初の3年間は免税事業者の請求する消費税額の80%、

次の3年間は50%を仕入税額控除可能です。

つまり、の場合は経過措置の適用があっても、

取引先は今までよりも仕入税額控除額が減り、消費税納税額が増えるため、

免税事業者との取引については購入価格の実質的な値上がりが起きてしまうのです。

課税事業者になるか、ならないか?

免税事業者が課税事業者になり、適格請求書発行事業者登録をすれば、

課税事業者の取引先との関係は継続しやすいでしょうが、

消費税の納税義務が発生するため、現状の売上のままだと利益は減少します。

逆に免税事業者のままでいると、取引先の仕入税額控除が減るため、

関係に影響が出る可能性があります。

また、免税事業者が消費税を請求して受け取る権利はあるものの、

あえて消費税を含まない請求に変更した場合は、現状より利益は減少します。

免税事業者の方は、経過期間の80%・50%の仕入税額控除、

取引先の状況、取引先との関係値等、様々な要因を加味して、

いつから適格請求書発行登録をするのか、

はたまたしないのかを決めることになります。

価格改定の話をしなければならないケースも出てくるのではないでしょうか。

AMFニュース [2022年12月6日号]

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 役員報酬の改定は新事業年度
 開始から3か月以内

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取締役の報酬の改定(法人税法の観点から)

取締役の報酬は、「定款に定めのないときは、株主総会の決議によって定める」と

会社法で規定されています。

これはお手盛りによる弊害を防ぐためです。

さらに、法人税法では、役員

(=取締役の他、税法上のみなし役員も含みます)に対する報酬は、

定期同額給与でなければ損金算入されません。

役員報酬の増減で法人の利益操作をすることを防止するためです。

そして、その改定は事業年度開始の日から3か月以内に

されたものでなければ損金不算入となります。

新報酬決定後の改定

一般的には、定款の変更ではなく、決算承認が行われる定時株主総会で

役員報酬の改定が決議されることになると思われます。

そして定時株主総会は、会社ごとに決算を締める所要時間を鑑みて、

たとえば2か月目の25日前後などと、

ほぼ毎年同じ時期に開催されているものと思われます。

もし、新規の大きな売上が発生し会社の利益増が予想できる場合において、

1か月でも早く役員報酬の増額をしたいと考えたときには、

定時株主総会を前倒しするか、臨時株主総会を開催して、

新事業年度1か月目から増額した役員報酬を適用させることもできます。

また逆に、存外に顧客の離脱(=顧客の倒産もままあります)が発生し、

計画していた売上と利益が大幅に減るような事態となった場合にも、

事業開始3か月以内であれば、減額改定もできます。

この3か月という期限を超えた増・減額改定は、

法人税法における損金不算入となります。

しかしながら、個々の事情に照らし、税務上の取り扱いが判断されますので、

業績等の悪化により役員給与の額を減額することをご検討の際は、

顧問税理士とよく相談してください。

社会保険料月額変更の影響も考慮のこと

役員報酬の増減は会社の損益に影響しますが、

もしその増減の幅が大きければ(=社会保険の標準報酬の等級が2以上変動する場合)、

会社負担の社会保険料の金額も増減します。

そのため、役員報酬額の増減について検討する際は、

社会保険料の増減の影響も踏まえた上でのシミュレーションが必要です。

臨時株主総会での改定の際も、議事録の作成を忘れずに行いましょう。

また、増額の場合、役員報酬の総額の枠内かどうかの確認もお忘れなく。

AMFニュース [2022年11月29日号]

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  インボイス制度
  事業者登録が遅れたら?

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登録は基本令和53月末まで

令和510月開始のインボイス制度は、

現在課税事業者であっても「適格請求書発行事業者」の登録を行わないと、

適格請求書を発行することができません。

この登録申請は郵送・e-Taxのどちらでも行えます。

また、税理士が代理送信を行うこともできます。

令和5331日までに登録申請書を提出すれば、

インボイス制度開始の令和5101日が「登録日」とみなされ、

同日より適格請求書が発行可能です。


提出が遅れた場合の対応

令和5331日までに登録申請書が提出できなかったことにつき

「困難な事情」がある場合は、

令和5930日までに「困難な事情」を記載して提出し、

登録を受けたときは、令和5101日に登録を受けたこととみなされます。

この「困難な事情」の記載がない登録申請書を提出してしまうと、

登録日が令和5102日以後となる可能性があるので注意が必要です。

ちなみに、「困難な事情」については「困難の度合いは問わない」とされており、

「うっかり提出を忘れていた」等、正直に事情を書いても許される模様です。

「困難な事情」の記載がない登録申請書を提出して、

令和5102日以後に登録を受けた場合は、

登録を受けた日より適格請求書が発行できるようになります。

登録日にご注意

令和5101日以後については、

登録申請書を提出した日が登録日となるわけではなく、

国税庁が適格請求書発行事業者であると登録した日が登録日です。

令和49月末に公表された「登録申請書」を提出してから登録通知までの期間は、

e-Taxの場合で約3週間、書面提出の場合約1か月半とされています。

もし令和5930月までに登録をしなかったら、

登録通知が来るまで適格請求書が発行できないわけですから、

10月初頭から3週間前後の請求書については、

取引先の仕入税額控除のために、

請求書を遅れて発行する等の対処が必要になる可能性があります。

適格請求書でなくても一定割合を仕入税額控除にしてくれる経過期間がある

免税事業者とは違い、現行課税事業者である場合は消費税制度に変更はなく、

損得の判断をする必要がないので、

うっかり忘れる前に事業者登録をしておきましょう。

AMFニュース [2022年11月22日号]

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副業が事業所得となる基準
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副業の事業所得と雑所得の区分について、

国税庁は、令和4年8月に実施したパブリックコメントの結果を公表し、

あわせて税務の取扱いを示す通達を改正しました。

帳簿の記録と保存が必要

寄せられた約7,000件の意見に対し、国税庁が示した基準は、

収入金額にかかわらず、帳簿の記録、保存があれば、

一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているので、

概ね事業所得になるとしています。

パブリックコメントでは、収入金額300万円以下の副業は、

反証のないかぎり雑所得としていましたので、

300万円基準がはずされたことは朗報です。

社会通念上、事業と称するに至る程度

しかし、改正通達では、帳簿の記録、保存がされたとしても、

「社会通念上、事業と称するに至る程度」で

業務が行われていることとする基準は残されています。

通達の解説には、次のような場合には、

事業性を認めるか、個別に判断するとして2つの事例をあげています。

収入金額が僅少と認められること

例えば、副業収入が、概ね3年間、300万円以下で、

主たる収入に対する割合が10%未満の場合をいいます。

活動に営利性が認められないこと

例えば、3年程度赤字で、かつ、赤字を解消する取組みを実施していない場合、

具体的には、収入を増加させ、所得を黒字にするための営業活動等を

実施していない場合をいいます。

節税対策の副業には歯止め

通達の解説から見える国税庁の意図は、

営業活動を積極的に実施せず、

わずかばかりの収入を事業所得の赤字として申告し、

給与所得と損益通算している場合、

これまでどおり、税務署が事業性の有無を

個別に判断する姿勢を示したものといえます。

積極的に副業に挑戦する人には追い風

一方、副業で自分のスキルを積極的に活用し、営業活動をしている人には、

すぐに収入がなくても、事業性を認める是々非々の姿勢を示したものと思われます。

岸田首相は、5年間で1兆円を投じる「人への投資」を掲げ、

転職、副業の受入企業への支援を新設、拡充し、

リスキリングから転職まで一括で支える制度の創設方針を示しました。

積極的に副業に挑戦する人には、追い風となるのではないでしょうか。

AMFニュース [2022年11月15日号]

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   消費税の基本
   簡易課税制度とは?

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かかったとみなされる仕入れ税額

納める消費税の額は、

原則1年間に実際に預かった消費税から、

事業者が実際に支払った消費税を差し引いて求めますが、

仕入れ先などに支払った消費税を一つずつ計算するのは大変です。

簡易課税制度は、中小事業者の納付事務負担に配慮する視点から、

事業者の選択により売上に係る消費税額を基礎として

仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。

事業区分とみなし仕入率

簡単にいうと「売上に係る消費税の何%かを仕入れに係る消費税として計算して良い」

という制度です。

みなし仕入率は業種によって定められています。

第一種 卸売業(みなし仕入率90%)

第二種 小売業(みなし仕入率80%)

第三種 製造業(みなし仕入率70%)

第四種 その他(みなし仕入率60%)

第五種 サービス業(みなし仕入率50%)

第六種 不動産業(みなし仕入率40%)

簡易課税制度は

基準期間(前々年・前々事業年度)における課税売上高が

5,000万円以下の課税期間について、

原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに

「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合に適用することができます。

インボイス制度と簡易課税選択届出書

インボイス制度は請求書等に登録番号が必要になりますが、

簡易課税制度そのものの仕組みは廃止されず、特に変わりません。

今まで免税事業者であった中小企業者が

移行先に考えるのも簡易課税制度となることが多いでしょう。

インボイス制度開始の令和5101日に向けて、

免税事業者が課税事業者になる場合の消費税簡易課税制度選択届出書についても、

経過措置が設けられています。

選択届出書をインボイスの登録日の属する課税期間中に、

その課税期間から簡易課税の適用を受ける旨を記載し提出した場合、

その年の初日の前日に届出書を提出したものとみなされて、

インボイスの登録日から簡易課税制度が適用されます。

AMFニュース [2022年11月8日号]

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2022年物価値上げと今年の
 ふるさと納税のタイミング

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10月に値上げラッシュ

小麦などの原材料価格や、エネルギー価格などの値上がり、

円安による輸入物価の上昇が複合的に重なり、

この秋(101日を筆頭として)に値上げラッシュが続いています。

値上げ前に買い込んで貯蔵しておくにも、

かさばるものや賞味期限があるものは、制限があります。

大量購入で安くなるところを探すか、

消費量を節約するかといった方法もありますが、限度があります。

値上げラッシュはふるさと納税にも連動?

値上げが反映されていない(=値上げ時期が遅れている)ところがあれば

そこから賢く調達できます。

日々の仕入れで価格変動の反映が機動的なスーパーなどは

値上げがすぐに実施されるでしょうが、

どこか価格への反映のタイミングが遅いところはないでしょうか。

予算と会計年度が4月から翌3月と決まっている自治体では

反映のタイミングが遅れそうです。

10月1日の前後で、値上げされた商品が、

ふるさと納税の返礼品でもその寄附額が引き上げられているのかどうか、

いくつかの自治体の返礼品設定金額を観察してみました。

品種によって価格の違いがある小麦粉などではなく、

価格比較のわかりやすいビール

350mℓ24多くの自治体で15,000円の寄附金で選べた返礼品)で

調査しました。

ビール類はオープン価格ですが、

101日から610%の上昇が見込まれていました。

これに連動するとすれば、寄附金設定額も15,900円~16,500円となり、

新規設定は16,000円程度と予想されました。

10月になっていくつかの自治体を調べてみたところ、

15,000円で据え置きのままのところと、

予想通り16,000円に改定されている自治体がありました。

予算時期に合わせて値上げの反映が遅れる自治体があるという予想は

当たっていました。

ただし、10月中旬時点で日を追うごとに金額改訂の自治体が増えています。

3月を待たずに切り替わってしまう可能性も大です。

物価値上げとふるさと納税での調達

この観察から学べたことは、

「物価上昇に連動してふるさと納税返礼品寄附額も変動するが、

少し遅れる自治体もある」ということです。

例年、ふるさと納税の寄附は年間の課税額が年末調整で確定してから

駆け込みでという方が多いと思いますが、

2022年は、世の中の物価上昇の流れを読んで流動的に動くことをお勧めします。

AMFニュース [2022年11月1日号]

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 賃金のデジタル払い解禁?
 ~○○ペイ払いも可能に~

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賃金のデジタル払いが解禁?

厚生労働省は、2022913日の労働政策審議会(労働条件分科会)に

賃金のデジタル払いを可能とする制度案を提示し、

準備を進めていくことが確認されました。

決済事業者で賃金が保全されるか疑問として

反対の立場を取っていた連合も導入に向けて理解を示したようです。

2023年春にも解禁されるのではとの報道もありますが、

2018年頃から議論が開始され、政府の規制改革推進会議が

2021年導入を目指していたにもかかわらず、

実現しなかったこともあり、更に先送りとなる可能性も十分あると思われます。

「賃金支払の5原則」

労働基準法24条は、

「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」

「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」

と定めています。

下記のいわゆる「賃金支払の5原則」と言われるものです。

通貨払の原則

直接払いの原則

全額払いの原則

毎月1回以上払いの原則

一定期日払いの原則


賃金のデジタル払いの問題点

賃金のデジタル払いで問題になるのが

「通貨払い」の原則に抵触するのではないかとの懸念です。

つまり、〇〇ペイ等のデジタルマネーが

通貨代わりとして認められるかということです。

一般に行われている賃金の銀行振込でさえ、「通貨払い」の例外で、

従業員本人が同意した場合に限られています。

デジタル払いが解禁され、従業員が希望した場合、

申請された口座が本人の口座であることをどのように確認するのか

といった問題も出てきます。

また、賃金のデジタル払いには口座上限額が設定されるようであり、

銀行振込と併用されることも考えられ、

支払手続や管理が複雑化するものと思われます。

今後の議論に注目したいところです。

AMFニュース [2022年10月25日号]

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   パートから正社員
   有休休暇はどうなる

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年次有給休暇の付与の時期と要件

年次有給休暇は、雇い入れ6か月継続勤務後を基準日として

8割以上出勤で付与され、以後1年ごとに与えられます。

入社日が違えば基準日も異なり付与日や残日数管理が複雑なため、

一律の基準日を定め付与する斉一的取り扱いも認められています。

斉一的取り扱い導入時では全労働日の8割以上出勤の要件は、

切り上げ方式で、短縮された期間は全期間出勤とみなします。

次年度以降の付与日については、

初年度の付与日を法定の基準日を繰り上げた期間と同じか、

又はそれ以上の期間法定の基準日から繰り上げます。

パートタイマーを正社員転換した場合

パートタイマーである方が正社員転換をした場合の

有休休暇の付与の扱いはどうなるのでしょうか?

正社員に変わった時点では

すでに付与されている有給休暇の日数がそのまま引き継がれ、

正社員としての1日の所定労働時間分の休暇が与えられます。

また、その後の付与日にはパート社員として採用された日から

通算した勤続年数を基に付与されます。

逆に、正社員からパート社員になった場合でも

すでに付与されている有給休暇はそのまま引き継がれます。

斉一的取り扱いでは

パートには付与日を法律通りに付与し、

正社員には一斉に年休付与を行う斉一的取り扱いをしている場合、

転換する少し前にパートとして年休付与されたばかりの方が、

正社員になり、転換後すぐに基準日を迎えても年休付与をするべきでしょうか?

結論から言うと転換してすぐに基準日が来たとしても付与が必要です。

斉一的取り扱いを導入した場合、基準日までの期間の長短は考慮されません。

入社日で付与までの期間が変わり、不公平な面も発生しますが、

事務管理の観点からはやむを得ないものと考えられます。

不公平感を少しでも緩和できるのは半年ごとの基準日方式で付与するやり方です。

しかし完全には公平になりません。

企業の割り切りと事務量で選択することになります。

最近はシステムで年休管理することもできます。

AMFニュース [2022年10月18日号]

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    消費税の基本
    免税事業者とは?

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納税が免除される・されない条件

事業者が国内で課税資産の譲渡等を行う場合、

個人、法人を問わず消費税の納税義務者となります。

しかし、消費税を計算して申告納付する事務は煩雑であり、

税務署にとっても負担がかかるので一定の配慮がされています。

次の要件に該当する事業者は、消費税の納税義務が免除されます。

・前々年、前々事業年度(基準期間)の課税売上高が1000万円以下

・前年 1 月~6 月、前事業年度開始日から6か月間(特定期間)の課税売上高

(又は給与等支払額)が1000万円以下

・個人事業者の開業年度とその翌年

・資本金1000万円未満である新設法人の設立1期目、2期目の事業年度 など

 

反対に次の場合に課税事業者となります。

・基準期間の課税売上高が1000万円超

・特定期間の課税売上高(又は給与等支払額)が1000万円超

・資本金 1000 万円以上である新設法人の設立1期目、2期目の事業年度 など

免税事業者も課税事業者になれる

免税事業者は、仕入れ等にかかった消費税額の控除ができないので、

課税売上に係る消費税額よりも、課税仕入れ等に係る消費税が多い場合でも、

還付を受けることができません。

課税事業者になるためには「消費税課税事業者選択届出書」の提出が必要です。

例えば輸出業者の場合、輸出に関して消費税はかからないので、

仕入れの消費税額の方が経常的に多いため、

課税事業者になって還付を受けた方が有利になるわけです。

インボイスによって対応を迫られる?

令和5101日から始まるインボイス制度では、

今まで可能だった免税事業者への「仕入れで払った消費税」の仕入税額控除が

できなくなります。

免税事業者自身については今までと変わりはないのですが、

免税事業者から仕入れがある課税事業者については、

そのままの取引内容では納める消費税が高くなります。

ただし、経過措置があり、

制度実施後3年間は免税事業者からの仕入れは消費税相当額の8割、

その後3年間は5割を仕入税額控除できることとなっています。

経過措置があるとはいえ、課税事業者の取引先との協議は必要ですね。

AMFニュース [2022年10月11日号]

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 消費税の基本的な仕組み
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インボイス制度開始まで1年を切った

消費税のインボイス制度開始は令和5101日の予定です。

この「インボイス」とは、正確な適用税率や消費税額等を伝える書類のことで、

インボイス制度が始まると、仕入先が免税事業者の場合、

今まで認められていた「仕入税額控除」が認められなくなります。

免税事業者の方や経理にタッチしない方は

「仕入税額控除? なんのことだ」と思われるかもしれません。

まずは消費税の基本的な仕組みを理解しましょう。

消費税の内訳

消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して

広く課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。

標準税率10%、食品等の軽減税率は8%となっていますが、

そのうちの22/78、標準税率で2.2%、軽減税率で1.76%分は

「地方消費税」として扱われ、

いったん国の出先機関である税務署に納付され、

地方消費税部分は、統計数値に基づき各都道府県に分配される仕組みです。

消費税の負担と納付の流れ

消費税は、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、

税が累積しない仕組みになっています。

各取引にかかる消費税の例(標準税率)

製造業:売上50,000(+消費税5,000

卸売業:仕入50,000(+消費税5,000

    売上70,000(+消費税7,000

小売業:仕入70,000(+消費税7,000

売上100,000(+消費税10,000

消費者:100,000(+消費税10,000

上記の例示の場合、消費者が負担した消費税10,000円を、

小売業者は仕入と売上の差額分の3,000円、卸売業者は差額2,000円を、

製造業者は5,000円を納付する仕組みになっています。

先に述べた通り、インボイス制度が始まると、免税事業者から仕入れている場合

「仕入先に払った消費税」が、差し引けなくなります。

例示で言うと、卸売業者が免税事業者だった場合、

小売業者は10,000円消費税を納めることになるわけです。

 

尚、外国からの輸入は課税、輸出は免税です。

消費される場所が国内か国外かの違いですね。

AMFニュース [2022年10月4日号]

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 社会保険の「二以上勤務届」
 と給与計算

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二以上勤務は各社で社保加入の可能性有

複数の会社で勤務する方は、

社会保険の「二以上勤務届」を提出しなければなりません。

従来は2つ以上の会社で役員をしている方が該当する稀なケースでしたが、

副業をする人が増えたことや、従業員500人(令和410月からは100人)超の会社で

20時間以上働く人が対象となるなど

加入対象が広がったことで、該当する方が増えてきています。

副業で従業員数が多い会社でパートやアルバイト勤務をすると

該当することになります。


二以上勤務届の内容と社会保険料

この届出書の正式名称は

「健康保険厚生年金保険被保険者所属選択二以上事業所勤務届」といいます。

どの会社に所属するのか(選択事業所と非選択事業所)を選択します。

この選択は新たな保険証の発行のためであり、

新番号で保険証が発行され、旧来の保険証は使えなくなります。

社会保険料の計算は、全事業所で支払われた給与額すべてを合算し、

選択事業所の保険料額表(各県で違う)に当てはめて保険料が決定されます。

そして、各事業所の合計給与額と各事業所の給与額の割合で按分し、

事業所ごとの保険料を決定します。

各事業者へは、年金事務所から、「健康保険・厚生年金保険資格取得確認、

二以上事業所勤務被保険者決定及び標準報酬決定通知書」が通知され、

自社で給与から控除すべき金額と会社負担額がわかることとなります。


各社における給与計算

各社での給与計算は、上記の二以上事業所勤務者標準報酬決定通知書を基に

社会保険料の控除を行います。

給与計算ソフトを使っている場合には給与計算時に調整が必要となります

(給与計算ソフトにより調整方法は変わってきます)。

社会保険料は、毎年届出を行う「被保険者報酬月額算定基礎届」により、

9月から翌年の8月まではこの標準報酬月額に基づいて、保険料が適用されます。

また、年の途中で大幅な変動があった場合には、

算定基礎届の提出時期を待たずして、臨時に改定(月額変更届)が行われます。

自社の給与が変わらなくとも他社での給与の増減で

控除すべき金額が変わってくることもありますので、

年金事務所からの通知書は適時もれなく適用されるよう留意が必要です。

社会保険料が各社で控除されるといっても、給与総額で負担金額が決まりますので、

過剰負担や不公平はありません。

AMFニュース [2022年 9 月 27 日号]

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国民健康保険の「傷病手当金」
 ~新型コロナ特例~

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新型コロナに感染した場合の保険給付

新型コロナウィルス感染症に感染した場合、

医療や介護の現場など業務上の理由による場合は、

労災保険から療養や休業等の給付を受けることになりますが、

業務外の感染、いわゆる私傷病の扱いとなる場合は

健康保険から給付を受けることになります。

健康保険の「傷病手当金」

健康保険による休業給付、つまり「傷病手当金」は、

療養のため労務に服することができなくなった日から起算して

3日を経過した日(4日目)から労務に服することが出来ない期間、

最長1年6か月間支給されます。

任意継続被保険者には適用されません。

傷病手当金が支給される要件は、以下の通りです。

業務外に起因すること

病気やケガによる休業であること

労務不能であること

給与が支給されていないこと

連続して3日休業したこと


例えば、有給休暇を使って休業した期間は、

給与が支給されているため、傷病手当金は支給されません。

支給額は、標準報酬月額を30で割った金額に3分の2を乗じた金額が

一日あたりの支給額となります。

国民健康保険の「傷病手当金」(特例)

本来、傷病手当金は健康保険独自の給付で、国民健康保険には設定されていません。

しかし、新型コロナ特例として、

国民健康保険にも傷病手当金が設けられているのをご存じでしょうか。

支給要件は、

国民健康保険の加入者、

勤務先から給与の支給を受けているが不支給または減額されている、

新型コロナに感染、または感染が疑われ

連続3日以上労務に服することが出来ない等です。

 

短時間労働者で健康保険の被保険者でない場合、

国民健康保険の傷病手当金を受給できる可能性がありますので、

パート社員がコロナに感染された場合、

各市区町村に問い合わせを勧めてはいかがでしょうか?

AMFニュース [2022年 9 月 20 日号]

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    ふるさと納税
    基本的なポイント

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基本的なポイントをお話しします

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、

自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。

令和3年度の実績は寄附額約8,302億円、寄附件数は約4,447万件でした。

TVCMやインターネットの広告等で目にすることも多く、

すでにふるさと納税をしている方も多いことでしょう。

ただ「興味はあるけどまだやったことがない」という方もまだまだいらっしゃるはず。

そんな方のために、今回は基本的なことをおさらいいたします。

1回でも良い、上限まで寄附しなくて良い

ふるさと納税は、定期的な寄附を求めないので気軽に行うことができます。

今年1万円寄附したからといって、

来年も同じ自治体に1万円寄附しなければならないわけではありません。

その時々の「応援したい自治体」へ寄附して良いのです。

ふるさと納税は、その当年の自分の所得や控除によって決まる

年間の控除上限金額までの寄附であれば、

基本的には自己負担は2,000円で済む仕組みになっています。

控除上限金額の計算は、ポータルサイト等で行えます。

ただ、控除上限金額はあくまで

「自己負担が2,000円で済む上限」のため、

それ以下の寄附であれば自己負担は2,000円で済みます。

後に支払うべき税金が減ることによって戻ってきますが、

一時的なキャッシュフローはマイナスになりますし、

払った分−2,000円だけ税金が減る仕組みで直接的な節税ではないため、

無理に上限額全額まで使う必要もありません。

当然、たくさん寄附をすればたくさんお礼の品が貰える分お得ですが、

未経験の方で「試しに1つだけやってみよう」

という使い方でも問題はありません。


税を引いてもらう手続きが必要

寄附してそれでおしまい、というわけではなく、

確定申告かワンストップ特例申請という手続きをしないと、

後に税金を引いてくれません。

なお、ワンストップ特例申請は

「確定申告をしない方」

「5か所以内の自治体への寄附」

という利用条件がありますので、ご注意ください。

AMFニュース [2022年 9 月 13 日号]

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  副業収入300万円の壁
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業務に係る雑所得の範囲について、

国税庁は、収入金額の規模が300万円を超えない場合は、

雑所得とする案を公表し、パブリックコメントで意見募集していました。

(募集は、831日に終了しています)

事業性の判定基準は300万円

事業所得か雑所得かの別は、

まず、社会通念上、事業と称する程度で行われているかで判断するとしています。

不動産所得では、510室基準が事業的規模の目安とされていますが、

事業所得では、これを収入金額300万円で線引きするというものです。

副業・兼業を営む給与所得者の多くにとって、

事業所得者となるためには、大きなハードルが課されることになりそうです。

事業所得とするメリット

給与所得者にとって、副業・兼業が事業所得となる場合、

青色申告特別控除(最大65万円)を受けられるほか、

事業所得が赤字のときは、給与所得と損益通算できることがメリットです。

一方、副業・兼業が雑所得とされた場合は、

青色申告特別控除を受けられず、

給与所得と損益通算の恩恵も受けることはできなくなります。

給与所得の扱いは憲法に違反しない

判例には、給与所得と事業所得の課税の違いが

違憲ではないか争われたものがあります(大島訴訟)。

納税者は、事業所得の経費には実額控除を認めるのに、

給与所得の経費を概算控除とする取扱い、

それぞれの所得の捕捉率の較差、事業所得の特別措置は不公平であり、

憲法141項(法の下の平等)違反に当たると主張しました。

しかし、最高裁は、給与所得者の経費のほとんどは使用者が負担していること、

給与所得者に実額控除を認めると、家事費、家事関連費が混入し、

かえって不公平が生じる弊害などを理由に、納税者の主張を認めませんでした。

その後、給与所得に特定支出控除が創設され、一部是正されました。


300万円基準は、赤字の回避が目的か?

事業的規模の判定要件を収入金額300万円超とする今回の改正案は、

クロヨンと言われる給与所得と事業所得の捕捉の精度の違いを

残したままにしているようです。

事業所得の経費には概ね、300万円かかると想定し、

事業所得が赤字とならない程度の収入金額として、

300万円を設定したのではないでしょうか。

そして300万円超の事業所得については、請求書や領収証の保存により、

税務調査で適時把握できると考えているのではないかと思われます。

AMFニュース [2022年 9 月 6 日号]

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 <経理実務> 買掛金と未払金
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どちらも債務です

債務ですから当たり前のことですが、前提を確認すると、物を購入したり、

役務の提供を受けたりしたにもかかわらず、未だ金銭を支払っていない金額

いうことです。

どちらにせよ近い将来金銭を支払うものです。

ではどこが違うかというと、買掛金は、本来の営業活動で売上と直結して

変動する経費、例えば商品の仕入れや材料費・外注費等の債務に用いられ、

未払金は、それ以外の一般管理費等に用いられます。

 

買掛金と買掛台帳

買掛金は、本来の営業活動の基幹をなすものですし、支払日も各仕入先・外注先で

違いますから、やはり仕入先・外注先ごとに管理する買掛台帳が必要となります。

しかし売掛金と売掛台帳と違い、買掛金と買掛台帳との残高の違いで

四苦八苦した話はまず聞きません。

それは買掛金台帳は請求書と納品が間違いないかを確認するために作成されており、

間違いない段階で請求書をもとに買掛金が計上されるからです。

そして計上された買掛金は必ず支払われます。

これに対し、売掛金は得意先でのチェックがありますので請求金額が

確実に入金されるとは限りません。

得意先が多いと必ずといっていいほど誤差が出てきます。

消耗品などの購入を月締めで行って未払金を計上している場合も同様です。

未払金の場合は台帳までは付けずに納品書とチェックして、

請求書をベースに未払金を計上している場合が多いかと思いますが、

計上した未払金は必ず支払います。

 

もう一つ未払費用があります

未払金でもいいのですが「未払費用」という勘定科目があります。

一定の契約等により継続的に役務の提供を受けている場合に、期間の経過とともに

費用が発生していると考えて上される債務です。

月次決算で厳密にやっている会社はともかく、通常は決算の時しかお目にかかりません。

未払金との大きな違いは請求書があるかないか、すなわち確定した債務か否かです。

AMFニュース [2022年 8 月 30 日号]

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 <経理実務> 売掛金と売掛台帳
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売掛金と売掛台帳とは

机上では、売掛金は営業債権すなわち本業での債権で、それ以外の債権は、

未収金として区分することとなっております。

よって売掛金は、企業の根幹をなす債権です。

そこで売掛金の管理は、現在の複式簿記が導入される前から「大福帳」として

管理されてきました。

売掛台帳とは、その「大福帳」のことです。

 

経理処理は収益勘定と

経理処理は以下となります。

 ① 営業債権発生時 (売掛金)/(売上)

 ② 営業債権回収時 (現預金)/(売掛金)

営業債権発生時の処理の相手勘定科目は原則収益科目(売上)です。

そうでない場合は特殊な取引ですので、取引の内容を確認するようにしましょう。

債権回収時の相手勘定は(現預金)だけでない場合が通常です。

手形や電子債権であったり、振込手数料が引かれたり、回収時に

値引きがあったりしますので留意しましょう。

 

売掛台帳との整合性

売掛金は企業の売上の未回収分ですから、通常得意先ごとに管理しています。

それを売掛台帳と言います。

昨今は販売管理ソフトと連動して一括して管理しているので

あまり問題ありませんが、別々に管理している場合は、往々にして

経理の売掛金の残高と売掛台帳の残高が合わないことがあります。

どうしても合わない場合は、売掛台帳が優先されます。

なぜなら売掛台帳は得意先との牽制があるからです。

得意先が多く、毎月売掛金の残高と売掛台帳の残高が合わないで

四苦八苦する企業様は以下の経理処理をお勧めします。

 ① 営業債権発生時 経理処理なし

 ② 営業債権回収時(現預金)/(売掛金)

 ③ 月末に経理の売掛残と売掛台帳の売掛残の差額を売上に計上し

   売掛残を合わせます。(売掛金)/(売上)

ただ ② の処理は(現預金)だけとは限りませんからご留意ください。

AMFニュース [2022年 8 月 23 日号]

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 インボイス制度 適格請求書等のいらない課税取引
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消費税の大原則

消費税の原則は、貰った消費税から払った消費税を差し引いて

残りを消費税として納付するものです。

その計算を適格請求書等で確認するのがインボイス制度ですが、世の中、

適格請求書等以前に領収書の貰えない取引や不要とする取引と言うものも多々あります。

そこで適格請求書等がなくても課税取引と認めてくれる例を挙げてみましょう。

 

適格請求書等のいらない取引

① 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

  →要は少額の交通費で今でもいちいち領収書は貰いません。

② 3万円未満の自動販売機による購入

  今でも領収書はありません。

郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス

  (郵便ポストに差し出したものに限る)

  切手は金銭代替物なので、切手を購入した時は非課税ですが、

切手を使って郵便物を出したときは課税取引となります。

  ポストに投函しても領収書は貰えません。

入場券等が使用の際に回収されるもの。

古物営業を営む者が、適格請求書発行事業者でない者から、

  古物を棚卸資産として購入する取引。

質屋を営む者が、適格請求書発行事業者でない者から、

  質物を棚卸資産として取得する取引。

宅地建物取引業を営む者が、適格請求書発行事業者でない者から、

  建物を棚卸資産として購入する取引

適格請求書発行事業者でない者から、再生資源及び再生部品を

  棚卸資産として購入する取引。

従業員に支給する通常必要と認められる出張旅費等。

  出張規定で定められた必要経費としての出張手当のことです。

①②③⑨は消費税を払っているのに適格請求書等(領収書等)がもらえないので

理解できますが、⑤⑥⑦⑧は消費税を払わないのに課税取引とするとは、

何か政治的な意図を感じます。

AMFニュース [2022年 8 月 16 日号]

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 <経理実務> 預金勘定
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預金の種類

「普通預金」「定期預金」「積立定期預金」「当座預金」がなじみの深い預金です。

勘定科目としてはそれぞれの名称で科目を設定しても良いし、

まとめて「預金」勘定としても構いません。

管理上は分けた方が管理しやすいため多くの企業では分けて勘定科目を

設定しております。

ただ決算書などには、現金と合わせて「現預金」として一括表示するのが通例です。

 

預金と貯金

銀行(都市銀行・地方銀行・ネットバンク・信用金庫・信用組合)には、

お金を預けて代わりに運用してもらいますので「預金」と呼んでいます。

一方の郵便局・農協・漁協は、お金をためておくので、「貯金」と呼んでいます。

郵政民営化後はゆうちょ銀行となりましたが「貯金」という名称は

そのまま使用されています。

取り扱いは同じです。

 

外貨預金

外貨預金は、預金通帳や取引明細書の記載は全て外貨ですが、記帳は日本円で行います。

面倒なのは、相場が日々変わることです。

例えば、

 1ドル=120円の時に100ドルの売上があり、

 入金時の相場が1ドル=130円だった場合、

 更に決算時の相場が1ドル=125

となった場合を想定すると以下の処理となります。

・売上時

(売掛金) 12,000 (売上)12,000

・入金時

(外貨預金)13,000(売掛金)12,000

(為替差益) 1,000

・決算時

(為替差損)500  (外貨預金)500

外貨取引が滅多にない会社でしたら上記の処理でも構いませんが、

外貨取引が多い会社は毎日変わる為替レートで処理していると極めて

煩雑になりますので、期の初めに年間の為替レートをあらかじめ決め、

期中は全てそのレートで処理します。

決算期末に期末のレートで換算し為替損益を認識します。

しかし現在のように期の途中に大きく為替レートが動き、期の初めに設定した

為替レートと大きく異なった場合は、期の途中で変更することもあります。

今期は多くの企業で期中の変更が行われそうです。

AMFニュース [2022年 8 月 9 日号]

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 <経理実務> 現金勘定
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経理上「現金」勘定で処理するものは?

硬貨や紙幣といった貨幣(お金)のほかに、金融機関ですぐに換金できる

通貨代用証券も含まれます。

通貨代用証券とは他人振出小切手、送金小切手、郵便為替証書、配当金領収書、

期限の到来した公社債利札 などです。

また貨幣といっても円とは限りません。

ドルや人民元等他国の通貨も「現金」勘定で処理します。

 

他国の通貨(外貨)の処理

外貨も経理上の表示は○○円と円表示ですが、その外貨を取得した時の円相場と

決算時点での円相場が違っているときは、為替差損益で残高を修正します。

例えば$1=¥120の時に$10,000取得した場合、

「現金」勘定には、1,200,000円と記帳されます。

しかし決算時点で$1=¥130となった場合は、以下の処理をします。

(現金)100,000/(為替差益)100,000

 

仮想通貨はどうなるの?

仮想通貨は、通貨といっても現物がありませんので「現金」勘定ではなく、

「仮想通貨」勘定等別の勘定科目を設けて処理するのが現状では妥当です。

外貨同様、決算時点で相場が変わっていれば損益勘定で修正します。

 

現金取引は減っている

現在多くの企業では現金取引は少なく、ほとんどが銀行を通じた決済や

電子決済となっておりますので「現金」勘定が登場する場面は少なくなっております。

企業が従業員の交通費や立替金を清算する場合は「小口現金」勘定を使い、

「現金」勘定とは区別して管理します。

 

現金商売は日々の管理を

しかし小売業や飲食業などは日々の現金商いですから、現金勘定の管理は

日々行う必要があります。

最近では、電子決済等のキャッシュレスで支払う人が多くなったので

間違いは少なくなりましたが、つり銭間違い等で売上の伝票やレジ集計等と

現金が合わない場合は「現金過不足」勘定で残高を合わせておく必要があります。

現金商売をしている小売店や飲食店には突然税務署の調査官が来て、

レジの現金とレジ集計表との突合をしてゆくこともよくあることです。

注意しましょう。

AMFニュース [2022年 8 月 2 日号]

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管理監督者の働き方について
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「管理監督者」と呼ばれる人とは

労働基準法では、業種にかかわらず監督もしくは管理の地位にある者は、

労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しないとしています。

これが「管理監督者」と言われる人です。

これに該当する人は法定の労働時間を超えて働いても時間外労働の

割増賃金を支払う必要がなく、法定休日に働いても休日労働の割増賃金を

支払う必要はないとされています。

管理監督者に該当する人も健康を害するような働き方をさせるのは問題で、

深夜時間(午後10時から午前5時まで)に労働させた場合、

深夜割増賃金は支払う必要があります。

また、管理監督者であっても年次有給休暇を与える必要があります。

 

管理職だから管理監督者とは限らない

会社で○○長は管理職と位置付けていたとしてもその会社の管理職であり、

労働基準法の管理監督者であるとは限りません。

管理監督者は役職名でなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様など

実態によって判断されます。

労働基準法の管理監督者に当てはまるか、大きく3つの判断基準があります。

 

3つの判断基準

 ① 労働時間、休憩、休日などに関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない

   重要な職務内容、重要な責任と権限を有する。

 ② 現実の勤務態様も労働時間などの規制になじまないようなものである。

 ③ 賃金などについてその地位にふさわしい待遇である。

管理監督者性の否定要素は人事権です。

採用、解雇、人事考課、勤務割表作成、時間外労働の命令などの責任や権限が

実質的にない場合は管理監督者と言えません。

次に勤務で遅刻早退などの減給や、人員不足の際の穴埋めで

長時間労働をさせられているとき。

労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が大半なとき。

また、賃金待遇に役職手当などの優遇措置があっても、

実際の労働時間を勘案して割増賃金以上になるのか、時間単価でアルバイト等と

変わらない状況では問題です。

管理職手当が固定残業代という場合では、就業規則にその旨と

何時間分なのかを規定することが必要です。

AMFニュース [2022年 7 月 26 日号]

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 子の口座への入金は誰からの贈与?
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かわいい子には、たくさんお金をあげたいものですが、子供の将来の生活を思って、

早めに資金移動を考えることがあります。

相続の際、子を遺産分割争いに巻き込みたくない気持ちも働くかもしれません。

 

名義預金の帰属

子の名義で預金口座を別に作って、少しずつ貯金しておくことも一つの方法です。

未成年の子に、新たに預金口座を開設して母親に現金を渡し、その口座に

子の将来のための資金を振り込むよう指示していた場合、被相続人からの贈与は

贈与財産か相続財産かが問題になることがあります。

このような場合は、贈与書面を作成しておき、預金通帳、印鑑を被相続人から

託されていれば、贈与財産として認められるものと思われます。

なお、子が成人したときは、通帳と印鑑は子に引き渡すことが肝要です。

成人の後は、贈与していた預金を子の管理のもとにおくことが本来の姿といえます。

 

贈与契約書を作成する

民法では、贈与書面がなくても贈与の意思表示と受諾があれば贈与契約は

成立していますが、税務の場面では、預金の原資を誰が負担しているか、

管理・運用はどのように行われているか、利息は誰に帰属しているか、

被相続人と管理者、名義人との関係などから実質的に贈与契約が成立していたかなどが

総合的に判断されます。

そして贈与契約の存在を説明するため、贈与契約書面を作成し、

申告書の添付が必要です。

 

相続財産となる場合

反対に、贈与書面がなく、預金通帳、印鑑は被相続人が保管したままで、

基礎控除を超える額について贈与税の申告も行っていないとしたら、

預金に預け入れた資金は相続財産とされます。

相続税が課されるばかりか、遺産分割協議によっては、財産の帰属先も

不確定なものとなるかもしれません。

 

定期の贈与に注意!

その年の1月1日から1231日までの間の1年間に贈与を受けた財産の合計額から

基礎控除110万円を控除した残額に贈与税が課税されます。

110万円以下であれば、申告手続きは不要となります。

なお、毎年、定額を贈与する場合、複数年の贈与にまたがる贈与契約書を作成すると、

全体が一つの贈与契約として課税される可能性がありますので、

贈与契約書は毎年、作成するようにしましょう。

AMFニュース [2022年 7 月 19 日号]

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 年金の種類と所得金額計算
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たくさんの「年金」、どれを使ってますか?

近年、老後資金への関心から、iDeCo(個人型確定拠出年金)等の

私的年金の流行が起こりました。

「年金」といっても、数多くの種類があり、混同しがちです。

所得金額算出の観点から分けて確認してみましょう。

 

公的年金等控除が適用される年金

公的年金等は、年金の収入金額から「公的年金等控除額」を差し引いて

所得金額を計算します。

この雑所得となる公的年金は、

 ① 国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金

 ② 過去の勤務により会社などから支払われる年金

 ③ 外国の法令に基づく保険

   または共済に関する制度でに掲げる法律の規定による社会保険

   または共済制度に類するものと規定されています。

「公的」と名がついているので企業年金は異なると思う方も

いらっしゃるかもしれませんが、企業年金も年払いで受け取る場合は、

公的年金等控除が適用される年金です。

公的年金等控除が適用される年金を例示すると、

基礎(国民)年金・厚生年金・企業年金・国民年金基金・確定拠出年金等です。

ただし、企業型確定拠出年金やiDeCo、一部の企業年金等は、

「年金として受け取る(公的年金等控除適用)」か「退職所得として

一時金で受け取る(退職所得控除適用)」かの選択が可能です。

税額や健康保険料に鑑みると有利不利があるので、他の退職金や年金の有無、

その他の収入見込みやライフプランを考慮する必要があります。

 

非課税の年金

病気やケガで障害が残った場合などに支給される「障害年金」や、

国民年金・厚生年金の被保険者が亡くなった場合に、その人に生計を

維持されていた人に支払われる「遺族年金」は非課税所得です。

 

公的年金等控除が適用されない年金

個人年金保険の年金については、公的年金等控除が適用されません。

所得区分は公的年金と同じ「雑所得」ですが、確定申告書上で記載すべき欄は

「公的年金等」ではなく「その他」の雑所得となります。

個人年金の所得金額は、その年に受け取った金額から積み立てた額を引いた額です。

繰り下げ受給・繰り上げ受給等、受け取り方も色々です。

ライフプランが大切ですね。

AMFニュース [2022年 7 月 12 日号]

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 年次有給休暇取得 トラブルになりがちな例
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休日と休暇の違い

「休日」は法律や会社の決めた休みですが「休暇」は元々働く義務のある日に

休みを取ることを言います。

年次有給休暇は従業員が一定の条件を満たしたときに発生します。

年次有給休暇の権利を取得するには

ア、 入社日から6か月を経過している

イ、 その期間中、法定休日・所定休日を除いて8割以上出勤していること

出勤率の計算上で出勤扱いの日は、仕事上の病気やけが休業、育児休業、介護休業、

法定の産前産後休暇、年休の取得日です。

 

有給休暇で労使トラブルになりがちな例

① 繰越し分と新規発生分どちらを優先?

年次有給休暇請求権は2年間で時効により消滅します。

2年間の付与日数のうちどちらを優先消化するかは労基法では決めていませんので

就業規則の定めによります。

年次有給休暇の消化順を前年度の繰越し分を消化してから今年度分を

消化すると決めていて、今年度分を先に消化することに規定を変更するときは

繰越し分が少なくなりますので従業員にとっては不利益変更となります。

十分に説明をして、合意も取りましょう。

 

② 病気でもないのに有給休暇の請求を当日や前日にしてきた

年休の請求時期は法的な決まりはないので「いつまでに届ける」と

決めてもよいのですが、あらかじめ届け出ると決めておく方がよいでしょう。

ただし「事業の正常な運営を妨げる」客観的な事情があれば時季変更権の行使も

あることを記載しましょう。

 

③ 退職時の年次有給休暇行使

退職を控えた社員が退職日までに出勤はしないが残った有休をすべて

使いたいと言い出した場合、法的には会社は本人の申し出を認めることになります。

しかし会社の事情を伝え理解してもらうよう努めることです。

そのうえで消化できなかった有給休暇の買取りは可能となり、この有休休暇の

買取り額は任意の額として差し支えありません。

ただし、年休取得した際に払われる額との均衡を考えた額とすべきでしょう。

 

④ 年休取得を進めたいが周りに気を使い取らない人がいる

年次有給休暇の消化を促進する工夫が計画的付与です。

労使協定の上5日を超える日を計画的に職場単位や交代で付与します。

年休を10日以上付与されている人は、5日は休暇を取らせなくてはなりません。

AMFニュース [2022年 7 月 5 日号]

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 退職日を月末にしない場合の損得と留意点
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社会保険の資格喪失日

社会保険で被保険者の資格を喪失する日は、原則、

その事実があった日(「退職日」)の翌日となります。

会社や社会保険適用の個人事業所の従業員・役員が退職する場合、

退職日が月末であれば、その月まで社会保険が課されます。

給料からの社会保険料の控除を翌月としている場合は、退職月には2か月分の

控除となりますので、給与計算では留意が必要です。

 

社会保険料vs国民健康保険料・国民年金

社会保険の資格を喪失した場合、自身で住所地のある市区役所に出向き、

社会保険から国民健康保険・国民年金への切り替え手続をしなければなりません。

この切り替えを失念すると、健康保険が適用されず、その月は

全額自己負担となってしまいます。

仮に月末の一日前に社会保険を喪失させた場合でも、その月の初日か適用されない

こととなりますので、その月の退職日までに病院にかかった分は

全額自己負担となってしまいます。

なお、国保への切り替えをしなかった場合で、「健康で病気もしなかったから

1か月健康保険に入らないで得した」と短絡的に考えるもの禁物です。

空白期間に、国民年金、国民健康保険の切り替え手続をしないと、

未納期間がひと月発生することとなり督促の対象となります。

そうすると、障害年金の受給要件を今後1年間満たさなくなります。

万一の際に障害年金の受給ができなくなりますので、空白期間のないように、

国民年金、国民健康保険の手続をおこなうことです。

 

退職日は総合的に長い目で考えて決める

社会保険の方が、国民健康保険・国民年金に比して、概して負担が高額です。

そのため、月末の前日に退職してその月に社会保険が掛からないようにすると

お得と考える方もいらっしゃいます。

しかしながら、社会保険料は月々の負担が高額な分、将来もらえる年金の額も

国民年金に比して高い金額となっています。

また、社会保険は、本人と会社でほぼ50%ずつでの負担ですし、

配偶者が3号被保険者であれば基礎年金部分も社会保険なら

支払っていることになっています。

国民年金負担となれば、配偶者の分も1人分の国民年金保険料の負担が発生します。

短絡的に目の前の低い負担の方を選んでしまうことなく、

よくよく考えて決めることです。

AMFニュース [2022年 6 月 28 日号]

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 「交通税」導入への課題
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滋賀県で導入が検討されている

20225月末ごろ、複数のメディアが「滋賀県で交通税が検討されている」と

報じていました。

報道によると滋賀県の税制審議会が「地域の公共交通機関を支える税制を検討すべき」

という答申をまとめ、知事が導入を検討する方針を示しているということです。

交通税が導入されれば、全国初となります。


自治体で税を新しく作ることはできる

地方自治体は、地方税法に定める税目(法定税)以外に、条例によって税を

新設することができます。

「法定外目的税」と言われるものですが、石油価格調整税、遊漁税、産業廃棄物税、

宿泊税等、地方自治体が独自に制定しているものは多くあります。

今回の滋賀県のケースで言えば、「交通税」という法定外目的税を新たに制定し、

滋賀県の公共交通機関の運営財源に充てることになります。

 

課題が多い交通税

なぜ「交通税」が「導入されると全国初」なのでしょうか?

それは課題が多いからです。

日本には「受益者負担の原則」があり、利用して利益を得る人が維持費を

負担すべきという考えが根強いことや、税という公的なお金を直接民間企業に

充てることなどが課題となります。

また、厳しい経営状況にある公共交通機関事業者については、自治体が助成している

ケースや、公有民営や第三セクターで運営されている交通機関等、税の徴収以外で

現在行われている対応策が多々あります。

わざわざ税を新設しなくても良い、という意見もあるでしょう。

 

滋賀県がチャレンジする意義

ただ、現在行われている公共交通機関への助成はジリ貧の印象が濃く、上手く

いっている例が多いとは言えない状況です。

また、公共交通機関の経営難については、広域的な問題のため、市区町村単体では

なかなか解決できないものです。

滋賀県の「国の取組を待たず、また、個々の市町の区域にも限定されない、

広域的な見地に立つ県として、導入へ向けた挑戦をすべきものである」という

力強い言葉は、現在の日本社会を見れば、確かにその通りだと思えるものではあります。

今後どのような方向になるのか、注目したいですね。

AMFニュース [2022年 6 月 21 日号]

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 残業代が変わる! 来年4月から
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割増率が変わることをご存じですか?

現行では法定労働時間(18時間、140時間)を超える時間外労働(法定時間外労働)

対して事業主は25%以上の率で計算した割増賃金を支払うこととなっています。

20234月から中小企業も月60時間を超える時間外労働は割増率が引き上げられます。

すでに大企業は20104月から適用されていた割増率ですが、長らく猶予期間が

適用されていた中小企業においても、いよいよ20234月からは月60時間超えの

残業の割増率が現在の25%以上から50%以上に引き上げられます。

例えば時給1200円の方が残業すると時給は1500円ですが、その方が60時間以上の

残業をすると時給1800円となります。

60時間を超える時間外労働を深夜(22時から5時)に行う時は75%割増しになります。

恒常的に残業が60時間を超えている事業所は考えなくてはならないでしょう。

さらに、20224月からの残業代未払いに対して遡及支払いが2年から3年に

延びていますので、残業が多い事業所は対策を考える必要があるでしょう。

 

今から対策をたてる

 ①  60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康確保のため、

  引き上げ分の割増賃金の代わりに有給の代替休暇を付与することができます。

 ②  労働時間の適正な現状把握をする。

  勤怠管理システムの導入などで勤怠管理をする。

長時間労働を是正管理する。

 ③  リモートワークで管理者が現場にいない時は自己申告になりますが、

  自己申告とパソコンの使用時間が違っているか、上司管理職は労働時間の

  上限を設けず、法定労働時間の上限を超えているようであれば、

  習慣的に行っていないか注意をする必要があります。

 ④  割増率の引き上げに併せて就業規則の変更が必要な時があります。

  勤怠管理システム導入や就業規則改定費等に「働き方改革推進支援助成金」や

  「業務改善助成金」等、環境整備に必要な費用の一部が助成される制度があります。

  残業には労使協定届が必要です。

  月60時間を超えると特別条項付きの36協定を提出します。

AMFニュース [2022年 6 月 14 日号]

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 マイナンバーカードを健康保険証として使うと診察料が高くなる?

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マイナンバーカードで診察料が高くなる?

2021(令和3)年10月から、医療機関・薬局でマイナンバーカードの

健康保険証としての活用が開始されました。

医療機関の2割弱で既に導入されているようです。

マイナンバーカードを健康保険証として利用すると診療報酬が加算され、

診察料や調剤料が高くなることをご存じですか?

2022(令和4)年の診療報酬改定に「電子的保険医療情報活用加算」が新設され、

医療機関や調剤薬局で、マイナンバーカードを使って顔認証付きカードリーダーで

資格確認を行った患者は、自己負担3割の場合で、初診21円、再診12円、

調剤9円の新たな負担が生じることになりました。

 

マイナンバー加算の見直しの動き

マイナンバーカードの利用により診療報酬が加算されることについて、

「マイナンバーカード利用で診察料が高くなるのはおかしい」、

「従来の保険証を提示した方が安くなるなら、マイナンバーカードは使わない」

いった不満の声が出ていました。

当該加算は、カードリーダーなどのオンライン機器設置を医療機関や調剤薬局に促し、

(患者同意が前提で)過去に処方された薬の情報を医療機関で共有するなどの

目的での加算でした。

しかし、患者負担が増えるのでは、マイナンバーカードの普及促進と

矛盾しているのではないかと思います。

政府はマイナンバーカードの健康保険証利用による診療報酬加算について、

廃止を含めた見直しを検討しているようですので、今後の動向が注目されます。

 

将来的には健康保険証が廃止される?

一方、政府はマイナンバー保険証の普及に向け、従来の保険証を原則廃止する方向で

検討に入ったようです。

マイナンバーカードの保険証活用導入前から、健康保険証の廃止は

検討されていましたが、国民健康保険(各自治体)、健康保険組合、

協会けんぽなど保険者が多数存在しますので、完全廃止までには

相当時間が掛かるものと思われます。

AMFニュース [2022年 6 月 7 日号]

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 領収書と印紙税
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領収書と領収証

「領収書」と「領収証」はどちらも「民法上の受取証書=現金・商品を

受け取った事実を証明する書類」という同じ意味合いを持つ言葉ですが、

一般的な市販品では「領収証」という記載が多くなっています。

ただ印紙税法では、「領収書」を領収証・レシート・受領書等の総称として

使っている感があります。

本文でも以下総称として「領収書」といたします。

 

領収書と印紙税

領収書は、印紙税法の印紙税額一覧表の第17号文書「金銭または有価証券の受取書」に

該当し、印紙税が課税されます。

受取書とはその受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する

証拠証書をいいます。

したがって、「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと、

受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」とか「了」などと

記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭または有価証券の受取事実を

証明するものであるときは、金銭または有価証券の受取書に該当します。

この17号文書に該当した場合は、記載された金額により印紙税がかかります。

10億円を超える金額では20万円の印紙税がかかります。

 

売上代金以外の領収書

売上代金として受領した「領収書」は前述の通り、その記載された金額により

印紙税がかかりますが、売上代金以外の「領収書」は5万円未満のものは

非課税で5万円以上のものは200円の印紙税という区分だけです。

売上代金以外での金銭等の「領収書」としては、借入金の受領書や担保として

差し入れた保証金の受領書等があります。

 

営業目的以外の領収書

営業とは営利を目的として行われる行為ですから、営利を目的としない公益法人や

自治体や商売をしていない個人などが金銭等の受領の証として「領収書」を

発行しても印紙税はかかりません。

AMFニュース [2022年 5 月 31 日号]

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 消費税の中間申告  ~新年度に確認すべきことと失念対策~
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消費税の中間申告と納税

事業者は、前課税期間(個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度)の

消費税の年税額(地方消費税額は含みません)が一定額を超える場合、

消費税の中間申告と納税をしなければなりません。

中間申告の回数は、直税課税期間の年税額に応じ、48万円超は年1回、

400万円超は年3回、4,800万円超は年11回です。

前課税期間の確定申告が終わった時点で、新年度の中間申告の回数と

申告納付の時期が確定します。

前課税期間の消費税が増え、中間申告すべき回数が増える場合には、

申告納付を失念しないよう留意が必要です。

法人税の中間申告は前期の税額にかかわらず年1回です。

中間申告は6か月経過後から2か月以内という固定観念をお持ちの場合、

特に注意が必要です。

 

前期間基準の場合 申告なしでも納税額確定

中間申告の方法は、前期間基準による申告と仮決算に基づく2つの方法があります。

中間申告期限までに申告書の提出がなかった場合には、前課税期間基準による

申告書の提出があったものとみなされる特例が設けられています。

そのため、申告書の提出を失念した場合、前課税期間基準による納税額が

確定しています。

納付が遅れると、期限後納付として延滞金等が発生します。

 

電子申告なら「お知らせ」メッセージ有

国税庁では、e-Taxで法人税申告書を提出した法人に対し、行政経費の削減に

努めるため、法人税の予定申告書用紙を送付しないこととしています。

消費税は、当面、中間申告書用紙が送付されることとなっています。

が、法人の電子申告利用率が法人税および消費税とも令和2年度で85%

(令和310月発表)を超えたことを鑑みると、そのうち廃止されるものと思われます。

中間申告が必要であるという概念が抜け落ちているときに届いた税務署からの郵送物は、

開封されぬまま放置されたりゴミ箱行きとなってしまっていたりのケースもありました。

前年分の申告を電子申告で行っていれば、中間申告対象期間の翌月の初日には、

「消費税中間申告書提出についてのお知らせ」がe-Taxのメッセージボックスに

格納されます。

そして、e-Taxの利用者登録情報に、会社担当者のメールアドレスと

会計事務所のメールアドレスを登録しておくと、e-Taxメッセージが

格納されたことが通知されます。

会社と会計事務所のダブル体制でうっかり失念の回避対策が図れます。

AMFニュース [2022年 5 月 24 日号]

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 印紙税の豆知識
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売上の領収書でも印紙税がかかりません

営業目的の売上の5万円以上の「領収書」には、その記載された金額により

印紙税がかかります。

それは印紙税法の第 17 号文書「金銭又は有価証券(小切手・手形等)の受取書」に

該当するためです。

しかし、17号文書の「課税物件」欄の文言をよく読むと、「金銭又は有価証券の

受取書」となっております。

今はやりの電子決済やクレジットカード取引等の信用取引では現実に金銭や

有価証券の授受を伴いませんから、売上にかかる「領収書」でも印紙税はかかりません。

ただし領収書に「○○電子決済」や「クレジットカード決済」等と

明記しておく必要があります。

電子決済といっても事前に入金しているような前払支払方式や即時決済等、

信用取引ではない場合は金銭の授受と見なされ、「領収書」は17号文書となり

印紙税がかかります。

 

5万円に消費税は含まれるの?

5万円以上の領収書には、記載された金額により印紙税がかかることは周知の通りです。

最高で20万円(10億円を超える金額)の印紙税がかかりますが、

消費税が含まれるのかどうかで10%の差が出ます。

例えば46,000 円の商品を販売すると消費税が4,600円かかります。

お客様から50,600 円を頂戴して「領収書」を発行するときに、

単に合計で品代50,600 円とだけの記載ですと印紙税はかかります。

しかし「消費税の金額が区分記載されている場合は、消費税の金額は、

記載された受取金額に含めない」という税法の規定がありますので、

次の又はのように記載すれば印紙税はかかりません。

 ① 商品代金46,000

   消費税及び地方消費税4,600

   合計50,600

 ② 商品代金50,600

   うち消費税及び地方消費税4,600

AMFニュース [2022年 5 月 17 日号]

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 税金よもやま話  免税点って何?
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「免税店」ではなく「免税点」

免税店とはその名の通り、関税・酒税・消費税などがかからない商品が置いてあります。

空港型の免税店(Duty Free Shop)と街中にある市中免税店(Tax Free Shop)の

2種類があります。

同じ読みで「免税点」という言葉があります。

税の中にはある一定水準以下の課税標準に対して、「水準以下の場合は課税しない」と

しているものがあり、この水準を「免税点」と言います。

どんなものがあるのか少し見てみましょう。

 

固定資産税の免税点

その年の11日に、土地や家屋、償却資産の所有者に対してかかる税金である

固定資産税には、種類に応じて免税点が設けられています。

同一名義人が所有する課税標準額の合計が、土地30万円未満、家屋20万円未満、

償却資産150万円未満であれば課税されません。

 

事業所税の免税点

都市部に事業所を設けている場合で事業所面積や従業員給与総額によっ

課される事業所税には、床面積や従業員数によっての免税点が設けられています。

床面積によって課される資産割については床面積1,000平方メートル以下、

従業員の給与総額によって課される従業者割については従業員数100人以下の場合は

課税されません。

 

消費税の事業者免税点

消費税については、前々事業年度(個人の場合は前々年)の課税売上高が

1,000万円以下であれば納める義務が免除されます。

免税事業者は届けを出すことによって課税事業者になることも可能です。

ただし「前々事業年度の課税売上高1,000万円以下」という条件は「原則」であり、

前年16月、前事業年度開始日から6か月間の「特定期間」の課税売上高と

給与支払総額が1,000万円超であったり、資本金が1,000万円超(の場合の

設立1期・2期目)であったりすると、消費税納税は免除されません。

他にも相続・合併・分割・特定の新設法人・高額特定資産の仕入れ等、

諸条件で免税点が適用にならないケースが多く存在します。

今後はインボイス制度で、免税事業者設立は少なくなるかもしれませんね!

AMFニュース [2022年 5 月 10 日号]

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 コロナ補助金と設備投資
 設備取得分は収入にならない

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引っ越し先での美容院や病院探し

春の引っ越しシーズンも過ぎ、新天地で新たな出会いや探索の機会も

増えているのではないでしょうか。

引っ越し先での美容院、歯医者さん、かかりつけ医を新たに探すのも一苦労です。

それでも、最近ではネットでいろんな情報を比較検討できますので、便利な時代です。

各種業種の店舗サイトをネット検索していると、うちはこれだけコロナ下の

衛生対策に力を入れています的な宣伝文句が増えています。

大事なポイントですね。

 

コロナ下での補助金が設備導入のモチベに

設備は素晴らしいけど、投資金額的にためらいがあったが、今回のコロナ補助金が

思い切って導入をするきっかけとなったと歯医者さんが話していた設備がありました。

口腔外バキュームと言われるもので、歯科治療で広範囲に飛散すると言われている

エアロゾルの飛沫を吸引し、飛散や感染を防止するものです。

東京都や神奈川県をはじめ各自治体で100万円を上限等などの条件

(=半分程度の補助となるようです)で、コロナ対策補助金とされたことで、

歯科医師会のサポートもあり、こうした設備の導入が業界内で進んだようです。

この設備の有無での比較写真を見ましたが、安心安全のためにはこうした補助金と

設備導入はどんどん進んでほしいものです。

 

補助金は原則収入として課税対象となる

コロナ下では、持続化給付金や家賃支援給付金など、様々な補助金や給付金が

施されました。

こうした支援金は、確定申告において収入として計上する必要があります。

しかしながら、補助金で設備を導入した場合には、所定の手続きにより、

設備投資額分だけ収入金額に計上しない課税の方法があります。

長い目で見ると減価償却の計算を通じて、結果的には、課税負担は

平準化されるようになっていますが、補助金をもらった年度に一時に

課税される事態は回避されることになります。

こうした補助金の申請も令和3年度分まではすでに終わっています。

これからまた令和4年分の受付が始まるのか否かは、今後の感染状況によるものと

思われます。

コロナ下でも果敢に生き延びて行けるよう、給付金や補助金などの支援情報にも

敏感に気を配りたいですね。

パンデミック(世界的大流行)は3年目に入り7波もやってくると言われていますが、

早く落ち着いてほしいものです。

AMFニュース [2022年 5 月 3 日号]

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 所得税と消費税の負担感
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インボイス制度実施に伴い、免税事業者は課税事業者になると

消費税の負担の重さに驚かされることでしょう。

所得税の負担軽減に代えて消費税課税を充実させる国の税体系の見直しが

着々と進められています。

 

税収では既に消費税が所得税を上回る

消費税導入の翌年である平成2年は、所得税の税収26兆円に対し、

消費税の税収は4兆円でした。

この後、所得税は所得控除の見直し、税率の引下げやブラケット幅の拡大により

累進緩和がはかられ税収は減少していきます。

一方、消費税の税収は平成9年、平成26年の税率引上げを経て所得税の税収と横に並び、

令和元年10月の引上げで消費税の税収は、ついに所得税の税収を逆転しました。

 

税収の推移

〇平成2年   消費税率 3%   消費税 4.6兆円   所得税 26.0兆円

〇平成9年   消費税率 5%   消費税 9.3兆円   所得税 19.2兆円

〇平成26年  消費税率 8%  消費税 16.0兆円   所得税 16.8兆円

〇令和2年   消費税率 10%   消費税 21.0兆円     所得税 19.2兆円

 

免税事業者にかかる負担

財務省の令和4年度税収概算では、総額65兆円の税収見込のうち、消費税は21兆円。

所得税は20兆円で、うち給与の源泉徴収が11兆円と大半を占め、

事業所得は、わずか0.6兆円です。

インボイス制度の実施により、影響を大きく受けるのは事業所得者となるのでは

ないでしょうか。

事業収入から控除される必要経費には、保険料、租税公課、減価償却費、給与、

事業専従者控除などが含まれますが、消費税ではこれらの経費は仕入税額控除できず、

免税事業者が課税事業者となる場合、消費税の負担は大きく感じることでしょう。

 

消費税課税に向き合うためには

免税事業者にとって消費税導入から30年以上にわたり享受してきた益税の

恩恵がなくなろうとしています。

消費税の導入以来、所得税は累進緩和を通じて負担軽減されてきましたが、

税収の減少を消費税でまかなおうとする国の政策転換は、社会保障の財源確保が

不可避となる中、インボイス制度によって更に加速されます。

事業所得者は、これまで以上に収益拡大を図る経営に専念し、通常の年は簡易課税で、

多額の設備投資のある年は原則課税で申告するなどタックスプランニングを

行う対応が求められるのではないでしょうか。

AMFニュース [2022年 4 月 26 日号]

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 税金滞納、その後は?
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税金を滞納するとどうなるの?

税金を滞納すると、特別な手続きを行わなければ、税務署などから

催促を受けることになります。

それでも税金を払わない場合は財産に対して「差押え」が行われます。

差し押さえられたものが財産の場合は金銭に換える「換価」が行われ、

売却して滞納分の税金に充てられます。

 

督促が必ず行われる

国税については原則納期限から50日以内に督促状が送られてくることになっています。

地方税については納期限から20日以内と定められています。

この督促状を発行した日から10日以内に税金を完納しないと

財産を差し押さえられることになります。

 

差押調書と差押え

差押えは、滞納者の元に差押調書という書面が送られてきます。

差押調書には滞納している税金の金額と、滞納者の財産を差し押さえた旨、

どの財産が差し押さえられたのか等が記載されています。

差し押さえられるものは「第三者の権利を害することが少ない財産、

滞納者の生活に支障が少ない財産、換金性の高い財産、保管や引き揚げに便利な財産」を

優先するようになっています。

 

換価と配当

差し押さえられた財産を金銭に換える処分を経て、滞納分の税金に充てられます。

滞納している税金よりも、差押財産の代金が高かった場合は、「配当」として

滞納者に支払われます。

 

納税や換価は猶予を願い出ることができる

どうしても税金を払えない事情がある場合は、納税の猶予や換価の

猶予制度の利用を検討しましょう。

この申請をすることによって分割での納税や延滞税の税率軽減、

財産についての差押えや換価処分を猶予してもらえたりします。

税金は期日までに払わないと延滞税がかかったり、差押えが発生して

面倒なことになったりします。

きちんと納付できるのならば、それに越したことはありません。

AMFニュース [2022年 4 月 19 日号]

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 カスタマーハラスメント 対策は進んでいますか?
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カスタマーハラスメントも対策が必要です

2022(令和4)年4月から、中小企業にもパワーハラスメント(以下、パワハラ)

防止努力義務が課されます。

パワハラと言えば、一般には上司と部下、先輩と後輩など、社内でのハラスメントが

イメージされがちです。

近年、社外の顧客や取引先から従業員に対する暴言、限度を超えたクレーム、

強要などの迷惑行為により、従業員が心身に支障をきたし休職や退職につながる

といった、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)が、

社会的な問題になっています。

従来「お客様は神様」と言われてきましたが、企業には従業員を

お客様から守る対策が求められているのです。

 

カスタマーハラスメントのパターン

今年の2月に、厚生労働省は「カスタマーハラスメント企業対策マニュアル」を

公表しました(同省ホームページからダウンロードできます)。

このマニュアルでは、企業が悩む顧客等からの行為を、次のように分類しています。

 ① 時間拘束・・・拘束・居座り等

 ② リピート型・・・頻繁なクレーム等

 ③ 暴言・・・恫喝、罵声等

 ④ 揚げ足取り・・・電話や応対時

 ⑤ 脅迫・・・言動による脅し等

 ⑥ 権威型・・・特別扱いの要求等

 ⑦ SNSへの投稿・・・企業・社員の名誉棄損

 ⑧ 過度な要求・・・値下げ返金要求等

 ⑨ コロナ禍関連・・・マスク着用拒否等

 ⑩ セクハラ・・・つきまとい、盗撮等

 ⑪ その他・・・不法侵入・立入等

 

企業としてどんな対策が必要か?

厚生労働省は、企業が取るべき対策として、「カスハラの判断基準を明確にした上で、

企業の考え方、対応方針を統一して現場と共有しておくことが重要」としています。

つまり、顧客の要求に妥当性があるか、要求の手段等が社会通念上相当かなどの

基準を決めて、現場との共有が求められます。

AMFニュース [2022年 4 月 12 日号]

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 税金よもやま話  自動車にかかる税金の種類
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自動車にはさまざまな税金がかかる

居所によってはなくてはならない移動手段の自動車ですが、この自動車には

さまざまな税金がかかります。

ガソリン代等にも税金はかかっていますが、今回は車体にかかる税金を

詳しく見てみましょう。

 

購入段階で2種類の税金

皆さんになじみの深い「消費税」は、自動車の購入時にもちろんかかってきます。

それとは別に「環境性能割」という税金がかかる場合があります。

燃費性能に応じて取得価格の03%(軽自動車の場合02%)が課せられます。

この環境性能割は20211231日までは消費増税後の負担を解消するために、

燃費性能の低い自動車に対する税率の軽減措置がありましたが、

今年から撤廃されています。

環境性能割込みで考えると、今年からは値段が少し高くなっている自動車も

あるということです。

昔あった「自動車取得税」は、消費税が10%になった201910月に廃止されています。

環境性能割はこの代替という意味合いもあります。

 

排気量にかかる自動車税

自動車税(軽自動車税)は毎年41日時点での自動車の所有者に課せられます。

この自動車税は自動車の排気量によって税額が定められています。

2019年税制改正で、税額が軽減されましたが、2019930日前に新規登録した

自動車については旧来の税額が適用されています。

自動車税(軽自動車税は除く)は月割りのため、年の途中で廃車等を行った場合は

還付が受けられます。

 

重さにかかる自動車重量税

自動車重量税はその名の通り、自動車の重さによって課される税金です。

2年に1度の車検の時に有効期間分を前払いします。

この自動車重量税は、燃費基準に応じて税額が免税もしくは安くなり、新車登録から

13年・18年を経過する場合、税額が高くなる特徴があります。

自動車重量税については2022年税制改正で、キャッシュレス納付制度が創設され、

20231月からはクレジットカードでも納付が可能になる予定です。

AMFニュース [2022年 4 月 5 日号]

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 パワハラとは何を判断基準とするのか
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パワハラ防止法は20224月からは中小企業にも施行されます。

事業主に対しパワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を講じる

義務を課した点に特徴があります。

パワハラ防止法が求める措置に対応するためには就業規則等の服務規律に関する

文書の整備、社内研修、相談窓口の設置などを行うことが求められます。

パワハラに該当することとは何でしょう?

 

パワーハラスメントの代表的な言動の累計

パワハラに該当する例として以下の6類型が挙げられています。

身体的な攻撃・・・暴行、傷害

精神的な攻撃・・・脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言

人間関係からの切り離し・・・隔離、仲間外し、無視

過大な要求・・・業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強要・仕事の妨害

過小な要求・・・業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を

         命じることや仕事を与えないこと

個の侵害・・・私的なことに過度に立ち入る

 

指針では、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や

指導についてはパワハラに該当しないとしています。

ただしパワハラと合理的指導の間の境界線が難しいという問題があるので、

さらに7つの要素をあげています。

ア、当該行動の目的

イ、当該行動を受けた労働者の問題行動の有無、内容、程度等の経緯、状況

ウ、業種、業態

エ、業務の内容、性質

オ、当該言動の態様、程度、継続性

カ、労働者の属性や心身状況

キ、行為者との関係性

これらの要素を検討した上で業務上必要か相当な範囲かを判断することになります。

 

パワハラを勘違いしやすいケース

部下指導で注意を行うべき時に部下から「不愉快」ととらえられ、パワハラ被害を

訴えられたらと思い注意ができなくなってしまう上司もいます。

業務上必要な注意指導は行き過ぎとならぬよう上記の7つの要素を考慮して

行うことが適切です。

また、部下からであっても発言内容・態度によっては上司に対するパワハラも

起こることがあります。

研修などで労使双方がパワハラ防止意識を高めましょう。

AMFニュース [2022年 3 月 29 日号]

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 青色専従者給与の適正額は?
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事業所得、不動産所得等の計算に当たり、必要経費に算入される青色専従者給与の額は、

親族以外の第三者に同じ仕事をしてもらう場合に支払ってもよいと考えられる金額を

想定して決めると良いかもしれません。

 

青色専従者給与の経費算入

生計一の配偶者や親族が事業から支払を受ける対価は、原則として必要経費に

算入されません。

しかし、青色申告を行う個人事業者には適切な帳簿記帳を行う見返りとして、

事業に従事する生計一の配偶者や親族に支払う給与を一定の条件のもと、

必要経費に算入する特例が認められています。

ただし、生計を一にする配偶者や親族に支払う給与は、家計からの資金流出を

実質的に防ぎ、さらに必要経費に算入して税負担を圧縮することが可能となるため、

この制度の利用には制限が付されています。


青色専従者給与の認定要件

青色専従者給与として経費に算入できる要件は、以下のものです。

 ① 事業者と生計を一にする配偶者その他の親族に支払われるものであること

  (支払を受ける側は、給与所得として課税)。

 ② 12月末現在で15歳以上であること。

 ③ その年を通じて6月超(一定の場合は従事可能期間の2分の1超)、

   その事業に専ら従事すること。

 ④「青色事業専従者給与に関する届出書」を算入しようとする年の315日までに

   所轄税務署長に提出すること。

 ⑤ 労務の対価として相当であると認められる金額であること。


課税上の扱い

課税上は、同じ職場の使用人給与の額や類似業種の専従者給与の額と比較して

適正な水準かが問われます。

判例には税理士の妻や歯科医の妻(歯科衛生士)に支払われた給与について、

同業者の青色専従者給与の平均額と比較し、高額と認められた部分の経費算入を

認めなかったものがあります。

アパート経営においても不動産会社と管理契約を締結している場合、オーナーの業務は

ほとんど発生しないため、配偶者や親族を青色専従者にするときは業務内容から

給与設定する慎重さが必要となるでしょう。

なお、事業としては認められない程度の事業規模の場合や、配偶者や親族が

他の仕事にも従事して年に6月超、事業に従事できない場合には、

青色専従者給与そのものが認められなくなるので注意しましょう。

AMFニュース [2022年 3 月 22 日号]

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 子供のない夫婦の相続
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子供のない夫婦が将来起きる相続を考えるとき、誰に自分の財産を託したいか、

遺言書で自らの意思をはっきり残しておくことが大切です。

 

相続人の範囲

遺言書がなく、遺産分割協議もできない場合、財産は、相続人に法定相続分で

引き継がれます。

被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、被相続人の外に血族がいるときは、

被相続人の子供(第1順位)、被相続人の父母など直系尊属(第2順位)、

被相続人の兄弟姉妹(第3順位)の順で、それぞれが配偶者とともに相続人となります。

 

甥、姪への予期せぬ相続

被相続人に子がなく、両親も他界、兄弟姉妹も既に死亡しているときは、

兄弟姉妹の子(被相続人にとっては、自身の甥、姪)が代襲相続人として

相続することになります。

兄弟姉妹との間で、生前、仲たがいしていた場合、甥、姪にとって思いもかけない

財産が舞い降り、お互い想定していなかった財産移転が起きることもあります。

 

遺言書で財産の引継ぎ先を指定する

このような意図しない相続が行われないようにするためには、遺言書を作成して

おくことで、財産を引き継がせたい人に渡すことができます。

兄弟姉妹がいる場合でも、遺言書があれば配偶者に100%財産を渡すことができます。

遺留分は兄弟姉妹にはありません。

ただし、夫婦のどちらが先に亡くなるかは分からないため、夫婦それぞれで

自分の財産を相手に渡す遺言書を作成しておく必要があります。

 

自分の人生の総括を

配偶者の外に財産を移転させたい場合には、公益団体等に寄附して社会貢献する

遺贈寄附という方法もあります。

遺言書を利用して自分の人生を総括し、自身の財産を承継してほしい人や団体に

財産を移転することは、意義があるかもしれません。

遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言の2つの方法があります。

前者は公証人役場で公証人が立ち会って遺言書を作成してもらう方法。

後者は自書で遺言書を作成する方法。

令和2年7月から自筆証書遺言書を法務局に保管してもらうことも可能になりました。

瑕疵のない遺言書を確実に作成したい場合は公正証書遺言とし、自身の意思を

伝えることが主な目的であれば、自筆証書遺言で良いかもしれません。

自身に合った方法を選択してはいかがでしょうか。

AMFニュース [2022年 3 月 15 日号]


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 医療費を補填する保険金
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保険金が出た時に陥りやすいミス

所得税の確定申告で多い医療費控除ですが、個人で入っている生命保険から、

入院給付金等が出ている場合、医療費控除の計算からその金額を

差し引かなければなりません。

ただし、差引計算はその補填を受けた治療等のみが対象なので、入院給付金が

対象の治療費以上の額になったとしても、他の医療費から差し引く必要はありません。

例えば、

 ①病気で入院して、30万円かかった

 ②生命保険契約により入院給付金として50万円給付された

 ③入院とは別に、歯の治療により20万円かかった

という方の場合、

医療費の計算は30万円+20万円)−50万円=0円、

という計算ではなく、

30万円−50万円=0(マイナスは計算しない)20万円かかった医療費は20万円

ということになります。

保険制度が充実している昨今、こういった誤りが散見されます。

注意しましょう。

また、かかった医療費よりもらった入院給付金等が多い場合ですが、

怪我や病気になった時に受け取る入院給付金等については非課税となっていますので、

この金額を所得として申告する必要はありません。

ただし、被保険者が生前に受けた給付金を残して死亡した場合、残りの額は

相続税の課税対象となります。


申告時に未確定の場合は見積額で

12月に支払った入院費用を補填するための保険金の額が、翌年3月の確定申告の際に

確定していない場合は「見積額」で申告することになります。

また、見積額が後日保険金等の確定額と異なった場合は、医療費控除を訂正して

申告する必要があります。

 

年またぎの保険金の補填は?

確定申告を行う年分とその翌年分に支払った入院費用に対して補填する保険金を、

まとめて受け取った場合の医療費控除の計算は、支払った入院費用の額に応じて、

各年分に按分する必要があります。

例えば、

①12月にかかった入院費用は50万円

翌年1月にかかった入院費用は100万円

入院給付金等は2か月分で60万円

という方の場合、12月分の保険金の補填額の計算は

60万円×50万円÷(50万円+100万円)20万円、

ということになります。

AMFニュース [2022年 3 月 8 日号]

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 令和4年度の雇用保険料率 2段階引き上げ
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2段階で引き上げ改定される雇用保険料

新型コロナの影響が続く中、おととしの2月からこれまでの雇用調整助成金等の支給額は

5兆円を超えていて雇用保険の財源不足が課題となっています。

厚労省の審議会で議論されてきましたが、雇用保険料改定が決まりました。

それによると労使折半で賃金の0.2%を負担している失業給付などを支払う事業の

保険料率は4月から半年据え置き、10月から3月まで0.6%上げるとしています。

一般の事業では労使で4月~91000分の9.510月~3月は1000分の13.5となります。

4月の時点では労働者の給与から控除される保険料は変更ありません。

 

改定の内訳と流れ

雇用保険料は労使が負担する雇用保険料や国庫負担などで賄われています。

雇用保険料の中身は失業給付(労使折半)、育児休業給付(労使折半)

雇用二事業(事業主負担、助成金や教育訓練に充てる)で構成されています。

今までは積立金が一定水準を超えていたことで労働者0.3%、事業主0.6%と

原則より低い負担で抑えられてきましたがコロナ禍で積立金が枯渇してきています。

令和4年度の失業負担分は4月には据え置かれますが10月には0.6になります。

また、育児休業給付に係る保険料率は年間通し0.4%のまま据え置かれます。

一方、事業主のみが負担する「雇用保険二事業」の料率は4月から0.3%から

0.35%に上がります。

その結果事業主負担は全体で0.65%になります。

 

料率改定事務 変更分はいつから

今のところの予想ですが、令和4年度の労働保険概算確定申告時に

4年度の概算額として事業主負担の二事業の引き上げ分を乗せます。

また、10月からの料率改定の分は10月以降の概算賃金額に引き上げられる新料率を

かけて保険料の概算額を出し、前半分と後半分を足して1年間の概算額とします。

詳しくは令和4年度の労働保険料の計算方法が発表されてから確認することとなります。

各労働者の給与からの雇用保険料率の徴収額が上がるのは令和410月分給与からです。

AMFニュース [2022年 3 月 1 日号]

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 ふるさと納税 指定自治体の解除
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ふるさと納税は指定制?

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,000円で

返礼品が貰えるふるさと納税制度。

ワンストップ特例を利用しない方は、確定申告が必要です。

今や多くの方に認知されている制度ですが、「総務大臣が指定する自治体への寄附」で

ないと、ふるさと納税の寄附金控除が受けられないのはご存じでしょうか?

 

いわゆるお礼の品3割ルール

総務省は過熱するふるさと納税に対して、平成31年に返礼品等の調達に対する

ルールを定めました。

いわゆる「お礼の品は寄附額の3割以下で地場産品」というものです。

このルールを破った自治体は、2年間指定を取り消され、ふるさと納税の寄附については

控除が受けられなくなるため、実質的にはふるさと納税の運用ができなくなります。

皆さんが普段ふるさと納税を行うポータルサイト等では、指定取り消しを受けた

自治体への寄附ができないように処置するので、あまり利用者には見えないものですが、

直近でいえば令和4117日付で、宮崎県都農町が指定取り消しとなり、

翌日18日付の寄附から2年間は、ふるさと納税の寄附金控除が受けられなくなりました。

なお、それ以前の寄附については通常のふるさと納税扱いとなりますので

ご安心ください。

 

自治体・業者のリスクがある制度

都農町のケースは「格安な牛肉を返礼品として用意したが寄附が殺到して、

当初の取扱い業者の手に負えなくなり、町が割高な代替品を調達してしまい、

結果お礼の品の価値が寄附の3割を超えてしまった」という顛末です。

ふるさと納税を集めたい、そしてふるさと納税額を持続してゆくために

設備投資等をしてゆくというサイクルの中で、指定取り消しで2年間は

多額の取引を失ってしまい、結果として「ふるさとの衰退」を招く可能性があります。

節度のある制度の活用を心がけていただきたいものですね。

AMFニュース [2022年 2 月 22 日号]

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  toBでの免税事業者の消費税転嫁は保護されるのか
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インボイス開始当初の経過措置

令和5年10月1日から、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が

新たに始まるわけですが、インボイス番号を持たない免税事業者も消費税を

請求出来ることが制度の前提になっています。

そして、令和5年10月1日から最初の3年間は免税事業者の請求する

消費税額(110分の10)の80%を、取引相手は、仕入税額控除可能とし、

次の3年間は当該(110分の10)50%を仕入税額控除可能とし、

その後は0%としています。

 

経過措置は値上げを前提としている

取引相手の仕入側としては、110分の8又は5が仕入税額で、税抜き購入価格は

110分の102又は105となり、6年経過後は110となります。

従って、購入価格の値上げが起きたことになります。

toBでの取引弱者に該当する多くの免税事業者は、少なくとも、

値上げとなる部分の取引価格の減額を要求されるはずです。

 

公取委の独禁法の適用方針

公正取引委員会は、「インボイス対応Q&A」を発表し、取引上優越した地位の立場で、

免税事業者である仕入先に対して、発注時に定めた下請代金の額を減じた場合には、

下請法で禁止している下請代金の減額や買い叩きとして問題となるとしています。

そう言いながら、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者に対して

取引価格の引下げを要請し、交渉において、仕入税額控除が制限される分について、

双方納得の上で取引価格を設定すれば、結果的に取引価格が引き下げられたとしても、

独占禁止法上問題となるものではない、としています。

 

公取委の態度は実効性を無にする

公正取引委員会のスタンスは、仕入側の控除消費税額の制限による損失分の

値下げは問題なしではあるが、免税事業者自身が負担している仕入消費税分にまで

食い込むようなことになってはならない、との、幅のあるものです。

免税事業者が、消費税の損税化(不転嫁による自己負担化)という事態に陥ることは、

独禁法上としても見過ごせない問題なのでしょう。

しかし、消費税の請求額をゼロとして、免税事業者に於いて発生している

前段階消費税を取引価格へ上乗せする(値上げ)というような話し合いは、

現実性が乏しく、公取委の見解表明は実効性を伴わない

アリバイ作りのように感じられます。

AMFニュース [2022年 2 月 15 日号]

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 賃貸不動産の一時的空室
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相続で賃貸不動産を取得したとき、財産評価で一時的に空室となっている住戸にも

評価減を認める取扱いを受けるには、賃貸業務の継続性に加え、空室期間を

長期化させないことが必要となります。

 

賃貸不動産の財産評価

相続や遺贈で財産を取得する場合、財産は時価で評価します。

相続財産の時価は、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に、

通常成立すると認められる価額とされています。

貸家および貸家の敷地の用に供されている貸家建付地は、賃借人が建物を

使用することで支配権を有しているため、貸主の側も利用に受忍義務が生じることから

評価額が減額されます。

反対に賃貸されていない貸室部分は賃借人の権利が存在しないので評価は減額されず、

自用地評価となります。


相続財産の一時的空室の扱い

一方、一時的な空室であることが認められれば、例外的に賃貸されているものとして

評価の減額が認められる場合もあります。

税務署は、質疑応答事例で相続した時点で空室があった場合、その空室について

相続の前後で賃貸が継続され、新たな賃借人の募集が退去後、速やかに行われ、

空室期間中、他の用途に供さず、空室期間が課税時期の前後で例えば1か月程度などの

要件をみたせば、事実関係を総合判断して例外的に、空室部分も

賃貸されているものとして評価減を認めるとしています。

しかし、現実は、空室はすぐに埋まらず、課税実務では、

「例えば1か月程度の要件を充たしていない」として自用地評価とされてしまうことが

多いのではないでしょうか。

 

不動産所得における一時的空室との違い

ところで、不動産所得では、空室期間が1か月を超えたとしても、賃貸業務を継続中で

あれば貸付の用に供されているものとして減価償却費などを経費として算入します。

これは不動産所得が1年間の総収入金額から必要経費の額を控除するフローの金額として

とらえられるのに対し、財産評価は、相続開始時のストックの評価額としてとらえる

こととの違いによるものと思われます。

 

空室を早期に埋める実態をつくる

空室を1か月で埋めるのは立地、賃料などでよほど優位な物件でない限り困難ですが、

間断のない募集活動により空室期間の短縮をはかり、空室が一時的であることを

事実関係から説明できるようにしましょう。

AMFニュース [2022年 2 月 8 日号]

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 賃借人の孤独死
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一人暮らしの高齢者に賃貸した場合、オーナーは、賃借人の孤独死と

向き合うことを余儀なくされますが、これからは地域コミュニティと連携し、

高齢者をターゲットにした賃貸を新たなビジネスモデルとして考えると

良いかもしれません。

 

賃借人の孤独死リスクとは

賃貸オーナーは、賃借人の孤独死が判明すると、警察へ通報した後、残存物の処理、

原状回復・リフォーム工事などの費用がかかるばかりか、賃借人の募集期間中は

収入がなくなるなど、大きな負担となります。

さらに、次の募集では告知事項として孤独死の事実を明らかにすることが求められ、

賃料を下げざるを得ないリスクも生じます。

 

高齢者賃貸にはメリットも多い

その反面、高齢者には貸し渋るオーナーが多いため、高齢者の賃借ニーズは高く、

一度契約すると長期にわたり居住してくれるので、オーナーとしては退去に伴う

空室リスクや工事の費用や募集コストを減らして、安定的な家賃収入を

確保することが見込めます。

実は、孤独死は高齢者より、むしろ5060代に多いというデータもあります。

 

必要経費には、継続的な賃貸がポイント

不動産所得における必要経費の要件は、賃貸収入を得るため、業務に必要な

費用であること、または業務に関連した費用であることです。

賃貸契約解除から、原状回復・リフォーム工事、募集活動を経て、

新たな賃借人の入居までが間断なく行われ、再び賃貸が始まるのであれば、

賃貸業としての継続性が担保されます。

この場合、不動産所得の計算上、原状回復・リフォーム工事の費用は、

業務に直接要した費用として、また、減価償却費や固定資産税は、

業務に関して生じた費用として、必要経費になります。

 

コミュニティと連携した賃貸モデルを!

大事なことは、入居者の孤独死への対応をしっかりしておくことです。

契約時には賃借人に損害保険を付保する、介護サービスを利用する、

地方自治体や民間の見守りサービスを活用するなどです。

コミュニティで高齢の入居者を途切れなく見守り、親族からの定期的な連絡を

加えることで、リスクを極力減らし、結果として、安定的な賃貸収入の

確保にもつながることでしょう。

一人暮らしの高齢者が増える中、孤独死リスクと向き合う高齢者への賃貸が、

時代の要請に適うのかもしれません。

AMFニュース [2022年 2 月 1 日号]

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 今年も確定申告ですね
 歯の治療費と医療費控除

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歯科診療で医療費控除の対象となるもの

歯科医師の診療・治療に対する支払で、病状などに応じて一般的に支出される

水準を著しく超えないものは、医療費控除の対象となります。

ただ、保険がきかないもの(自由診療)や、高価な材料を使用する場合など

判断に迷うものもあります。

具体的な例を見ていきましょう。


(例1)金やポーセレン(セラミック)を使用した歯の治療費

    …医療費控除の対象(

     歯の治療のために一般的に使用される材料を使用するのであれば、

     健康保険の適用がなく、高額となったとしても控除の対象となります。

     金やポーセレン(セラミック)は、現在では一般的に使用されている

     ものですので、控除の対象となります。


(例2)インプラント治療・入れ歯(義歯)

    …医療費控除の対象(

     (例1)と同じ考え方です。

     治療等が失われた歯の機能を補う目的の一般的なものである限り、

     控除の対象となります。

 

(例3)発育段階にある子供の不正咬合の歯列矯正

    …医療費控除の対象(

     歯列矯正を受ける方の年齢や矯正の目的などからみて社会通念上

     歯列矯正が必要と認められる場合、控除の対象となります。

 

(例4)容ぼうを美化するための歯列矯正の費用

    …医療費控除の対象外(×

     歯の治療に対する支払ではないので、該当しないこととなります。

 

(例5)小さいお子さんの通院に付添いが必要な場合の付添人の交通費

    …医療費控除の対象(

     通院費に含まれます。

     この場合、通院日・金額も記録しておくようにして下さい(ガソリン代など、

     公共交通機関以外を使用した場合の費用は、控除対象になりません)。

 

(例6)歯の治療費を歯科ローンやクレジットにより支払う場合

    …その年に信販会社が立替払をした金額が医療費控除の対象控除の

     対象となる医療費は、その年に支払ったものが対象であり、未払のものは

     対象となりません。

     歯科ローンの場合、治療費を信販会社が立替払をして、その立替分を

     患者が分割で信販会社に返済します。

     そのため、信販会社が立替払をした年のその立替えた金額が

     控除対象となります。

 

(例7)歯石・歯垢の除去費用・ホワイトニング

    …医療費控除の対象外(×

     目的が治療でないものは、対象となりません!

AMFニュース [2022年 1 月 25 日号]

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 令和4年度・税制改正大綱 消費課税編
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令和4年度税制改正(消費課税)

消費税については、大きな改正はありませんでしたが、令和5年10月から開始される

インボイス制度(適格請求書等保存方式)の登録方式の見直しなどが行われています。

 

(改正1)免税事業者の適格請求書発行事業者の登録(消費税)

適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)となるには、

消費税の「課税事業者」でなければなりません。

この「課税事業者」であるかどうかは、課税期間ごとに判定されるため、

これまでの規定では、原則としてインボイス発行事業者の登録も

課税期間の中途ではできませんでした(経過措置として令和5年101日の属する

課税期間については中途登録ができます)。

改正後では、令和5年101日から6年間は、免税事業者であっても、

課税期間の中途の任意の時期でインボイス発行事業者となることができます

(この場合、課税事業者選択届出書の提出は必要ありません)。

 

(改正2)免税事業者が適格請求書発行事業者となった場合の納税義務の免除の特例

(改正1)の適用を受けて、登録日から課税事業者となるインボイス発行事業者

(登録日が令和5年101日の属する課税期間中である者を除く)については、

翌課税期間から2年間は免税事業者となれないこととなりました。

 

(改正3)外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し

輸出物品販売場(免税店)において、免税で購入することができる

非居住者の範囲が見直されました(令和5年5月1日より)。

(免税購入対象者)

  ①「短期滞在」「外交」又は「公用」の在留資格を有する非居住者

  ② 国内に2年以上住所等を有しない日本国籍を有する非居住者

    (戸籍の附表の写しや在留証明などの書類が必要)。

さらに、免税購入対象者が行う旅券情報の提供は、デジタル庁が整備する

「訪日観光客等手続支援システム」を用いて行うことができることとなりました。

(その他)

自動車重量税におけるキャッシュレス納付制度の創設、航空機燃料税の税率の見直し、

沖縄県産酒類(泡盛やビールなど)に係る酒税の軽減措置の段階的廃止等など。

AMFニュース [2022年 1 月 18 日号]

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 自身の相続を考えるとき
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自身にもいつか起きる相続には、遺言を利用した被相続人の合理的な判断が

欠かせません。

配偶者には残された人生を安心して過ごすための財産の帰属、子供たちには

将来の生活設計を考慮した財産の分配による合理的な判断が求められます。


法定相続と代襲相続の欠陥

遺言がない場合の遺産分配は、法定相続と代襲相続が基準となります。

法定相続は財産の分配ルールとして、代襲相続は相続開始以前に相続人となるべき者

(被代襲者)の死亡などの場合、その相続分を被代襲者の直系卑属に相続させる

合理的な制度です。

一方、法定相続では財産は一律に分配されてしまいます。

代襲相続では子が先に死亡していた場合、子の配偶者は代襲相続人になれないので、

突然の経済的苦境に追い込まれてしまいます。

相続人となるべきであった兄弟姉妹が先に死亡していた場合は、

兄弟姉妹の子(甥、姪)が予期せぬ代襲相続人となってしまいます。

このように、法定相続にも代襲相続にも、被相続人の意思は反映されず、

相続争いの原因にもなります。

 

血は水よりも濃し

血でつながった親族間では、他人同士の関係より比較にならないほどの強い愛情を

無意識に駆り立てます。

たとえば、3人姉妹は、喧嘩しても仲直りできますが、友人間では、いさかいがあると

そのまま別れてしまうこともあるでしょう。

 

兄弟は他人の始まり?

しかし、3人姉妹が結婚後、親の財産を相続する場合、配偶者がいると、

住む家を持つ者、持たない者、家族に病人がいる者、裕福な夫と結婚した者など、

それぞれ境遇が貧しくても豊かでも、遺産分割協議では互いに譲らず、

しばしば修復しがたい争いが起こります。

親は血を分けた子供たちの間で争いが生じることを望んでいなかったはずですが、

争いは3人姉妹が死亡した後も、それぞれの夫や子を巻き込み、

収拾がつかなくなるかもしれません。

 

遺産分配は遺言で

こうして考えると、被相続人としては、配偶者に財産をどのように帰属させるか、

子供たちに財産をどのように分配するかをあらかじめ自分の意思で合理的に決定し、

遺言しておくこと、さらに生前贈与や相続人の寄与分、配偶者の特別寄与料で調整し、

そのうえで最後に法定相続分に委ねる遺産分配を考えることが大切になりそうです。

AMFニュース [2022年 1 月 11 日号]


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 法定休日と法定外休日
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法定休日と法定外休日の違い

従業員が仕事を休む日数は労基法で定められ法定休日は少なくとも

「毎週1回」もしくは「4週間を通じて4日」を与えることになっています。

4週間を通じて4日の休日」とは「就業規則などで定められた特定の4週間に

4日の休日を付与する」ということです。

法定休日は必ずしも曜日を特定する必要はありませんので日曜日とは限りません。

会社で自由に設定することができます。

また、法定休日は一斉に付与する必要はありません。

シフト勤務制を採用している場合など、各人ごとに異なる日を法定休日として

設定できます。

決定した通り就業規則に記載するとともに個々の雇用契約書にも記載し、

特定する必要があります。

 

法定休日の決め方

毎週1日の法定休日を一斉にする場合

  法定休日をいつにするかを決定し「例えば法定休日は日曜日とする」というように

  決めます。

シフトの勤務制の場合は

  各人ごとに決めますので週のうち原則1日は付与する設定で、同じ週に

  複数の休日がある場合は休日がわかるように決める必要があります。

法定休日労働

  法定休日に働いてもらう必要が生じる場合は三六協定届を労働基準監督署に

  出しておきましょう。

 

法定外休日(所定休日)

週1日以上の休日を「法定外休日」もしくは所定休日と言います。

法律で定められた休日以外に与える休日です。

会社で自由に設定できますがあらかじめ設定しておく必要はあります。

例えば土曜日と日曜日が会社の休日とした場合は日曜日が法定休日とすると

土曜日は法定外休日となります。

国民の祝日は法定休日でないので会社が休日を法定休日としていなければその日を

休ませなくとも違法ではありません。

他に夏季休暇や、年末年始休暇等があります。

法定外休日労働は労基法の休日労働ではありませんので休日労働としての割増賃金は

不要ですが、1週の法定労働時間を超えた分の割増賃金が発生する場合があります

(事前に振替休日を他の日に決めてあれば割増しは発生しません)

1週間のスタートは就業規則などで定めていなければ日曜日になります。

AMFニュース [2021年 12 月 28 日号]

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 年末調整の訂正はいつまでできるの?
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12月末」の状況を申告するものです

会社勤めの方でしたら、12月の上旬ごろに経理の方に「早く年末調整の書類を

出してください」とせかされたことがあるかと思います。

そんな中で、提出した年末調整の内容が、12月末の状況とは異なる場合は、

訂正することができます。

年末調整はその年の12月末日の状況を申告するため、書類を出した後に

「子供がアルバイトを熱心にやっていたため、扶養親族から出てしまったのが発覚した」

とか「生命保険料の新規契約を12月に行った」とか「離婚してひとり親控除を

受けられるのを忘れていた」といったことがある場合、訂正が可能です。

 

訂正期限は翌131日?

年末調整のやり直しは翌年の131日までは原則可能です。

この場合、会社が税務署や市区町村に提出する法定調書合計表や給与支払報告書の

提出期限が131日のため、それまでに修正を行えば問題なく、源泉徴収税額を

修正すれば、通常の年末調整と同様の対応で問題ありません。

法定調書合計表や給与支払報告書を提出した後に訂正する場合は、

源泉徴収票だけでなく、税務署や市区町村に提出した書類まで訂正する必要があるので

手間がかかります。

法定調書の修正を紙で申告する場合の提出書類を例にしてみると

 ① 先に提出した「法定調書」の写しの右上に「無効」と赤書きしたもの

 ② 無効分の「合計表」の提出区分を「無効」としたもの

 ③ 正しい「法定調書」の右上に「訂正」分と赤書きしたもの

 ④ 訂正分の「合計表」の提出区分を「訂正」としたもの

を提出する必要があります。

 

提出期限後は確定申告で直した方が楽?

経理の集計ミスではなく、社員の方の環境の変化であれば、翌年に確定申告で

扶養控除等の再計算を行い、追加納付すべき税が発生した場合は個人で納付を行えば、

それで作業が完了となるため、修正をお願いするのに比べると、経理の方の心証は

大分よくなるのではないでしょうか。

AMFニュース [2021年 12 月 21 日号]

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 ふるさと納税と住宅ローン控除
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住宅ローン控除とふるさと納税の誤解

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,000円で

返礼品が貰えるふるさと納税制度。

「お礼の品で地方の特産品が貰えてお得なのは知ってるけど、ウチは住宅ローン控除が

たくさんあるからふるさと納税できないのではないか」と躊躇している方が居るかも

しれませんが、実は住宅ローン控除がたくさんあっても、ふるさと納税がお得に

楽しめるケースが圧倒的に多いのです。

 

控除上限額は住宅ローンでは変わらない

ふるさと納税の控除上限金額は、大まかにいうと「所得に対する住民税の額」の

大小によって決まります。

住宅ローン控除は所得税を引き切ってしまった場合、特例として残っている

住宅ローン控除の額で、定められている限度額までは住民税を引いてくれますが、

その住民税を引く計算は「税額控除額」という扱いとなっていて、ふるさと納税の

控除上限金額を計算する上での「所得に対する住民税の額」には影響しないような

作りになっています。

よって、住宅ローン控除がいくらであっても、ふるさと納税の控除上限金額に

変化はありません。

ただし、「所得税を引き切っていて、住民税を定められている限界値まで引いている」

場合で、ふるさと納税を確定申告した場合、「税金を引けない部分が出てしまう」

ことで、上限以内の寄附でも自己負担が2,000円以上かかるケースがあります。

 

自己負担は2,000円では済まないが得?

「自己負担が2,000円以上かかる」とはいえ、税が減らないのは所得税部分のみと

なるため、自己負担が増える額は少ないのです。

住民税側の控除は行われるため、寄附によって貰えるお礼の品の価値を考えると、

控除上限金額までの寄附であればお得感がある場合が多くなります。

また、住民税を限界まで引いていたとしても、確定申告をしない方で5か所以内の

自治体への寄附であれば利用できる「ワンストップ特例制度」を使えば、

住宅ローン控除で自己負担が2,000円で済まない問題は無視できます。

不安な方はワンストップ特例制度を積極的に利用するとよいでしょう。

AMFニュース [2021年 12 月 14 日号]


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 マイナポイント・GOTO・ふるさと納税等

 お得に潜む一時所得
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マイナポイント第2弾実施予定

マイナンバーカードの普及とキャッシュレス決済の普及促進を目的とした、

マイナポイント制度は来年第2弾を実施予定です。

マイナンバーカードを取得し、キャッシュレス決済サービスとのひも付けをし、

チャージまたは決済で最大5,000円、健康保険証の利用登録をすると7,500円、

公金受け取り用の預貯金口座の登録をすると7,500円の、各種ポイントが付与されます。

 

マイナポイント「だけ」は一時所得

国税庁は個人が商品を購入する際に決済代金に応じて企業から付与されるポイントに

ついては「通常の商取引における値引き」と同様の行為が行われた考えられ、

所得税の課税対象にならないものと説明をしています。

ただし、マイナポイントについては「商取引ではなく決済前のチャージ等を行った際に

付与されるもの」で、「通常の商取引における値引き」ではないので、その経済的利益は

一時所得として所得税の課税対象となる、としています。

 

一時所得は合算で計算される

課税される一時所得の計算は

(貰った額-払った額-50万円)×1/2=課税される一時所得の額 となります。

50万円の特別控除があるため、マイナポイントの付与だけでは課税は発生せず

確定申告も必要ありません。

ただし、新型コロナウイルス感染症の経済対策である「GOTOキャンペーン」の

支援された額や「ふるさと納税」のお礼の品についても一時所得とみなされ、

一時所得の計算の「貰った額」については、一時所得の合算で計算されるため、

各種お得な仕組みを利用していたらいつの間にか大きな金額になっていた、

ということも考えられます。

 

他にもいろいろ一時所得

他にも「住まい給付金」や「生命保険の満期払戻金」、「懸賞や福引の賞金品」、

「競馬の払戻金」など、さまざまな「ちょっとしたお金」が一時所得に該当します。

近年ではふるさと納税のお礼の品の価値が50万円を超え、申告をしなかった方が

申告漏れを税務署に指摘された、というケースも確認されています。

ご留意ください。

AMFニュース [2021年 12 月 7 日号]


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 ふるさと納税で注意するべき

  今年の控除上限金額の計算
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そろそろふるさと納税の季節です

これから年末にかけてが、ふるさと納税のシーズンです。

ふるさと納税は、通年寄附ができるのですが、自己負担が2,000円で済む、

いわゆる「控除上限金額」が、今年1~12月の所得や控除で決まるため、

年末に今年の状況を把握して寄附する方が多く、ふるさと納税を受け付けている

自治体・代行業者が広告を打つ数も増えるため、駆け込み需要も巻き込んで

年末に活況となります。

今年途中で転職・退職した方や、不動産所得や事業所得がある方、株や不動産の

譲渡があった方等は、去年の確定申告書等の数字で控除上限金額を算出すると、

実際の金額との乖離が出てしまう可能性がありますので、注意が必要です。

 

退職した際は要注意

退職所得は残念ながら、ふるさと納税の計算には入りません。

ただし、退職金を年金払いで貰う場合、その年ごとに支払われる年金は

ふるさと納税の計算に入ります。

年の途中に退職された場合は、去年と比べると給与収入は下がっているはずですから、

ふるさと納税の控除上限金額も下がります。

 

事業・不動産の所得金額を仮決算

ふるさと納税の控除上限金額は、大まかに言うと来年6月から徴収される住民税の

大小によって決まります。

事業や不動産収入がある方は、給与収入のみの方と比べると、経費や減価償却費、

固定資産税等を引いた後の所得金額が年によって変動しやすいため、ふるさと納税の

控除上限金額が把握しにくくなります。

このあたりは年末までに仮決算を組み、所得を予想して対処するしかありません。

 

特定口座源泉徴収ありの譲渡益に注意

株式の譲渡益も、ふるさと納税の控除上限金額の計算に利用できますが、

特定口座源泉徴収ありの場合、内容を確定申告しないとふるさと納税に利用できません。

ただし、確定申告に出してしまうと、国民健康保険加入の場合は保険料が

上がってしまったり、配偶者控除や基礎控除の減少・消失が発生したりと、

デメリットも存在するので注意が必要です。

ふるさと納税の控除上限金額の増加で貰えるお礼の品の価値と、保険料や税金の

増加の額を鑑みて、有利不利の判定が必要となってきます。

AMFニュース [2021年 11 月 30 日号]

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 決算賞与の留意点
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決算賞与とは

決算を迎えるにあたって、思った以上に利益が出そうなので、どうせ税金で取られる

なら、頑張った従業員に賞与を払って税金を減らしたいと考えるのは、世の常です。

これが決算賞与です。

 

気づいたときには時遅し

しかし、そう気づいたときは、既に時遅く、今から資金を手当てして賞与を払って

いたら決算月をまたいで、翌期になってしまう。

そうなると、税金は取られるわ賞与で資金は必要だわで、結局決算賞与を

諦めざるをえません。

 

税務署も人の子です

税務署も人の子です。

それでは無体ということで、次の条件をクリアすれば決算賞与を認めるとしました。

 ① その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して

   通知をしていること。

 ② 通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する

   事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。

 ③ その支給額につきの通知をした日の属する事業年度において

   損金経理をしていること。

3月決算を例に分かりやすくいうと、

 ① 3月中に全従業員に賞与金額を通知しておくこと

 ② ①の賞与を4月中に払っていること

 ③ ①の金額を3月中に決算賞与として損金経理しておくこと

 

しかし思わぬ落とし穴が

3つの条件の大前提は、決算月中に決算賞与額が確定していることです。

しかし、就業規則の賞与の規定に以下の一文があると大前提が崩れてしまいます。

「賞与はその支給日に在職する従業員に支払う」。

賞与決定日には在職していても翌月の賞与支給日には在職しているかどうか

わかりません。

これでは決算賞与額が確定しているとはいえないからです。

一般的な就業規則は上記の一文が必ずといってよいほど入っています。

ご留意ください。

AMFニュース [2021年 11 月 23 日号]

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 インボイス発行権限への恐怖
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適格請求書発行事業者登録制度受付け開始

令和5年10月1日から始まる適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)

登録申請の受付けは、令和3年10月1日から始まっています。

令和5年10月1日から直ちに適格請求書発行事業者として振る舞うためには、

原則、令和5年3月31日までに登録申請手続きを済ましておく必要があります。

登録の主たる目的は、インボイス番号の取得です。

 

インボイス番号なしの請求書

登録番号の取得手続きをしないまま、新制度が始まってしまうと、発行する請求書等に

登録番号を記載することができないので、たとえ消費税額の記載をしたとしても、

原理的には、相手は仕入税額控除することが出来ません。

相手が個人消費者なら問題にならないかもしれませんが、課税事業者だったら

取引上の大問題になりかねません。

 

法人の登録番号は決まっている

法人の場合の登録番号は、「T」(ローマ字)+法人番号(数字13桁)です。

法人番号というのは、公表されている法人のマイナンバーです。

もし、未登録者が請求書等に法人番号を記載していたら、登録番号と

誤認されるような事態が生ずるかもしれません。

 

誤認誘発とみなされると

課税当局は、法人番号を積極的に公表し、申告書等への法人番号の記載を

義務付けています。

同じ趣旨で、同名の多い法人などが自主的に請求書や領収書に法人番号を

記載することは有り得ることです。

しかし、それを一概に誤認誘発行為とするわけにはいかないでしょうが、

もし誤認誘発行為とみなされる事例になったとしたら、1年以下の懲役

又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

 

罰金を科せられると

罰金以上の刑を受けると、最低2年間はインボイス番号取得登録不可となるので、

経済取引において10%の消費税を請求しにくい状態に陥り、事業者としての

存続が厳しくなりかねません。

仕入税額控除をする側も、誤って仕入税額控除してしまわないように、

登録事業者の番号を国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで

適宜確認する必要がありそうです。

AMFニュース [2021年 11 月 16 日号]

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 インボイスがもたらす転嫁妨害や黙認
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免税事業者の消費税転嫁の権利

消費税法を素直に読むと、事業を行う者には、取引で受取った消費税を納める義務が

課せられており、ただし、年1000万円以下の課税売上しかない者については、

その消費税の納税義務が免除される、と書かれていることを確認することが出来ます。

すなわち、免税事業者といえども、消費税を請求して受取る権利があるのです。

消費税の転嫁拒否を監視する転嫁Gメンの根拠法である消費税転嫁対策特別措置法の

ガイドラインにおいては、免税事業者であることを理由にした消費税転嫁を制限する

買い叩きをしてはならない、とされていました。

課税事業者のみならず、免税事業者にも、消費税を転嫁請求する権利があることが、

ここでも確認できます。

 

インボイス制度では

令和5年10月1日から、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が

新たに始まるわけですが、ここで、事業者の消費税転嫁請求権に

変容が起きたわけではありません。

変容は、事業者の取引相手に於いてであって、その取引で適格請求書を

受領していない限り原理的には仕入税額控除が出来ないことになった、

ということにすぎません。

しかし、免税事業者は、インボイス番号を取得することが出来ません。

インボイス番号を持たない事業者から受取る請求書等は、適格請求書ではないので、

その受取人においては、原理的には仕入税額控除が出来ません。

ただし、経過措置として、制度開始後3年間は80%控除可能、

次の3年間は50%控除可能と、されています。

 

インボイス制度での弱者用新税率

そうすると心配なのは、当初3年間においては、転嫁消費税は8%にしてくれ、

次の3年間では、5%にしてくれ、その後は、消費税転嫁は控えて欲しい、

という要請が跋扈しそうな気がします。

こんな時こそ転嫁Gメンの活躍を期待したいところですが、都合よく

消費税転嫁対策特措法は、今年3月31日をもって、失効となっています。

消費税法の建付けからは、事業者が課税取引をしたら、その取引額の中の

110分の10は消費税のはずなのですが、当局には、この大前提を維持しようとする

姿勢はなさそうです。

買いたたきに遭いたくなければ、免税事業者も選択課税事業者となり

インボイス番号を取得せよ、との姿勢です。

AMFニュース [2021年 11 月 9 日号]

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 採用は労務管理の入り口
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採用の技術を高めることで最適な人材確保

コロナ禍で採用を抑えていた企業も、緊急事態宣言などの規制が解除されると

企業活動が活発になります。

新規に雇用を考える企業が増えて人手不足がくるでしょう。

人手不足には2種類あり、

1つは人手の「量」

もう一つは能力の「質」です。

どちらも必要ですが機械化で代替できるところはあるとしても

生産活動に人材は必要です。

会社に新しい人が入れば今の社員だけでできないことにも取り組んで変革し

成長する企業になるのが理想ですが、人材を生かすことができるかどうか

最初が肝心です。

採用は労務管理の入り口で、入り口で会社にふさわしい人材を選べば

大きな労務トラブルや反抗型、無責任型、情緒不安定などの問題になる人を

採らずに済むかもしれません。

ここでは採用の初歩の段階で判別できる事例を見てみます。

 

採用時にトラブルとなりやすい問題

① 面接当日に来ない人……

  これは結構あることで、それを避けるためには面接日の13日前に

  電話かメールで面接日時の再確認をします。

  これは内定後も必要なことです。

② 入社直前の辞退……

  内定時に内定通知書、誓約書等を送り返信してもらうことで辞退は少なくなります。

③ 転職者の場合には前職を辞めた理由は必ず聞く……

  転職理由に問題がないかを見ます。

  また、エリートより身の丈に合った人が結果的にはいいこともあります。

④ 自立心無し、親離れ無し……

  新入社員で親御さんとの関係が強そうと感じる。

⑤ 上司をうつ病にさせる逆パワハラ社員……

  できる人材を採用しても組織がうまく機能しない場合があります。

  パワーバランスのミスマッチが生まれます。

⑥ 給与のことを細かく聞く人は金銭問題を抱えているケースがありえます。

⑦ 入社後すぐ退職する……

  履歴書で転職回数の多い人は早期退職の確率が高く、

  転職志向の高さは適性検査で読み取れることがあります。

⑧ 入社後すぐに病欠……

  健康診断書は内定から入社前に求めて健康の確認をしておき、

  休職規定も試用期間中は対象としない旨の規定も必要でしょう。

短い時間の面接でも質問等押さえる所を意識しましょう。

AMFニュース [2021年 11 月 2 日号]

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 パートの社保加入の影響と企業の対応
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202210月から社会保険適用拡大

今まで対象外だった企業・社会保険の適用対象者が拡大されます。

改定ポイントは

  ①以前より小規模な企業(従業員数が常時100人超)も対象になる

  ②勤務期間が短い(2か月超)労働者も対象になる

現行では人員規模が500人超企業が対象でしたが、規模が100人超に引き下げられ、

さらに202410月には50人超に引き下げられます。

企業規模の従業員数とは社会保険の被保険者数で判断します。

人数は月ごとに数え直近12か月のうち6か月で基準を上回ると対象事業所です。

また、短時間労働者の範囲は1年以上雇用の方が対象でしたが、

2か月を超えて雇用していれば対象になります。

 

現行の短時間労働者の社会保険適用要件

社会保険の加入要件を満たす労働者とは

  ①週の所定労働時間が40時間(フルタイム勤務)の労働者

  ②所定労働時間がフルタイムの4分の3以上(多くは30時間以上)労働者

が加入者とされていました。

20164月より従業員が一定数(500)を超える企業の短時間労働者にも

適用されるようになりました。

202210月から100人超企業とされ雇用期間も2か月を超えて雇用すれば

対象となります。

今から準備が必要でしょう。

短時間労働者の適用条件は、

  ①所定労働時間が週20時間以上あること

  ②雇用期間が1年以上であることが見込まれること(20229月まで)

  ③賃金月額が88,000円以上であること

 

企業への影響と対応策

企業において大きな影響は社会保険料の負担増加です。

月額10万円のパートが10名いたとして新たに負担となるのは年額で約185万円です。

費用を早めに考えて計画しておく必要があります。

この先加入となる労働者に対して、対象者になることを説明する必要があります。

半年前など早い段階からの説明が良いでしょう。

加入を希望しない方には労働時間の変更が必要です。

又は社員転換等雇用形態の変更もあるかもしれません。

従業員から見れば将来の年金額が増えメリットと感じる方もいるでしょう。

会社全体の人員配置の見直しが必要になるかもしれません。

被保険者数が101人から500人の企業は、来年年金機構より通知が届きます。

AMFニュース [2021年 10 月 26 日号]

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 悪質な脱税犯に対する追徴税額
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脱税に対する罰金

脱税した儲けは、税務調査できっちりと押さえられ、本来納めるべきだった税額に加え、

一種の行政罰である加算税が課せられ、さらに納付遅延に対し延滞利息に相当する

延滞税もしっかりと上乗せされます。

脱税に関する報道では、末尾に、納税者のコメントとして、「国税局からの指摘を

真摯に受け止め、既に修正申告を行い、納付も済ませている……」とありますが、

本来納めるべきだった脱税額に加え、いったいどれくらいの罰金が

追加で持っていかれるのでしょうか?

 

脱税の悪質さで罰金の度合いが違ってくる

税務調査により追徴税額が発生したといっても、すべてが悪質な脱税という

わけではなく、何も隠してはいなかったけれども所得認識の時期のずれで

追徴税額が発生したというケースもあります。

本稿では、意図的に儲けを隠したいわゆる脱税の場合に、どんな罰金が

掛かってくるのかについて考えます。

また、一口に脱税といっても、実際の儲けより少ない金額で申告して

誤魔化している場合(=過少申告加算税)や、全く申告せず=無申告で儲けを

隠している場合(=無申告加算税)等、その悪質さの程度も変わってきます。

そして、その脱税のしかたについても、「二重帳簿の作成、売上除外、

架空仕入・経費の計上、棚卸資産の一部除外等」の事実の隠蔽や、

「取引の他人名義の使用、虚偽答弁等」の事実の仮装があった場合には、

より悪質なものとして、さらに重い罰則(=重加算税)に代えられます。

 

脱税の罰金はどれくらいになるのか?

いったいいくらの追徴となるのでしょうか。

話を単純にするため、本来の税金を地方税まで含めて税率30%とします。

(1)所得を少なく申告した場合

   本来の税金30

重加算税30×35%+過去5年内重加算税あり10%)→43.5%。

(2)無申告の場合

   本来の税金30

      +重加算税30×40%+過去5年内重加算税あり10%)→45%。

悪質な脱税では本来納めるべきであった税金の最大1.5倍にもなってしまいます。

また、延滞税が年7.3%で課せられます。

さらに、給与等の源泉税が悪質な不納付の場合、35%+10%の重加算税も発生します。

税は社会的評判を落とします。

脱税したお金は表立って使えないし、脱税額の大きさによっては逮捕もあります。

脱税は、何もよいことがありません。

AMFニュース [2021年 10 月 19 日号]

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 免税会社の適格請求発行事業者
 登録のタイミング

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取引からはじき出されないための登録? 

2021101日から「適格請求書発行事業者の登録申請」が始まっています。

2023101日から消費税の仕入税額控除方式が、

「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」となるためです。

消費税で仕入税額控除を取るためには、適格請求書(インボイス)が必要であり、

適格請求書を交付することができるのは、税務署長の登録を受けた

「適格請求書発行事業者」に限られます。

適格請求書発行事業者となるためには、消費税の課税事業者となって、

発行事業者登録をしなければなりません。

免税事業者からの仕入税額控除に関して、6年間の経過措置はありますが、経過後は、

インボイスを発行できない免税業者からの商品やサービスの購入では仕入税額控除が

取れないため、取引の相手先として選ばれなくなる可能性が高いです。

仮に選ばれたとしても、消費税額分の値引きを要求される可能性もあります。

 

登録すべきかどうかは経営面から検討する

消費税先進国の欧州でもそうですが、インボイスを発行できない事業者から

仕入れを続けると自社が負担する消費税額が増えるため、免税業者は敬遠されがちです。

よほど優位性がある商品やサービスでない限り、取引の相手先から外されかねません。

この適格請求書発行事業者となるか否かの選択は、経理の問題よりも、むしろ、

ビジネスの経営面から考えるべきものです。

登録を決めた場合、2023101日のインボイス制度開始と同時に

インボイスの発行をするためには、2023331日までに申請しなければなりません。

 

「登録における経過措置」利用がおススメ

免税事業者が適格請求書発行事業者となるためには、

先に課税事業者登録をしなければなりません。

しかしながら、ここにも経過措置があり、2023101日の属する課税期間中に

登録を受ける場合には、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要です。

何月が事業年度末月かにもよりますが、同じ事業年度内で、2023930日までは

免税事業者、101日から課税事業者となることもできます。

また、「簡易課税制度」で、納税額が少なくなるようでしたら、

その適用も検討してみるべきです。

AMFニュース [2021年 10 月 12 日号]

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 コロナ禍の税務調査
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コロナ禍で実地調査は大幅減

令和24月に1回目の緊急事態宣言が発令されてから、もう随分と経ちました。

統計が出ている令和元事務年度(元年7月~26月)の税務調査件数を見てみると、

すでに新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、実地調査の件数は

前年比77%となっています。

おそらく2年度も実地調査は少なかったと推測されます。

このコロナ禍において、申告期限は延長が容易になり、調査どころではなかった

というのも実情だとは思いますが、税務署も相当柔軟な対応を取っていて

「コロナ禍で不安なので延期して欲しい」という要請もある程度通っていたようです。

また緊急事態宣言の間をぬって調査の日程を組んだものの、該当税務署で

感染者が発生し日程は解消、そのうちに人事異動で結局立ち消え、

といった事例もあったようです。

 

接触機会低減を目指した措置?

実地調査件数は下がったものの「簡易な接触」と表現される書面や電話による連絡、

資料の提出依頼や来署依頼による面接等で、税務署が納税者に対して

自発的な申告の見直しなどを要請する手法については、

平成30年度と比べて件数が上昇しています。

また、今まではFAXや郵送で対応していた調査・照会等で提出を求められた

資料の送付が、令和41月からe-Taxで送信できるようになります。

 

国税庁は「ウィズコロナ」を準備

国税庁はすでに「納税者の理解を得て、税務調査の効率化を進める」として、

大規模法人を対象にしたWeb会議システムやリモートアクセスを利用した

税務調査を試験的に導入しています。

今後はAIやデータマッチングの導入を行い「申告に対してコンピュータ側で

間違いをチェック」するような機能の拡充を行うとしており、

元々ICT化を目指していた上で、コロナ禍に乗じてその方策を

加速させているように感じます。

税務関連の手続きは、平成16年にe-Taxの運用が始まってから、今日に至るまで、

電子化を地道に進めてきました。これからも「便利な改善」が続いてゆくでしょう。

AMFニュース [2021年 10 月 5 日号]

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 収入と扶養の関係
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収入の壁とは

秋になる頃、パートやアルバイトなどで働く方は、

「年収はいくらまでに抑えるのがよいか?」と

扶養の範囲を意識することも多いでしょう。

税制上と社会保険上の両方に扶養範囲の壁がありますが、

夫が会社員で主たる生計者年収600万円、妻パートのケースで考えてみましょう。

税制上の壁としては年100万円を超える収入があると住民税の課税が始まり、

103万円を超えると所得税が発生します。

妻の所得税は配偶者特別控除で年収が150万円までは減額されず、

150万円を超えると控除が徐々に減額されていきます。

そして201.6万円以上で配偶者特別控除はなくなります。

社会保険の壁としては妻が社会保険上の被扶養者ならば

社会保険料は収めずに夫の加入している健康保険を受けられ、

年金も国民年金の3号被保険者で基礎年金に加入していることになります。

しかし、妻が月8.8万円(年収106万円)となると

妻自身が勤め先の社会保険に加入することになります。

ただし条件があり

 ① 従業員数501人以上事業所

 ② 雇用期間1年以上(見込み含む)

 ③ 20時間以上勤務

 ④ 学生ではない

の条件が付いています。

202210月からは従業員数の条件が101人以上、

2024年からは51人以上になる予定です。

さらに年収が130万円以上になると、前の条件にかかわりなく

妻自身が社会保険に加入することになります。

 

扶養の範囲にするかライフタイルで考える

税制上の扶養を少し外れても、社会保険の扶養を外れることと比べれば

金銭的負担はずっと少ないと言えます。

社会保険は加入すれば病気の時の傷病手当金や出産する際は手当金が受けられます。

年金も長生きすることが多い女性は妻自身の年金額が増えることは心強いでしょう。

壁を超えるのは損という考えでいくか、収入を増やさなければ手取りも増えないので

税金や社保料を負担しても収入を増やそうとするとするか、

家族や会社とも話し合いをしての選択でしょう。

夫の会社から扶養手当があるときは妻の年収条件がいくらなのか確認しましょう。

AMFニュース [2021年 9 月 28 日号]

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 個人事業主の家賃按分
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家賃は按分して経費になる

自宅で仕事をしている個人事業主は家賃を経費にできますが、その場合の家賃は

事業用だけではなく、個人の生活のために払っている費用も含まれています。

国税庁のWebサイトを参照してみると、経費にできるのは、

 ①総収入金額に対応する売上原価

  その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

 ②その年に生じた販売費、一般管理費

  その他業務上の費用の額

と説明されています。

簡単に言うと経費になるのは「事業を行う上で直接発生した費用だけ」ですから、

事業主部分の家賃と生活のための家賃を分けて、事業主部分の家賃は

経費となるわけです。

 

按分の方法と注意点

「按分の方法」については、実績が問われますから、利用した時間や使用している

面積などを参照します。

賃貸の場合は家賃を、持ち家の場合は減価償却費を按分することになります。

大切なのは按分した金額の根拠を税務署に聞かれた時に、客観性のある

根拠に基づいて説明できるか、ということです。

例えば賃貸契約書や間取り図、家賃の支払いが分かる通帳記録、自宅での作業時間を

記録していたもの等、根拠となり得るものを揃えておく必要があります。

ただし、配偶者や親族に支払う地代家賃は経費になりませんから、注意が必要です。

また、家賃按分については白色申告の場合、事業用の割合が5割を超えていなければ

認められません。

 

住宅ローン控除適用にも注意

持ち家で居住・事業両方に利用している住宅を建て替える際、

住宅ローン控除が適用されるのは事業用部分が50%未満の場合となります。

また、居住部分が50%以上であっても、住宅ローン控除が適用されるのは

居住用部分のみとなるため、持ち家の事業分の減価償却費を按分した結果、

その割合分は住宅ローン控除が受けられなくなります。

按分は水道光熱費や通信費等も可能ですが、客観的な根拠を出すのが難しいんです。

事務所と自宅は別にした方が面倒がありませんね。

AMFニュース [2021年 9 月 21 日号]


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 ふるさと納税の裏側
 ふるさと納税と地方交付税

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令和2年度は過去最高額を記録

総務省から発表された令和2年度(令和24月~令和33月)の

ふるさと納税の寄附の見込み総額は約6,725億円で、過去最高となりました。

令和元年度は総務省の新ルール「お礼の品は寄附額の3割まで」といった

マイナスイメージが台頭したためか、平成30年度から一旦微減していましたが、

新型コロナウイルス感染症の巣ごもり需要か、寄附意識の向上か、

はたまた新ルール適用後でもお得感があるためか、寄附総額はこの1年で

大きく伸びました。

 

あまり知られていないウラのしくみ

ふるさと納税は簡単に言うと「寄附先に、自分が住んでいる自治体の税金の

一部を払う」わけですから、自分の住んでいる自治体に入る税金は確実に減ります。

ただし「寄附によって減った住民税額の75%は翌年に地方交付税として補填される」

という仕組みになっているので、住民税が減額された額すべてが

消え失せてしまうわけではありません。

ただ、交付されるのは減収があった翌年ですし、25%は失われるわけですから、

たくさんの住民が他の地域に寄附をする自治体にとってつらいのは確かでしょう。

また地方交付税を規定により受け取れない「不交付団体」については、

この75%ルールの適用がありません。

そのため、東京23区や、その他不交付団体であった川崎市などは、

「ふるさと納税のせいで税収が減った」とアピールしていました。

なお、川崎市は令和3年度からは交付団体となったので今年は去年の寄附額の75%は

交付されるようです。

新型コロナウイルス感染症のためか、地方交付税の不交付団体は去年の76団体から

今年は54団体へと減りました。

 

ふるさと納税制度をどう見るか?

ふるさとへの支援としてふるさと納税が大きな役割を担う一方、主に都市部に関しては

ふるさと納税によって減収になるわけで、これを再分配機能と歓迎するか、

はたまたバランスの悪いシステムと批判するか。

立ち位置が変われば見方も変わるものです。

AMFニュース [2021年 9 月 14 日号]


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 従業員の配偶者に対する
  健診費用の会社負担

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従業員に対する健康診断は会社の義務

労働安全衛生法66条により、「事業者は、労働者に対し医師による健康診断を

行わなければならず、労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければならない」

されています。

こうした健康診断の受診費用は、通常必要と認められる範囲を超えるものを除き、

会社の福利厚生費として扱われます。

なお、労働者ではない役員は、厳密に言うと労働安全衛生法の対象者ではありません。

しかしながら、健康管理義務がないわけではありませんので、

法律上での義務がなくても健康診断を受診してもらうことで、

実務上のリスクを下げることができるため同様に会社の福利厚生費となります。

ただし、受診費用の負担対象者が役員や特定の地位にある者だけとされている場合には、

その者に対しての給与として課税されます。

この場合には、経済的利益に係る給与として源泉徴収を行う必要が生じます。

さらに、役員の場合、定期同額給与に該当しない給与(賞与)として

法人税の課税対象として扱われることにもなります。

 

役員・使用人の配偶者の健診費用会社負担

会社が役員または使用人の配偶者分の健診費用を負担している場合には、

その役員または使用人の給与(経済的利益の供与)として扱われます。

課税扱いとなる理由は、会社は、法律上、配偶者の健康診断の実施義務を

負っているわけではないためです。

また、一部大企業では配偶者分も会社負担となっているところもあるようですが、

まだまだ社会一般的に行われているとは認められていないため、

経済的利益の供与=給与扱いとなります。

給与扱いとなるわけですから、それに係る所得税の源泉徴収を

忘れないようにしなければなりません。

 

健診費用の消費税での課税仕入れ不課税

会社の福利厚生費として扱われる健診費用は、自由診療に該当するため、

消費税が課税されています。

消費税の計算においては課税仕入れとして扱います。

一方、給与扱いとなる健診負担分(配偶者や特定の地位にある者だけへの負担)にも、

消費税は課されています。

しかしながら勘定科目上は給与扱いですので、消費税の計算においては

給与=不課税となります。

領収書に消費税額の記載があるからと言って、課税仕入れとして扱わないように

注意が必要です。

AMFニュース [2021年 9 月 7 日号]


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  自分は課税事業者? 免税事業者?
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消費税は資産の譲渡、資産の貸付、サービスの提供(非課税のものを除く。

「課税資産の譲渡等」という)に課税されます。国内で課税資産の譲渡等を行う

事業者は、消費税の納税義務者となりますが、一方で納税義務が免除される

事業者もあります。

自分が課税事業者なのか、免税事業者なのか改めて確認してみましょう。

 

事業者には、納税義務がある

事業者が国内で課税資産の譲渡等を行う場合、個人、法人を問わず

消費税の納税義務者となります。

しかし、消費税を計算して申告納付する事務は煩雑であり、

税務署にとっても負担がかかるので一定の配慮がされています。

 

免税事業者になる要件

次の要件に該当する事業者は、消費税の納税義務が免除されます。

・前々年、前々事業年度(基準期間)の課税売上高が1000万円以下

・前年1月~6月、前事業年度開始日から6か月間(特定期間)の

  課税売上高(又は給与等支払額)が1000万円以下

・個人事業者の開業年度とその翌年

・資本金1000万円未満である新設法人の設立1期目、2期目の事業年度 など

 

課税事業者になる要件

反対に、免税事業者以外の事業者は、次の場合に課税事業者となります。

・基準期間の課税売上高が1000万円超

・特定期間の課税売上高(又は給与等支払額)が1000万円超

・資本金1000万円以上である新設法人の設立1期目、2期目の事業年度 など

 

課税事業者になると有利な場合も

免税事業者に該当する事業者も税務署に申請して課税事業者となることを選択でき、

税負担が有利になる場合があります。

例えば設備投資を行った年度に、仕入にかかる消費税額を売上に係る消費税額から

控除しきれない場合、課税事業者であれば差額の還付を受けることができます。

 

適格請求書の交付には登録番号が必要

令和510月より課税事業者が仕入税額控除を行うには、仕入先から

適格請求書の交付を受けることが必要になります。

反対に顧客に課税資産の譲渡等を行う際、適格請求書を交付しないと

顧客の側も仕入税額控除ができません。

交付には自ら課税事業者となったうえで、適格請求書発行事業者としての

登録番号が必要になります。

AMFニュース [2021年 8 月 31 日号]

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 消費税
 インボイス制度いよいよ始動

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インボイス制度とは

正式には「適格請求書等保存方式」といいます。

令和510月から導入されます。

導入はまだ先の話ですが、この適格請求書等を発行できる事業者すなわち

「適格請求書発行事業者」(以下登録事業者という)の届出と受付が

今年の10月から始まります。

インボイス制度を理解するにはまず消費税の基本的仕組みを理解してください。

 

消費税の基本

消費税の負担者はその名の通り消費者です。

しかし消費税の納税者は消費者ではなく消費者から消費税を預かった事業者です。

事業者も事業活動において仕入れや諸経費等消費者と同様消費税を負担します。

そこで消費者から預かった消費税と自分が負担した消費税の差額を国に納付します。

これが消費税です。

 

今はどうなっているのか?

現在は、事業者は租税公課や保険料や給与や住宅の家賃等法律で非課税とされている

取引以外は、全て消費税が課税されているものとして差額を計算して消費税を

国に納めています。

しかし小規模の事業者も全てこの計算をすると大変煩わしいだろうということで、

売上が1,000万円以下の事業者に関しては納税を免除しています。

 

インボイス制度導入後は

インボイス制度が導入されると、事業者は消費者から預かった消費税から、

登録事業者が発行した請求書や領収書に記載された消費税だけを差し引いて

差額を国に納めます。

もちろん自分も登録事業者でないと、事業者間での取引は難しくなります。

普段は消費者しか相手にしていない小売店や飲食店でも、大口の会社からの

注文や忘年会などで、「適格請求書等」(領収書)の発行を求められた時、

登録事業者でないと、発行できません。

そして登録事業者になるということは消費税の納税義務者になるということですから、

売上1,000万円以下の現在消費税の納税が免除されている事業者も取引形態によっては、

登録事業者になる必要が出てきます。

AMFニュース [2021年 8 月 24 日号]

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 多様化している納税手段
 (最新:モバイルレジでの簡単支払)

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どんどん便利になる納税手段

税務署や銀行での窓口納付が基本だった納税方法も、24時間対応のコンビニ納付が

導入され、平日の勤務時間以外にも納税ができるようになりました。

そして手元のパソコンからインターネットバンキングで納付できる

Pay-easy(ペイジー)が使えるようになり、わざわざ納税のために

外に出掛ける必要もなくなりました。

さらに、クレジットカードでの納付制度の導入で、いま手元資金がなくとも、

納付期限までに納税できるしくみも導入されました。

最新の方法としては、スマホで納付書のバーコードを読んで納付が完結する

モバイルレジがあり、これだと納付に必要な納付番号や確認番号の入力も

不要の簡単版です。

 

モバイルレジとは

モバイルレジとは、請求書に印刷されたバーコードをスマホで読み取り、

ネットバンキング・クレジットカードでの支払いや、口座振替の申込みが

できるサービスです。

コンビニや支払い窓口へでかけることなく、自宅で簡単に支払いができます。

税金のみならず、国民年金や国民健康保険、通販の請求書など、各種の請求書に

対する納付にも使えます。


短所・長所を比較して納税方法を選択する

新しい方法がいつもお勧めというわけではありません。

それぞれ長所(メリット)と短所(デメリット)があり、それを比較して

ご自身で決めることになります。

モバイルレジの場合、アプリ導入が必要です。

ネットバンキングを使う場合、金融機関との事前契約が必要です。

スマホ機器がモバイルレジ対応であることが必要です。

支払金額は30万円以下に限られます。

クレジットカード払いの場合、税額の他に決済手数料がかかります。

納税証明書(車検用含む)の発行は、別途申請が必要です。

資金繰りからすると、実際の現金引落日は利用するカード会社との契約と

なりますので、納期限日よりも資金決済が後となります。

また、クレジットカードで付与されるポイントの有効活用ができる場合もあります。

コンビニ決済も支払金額は30万円以下に限られます。

銀行等での窓口納付では、クレジット納付はできません。

ただし、手数料は発生しません。

AMFニュース [2021年 8 月 17 日号]

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  建物賃貸借に係る保証金から差し引く
  原状回復工事費用

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原状回復工事費用とは?

賃借人がアパートやマンションを退去する時、次の入居者に貸せる程度に

きれいすることが、賃貸借契約書では謳われております。

これを原状回復工事費用と言います。

一昔前は、その費用は立場の弱い賃借人がすべて負担しておりましたが、

裁判で争った事例もあり、現在では年月を経ることによる

通常損耗(壁紙の劣化等)は賃借人が賃貸人に支払った家賃で填補されているとして

賃貸人の負担となっております。

それを超える損失(備え付け器具等の破損等)は賃借人の負担となります。

実務では賃貸借契約時に詳細にどちらが何を負担するかを取り決めている場合が

ほとんどです。

 

問題は賃借人の負担する原状回復工事費用

アパート・マンションの家賃収入は居住用ですから消費税は当然非課税です。

賃貸人の負担する原状回復工事費用は家賃収入を得るための費用ですから、

非課税対応仕入れとなり当然にも支払った消費税は消費税としては

認識されず修繕費となります。

賃借人の負担する原状回復費用は多くの場合、賃借時に賃貸人に預けた敷金や

保証金で支払われ、残金が賃借人に戻ってきます。

この賃貸人が賃借人の負担する原状回復工事費用を差し引いて敷金や保証金を

返却した場合、差し引いた原状回復工事費用は賃貸人の役務の提供にあたるから

賃貸人の収入で、なおかつ消費税の課税取引だと国税当局は言っております。

 

常識として

賃貸人は原状回復工事を請け負った工事会社にかかった費用を便宜上まとめて支払い、

賃借人の負担分を預かっていた敷金や保証金から差し引いて返しただけです。

常識としては単なる「立替金」です。

 

専門家の非常識

上記取引を経理処理すると、以下になります。

原状回復工事費用を工事会社に支払時

(修繕費)全額/(現預金)全額

賃借人に負担分を差し引いて返却時

(保証金)全額/(雑収入)負担分

       /(現預金)差額

(雑収入)が(修繕費)となる場合もあります。

いずれにせよ費用と収入で処理されます。

この辺からの非常識と思われます。

AMFニュース [2021年 8 月 10 日号]

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   雇用保険料の引き上げ
    雇調金増、財源が不足

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雇用調整助成金の大幅増加

新型コロナウイルス感染拡大で休業を余儀なくされた企業の申請で、

雇用調整助成金の給付が増えました。

雇用調整助成金は企業が従業員に払う休業手当の費用を補助する制度で、

仕事が減っても働く人を解雇せず、雇用を維持してもらうのが狙いです。

元々1人当たりの日額上限は8,300円でしたが、特例措置として

今は売上げが大きく減少している企業には最大15,000円、助成率10分の10

原則としては13,500円、助成率最大10分の9となっています。

新型コロナの影響による支給決定額は203月~217月時点の累計で

4兆円を超えています。

リーマン・ショックの後も約65千億円で、今は6倍を超えています。

失業率は抑えられた面もありますが、雇用保険料の財源はひっ迫してきています。

 

雇用保険料の財源

雇用保険は仕事を失った人のため、生活に困窮しないように給付するものと

雇用安定・能力開発の2つに分かれています。

企業からの保険料収入を財源にして、給付後の余剰は毎年積み立ています。

ただこの度のコロナウイルス感染症で雇用安定事業の雇調金の給付が

一気に拡大しました。

国の一般会計からの繰り入れ、失業者向け事業の方からの借り入れで賄っています。

コロナ前に45,000億円あった積立金が21年度には1,700億円になる見通しです。

 

厚労省が雇用保険料を上げる検討

積立金は16年以降保険料率を下げていましたが、余裕がなくなったため

来年度は雇用保険料を上げる模様です。

失業者向け事業は労使で本来1.2%負担のところを0.6%で運用してきました。

これをもし本来の料率に戻すと財源は1兆円規模で増加します。

ただ被保険者が2倍の保険料徴収、企業も失業者向け部分の保険料が

2倍となると負担は多大です。

また、あまり意識したことはないと思いますが、雇用安定事業は事業主のみが

負担していて、経団連等は国の一般会計からの拡充を求めています。

コロナ下で雇調金が雇用維持に一定の効果があったことは確かですが、

休業手当の補助のため、人手不足企業などへの人材移動を

阻む面があると言われています。

AMFニュース [2021年 8 月 3 日号]

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  災害を受けた時の
 住宅ローン控除の取り扱い

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今年も豪雨被害が出ています

近年、日本各地で豪雨被害が毎年発生しています。

被害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。

近年では予報精度が上がり、避難指示等の発令についても

迅速に行われるようになってきました。

しかし、災害が発生しそう、または発生しているその場にいる人が動かなければ、

予報も避難指示も意味がありません。

まずは災害が起きる前に、避難ルートの確認や情報収集の方法を考え、

備えておきましょう。

 

災害時、住宅ローンの特例がある

いざ災害等に遭ってしまった場合は、雑損控除や災害減免法による

所得税の軽減や、申告・納税の猶予、法人税の繰戻し還付等の、

税の優遇が受けられるものがいくつかあります。

住宅ローン控除についても、災害により住宅用家屋が被害を受けた場合には、

特例を受けることができます。

 

適用期間の特例

基本的に、住宅ローン控除は「居住している」ことが条件となりますが、

災害によって被害を受けたことにより居住の用に供することができなくなった住宅は、

住宅ローン控除の残りの適用年においても引き続き住宅ローン控除を

受けることができます。

ちなみに「住んでないのにローン控除」が認められているケースは

他に「単身赴任で家族は住んでいる住宅」があります。

 

重複適用の特例

被災者生活再建支援法が適用された市区町村の区域に所在する家屋が、

災害により居住の用に供することができなくなった場合には、

被災住宅の住宅ローン控除と、一定期間内に新たに住居用家屋の再取得等をした場合の

住宅ローン控除を重複して適用することができます。

ただし、重複適用の特例を受ける場合は「それぞれの控除額の限度額のうち

最も高い金額が控除限度額」となるため、2つの住宅ローンの合計額が大きい場合、

すべての額が控除されるわけではありません。

AMFニュース [2021年7月27日号]

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  給与デジタルマネー払い解禁か
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デジタルマネー払いとは

情報処理技術の進展に伴い、民間事業者からいろいろなデジタルマネーが

発行されるようになり、決済や送金の場面に用いられています。

給与のデジタルマネーが解禁されるとどのような支払い方法が可能となるか、

メリットもデメリットも未定部分も多いのですが現況での考察をしてみます。

いわゆる電子マネーと言われるSuicaPASMOnanacoといったデジタルマネーは

利用者があらかじめチャージをした範囲内で決済に利用できるものです。

今回の給与のデジタルマネー払いで予定されているのは、

決済のみならず送金や出金を可能とするものです。

銀行以外の登録制で認められた資金移動業者が振替取引を行います。

国内送信サービスではウォレットやアカウントにチャージして

当該残高の範囲で決済や送金、出金が可能となるものです。

カードやスマホを用いたキャッシュレス決済やQRコード決済を

可能とする会社もあります。

海外送金サービスでは外国人などのニーズにも応えています。

 

利用者保護の仕組み

資金移動業者は銀行と違って預金を受け入れることはできませんが

振替取引に関する資金を預かることはできます。

資金移動業者は預かった資金の全額以上の資金を事業資金とは別に用意、

保全し万一の破綻の場合にもこの資金から還付を受け取ります。

さらに保証として銀行や保険会社、保証会社が保証業務を担う仕組みです。

給与のデジタル払いを認めるか否かは労働政策審議会で検討されています。

資金決済法等に基づき「利用者の保護及び資金移動業の適正かつ確実な遂行」の

観点から、賃金の確実な支払いを担保する要件を満たす

一部の業者のみに限定されそうです。

 

働く人から見たデジタルマネー払い

これまで給与は原則月に1銀行口座の振り込みで受け取っていましたが、

第二の財布であるデジタルマネー口座に一定の支払いを受け、ATM引き出しや

口座振替をすることなく直接キャッシュレスの決済送金が提供されます。

Fintech協会が、就労中で年収のある16歳から60歳の方に調査をしたところ、

デジタル給与支払方法が今後広まるであろうと回答した人は66%でした。

今後、制度整備がなされれば給与のデジタルマネーでの支払いが

企業で検討されることでしょう。

AMFニュース [2021年7月20日号]

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    DXを見据える
  令和2年分確定申告状況

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今年もコロナ禍で集計期間が4月末に

国税庁は毎年、所得税等・消費税・贈与税の確定申告状況を報道発表しています。

今年も去年と同様に、従来の3月末の時点でのカウントではなく、

新型コロナウイルス感染症の影響により申告期限が伸びたのを反映し、

4月末までが対象になっています。

所得税等の申告人員は前年比+2.1%の2,249万人、また申告納税額は31,653億円で、

前年比で▲1.6%とのことです。

 

e-TaxICTの利用が活発

今年確定申告会場で申告書を作成・提出した方の人数が345万人、

会場へ行ったり税理士へ依頼を行ったりせずに、

自宅から納税者自身がe-Taxで申告書を提出した人数が321万人となりました。

自宅からのe-Tax申告者の数は令和元年分の約1.7倍となり、

去年に比べると135万人増加しました。

申告書の作成・提出方法については、新型コロナウイルス感染症への取り組みが

顕著にあらわれていて、e-Taxが普及してきたということでしょうか。

また、国税庁が近年環境を整備してきた「スマホでの申告」をした人の数は

元年から約2.2倍に増加し、102万人となりました。

去年から配備された税務相談チャットボット「ふたば」の令和2年分の相談件数は

420万件で、試験導入した元年分からは実に10倍以上に増加しています。

 

税務署に行かなくてもできるようにする

国税庁は「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」として、

「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会を目指す」としています。

また、確定申告に関しては、現状の確定申告作成コーナーの使いやすさ向上や

e-Taxの普及のほか、申告内容の自動チェックや申告・申請等の

簡便化を進めてゆくとしています。

確かに近年の生命保険料や寄附金のデータを申告書用に生成し、

それを連動させるような取り組みを見ていると、確認のボタン一つで申告書ができ、

納税や還付が済ませられることも現実的な構想として予見できるものになってきました。

この先も、もっと税務申告・申請は簡単・便利になるのでしょうか。

AMFニュース [2021年7月13日号]

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  いまさら聞きにくい初歩を解説
  ふるさと納税のポイント

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ふるさと納税、していますか?

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、

自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。

令和元年度の寄附件数は約2,334万件、寄附総額は約4,875億円となり、

多くの方が利用されている制度です。

しかしながら「難しそう」という印象で、敬遠されている方も

まだまだいらっしゃるのではないでしょうか?

今回はふるさと納税で最低限押さえるべきポイントをご紹介いたします。


控除上限金額を把握しましょう

控除上限金額は、その年の所得や控除によって決まります。

控除上限金額までの寄附であれば、基本的に自己負担は2,000円で済むため、

「貰える品の価値の合計が2,000円を超えていればお得」ということになります。

ふるさと納税を扱っているサイト等にシミュレーションや

簡易な目安表が掲載されているので、それを利用して

控除上限金額を把握するのが大切です。

「計算が良くわからない」という方は、目安表を見て、

それよりもいくらか少なめに寄附すれば安心です。

控除上限金額はあくまでも「これ以下の年間寄附額ならば自己負担は2,000円で済む」

という区切りですから、控除上限金額ぎりぎりまで寄附しなくても、

自己負担は2,000円で済みます。

逆に超えてしまうと自己負担はどんどん増えてゆくので、注意が必要です。


年末調整ではふるさと納税の処理はしない

ふるさと納税をした後に、税の軽減を受けるための手続が必要ですが、

年末調整では行えません。

ワンストップ特例制度(5か所以内の自治体への寄附かつ確定申告をする必要がない場合)

の申請をするか、確定申告を行う必要があります。

この辺が特に敬遠されるポイントになっているのかもしませんが、

給与収入や年金収入のみであれば、確定申告書作成はPCやスマホで

簡単に行えるようになっています。

一度国税庁の確定申告書等作成コーナーを眺めてみると良いかもしれません。


税の軽減は再来年5月までかかる

当年のふるさと納税は、来年6月~再来年5月の住民税の額を下げる効果があります。

特に特別徴収(給与天引き)をされている方は「昨年のふるさと納税の結果、

毎月住民税が少し安くなる」状態となりますから、税の軽減が

実感しにくいのも事実です。

どのくらい住民税が軽減されるかは、住民税の決定通知書で確認が可能です。

ちなみにワンストップ特例制度の用紙は今年から押印不要となり、

印マークが消えました。


AMFニュース [2021年7月6日号]

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  教育資金贈与の非課税
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制度概要

教育資金の一括贈与制度は、直系尊属である父母、祖父母から子・孫に

入学金・授業料など教育にかかる費用を非課税で贈与できる

租税特別措置法の制度です。

30歳未満の受贈者(前年分の合計所得金額1,000万円以下)を対象に

1,500万円(学校等以外の者に支払われる費用は500万円)までの贈与が

非課税になります。

令和3年度は次の改正があり、

令和5年3月31日まで2年間、延長されました。

管理残額に対する課税は強化された

贈与者が死亡した日までの贈与額(非課税拠出額)から

教育資金に使用した金額(教育資金支出額)を控除した未使用分(管理残額)は、

これまで贈与者の死亡前3年以内の贈与が相続税の課税対象となっていましたが、

令和3年4月1日以降の贈与は、死亡の日までの年数にかかわらず、

すべて相続税の課税対象となりました

(受贈者が23歳未満である場合、学校等に在学している場合、

教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合を除きます)。

さらに、孫への贈与は、配偶者および一親等の血族以外に適用される、

相続税額の2割加算の対象となりました。

認可外保育施設も非課税の対象に

非課税の対象となる育児費用の範囲に、

新たに1日当たり5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設のうち、

都道府県知事などから認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書を

交付された施設に対する保育料の贈与も対象となりました。

非課税申告書の電子提出も可

取扱金融機関を経由して提出していた非課税申告書は、

令和3年4月1日より電磁的方法により提出できるようになりました。

税調では非課税贈与制度の見直しを議論

教育資金、結婚・子育て資金、住宅資金の一括贈与制度は、

金融資産を保有する高齢者世代の資産を若年層に移転し、

経済の活性化を期待して創設されました。

しかし、富裕層の財産が課税されないまま子・孫の世代に移転することは

格差の固定化を助長するとして、政府税制調査会では廃止を含め、

見直しが議論されています。

令和3年度改正で贈与者死亡時の管理残額に対する課税が強化されたのは、

優遇措置の効果に対する批判が高まってきたこと、

件数、贈与額が減少傾向にあり、一定の役割を果たしたことも背景にあるようです。

AMFニュース [2021年6月29日号]

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 改正育児介護休業法が成立
 ~『男性の産休』って何?~

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改正育児介護休業法が成立

「改正育児介護休業法」が202163日に国会で可決、成立しました。

202241日以降、以下の6項目が段階的に施行されます。

男性の子の出生直後の時期における育児休業(いわゆる「男性の産休」)の創設

妊娠・出産を申し出た労働者へ個別の周知・意向確認の措置の義務付け

育児休業が2回まで分割取得可能に

育児休業取得状況の公表義務化(常時1,000人超を雇用する事業主を対象)

有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(1年以上の雇用条件撤廃)

雇用保険「育児休業給付」の規定整備

施行日は、②⑤202241日、202341日、

①③⑥は公布日から16月以内の政令で定める日(未定)です。

 

『男性の産休』とは?

今回の育児介護休業法の改正に関して、「男性の産休を創設」などと

報道されていますが、どのようなものなのでしょうか?

男性が子供を出産するわけではないので、

「子の出生直後の時期に男性が育児休業を取得できるようになる」ことになります。

つまり、産後8週間以内の女性は産後休業を取得できますが、

この間に男性も4週間まで育児休暇が取得(2回まで分割取得可)

できるようになります。

さらに、現在の育児休業の申出期限1か月前が緩和され、

原則2週間前まで申出が可能になります。
 

その他の改正内容

「男性の産休」の他にも、妊娠・出産を申し出た労働者への個別周知・意向確認、

育児休業の2回までの分割取得(の「男性の産休」と別に)、

常時雇用1,000人以上企業には育児休業取得状況の公表が義務付けられるなど、

企業は女性社員だけでなく、男性社員にも積極的に育児休業の取得を推進する

取組みが求められます。

なお、2019年の育児休業取得率は男性7.48%(20186.16%)、

女性83.0%(同82.2%)でした。

AMFニュース [2021年6月22日号]

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 介護保険料徴収のルール
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40歳になったら介護保険料徴収

介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みです。

保険料は公費と65歳以上の第1号被保険者、40歳から64歳までの医療保険に

加入している2号被保険者からの介護保険料で支えられています。

健康保険の被保険者であり市区町村に居住している40歳から64歳までの

2号被保険者の方は健康保険料とともに納めます。

介護保険料は、40歳に達したときから徴収が始まります。

40歳に達した日は40歳の誕生日の前日です。

その日が属する月から保険料が徴収されます。

社会保険料の天引きは、当月支払いの給与から控除できるのは前月分となっている

(例外として月末退社の場合は2か月徴収可)ので、毎月の給与から

徴収する介護保険料の天引きは健康保険料と同様の扱いになります。

徴収の終了は65歳に達する月の属する月の前月分までです。

 

賞与を支払ったときは徴収対象になる

介護保険料は賞与からも徴収します。

例えば40歳に到達する前に賞与が支払われた後、同月に40歳に到達したときは

40歳に到達した月から徴収するので天引きしておかなくてはなりません。

反対に65歳になると第1号被保険者になるので、介護保険料は

65歳に達した日の属する月の前月分まで給与から天引きします。

65歳に達した日の属する月分は年金からの徴収です。

つまり65歳に達した月は給与から徴収しません。

賞与に対しても同様なので65歳に達した月に賞与が支給されても徴収はありません。

 

被扶養者が40歳の場合どうなるのか

健康保険と同様に扶養家族が40歳になっても

介護保険料は徴収しません(国保は各人ごとに徴収される)。

健康保険組合によっては健康保険の第2号被保険者でない場合でも、

被扶養者が40歳以上で2号被保険者である場合は健康保険料と一緒に

介護保険料を徴収する組合もあります。

AMFニュース [2021年6月15日号]

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 年金繰下げ増額新制度
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年金繰り下げが今より有利に

あまり知られていませんが、20224月から年金繰下げの年齢が現在の

70歳までから75歳にまで広がります。

高齢でも元気な方や働いている方が増えている時代背景もありますが、

政策的に年金の受給開始年齢の延長を望んでいるともいえるでしょう。

年金は原則65歳から受給開始。

しかし開始年齢を1か月繰り下げるごとに0.7%増額されます。

現在は70歳まで繰り下げられますが、224月から75歳まで選択肢が広がります。

70歳から受け取れば42%、75歳から受け取れば84%の増額です。


受給の仕方

繰下げを事前に決める必要はなく、受給開始の請求をしなければ自動的に

繰下げ状態になります。

必要な年齢になったら請求します。

繰下げ後の受け取り方は通常のフル増額ならば、繰下げ月数の増加率で

請求時点より受給開始。

一括受給は65歳以降で5年の時効にかからない期間の分を遡り一度に受給。

その後は65歳時点の年金額を受給します。

健康に自信がなくなったときや多額の資金が必要な場合は使いやすいでしょう。

新制度の変更点

それでは新制度の75歳まで選択肢が広がったときはどうなるか

75歳を過ぎて請求すると75歳で請求したとみなします。

例えば77歳で請求したら75歳で請求した10年分84%の増額分は、

75歳以降の2年分をまとめて受けその後毎月同額受給します。

大きな変更点は一括受給です。

234月からは70歳の誕生日から80歳の誕生日の前々日までの請求なら

5年前に請求があったとみなし、5年前の時点の増額率で5年分を一括受給します。

その後は同額を毎月受け取ります。

5年超の期間は毎月の受給額に反映してくるので時効消滅がなくなり有利です。

ただし80歳の誕生日の前日以降の請求は5年の時効がかかります。

繰下げ受給をすることは各人の事情や考え方の選択です。

年金は長生きに備えるものですので「70歳以降は一括受給でも増額される」という

変更点は知っておきたいですね。

新制度の適用は224月に70歳以下の方で、請求は234月以降にすると

新制度が適用されます。

AMFニュース [2021年6月8日号]

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 令和3年分からふるさと納税の申告手続簡素化
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ふるさと納税の確定申告が簡単になる?

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、

自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。

令和元年度の寄附件数は約2,334万件、寄附総額は約4,875億円となり、

すでに市民権を得た制度となっている印象です。

寄附によって後から税金が減る形になりますが、寄附をしただけでは税金が減りません。

確定申告をするか、自治体5か所以内への寄附かつ他に確定申告をする必要のない方が

利用できる、ワンストップ特例の申請をしなければなりません。

給与収入のみの方であれば、電子申告を利用すると作成の手間もあまりなく、

提出も自宅等で行えるため、確定申告はかなり簡単ですが、令和3年分の申告からは

「寄附金控除に関する証明書」の発行により、さらに簡素化される見込みです。


先行して生命保険料控除がやっている制度

ふるさと納税を扱っている特定事業者が発行する年間寄附額を記載した

「寄附金控除に関する証明書」は、電子データや郵送等で寄附を行った方に

提供されます。

寄附を行った方は、証明書のデータを市販の確定申告作成ソフトや国税庁の

確定申告作成コーナーで読み込ませることで、今まで1つずつ寄附先や寄附金額を

入力していた手間が省けます。

令和2年分の申告や年末調整で導入された、生命保険料の控除証明書等の

電子的交付と同じ仕組みです。

また、e-Taxではなく、紙の申告書を提出する場合でも、今までは寄附金受領書を

すべて提出していたものが、証明書データを国税庁が提供する

QRコード付証明書等作成システムで読み込むことによって生成される書類を

添付する方法を取ることができますので、こちらも簡素化が可能です。


特定事業者認定に注意

「寄附金控除に関する証明書」を発行することのできる特定事業者は、

地方公共団体と特定寄附金の仲介に関する契約を締結している事業者となり、

ふるさと納税でよく聞くポータルサイトを運営している団体となりますが、

規模の小さい団体は、まだ特定事業者として確認できないものもあります。

簡素化制度を使いたい場合は、お使いのサイトが特定事業者に

認定されているか確認しましょう。

AMFニュース [2021年6月1日号]

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 免税事業者が課税事業者となる訳
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インボイス制度で免税事業者が課税事業者に誘導される理由を

消費税の制度面から考えてみます。

 

消費税の仕組み

消費税は、事業者が国内で行った課税資産の譲渡、貸付、

役務の提供(課税資産の譲渡等)について課され、事業者は売上に係る

消費税額から仕入れに係る消費税額(資産の取得に係る消費税を含む)を控除し、

差額を納付する(還付を受ける)制度です。

消費税制度は、消費に広く公平に課税すること、簡素でわかりやすく、

事務負担軽減されるよう配慮されています。

それぞれ取引の前段階で課税された仕入税額を控除することにより、

税の累積がされないよう設計されています。


事務負担への配慮と帳簿方式の課題

事業者の事務負担の軽減措置は、小規模事業者の免税点制度、帳簿方式の税額控除制度

簡易課税制度の3つです。

免税事業者は、売上に係る消費税の納税義務が免除されますが、仕入れに係る

消費税額の控除も認められません。

帳簿方式では、事業者は帳簿の記帳内容から売上に係る税額と仕入控除税額を

計算することができ、また簡易課税制度を選択し、みなし仕入率を使用して

簡易な計算もできます。

一方、現状の帳簿方式には課題もあります。

課税事業者は、仕入先が課税事業者か免税事業者かを判断できないため、

仕入先が免税事業者であっても仕入税額控除が認められます。

仕入先では請求した消費税は益税になります。

また簡易課税制度でも、みなし仕入率の適用により益税が生じることがあります。

益税は支払側の不信感を生みます。

そのほか帳簿の正確性が担保されなければ、誤りや課税漏れも生じます。

免税点制度を閉ざすインボイス制度

令和510月から課税事業者は、インボイスを介して消費税を授受します。

インボイス保存が仕入税額控除の要件となり、インボイスを交付できない免税事業者は

取引先からはずされていくことでしょう。

免税点制度でこれまで守られてきた負担軽減措置は、インボイス制度のもとで

実質閉ざされることになります。

免税事業者の多くは、課税事業者となったうえでインボイス登録事業者を選択し、

併せて事務負担が少なく、益税の余地が残される簡易課税制度を

選択することになるでしょう。

そのほか、電子インボイスによる事務負担の軽減も期待されます。

AMFニュース [2021年5月25日号]

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 免税駐車場事業者のインボイス対応 
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令和5101日に導入される消費税インボイス制度(適格請求書等保存方式)。

今年(令和3年)101日からインボイス発行事業者登録申請書の受付が始まります。

消費税の免税駐車場事業者の対処方法は?


免税事業者への影響

課税事業者は、仕入先からインボイス(適格請求書)の交付を受けて

仕入税額控除を行います。

一方、免税事業者はインボイスを交付できないため、

相手先は仕入税額控除できず(6年間は経過措置あり)、

契約が打ち切られるかもしれません。

駐車場オーナーは、免税事業者のまま益税となっていた消費税分の値引きに応じるか、

又は課税事業者を選択して登録事業者になるかの検討をすることになります。

登録事業者になる選択

課税事業者を選択し、あわせて簡易課税を選択した場合、

不動産業のみなし仕入率40%が実際の仕入率より高ければ

益税部分の一部は手許に残ります。

また多額の設備投資を予定する場合は、

原則課税を選択して消費税の還付を受けることもできます。

なお、毎月、振替や振込で賃料が支払われる場合、

都度インボイスを交付する必要はなく、

登録番号の記載された賃貸借契約書を保管し、

預金通帳で支払記録を確認できれば仕入税額控除できるとされています。

登録申請は令和5331日までに!

令和510月1日よりインボイス発行事業者となるためには、

原則として令和5331日までに登録申請が必要です。

なお、令和5年10月1日の属する課税期間中に登録を受ける場合は、

消費税課税事業者選択届出書を提出する必要はなく、

さらに簡易課税を併せて選択する場合は、

令和510月1日の属する課税期間の末日までに

簡易課税制度選択届出書を提出すれば、

令和5930日までは免税事業者、

令和510月1日からは簡易課税事業者となれます。

免税事業者にとどまる選択

借主が個人消費者の場合、
仕入税額控除の必要はないため、

インボイスを交付せず免税事業者にとどまることでも

問題はないものと思われます。

消費税は表立って請求できなくなりますが、

令和341日から再開された総額表示のもとでは、

賃料は消費税を含む総額で表示されるため、

立地や広さで周辺の駐車場と比べ競争力があれば、

従前の税込賃料と同様の水準で料金設定することもできるのではないでしょうか。

AMFニュース [2021年5月18日号]

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70歳迄の就業努力義務
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今までの雇用確保とは違う就業形態

4月から施行された70歳までの就業確保努力義務、

長期的には人手不足の緩和のため高齢者に長く働いてもらいたい、

年金の受給開始延長にもつなげたいという意図もあると思えますが、

会社や個人はどのような対策を取れるのでしょうか?

高年齢者雇用安定法の改正点

今までは本人が希望すれば原則的に65歳までの雇用が確保される制度でしたが、

今回の65歳以上、70歳未満の就業を可能にする制度では

大きく違う点が2つあります。

一つは70歳までの就業確保措置は努力義務であるということです。

65歳を超えて働いてもらうために、一定の裁量権が与えられ、

後述の5種類の措置のうち複数を組み合わせたり、

対象者を全員としなくとも選抜したりもできます。

選抜基準は過半数代表者との協議が必要とされています。

また、新制度では元の勤務先と無関係の会社が再雇用先になることもあります。

二つ目は65歳以上の対象者と労働契約は結ばず

雇用以外の働き方をさせることも認められ、

フリーランスや個人事業主として業務委託契約で就業させたり、

又は会社が関係する社会貢献団体で働かせることもできます。


65歳以上の働き方のパターン

①70歳までの定年の引き上げ……

定年を60歳や65歳から70歳にする。

雇用は維持されるが退職金の問題などを決めなおす必要があり

定年廃止……

定年制度自体をやめる。

体力が続く限り就労もあり。

③70歳までの継続雇用制度……

有期で反復雇用、他の会社で雇用、能力による処遇。

一般的に賃金は下がる。

④70歳までの継続的な業務委託……

仕事内容、対価は会社と相談し決定、会社の指揮命令は受けない。

労働基準法は適用されず労働法の保護はない。

⑤70歳までの継続的な社会貢献活動……

会社が実施または委託等する出資団体の活動に参加。

勤務先は選べない。



以上のように70歳までの雇用を確保する場合、

会社の方針は何なのか、自分ではどのように働きたいのか、

健康面等、会社の提案をよく考えて検討することが必要でしょう。

AMFニュース [2021年5月11日号]

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テレワーク支援のための助成金創設
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テレワーク導入による人材の確保

厚生労働省は4月1日、

「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」を新設しました。

良質なテレワークを新規に導入し、

労働者の人材確保や雇用管理改善を行う中小企業を支援するものです。

支給の種類は、機器等導入助成」と目標達成助成」の2つがあります。

の機器等導入によってテレワーク環境を整備した上で、

離職率を下げること(かつ離職率30%以下)ができた企業は、

の助成を受けることができます。

助成金の対象となるのは、以下の5つにかかる経費です。

就業規則・労働協約等の作成・変更

外部専門家によるコンサルティング

テレワーク用通信機器の導入・運用

労務管理担当者に対する研修

労働者に対する研修

※③の機器に含まれるものは、

ネットワーク機器、サーバー機器、WEB会議関係機器などです。

PC、タブレット、スマートフォンの費用については

支給対象外であることにご留意ください。

支給額は、「機器等導入助成」でテレワークを可能とする取組に要した額の30%、

目標達成助成で20%に相当する額等。

対象項目ごとに上限が設定されているなどの基準もありますので、

詳細はリーフレットをご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000766164.pdf

 

導入のためのガイドライン

厚生労働省では、従来あったガイドラインについて改定を行っています。

労務管理を中心に、書類のペーパーレス化や労災補償など、

事業者が検討すべき事項の全体がつかめる内容となっています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html

テレワークは、コロナ対応という一時的なものではなく、

働き方改革推進の観点からも推奨されています。

従業員が安心して働ける環境を作るために、

現状の振り返りから始めてみてはいかがでしょうか。

AMFニュース [2021年5月4日号]

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労災保険特別加入の対象拡大
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新たに3業種が追加

労災保険は事業に雇用されている労働者の業務上のけがや傷病を補償するものですが、

災害発生状況の多い個人事業主に対しても加入が認められている

特別加入制度があります。

現在は中小企業事業主、建設業の一人親方、農林漁業の従事者、海外派遣者、

個人タクシー業者、個人貨物運送業者等が特別加入の対象者ですが、

41日より対象範囲が拡大されることになりました。


新たに対象となる業種

芸能従事者

テレビや映画、舞台の俳優・監督・演出家・スタッフ・音楽家等。

芸能従事者は業務上のけがや事故が多いことから

特別加入の対象になることを強く希望していました。

長年の議論によって認められることとなりました。

アニメション制作従事者(アニメーター)

時代とともにアニメーション制作も増え、

雇用されていない制作者が多くいることから対象となりました。

柔道整復師

 

厚労省ではこれら3業種の就労者は約29万人いるとみて、

15000人の加入を想定しているとのことです。

創業支援等措置の高齢者も加入可能に

労災保険の特別加入の対象拡大は

41日施行の高年齢雇用安定法改正70歳までの雇用努力義務)によって

新設された創業支援等措置の対象者にも適用されることになりました。

創業支援等措置は65歳から70歳までの労働者の就業機会を

確保するための高齢者就業確保措置の1つで、

雇用にはよらないため業務委託契約を締結する必要があります。

企業側も措置の実施に関する計画書の作成、労働者代表者との同意が必要になります。


特別加入をするには

労災保険の特別加入はそれぞれの業種の特別加入団体

(中小企業は事務処理を委託する労働保険事務組合)を通じて

所轄の労働基準監督署に手続きを行うことで補償を受けることができます。

新しい業種の加入希望者は既存の団体に加入するか、

新たに特別加入団体を設立することになります。

AMFニュース [2021年4月27日号]

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控除可能期間が13年に延長
令和3年度住宅ローン控除の改正

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対コロナの限定延長が全体に適用へ

令和3年税制改正で、住宅ローン控除が通常10年間適用のところ、

13年間適用になりました。

この適用を受けるには注文住宅の場合、

令和210月~39月に契約したもの、

分譲住宅等の場合、

令和212月~311月に契約したもので、

412月までに入居した住宅が対象です。

今回の改正では令和2年度には要件としてあった

「新型コロナウイルス感染症の影響」は含まれていないので、

契約・入居の期間と住宅ローン控除の要件を満たしていれば、

消費税率上昇に対する経済対策として設けられた特例と同様、

13年間の控除が受けられます。

新設された40平方メートルのルール

さらに従来「50平方メートル以上」だった床面積の要件が、

40平方メートル以上」に拡充されました。

ただし、40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅については、

合計所得金額が1,000万円以下の方のみ適用となります。

この新ルールでちょっと注意しなければならないのが、「床面積」の扱いです。

床面積の算出方法には壁芯面積(壁の中心線から測定)と

内法面積(壁の内側から測定)の2種類があります。

分譲マンション等の場合、

インターネットや販売チラシには壁芯面積の表示がされていることが多いため、

広告では40平方メートルを超えているのに、

住宅ローン控除適用要件である床面積を登記簿上記載の内法面積で見ると

40平方メートルを下回る可能性もあります。

内法面積が40平方メートルを超えないと

住宅ローン控除が適用とはなりませんのでご注意ください。


控除率1%が問題視されている?

今回の改正では、控除割合1%は従来と変わりませんでしたが、

令和元年に出された会計検査院の指摘事項の中に

「借入残高の1%を税額控除するのははたして妥当なのか。

金利と比較すると恩恵を受けすぎている人が多いのではないか」

といった指摘もあり、今後も低金利が続くようであれば

控除割合の低下による制限が出てくる可能性もあります。

今後の動きに注目です。

AMFニュース [2021年4月20日号]

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  消費税総額表示義務
 総額表示にしなくても良い例

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総額表示義務の再開で困ったのは?

令和341日から、

消費税の総額表示義務の特例が失効した関係で、

今まで可能だった「●●円(税抜)」といった表記が、

消費者向けにはできなくなりました。

この変更で大変だったのは、オンラインストアや

チラシ・小冊子などを作っているデザイナーさんたちではないでしょうか。

仕様変更を余儀なくされ、

価格表示の長さに涙を流した方も居るかもしれません。


総額表示しなくても良い例

消費税総額表示義務は

「不特定かつ多数の消費者に対する値札や広告などにおいて、

あらかじめ価格を表示する場合」が対象となります。

財務省は「総額表示に関する主な質問」というページで、

総額表示に関しての質問と回答を掲載しています。

それによると、見積書や請求書等は

「不特定かつ多数の者」に対するものではないため、

総額表示義務の対象ではありません。

ただし、webサイトなどで不特定かつ多数の者に

あらかじめ価格を表示する「見積り例」などは、

総額表示義務の対象となりますので注意が必要です。

また、総額表示義務は「消費者」に対してのものですから、

事業者間の取引については、総額表示義務の対象にはなりません。

例えば、製造業者や卸売業者が、

小売店や業務用ユーザー向けに作成した商品カタログは、

対象が事業者に向けられたものであり「消費者」向けではないため、

総額表示義務の対象になりません。


事業者向けか消費者向けか微妙な場合

このように「対消費者向け」でない場合は、

総額表示はしなくても良いのですが、

中には「事業者向けか消費者向けか微妙」といったケースもあると思います。

財務省はそういった場合、サービスの性質によって

「不特定かつ多数の者」が利用するか否かで判断する、としていますが

「総額表示が必要でなくてもやってほしい」とも呼び掛けています。

総額表示については、違反した場合の罰則は今のところ定められていません。

そもそも、総額表示義務は消費者の利便性への配慮ですから、

事業者間の価格表示であったとしても、

総額表示に統一しておく方が相手先に好印象を与えるのではないでしょうか。

AMFニュース [2021年4月13日号]

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配偶者手当の見直しについて
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配偶者手当の見直し検討を

成果主義が言われ始めたころから、

基本給に加えて支給される各種手当の見直しが行われるようになりました。

特に配偶者手当については、

女性活躍や同一労働同一賃金、雇用の多様化などの影響により、

廃止する傾向は進むと思われます。

配偶者手当は、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整の要因として

指摘されています。

これによって賃金相場の上昇が抑制され、

あるいは女性の能力を十分に発揮できないなどの影響があり、

企業が人的資源を十分に活用できない状況をもたらしているとされます。

その状況を改善するため、厚生労働省は、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう

配偶者手当の見直しを進めることが望ましいとし、

参考となるリーフレットの改定版を公表しました。

手当見直しのポイントと事例

廃止する場合の具体的な事例としては、

該当額を基本給に組み込む、

子供・障害者を対象とした手当を創設するなど、

人件費総額を維持した事例があります。

また2~3年ほどの経過措置期間を設けて、徐々に減額していく、

あるいは賞与で補填するなどの対応を行った企業もあります。

企業個別の事情に則った検討が必要ですが、ポイントとしては、

ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組、

労使の丁寧な話合い・合意、

賃金原資総額の維持、

必要な経過措置、

決定後の新制度についての丁寧な説明、

があげられます。

見直しを行うにあたっては就業規則の変更となりますので、

その変更に合理性があるかどうか、必要な手続についても考慮しましょう。

手当の見直しは従業員の収入に直結する話ですので、

労使間の丁寧な話合いが求められます。

また、配偶者手当だけではなく、

給与制度全体を見直す機会にするのもよいでしょう。

相談先としては、都道府県労働局や働き方改革推進支援センターに窓口があります。

AMFニュース [2021年4月6日号]

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令和3年4月1日から消費税の
総額表示義務が再開します

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総額表示義務

税抜価格のみの表示では商品代金を精算するまで

最終的にいくら支払えばいいのか分りにくく、

また、「税抜表示」の事業者と「税込表示」の事業者が混在していると

価格の比較がしづらいといったデメリットがあったことから、

消費税額を含む価格を一目で分かるようにするという

消費者の利便性に配慮する必要がありました。

このため、平成 16 年4月1日から、

事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合には、

消費税等の税込価格を表示することが義務付けられました。

総額表示義務の特例

その後、平成 26 年4月1日及び令和元年 10 月1日の二度、

大きな改正が行われ、

消費税率の引上げや軽減税率の導入があり、

消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保及び

事業者による値札の貼り替え等の事務負担に配慮する必要が生じました。

このため、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための

消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」により特例が設けられ、

平成 25 10 月1日から令和3年3月 31 日までの間、

「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」

(誤認防止措置)を講じている場合に限り、

税込価格を表示することを要しないこととされました。


総額表示義務の再開

この特例の失効後の令和3年4月1日以降においては、

消費者に対して価格を表示する場合には、

消費税法の規定に基づき税込価格を表示することが必要となります。

以前の総額表示義務を経験されている事業者も多いと思いますが、

以前とは税率も異なり、軽減税率も導入されていますので、注意が必要です。

外食事業やコンビニエンスストアなどで

店内飲食とテイクアウトの両方を行っている場合は、

それぞれ異なる税率が適用されるため、

両方の場合の総額表示をするか、

片方の場合の総額表示をしつつ、

顧客の意思表示により異なる税率が適用され、

税込価格が別途計算されることがあり得る旨、

店舗内の目立つ場所に掲示して一般消費者に対して注意喚起を行う必要があります。

AMFニュース [2021年3月30日号]

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中小企業にも『同一労働同一賃金』
が適用されます(令和34月~)

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中小企業にも『同一労働同一賃金』適用

令和3年4月より、中小企業にも『同一労働同一賃金』が適用されます。

大企業には令和2年4月から適用され、中小企業には1年間猶予されていました。

そもそも、同一労働同一賃金とは何でしょうか?

文字通りに解釈すれば、同じレベルの労働に

同じレベルの額の賃金を支払うことと読めます。

しかし、法的には正規雇用労働者(正社員)と

非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との間の

不合理な待遇差の解消を目指すものです。

従って、正規雇用労働者(正社員)間の待遇差については、対象外となります。

『同一労働同一賃金』に関する法改正

同一労働同一賃金に関して改正される法律は、

「労働契約法」と「パートタイム・有期雇用労働法(以下、パート有期法)」です。

具体的には、労働契約法20(期間の定めがあることによる

不合理な労働条件の禁止)が廃止され、

パート有期法8条(均衡待遇)と同法9条(均等待遇)に

引き継がれることになりました。

『同一労働同一賃金』で求められること

パート有期法では、

職務の内容と

職務の内容・配置の変更の範囲が同じであれば、

差別的な取扱いが禁止され、均等待遇が求められます。

一方、に差がある場合でも、

さらにその他の事情を考慮して

均衡(バランス)のとれた待遇、即ち均衡待遇が求められます。

なお、派遣労働者については、大企業と同じく令和2年4月から、

賃金の決定方法に「派遣先均等・均衡方式(派遣先ベース)」と

「労使協定方式(派遣元の労使協定ベース)」の

いずれかを採用しなければならないことになっています。

他には、非正規雇用労働者に正規雇用労働者との待遇差について

説明を求められた場合の説明義務が強化されます。

また、均衡待遇や待遇差の説明に関する紛争は、

都道府県労働局の管轄となり、

裁判外紛争解決手続(行政ADR)の対象となります。

AMFニュース [2021年3月23日号]

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老齢厚生年金・老齢基礎年金の
  繰上げ・繰下げ

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老齢厚生・基礎年金の繰上げ・繰下げとは

老齢厚生年金・老齢基礎(国民)年金の繰上げと繰下げの制度をご存じでしょうか?

老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給開始年齢は、

共に原則65歳となっていますが、

65歳になる前に受給開始する場合を繰上げ、

66歳以降に受給開始する場合を繰下げといいます。

なお、65歳の1年間は繰下げできません。

繰上げ・繰下げのメリット・デメリット

老齢厚生年金・基礎年金を繰上げすると、月0.5%の割合で受給額が減額されます。

例えば、繰上げの上限である60歳到達時から受給する場合、

原則の65歳から受給開始と比べて30%減額され、70%の受給額となります。

繰上げすると、老齢厚生年金と老齢基礎年金は同時に繰上げとなり、

一方のみを繰上げすることはできません。

また、いったん繰上げを選択すると、生涯変更できません。

逆に繰下げの場合、月0.7%の割合で受給額が増額されます。

70歳まで5年繰り下げた場合42%の増額となり、

65歳からの受給開始に比べて4割以上も受給額が増えます。

しかし、繰下げも注意が必要です。

例えば、老齢厚生年金の繰下げ期間中、加給年金は支給されません。

老齢基礎年金の繰下げ期間中、振替加算は支給されません。

さらに、65歳以上で在職老齢年金の対象となる場合、

支給停止された部分は繰下げによる増額の対象になりません。

なお、老齢厚生年金と老齢基礎年金は別々に繰下げを選択でき、

老齢厚生年金または老齢基礎年金のみの繰下げが可能です。

今後の繰上げ・繰下げに関する制度改正

年金制度改正法(令和2年法律40号)により、

令和4年4月以降、受給開始年齢の選択肢が拡大され、

受給開始年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられます。

75歳まで繰り下げた場合、最大で年額84%の増額となります。

一方、繰り上げる場合の減額率は月0.4%に変更されますので、

60歳到達から受給する場合、従来の最大30%減額が24%減額へ減額幅が縮小します。

AMFニュース [2021年3月16日号]

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  コロナ禍の花粉症対策
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4人に1人が花粉症

花粉症とは、花粉が原因となり体内で異物として過敏に反応することにより、

くしゃみ・鼻水・眼の痒み・異物感等の症状が出る季節性アレルギー性疾患をいいます。

現在、日本人の実に25%が花粉症に悩まされていると言われており、

日本の国民病とも呼べるでしょう。

原因となる花粉は、スギ・ヒノキ・イネ・ブタクサ・ヨモギなど約60種類ありますが、

その中でもスギ花粉は、2月下旬~4月下旬に飛散量を増加させ猛威を振るいます。

コロナ禍での花粉症との付き合い方

特に、今年は新型コロナの感染拡大によって人々の生活が大きく変化し、

くしゃみや咳ひとつするのにも周囲に気を遣うような社会になってしまいました。

また、花粉症の症状の中には、鼻水・咳・においの障害など、

コロナウイルス感染症と似たようなものがあり、

病院でも見分けが難しいことがあります。

このような状況の中、花粉症の症状と付き合うには、

どんな心がけが必要なのでしょうか。

ポイントは、花粉症の症状が軽めのうちに、

症状を悪化させない対策を徹底して行うことです。

花粉が付きにくい衣類を着る、

家に花粉を持ち込まないように、帰ったらすぐにシャワーを浴びる、

空気清浄機や加湿器を活用する、

換気の際には、網戸に花粉フィルターを使い

室内に花粉が侵入することを防ぐのも効果的でしょう。

職場でも十分な対策を

気を付けたいのが、花粉症で目や鼻が痒い時に、

万一ウイルスの付着した手で顔を触ってしまうことです。

粘膜を介して感染し、他の人にも感染を広げてしまうこともあるかもしれません。

こまめに手を消毒し、無意識に目に触れないよう花粉メガネの利用も良いでしょう。

花粉症対策とコロナ対策は共通するところがあります。

エアコンフィルターの掃除や濡れたタオルで机や窓の掃除をする等、

できることから始めましょう。

また、在宅ワークの推奨は、コロナと花粉、両方の対策にもなりますね。

AMFニュース [2021年3月9日号]

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 テレワークを生産性向上に
  つなげるには

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テレワークの良さを生かすには

コロナ禍の影響で急速に普及してきたテレワークですが、

テレワークを生かすためにはまず目的を明確にし、

会社と社員で認識を統一しておく必要があります。

制度の運用の土台づくりをしておかないと、

テレワークにより生産性が上がる場合ばかりでなく、

下がってしまう場合もあります。

出社と在宅勤務のメリット・デメリット

出社勤務と在宅勤務の比較をしてみます。

通勤に関して

<メリット>

・通勤時間がかからない、

・時間のゆとりができる

・通勤の心身の疲労は感じない

<デメリット>

・運動不足になりやすい

・オンオフの切り替えがしにくい

人間関係に関して

<メリット>

・在宅は気遣いからの解放

・出社は身だしなみに気を遣う

・出社は雑談、談話による息抜き

・出社は他者理解

<デメリット>

・在宅は身だしなみが気にならない

・在宅は孤独感、疎外感、真意伝達の困難さ

・出社時の人間関係のわずらわしさ

生産性に関して

<メリット>

・在宅では自分の業務に集中できる

・出社ではチームで助け合いができる

・出社では連絡も密にできる

<デメリット>

・出社時は雑用で仕事が進まない時も

・出社では会議や打ち合わせが多い

・在宅では困りごとを相談しにくい

・在宅ではチームの状況が把握しづらい


今後のテレワークの方向性

昨年の5月に行われた民間の大規模調査では、

7割近い人がテレワークを今後も続けたいとしており、

年齢の低い人ほどその比率は増えています。

テレワークを生かす3つのポイントは

目的の共有化……

生産性向上を目指し、適切な労働時間管理、信頼関係の構築でルールを遵守

インフラ&制度整備……

ネットワーク環境、セキュリティー対策、紙からデータへの移行、運用ルール策定

コミュニケーション……

メンバーの進捗状況の共有、相談態勢、心身ともに健康で働ける環境作り

AMFニュース [2021年3月2日号]

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 マイナンバーカードが
 健康保険証として利用可能に
 (令和3年3月~)

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マイナンバーカードが健康保険証に?

令和3年3月から、医療機関・薬局において

マイナンバーカードの健康保険証利用が開始されます。

既に、マイナンバーカードの健康保険証利用申込みが、

令和2年8月から始まっていることをご存じでしょうか?

健康保険証として利用するためには

マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、

事前に利用の申込みが必要です。

具体的には、マイナンバーカードを準備した上で、

下記のいずれかの手続が必要となります。

スマートフォンでの申込み

マイナンバーカード読み取り可能な機種で「マイナポータルAP」をインストールして

「健康保険証利用申込」から申し込みます。

パソコンでの申込み

パソコンとマイナンバーカード読み込みカードリーダーを用意して、

「マイナポータル」トップページの「健康保険証利用の申込」から申し込みます。

マイナポータル端末での申込み

自治体に設置されたマイナポータル端末から

「マイナポータル」サイトにアクセスして申し込みます。

マイナンバーカードで何が変わる?

医療機関・薬局の受付に設置された顔認証付きカードリーダーで、

本人確認と保険資格の確認が行われます。

高額医療費制度を利用する場合、「限度額適用認定証」の申請が不要となり、

窓口での限度額を超える医療費の一時払いも不要となります。

また、転職や結婚による新しい健康保険証の発行前でも受診可能になります。

さらに、確定申告の医療費控除もe-Taxとの連携で簡便になります。

令和5年3月までには全ての医療機関で

マイナンバーカードを健康保険証として使うには、

医療機関・薬局での顔認証付きカードリーダーの設置が前提ですが、

令和5年3月までには概ね全ての医療機関・薬局で利用できるようになる見通しです。

健康保険証は将来的には廃止が検討されていますが、当面発行されます。

AMFニュース [2021年2月23日号]

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  ライフスタイルと年金
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人生の様々な出来事と年金の関わり

就職、結婚、定年……人生にはいろいろな出来事がありますが、

良いことばかりでなく思わぬアクシデントに遭遇することもあります。

年金は人生の転機と大きく関わっています。

山あり谷ありの人生のモデルケースのライフステージを見てみましょう。

スタートは20歳国民年金の加入から

1.20歳になると国民年金加入のお知らせが届きます。

日本に住む20歳以上60歳未満の方は全員加入が原則とされています。

1号被保険者となります。

2. 就職して厚生年金保険に入る。

高卒18歳で厚生年金保険適用事業所に就職すれば、加入します。

大卒22歳以上で就職したときも同様です。

2号被保険者となります。  

3. 海外留学や海外派遣

国民年金の加入者が海外留学中は任意加入となり、

加入すれば保険料の納入が必要となります。

企業から海外派遣などで勤務する場合は一時派遣であれば日本の年金制度のみ加入、

長期は社会保障協定で決められている基準に従い相手国の年金に加入します。

結婚し妊娠、出産、育児休業、退職したとき

妊娠・出産・育児休業期間は保険料免除制度があります。

妻が退職し専業主婦となった場合は第3号被保険者となり

夫の勤務する会社を通して手続きします。

再就職しても年収130万円未満()であれば保険料はかかりません。

条件によっては、106万円未満

夫が退職、自営業となる

夫婦とも第1号被保険者(60歳未満)

市区町村役場で手続きをする。

夫が不慮の事故で急逝、子が交通事故

母子に遺族厚生年金、遺族基礎年金が受給できます

(遺族基礎年金は子は18歳の年度末まで)。

子は20歳で国民年金に加入。

万が一の交通事故などで後遺症が残ったときは障害基礎年金が受けられます。

妻再就職で厚生年金再加入

老齢年金を受給できる年齢になったら年金の請求手続きをします。

働いているうちは給与に応じて年金額が減額されます。

老齢年金と遺族年金の選択も必要です。

65歳にはもう一度、老齢年金の請求書が来るので提出します。

AMFニュース [2021年2月16日号]

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持続化給付金など申請期限を延長
 課税される助成金と計上時期

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新型コロナウイルスの影響により様々な助成金等を受け取る機会がありました。

それぞれの課税上の取り扱いを整理します。

非課税とされる助成金等

以下の助成金は所得税の非課税として取り扱われます。

・特別定額給付金

・子育て世代への臨時特別給付金

・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

・学生支援緊急給付金

・低所得ひとり親世帯への臨時特別給付金

・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金

・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の割引券及び助成

課税される助成金とその計上時期

以下の助成金は課税され、

原則的には支給の決定した時(権利の確定時)に収入を計上します。

給与や家賃など特定の経費を補填する性格の助成金は、基本通達の取扱に準じて、

必要な手続きをしているときはその経費の発生年度に計上することとなります。

また、Go Toキャンペーンによる給付金やポイントは、

そのサービスを受けたときやポイントの使用時に収入計上します。

(1)支給決定時に計上するもの

・持続化給付金

・地方自治体の感染拡大防止協力金

持続化給付金については、

令和2年12月に申請したが支給決定の通知が来ていないもの、

令和3年に申請を行ったものは令和3年以後の収入となります。

(2)支給決定時又は経費発生時に計上するもの

・雇用調整助成金

・小学校休業対応助成金

・家賃支援給付金

・小規模事業者持続化補助金

・経営継続補助金(農林漁業者向け)

・感染拡大防止等支援事業の補助金(医療機関等向け)

(3)ポイント・クーポン使用時に計上するもの

Go To トラベル事業の給付金

Go To イート事業の給付金

Go To イベント事業の給付金

 

色々な助成金があります。それぞれ正しく処理しましょう。

AMFニュース [2021年2月9日号]

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 新型コロナウイルス感染症と
     医療費控除

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マスク購入費用は医療費控除の対象?

国税庁は、新型コロナウイルス感染症に関して、

申告や納税などの税務上の取扱いに関するFAQ

令和23月から公開していますが、

現在も更新を続けており、横断的にきめ細かな説明をしています。

今年の確定申告で、医療費控除を申告する方の中には

「マスクの購入費用は医療費控除の対象になるのか」と

疑問に思った方もいらっしゃるかと思いますが、

この問いに関してはFAQの中でNo」という回答を出しています。


医療費控除の定義

 医療費控除の対象となる医療費は、

1. 医師等による診療や治療のために支払った費用

2. 治療や療養に必要な医薬品の購入費用

と定義されています。

マスクの購入費用については

「病気の感染予防を目的に着用するもの」であるから、

治療や療養のための費用ではないため、医療費控除の対象にはならないのです。


オンライン診療の諸費用は?

オンライン診療に係る費用についても回答があります。

オンライン診療料やオンラインシステム利用料については、

「診療に直接必要な費用に該当する」ので、医療費控除の対象になります。

ただし、「医薬品の配送料」については、

治療に必要な医薬品の購入費用に該当しないので、医療費控除の対象になりません。

PCR検査費用は?

医師の判断によりPCR検査を受けた場合、この費用は医療費控除の対象になります。

ただし、医療費控除の対象は自己負担部分に限られ、

現状、医師の判断によるPCR検査は原則公費負担によって行われるため、

このケースで医療費控除の対象になる費用が出ることは非常にまれです。

「感染していないことを明らかにするためのPCR検査」等、

自己の判断で受けた検査費用に関しては、医療費控除の対象となりません。

ただし、検査の結果「陽性」であることが判明し、

引き続き治療を行う場合には、

その検査は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるので、

医療費控除の対象となります。

AMFニュース [2021年2月2日号]

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テレワークの労務管理上の課題
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テレワークを実施している割合は?

内閣府が20206月に公表した調査によると、

全国でテレワークを経験した人の割合は34.6%でした。

テレワークは以前からありますが、

コロナ禍でより身近な働き方になったと感じる人も多いのではないでしょうか?

調査ではテレワークの導入率が「ほぼ100%」は全体の10.5%、

感染者の多い東京23区では20%以上という高い割合です。

50%以上」の働き方も11%と約1割あります。

東京都では昨年12月の実施率が15.7%であったものが、

20204月では49.1%が実施、2.5倍に増えています。

実施が多い業種は、

1.教育・学習支援、

2.金融、保険、不動産業、

3.卸売業、

4.製造業です。

テレワークの実施率は業種別、雇用形態別、地域別で大きく異なっています。

労務管理上の課題

テレワークを実施していない企業から上がってくる意見は

「適した業務がない」

「セキュリティー上のリスク」

「インフラ整備の問題」などがあります。

他には次に上げるような意見もありました。

「部下が本当に集中して働いているか」

不安に感じる上司の一方で働く側は「サボっているとは思われたくない、

業務に集中するあまり長時間労働となってしまう」

という回答もあります。

一部に多少サボっている人がいるとしても、

テレワーク中の全員を監視するようなことは働く意欲をなくしてしまいます。

会社と社員で認識を統一して、制度がきちんと運営される土台を作ることが大切です。

労働時間の把握が難しい

在宅勤務中にも出社時と同じ労働時間管理をしている企業は8割ありますが、

電話、メールで始業・終業に連絡、クラウド上の勤怠システム、

パソコンのログ、日報などの報告があります。

本人の都合で時間をずらして働くときは

事前・事後に申請させるなどして実態を把握しましょう。

コミュニケーションがとりにくい

コミュニケーション手段は主にメール、チャット、WEB会議、電話等になりますが、

対面よりは簡潔な表現にならざるを得ないので

情報共有漏れが出ないともかぎりません。

在宅勤務は孤独感や相談相手がいない等、精神面でのフォローも必要不可欠です。

AMFニュース [2021年1月26日号]

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令和3年度税制改正大綱
    資産課税編

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国際金融都市に向けた税制上の措置

日本の相続税の最高税率は55%。

他国に比べて高い負担で、現行法では、日本に住む外国人が日本で死亡した場合、

滞在期間が過去15年以内に10年を超えていると、

国外財産にも日本の相続税が課されます。

今回の改正では、高度なノウハウを持つ海外の人材が

日本に進出・定着しやすくなるよう、

滞在期間にかかわらず、相続税・贈与税を課税しないこととなりました。

住宅取得等資金の贈与税の非課税枠拡充

新型コロナウィルス感染拡大を受け、個人の住宅取得は厳しい環境に置かれています。

そのため、親や祖父母から住宅購入資金の贈与を受けた場合の

贈与税の非課税制度について、

非課税枠(1,500 万円/令和3年4月以降縮小)

令和3年末まで据え置くこととなりました。

また、住宅ローン控除と同様に床面積要件の下限が

40㎡以上に改正されます(相続時精算課税の特例も同様)

〈〈令和3年4月~12月の間に契約〉〉

<消費税10%が適用される住宅>
・改正前→1,200万円
・改正後→1,500万円

<上記以外>
・改正前→800万円
・改正後→1,000万円

教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与

節税的な利用を防止する観点から、
受贈者が贈与者の孫等である場合の

贈与者死亡時の残高に係る相続税額への2割加算の適用など

所要の見直しを行った上で、適用期限が2年延長されます。


固定資産税等の負担調整措置

〈固定資産税の課税標準額・税額の据置き〉

令和3年度に限り、住宅地、商業地や農地等の土地に課される固定資産税は、

負担増にならないよう評価額が据え置かれます

(評価額が下がった場合には、その評価を反映させます)。

令和3年度は、本来、固定資産税の評価額の改定年。

評価の基準は令和2年1月1日のもので、当時の地価は上昇傾向でした。

その後、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、地価が下落した地域もあることから、

当年度に限り特別な措置が講じられました。

〈負担調整措置の継続〉

宅地等及び農地の負担調整措置について、

令和3年度から令和5年度までの間、現行の負担調整措置の仕組みが継続されます。

令和4年度以後の固都税は、令和311日時点の地価を基準とする予定です。

AMFニュース [2021年1月19日号]

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 令和3年度税制改正大綱
   個人所得課税編

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令和3年度改正は経済再生へ負担減重視

令和3年度の税制改正は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と

経済活動との両立がテーマ。

減税重視のものとなっています。

住宅ローン控除の特例の延長等

住宅ローン控除は、消費税増税対策で拡充した特例(控除期間13年)の

適用期限が2年延長されます。

また、夫婦2人・単身世帯への配慮から、

この延長した部分に限り床面積要件が「40㎡以上」に軽減されます。

<改正前>

入居:令和2年末まで

床面積:50㎡以上

所得:3千万円以下

<改正後>

入居:令和4年末まで

床面積:40㎡以上

所得:4050㎡未満は1千万円以下

 

現在では1%以下の金利でローンが組めることも多く、

会計検査院から過大な優遇との指摘があり、今後の動向に注目です。

セルフメディケーション税制の見直し

対象をより効果的なものに重点化し、手続を簡素化した上で5年延長されます。

<改正前>

取組関係書類の提出が必要

<改正後>

明細書に取組に関する事項を記載

ベビーシッター利用助成を非課税に

国や自治体からの子育て助成(ベビーシッター・認可外保育施設の利用料等)は、

「雑所得」として課税されていましたが、

子育て支援の観点から、非課税とする措置が講じられます。

退職所得課税の適正化

現行法でも特定役員退職手当等(勤続年数が5年以下の役員)については、

/2課税の適用が認められていませんでした。

今回の改正では、雇用の流動化等に配慮し、

勤続年数が5年以下の従業員についても、

退職所得控除後の残額が300万円を超える部分については、

/2課税の適用を認めないこととなりました。

〈〈勤続5年以下の従業員の退職所得〉〉

<改正前>

/2課税あり

<改正後>

300万円以下部分・・・1/2課税あり

300万円超部分・・・1/2課税なし

 

企業年金・個人年金に関する税制についても見直しが進められます。

AMFニュース [2021年1月12日号]

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 年金手帳が廃止されます
 (令和4年4月~)

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年金制度機能強化法の改正

令和2年6月に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」

(以下、「年金制度機能強化法」)が公布されました。

今回の年金制度機能強化法の改正では、

被保険者の適用範囲の拡大、

在職定時改定の導入、

受給開始時期の選択肢の拡充、

確定拠出年金の加入要件の拡大などが主な内容ですが、

その他として、年金手帳の廃止(新規発行停止)も盛り込まれています。

年金手帳の様式

年金手帳は、加入時期によって様式が異なることをご存じでしょうか?

<昭和499月以前>

厚生年金被保険者証:カード

<昭和4910月~平成812月>

年金手帳:橙色の手帳

<平成91月以降>

年金手帳:青色の手帳

なお、国民年金の被保険者証は、昭和4910月以降、厚生年金と共通化されており、

年金手帳が発行されています。

なぜ年金手帳が廃止になるのか?

これまで、年金手帳は、国民年金および厚生年金の被保険者証として、

保険料納付の証明や基礎年金番号の本人通知等に利用されてきました。

しかし、現在では被保険者情報はシステムで管理されており、

個人番号(マイナンバー)の導入によって、手帳の形式をとる必要性が低下したことで、

業務効率化の一環として廃止されることになりました。

年金手帳廃止後は?

令和4年4月以降、新たに国民年金の1~3号被保険者となる方には、

年金手帳の交付に代わり、「基礎年金番号通知書」(様式は検討中)が

送付されることになります。

なお、従来の年金手帳は、

引き続き基礎年金番号を明らかにする書類として利用できます。

ただし、年金手帳の再交付はされませんので、

紛失した場合は「基礎年金番号通知書」が発行されることになります。

AMFニュース [2021年1月5日号]

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   どちらが有利?
   税込経理・税抜経理

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判定し易いケースの想定

高額な資産、たとえば事業用ビル一棟買いをした場合などを想定してみましょう。

税込価格11億円で取得、減価償却計算の耐用年数を50年とします。

<税込経理の場合>

建物 11億円/現金 11億円

未収還付消費税 1億円/雑収入 1億円

減価償却費 2200万円/建物 2200万円

<税抜経理の場合>

建物 10億円/現金 11億円

仮払消費税 1億円/

減価償却費 2000万円/建物 2000万円

減価償却費と還付消費税を考えると

税込経理の場合、消費税還付金1億円が収益として処理され、

法人税・所得税計算上、課税所得となります。

逆に、減価償却費が増えて、当初の課税を後の耐用年数期間で取り戻していきます。

長期的には損得ないことになりますが、金利的・資金計画的には税込経理が不利です。

高級絵画を購入した場合を想定すると、絵画は減価償却できませんから、

売却するまで消費税部分は費用にならず、

売却がないとすると、永久に取り戻せません。

選択はいつでも任意

消費税の経理処理としては、

税込経理と税抜経理どちらの方式を選択してもよいことになっています。

そして、どちらの方法を選んでも年間の消費税負担は同じです。

減価償却資産の取得がなければ、会計上の利益も、税込経理の場合、

期末で確定する消費税の額を未払金として計上すると、

税抜経理の時と基本的に同じになります。

ただし、税込経理、税抜経理の変更をすると、

会計データの期間比較性を損なうことになります。

なお、税込経理、税抜経理には、次のようなメリット・デメリットがあります。

例えば税込経理では……

交際費の額が大きくなり不利。

償却資産税の課税標準が大きくなり、税額も増加するので不利。

少額減価償却資産等の30万円(または20or10万円)未満の判定では不利。

特別償却や税額控除の判定では×××万円以上という要件が多いので有利。

売上金額を大きく見せるのに有利。

経理処理方法が簡便なので有利。

控除対象外消費税が生じないので、その知識が不要につき有利。

AMFニュース [2020年12月22日号]

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高年齢者就業確保措置について
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70歳までの就業確保が努力義務へ

20214月より、改正高年齢者雇用安定法が施行されます。

これまでは65歳までの雇用確保が義務でしたが、

これに加え、70歳までの就業確保が努力義務となります。

求められる措置は、以下の5つのうちのいずれかです。

① 70歳までの定年引き上げ

定年制の廃止

③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

a.事業主が自ら実施する社会貢献事業

b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
 

からについては70歳まで雇用契約を継続するものですが、

は雇用をせず創業支援等によって就業機会を作るものです。

これらは努力義務であるため対象者を限定する基準を設けることができますが、

過半数労働組合との話し合いなど労使間で十分な協議が行われることが望まれます。

留意事項はパンフレットやQAで確認を

前述のは、これまでの65歳を対象とした制度とほぼ同じですが、

については自社および特殊関係事業主以外の他社も認められ、範囲が広がりました。

しかし、この場合には無期転換ルールの特例が認められず、

有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合に

無期転換権が発生するため、注意が必要です。

についても、雇用契約を解除したうえで就業機会を提供するものであるため、

法の趣旨に反しない制度とするためには、

必要な手続きや留意事項を慎重に確認して進める必要があります。

厚生労働省は、1030日にこれらの措置の概要をまとめた

パンフレットとQAを公開しましたので、ご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html

また、65歳超雇用推進助成金もありますので、活用していきましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139692.html

長く働ける制度があると、モチベーションの持続につながりますね。

AMFニュース [2020年12月15日号]

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  勘定合って銭足らず
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勘定合って銭足らずとは

会社の事業の儲けは基本的に利益です。

しかし利益が出たからといってその分お金が増えているかというと、

そうでもない場合があります。

というよりもそうでもない場合の方が多いかと思います。

そういった状況が「勘定合って銭足らず」です。

原因は多岐にわたりますが、設備投資等大きな投資をしたような場合は、

原因がはっきりしているので、

多くの場合経営者は自覚的で特に問題にはなりません。

原因が分からない場合が問題です。


銭足らずの比較的分かりやすい原因

 在庫が異常に増えている場合

 売掛金や受取手形等の売掛債権が異常に増加している場合

 買掛金や支払手形等の買掛債務が異常に減少している場合

このような場合、要は儲かった銭が在庫や債権債務に姿を変えているということです。

決算書を注意して見ればある程度分かります。

経営者としては、当然の注意義務です。

また経験の長い経営者なら

「おや?」と気が付くものです。

銭足らずの分かりにくい原因

慢性的に銭足らずの場合があります。

どういう場合かというと、借金を返済している場合です。

設備投資等大型の投資を借入金でまかない、その返済をしているような場合は、

往々にして「勘定合って銭足らず」となっている場合があります。

要は借金の返済をするには儲けが少なすぎるという場合です。

利益が十分か再確認してみましょう

税引き後利益と減価償却費の合計から年間の返済金額を引いてみてください。

また配当などをしている場合は、その分もマイナスしてください。

結果がマイナスであればその金額を65%で割り返した金額分利益が不足しています。

毎年銭足らずとなります。

逆にプラスであればその分資金は増えているはずです。

税引後利益が分からない場合、安全を考えて利益の65%としてみてください。

AMFニュース [2020年12月8日号]

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 退職金や株式譲渡益に注意
 基礎控除とふるさと納税

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ふるさと納税の時期です

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、

自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。

上限金額は今年の所得や控除によって決まるので、

今年の所得が明確に分かる年末になるにつれ、寄附される金額が多くなります。

今年は給与所得控除や基礎控除に若干の変更点があったため、

給与収入が去年と同額でも、

若干の上限金額の増加(と同時に税額の増加となります)になる方がいらっしゃいます。

基礎控除の算定は給与所得以外もプラス

基礎控除の減額に関しては所得金額が、

2,400万円以下:48万円

2,400万円超2,450万円以下:32万円

2,450万円超2,500万円以下:16万円

2,500万円超:基礎控除は0

となっていますが、この「所得金額」には給与所得以外の所得もカウントしますから、

少々注意が必要です。

退職所得や株式譲渡益を申告した場合等は、この算定に入ってきますから、

給与所得のみで計算して、基礎控除があったのに、

確定申告をしたら基礎控除がなくなってしまった、ということもありえます。

ふるさと納税との関係

株式譲渡益の特定口座源泉徴収ありの場合で、申告不要を選択していると、

その譲渡益はふるさと納税の控除上限金額の計算には入りません。

譲渡益を申告(住民税も同様の申告方法とする)すると、

ふるさと納税の控除上限金額の計算には入りますが、

基礎控除の算定にもかかわってきてしまいます。

退職所得は一般的なものについては、

ふるさと納税の控除上限金額の計算には入りませんが、

基礎控除が減る所得に達すると、税額が僅かに上がるため、

ふるさと納税の控除上限金額も少しだけ上昇します。

今までは「退職所得はふるさと納税には関係ない」という説明で

一律済んでいたのですが、

一部の方に対しては、今年からはそう言い切れなくなりました。

このように、少しでも仕組みが変わると、各制度に波及して影響が色々と出てきます。

税の仕組みの難しさを垣間見る一例です。

AMFニュース [2020年12月1日号]

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    役員変更登記
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役員と任期

会社法上、役員とは取締役、監査役、会計参与となります。

取締役及び会計参与の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち

最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなりますが、

非公開会社は定款で定めることにより、

選任後10年以内に終了する事業年度のうち

最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることができます。

一方、監査役の任期は原則として選任後4年以内に終了する事業年度のうち

最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなります。

定款によって選任後10年以内に終了する事業年度のうち

最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることができるのは

取締役及び会計参与と同様です。

また、任期を定款に定めることによって選任後10年以内に終了する事業年度のうち

最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと伸ばせる非公開会社とは、

定款において全ての株式に譲渡の制限が付されている株式会社のことをいいます。

なお、有限会社は、譲渡の制限の定めがあるとみなされています。


役員の任期の実情

公開会社であるメリットはあまりないため、

上場会社であるような大きな会社を除き、

新たに設立する会社のほとんどが非公開会社です。

そうなると役員の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち

最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと

定款で定めている会社が多いはずです。

平成18年5月1日に会社法が施行され、

非公開会社の役員の任期が、10年まで伸ばせるようになりましたが、

平成18年の会社法の施行後に役員の任期を伸長した会社は、

任期を伸長した定款変更から10年を経過していれば、

役員の任期は満了しており、役員の変更登記をしなければなりません。

平成28年で会社法の施行から10年が経過しました。

よって、役員の任期も満了している会社は多いのではないでしょうか。

確認してみて下さい

株主総会を開催し役員の改選を行い、

役員変更登記まで完了している会社は問題ありませんが、

もし気になれば、この機会に定款や任期を伸長した議事録を

見返してみてはいかがでしょうか。

AMFニュース [2020年11月24日号]

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 「業務委託」「在籍出向」
 「副業」の労務管理

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労働力の活用方法の多様化

新型コロナウィルス感染症の影響もあり人材の動きにも影響が出ています。

仕事が減った事業のある一方で人手不足の事業もあり働き方も多様化しています。

雇用以外で仕事を受け負う形態も有り、

その違いを知り企業間の労務管理や契約書を交わすことが求められるでしょう。

いくつかの契約形態の例で見てみます。


1、業務委託

自社で対応できない業務を外部に委託する契約の総称です。

請負契約や委任契約はこの部類です。

社員を送る側の会社(受託者)は自社の社員に命令して

社員を受け入れる側の会社(委託者)から依頼された仕事を請け負います。

委託者は受託者に対し、業務委託手数料を支払います。

業務上の指示を出すのは受託者です。

委託者が指示を出すといわゆる「偽装請負」とみなされ

労働者派遣法の罰則に該当してしまいます。

自社が委託者で業務の進め方に注文があれば受託者に話を通す必要があります。

賃金、労働時間管理(委託先での労働時間を働いた人が受託先に報告)、

社会保険・労働保険の適用は受託者が行います。

2、在籍出向

在責出向は社員を送る側(出向元)との労働契約を維持したまま、

受け入れる側(出向先)とも労働契約を締結して働くことです。

出向を命じられた社員は出向先の指揮命令を受けて働きます。

出向先が出向契約にない業務を命じる場合は都度出向元と相談が必要でしょう。

賃金、労働時間、社会保険・労働保険の取り扱いは出向契約で決めますが、

賃金は通常出向元が負担、その場合、社会保険や雇用保険は出向元で加入します。

労災保険は出向先の保険を適用することが一般的です。

労働時間は通常出向先で管理します。

3、副 業

副業とは本業と掛け持ちで他の仕事をすることで

本業先が自社の社員を副業先に紹介した場合は、副業先も労働契約を結びます。

業務中の指示も副業先が出します。

労働時間は副業先では副業先が管理します。

時間外労働は本業と副業先と両方で働く場合、

両方の労働時間を通算し法定労働時間を超えた時間が

副業先(原則労働契約時期が遅い方)での支払いになります。

社保加入は条件を満たせば2社の適用になり、雇用保険は賃金の多い方で加入します。

AMFニュース [2020年11月17日号]

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 扶養の「壁」を超えた時
 目指す収入額と使える制度

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「扶養内で働く」とは

共働きの世帯では、夫・妻ともに正社員のフルタイマーで働いているケースもあれば、

片方が会社員としてフルタイムの勤務をし、

片方がパートやアルバイト等の短時間労働をしながら

家事や育児、介護等を担っているケースもあります。

ところで、会社員やアルバイト・パートの勤務経験がある方ならば、

夫や妻の扶養控除を受けてパート等で働く際に

「扶養内で働く」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

これは、「扶養控除が受けられる範囲の中で働く」という意味で、

収入が一定額を超えると税金や社会保険料の負担が発生し

家計全体の手取り額が減ることがあるため、

その一定額以下の収入となるよう勤務時間や収入を調整して働くことを指しています。

税金の「壁」、社会保険の「壁」

扶養控除には、「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つがあります。

税金や保険料が発生する一定収入のラインを年収の「壁」と呼ぶことがあります。

年収が103万円を超えると、税制上の扶養から外れて、

超えた額に対する所得税を自分で納める義務が発生します。

また、従業員が501人以上の会社で働く人は年収106万円、

500人以下の会社では年収130万円以上になると、

社会保険上の扶養から外れて、健康保険料や年金保険料を負担する必要が出てきます。

ただし、社会保険の加入には条件があり、年収で被扶養者から外れても、

労働時間が短い等の理由で自分の職場の厚生年金と健康保険に加入できない場合は、

国民年金と国民健康保険に加入することになります。

「壁」を超えても損しない収入のラインは

では、配偶者控除の「壁」を超えて勤務をするとしたら、

具体的にはどのくらいの収入ならば税金や社会保険料を支払ってでも勤務をしたほうが、

家計全体の収入が増加するのでしょうか。

結果的には130万円の収入を超えて、自分で社会保険料や年金保険料を払い、

所得税や住民税の負担もあると考えると、

目安として180万円以上働かないと、家計の手取りは減ってしまいそうです。

ただ、保険料の負担は大きくとも、

会社の社会保険と厚生年金に加入できれば将来受け取る年金が増え、

病気で休職した際に健康保険の傷病手当金の給付、

会社を辞めても雇用保険の失業給付が受け取れるなど大きなメリットもあります。

現在の手取り額だけを見るのではなく、今後のことも見据えた選択をしたいですね。

AMFニュース [2020年11月10日号]

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遺族年金の生計維持要件
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厚生年金保険加入中の死亡

家族が亡くなった時、死亡した人に生計を維持されていた遺族は

遺族年金を請求できます。

例として厚年年金保険加入中の夫(43歳)が死亡、

43歳、子10歳が残された場合で見てみます。

夫が被保険者期間中の死亡の場合、

遺族厚生年金が支給され、さらに子のある配偶者として遺族基礎年金も支給されます。

この両方を受けられる遺族は、被保険者が死亡した当時、

死亡していた人に生計を維持されている必要があります。

生計維持要件とは

生計同一要件

ア、住民票上同一世帯に属していること

イ、住民票世帯は異にしているが住所が住民票上同一である

ウ、住所が住民票上異なっているが、現に起居を共にし、

かつ消費生活上の家計を一つにしていると認められるとき。

のいずれかに該当していること

遺族の収入要件は

ア、前年の収入が年額850万円未満

イ、前年所得が年額6555000円未満

ウ、一時的な所得がある場合は、一時的な所得を除いた後、

前年の収入が年額850万円未満又は前年の所得が年額6555000円未満である。

エ、アからウの要件を満たさないが、定年退職などの事情により

概ね5年以内に収入が850万円又は所得が6555000円未満になることの

いずれかに該当していれば収入要件は満たしています。

共働きで被扶養者でなかったとしても遺族厚生年金は受給できます。

遺族基礎年金は死亡した人の子と生計を一にしている場合受給できます。

今回のケースでは両方が受給できます。

妻の遺族年金の将来は

妻の遺族基礎年金は子がいることが前提ですが、

子が18歳になった年度末の331日に達したときに消滅します。

遺族基礎年金が消滅しても65歳になるまで

中高年寡婦加算(年額586300円)が支給されます。

遺族厚生年金は妻が再婚しない限り一生涯支給されます。

ただし65歳になると妻の老齢厚生年金と老齢基礎年金が支給され

厚生年金部分は調整されます。

AMFニュース [2020年11月3日号]

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 令和2年分から適用開始
 所得金額調整控除に注意

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令和2年分から適用される所得税の改正項目は多岐にわたり、

基礎控除・寡婦控除・給与所得控除・公的年金等控除・青色申告特別控除の改正や、

ひとり親控除・所得金額調整控除の創設などがあります。

このうち所得金額調整控除は、新たに創設された制度で

適用が想定されるケースも多そうです。

今年の年末調整で戸惑わないよう注意しましょう。

所得金額調整控除

所得金額調整控除には、以下の二種類の控除があります。

(1)子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

【適用対象者】

その年の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で、かつ、

本人が特別障害者に該当する者、

年齢23歳未満の扶養親族を有する者、又は

特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族を有する者

【所得金額調整控除額】

{給与等の収入金額※ − 850万円}×10

※(1,000万円超の場合は1,000万円)

(2)給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

【適用対象者】

給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、

その控除後の合計額が10万円を超える者

【所得金額調整控除額】

{給与所得控除後の給与等の金額公的年金等に係る雑所得の金額※}−10万円

※(10万円超の場合は10万円


注意点

年末調整で適用できるのは(1)の制度ですが、

この制度については以下の注意が必要です。

「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出とは別に

「所得金額調整控除申告書」の提出が必要となります。

共働きの場合、扶養親族が一人であっても要件を満たせば、

夫婦の双方で適用することも可能となります。

共働き世帯で扶養控除の適用を受ける場合は、

いずれか一の者の扶養親族にのみ該当するものとみなされますが、

この制度ではそのような取り扱いはありません。

AMFニュース [2020年10月27日号]

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  住宅ローン完済による
  抵当権抹消

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住宅ローン完済

ご自宅である不動産を購入するとき、

だいたいの方は金融機関でローンを組んで購入するのが一般的です。

金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、抵当権設定契約も併せて締結します。

金銭消費貸借とは、お金を貸してくれる人と

お金を返す約束をしてお金を借りることです。

抵当権設定契約とは、

お金を借りた際に購入した不動産を担保に出すことです。

ローンの返済が滞ったり、ローンが支払えなかったり、契約違反をしたりすると、

抵当権が実行され競売手続きに移行して差押えされ、

最終的には競売で競り落とした人が払った代金でローンを払うことになります。

金融機関は法律の手続きを利用し

強制的に貸したお金を回収することになります。

このようなトラブルがなく、長年にわたりローンを支払い完済になった場合には、

その抵当権を抹消する手続きを自分でしなければなりません。

なぜかというと借入時の「抵当権設定契約証書」には

「登記にかかる費用は全て債務者と所有者が負担する」とあるからです。

抵当権抹消の必要書類

ローンを完済すると、金融機関から抵当権の抹消に必要な書類が、

郵送なり手渡しなりで手元に届くことになります。

その書類の中身は、抵当権の抹消に必要な書類は渡したから

後は自分でやるか司法書士に頼んでやってねという感じです。

具体的に渡される書類は、

抵当権解除証書(登記原因証明情報)、

登記識別情報(登記済証)、

委任状、

その他、原契約書等ローンを組んだ時の書類を渡されるのが一般的です。

その中では登記にて使用し、申請書を作成して登記申請します。

抵当権抹消登記の必要性

ローンを完済したからとそのまま放置しておくと、いろいろなデメリットが出てきます。

いざ抵当権抹消登記をしようとしたときに、

上記金融機関から渡された書類が紛失している等が考えられます。

また、ローンを完済しているのに抵当権を抹消していないと

その不動産を売却することができません。

ローンを完済しているのに抵当権だけついているのも

気持ちのいいものではありません。

ローンを完済したら速やかに抵当権の抹消をすることをお勧めします。

AMFニュース [2020年10月20日号]

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 判子レス社会は来るのか?
 電子決裁はどこまで可能

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生活の中の印鑑文化

私たち日本人の生活に、「印鑑」文化は深く根付いています。

日常生活では、銀行の登録印や申込書への押印、履歴書、

役所への届出では婚姻届から転入・転出届、出生届等、

ビジネス文書においては、見積書や、納品書、契約書、請求書、議事録、回覧板まで、

とにかく多岐にわたる書類に押印が求められ、

それが当たり前のこととして定着してきました。

コロナ禍で電子決裁の有用性見直し

しかし、今年はコロナ禍で在宅勤務を取り入れる企業が増えたことで、

「押印のために出社する」という問題が発生し、

今までその必要性が議論されることが少なかった日本の印鑑主義について

考え直すきっかけとなりました。

政府関係では、4月の緊急事態宣言の最中、

当時の河野防衛大臣が記者団に対し、

防衛省内の決裁を全て電子化する旨の発言をしていますし、

これを機に電子決裁の有用性について見直す企業も増えています。

法律上の電子署名

決裁の電子化が進み、業務効率化に繋がるのなら喜ばしいことですが、

一方でこれまで、「押印」によって

本人の意思に基づいた文書であることの法的証明がなされていたことも事実です。

電子決裁に変わることで法的効力に影響はあるのでしょうか。

実は、ビジネスにおいて身近な見積書や請求書、領収書、納品書などの

ほとんどの文書にはそもそも印鑑は不要です。

便宜上本人確認の押印をするなら、

簡易なデジタル印鑑や認印と同じ位置づけの

「電子サイン」を使用する方法で充分でしょう。

e-Tax(国税の電子申告)や不動産取引など、

より高い法的証明力が求められる文書は、

第三者機関の認証局から発行された「電子証明書」が組み込まれることにより、

利用者の「本人性」が確認できるようになっている「電子署名」が利用されます。

平成134月施行の「電子署名法」で、

電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用する法的基盤が整備されています。

法律上押印が必要な文書もある

ほとんどの文書に、印鑑と同じ効力がある電子サインや電子署名を使用できるものの、

宅地建物取引業法上の不動産会社作成の書面や、

銀行印、役所や法務局に届出する実印、不動産の登記申請(実印)など

法的に印鑑が必要なケースもあります。

AMFニュース [2020年10月13日号]

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  ふるさと納税の功罪
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秋はふるさと納税の季節?

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、

自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。

地域の特産物がお礼の品になることが多く、

実りの秋を実感できるようなものが並ぶため、

「そろそろふるさと納税しようかな」と考えている方も少なくないと思います。

サラリーマンの方にもメリットがある制度だけに、

多くの人がこのふるさと納税を利用しています。

ただ「これは税なのか、寄附なのか」「寄附なのにモノを貰えていいのか」

という概念的な命題から始まり、

地方交付税の不交付自治体からの怨嗟の声や、果ては担当職員の汚職事件まで、

さまざまな問題が指摘されています。

ふるさと納税で減った税収はどうなる?

ふるさと納税をした人が住んでいる自治体は、税収が減ります。

ところが「ふるさと納税した分全部が減る」というわけではなく、

減った分の75%は地方交付税で国からの補填が入る仕組みになっています。

ただし、元々税収が豊富にあり、国からの地方交付税が不交付の自治体については

補填が行われないので「まるまる寄附され損」となります。

他方で総務省策定のルール「地場産品のみを扱う」に関しても、

豪華な特産品がある自治体と、そうでない自治体の格差があります。

自治体間の不公平感は、

未だにふるさと納税制度上の大きな問題となって燻っているようです。

「代理寄附」を生んだふるさと納税

代理寄附とは、災害によって被害を受けた自治体に代わり、

他の自治体がふるさと納税の手続きを行うことです。

災害被災中の自治体は忙しいため、

寄附金受領書の発行処理を他の自治体が行う等、

極力被災自治体の手を煩わせないようにという配慮です。

この取組を行う場合はお礼の品を送ることが圧倒的に少ないのに、

寄付金額・件数はとても多く、ふるさと納税によって

寄附文化の醸成が行われてきた一つの成果とも言えるのではないでしょうか。


色々なことが起こった1

今年は泉佐野市と総務省の法廷闘争

(現在もふるさと納税を理由とした交付税額低下で係争中)や、

奈半利町職員の返礼品業者からの収賄罪での逮捕、

コロナ禍で需要減となった産品への応援等、

ふるさと納税をめぐり様々なことが起こった1年でした。

AMFニュース [2020年10月6日号]

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  令和2年分から本格化
  年末調整手続の電子化

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所得税の確定申告や消費税、法人税、法定調書に続き、

年末調整についても電子化が進んでいます。

年末調整手続の電子化とは

従来、年末調整では各種控除証明書を書面で収集し、

各種の年末調整申告書を書面で作成するケースがほとんどでした。

令和2年10月以降は、これらの各種控除証明書や各種年末調整申告書を

電子データでやり取りし、これらを電子データのまま保存することも可能となります。

これにより、手書きによる書類の作成や書類への押印も不要となり、

書類保管コストも削減することができます。

勤務先(給与の支払者)の準備

電子化の方法の検討

年末調整の電子化は義務ではありませんので、従来の方法によることもできます。

また、会社の都合にあわせて部分的に電子化していくことも可能です。

従業員への周知

年末調整のデータを提出する従業員にも事前準備が必要となりますので、

電子化する際には、早めに従業員に周知する必要があります。

給与システム等の改修

電子データを受け入れるには、

現在のシステムの改修等が必要となるケースが多くなります。

ソフトウェア会社や依頼している税理士事務所等へお問い合わせ下さい。

税務署への届出

従業員から年末調整申告書を電子データで提供を受けるためには、

所轄税務署長に「電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、

承認を受ける必要があります。

従業員(給与所得者)の準備

年末調整申告書作成用のソフトウェアの取得

どの種類のソフトを利用するかは、勤務先の指示に従います。

国税庁が無償で提供するソフトウェアは、10月頃リリースの予定です。

控除証明書等データの取得

保険会社等から控除証明書データを取得します。

マイナポータル連携を利用して一括取得する方法もあります。

AMFニュース [2020年9月29日号]

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 起業時の法人銀行口座開設の
 ハードルと事前準備

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年々高くなる法人銀行口座開設のハードル

警察庁の発表では、令和元年の特殊詐欺の認知件数は16,851件(-993件、-5.6%)、

被害額は315.8億円(-67.0億円、-17.5%)で、

前年に引き続き認知件数、被害額ともに減少しているが、

依然として高い水準の被害が発生していることから、深刻な情勢です。

こうした特殊詐欺に実体のない法人銀行口座が使われることが多いことから、

銀行での法人口座開設のハードル(=準備すべき書類、事業実態の実在性など)は

年々高くなっています。

起業時に法人口座開設で躓かないために

口座開設ができなければ、顧客や取引先から

「銀行から認められていない存在」との烙印が押され、事業は立ち行きません。

法人の設立(=会社を作ること)も暴力団対策法等で

株式会社の定款認証が厳しくなってきていますが、

さらに会社と事業の実在性を示さなければならないのが口座開設時です。

銀行により審査基準は違いますが、

次のような準備をしておくことで法人口座開設を乗り切ることができます。

(1)資本金はある程度必要

資本金は1円から会社設立ができますが少な過ぎると事業実態がないとみなされます。

事業遂行可能な金額が必要です。

(2)事業実態のある場所が必要

繁華街の住所表示目的でバーチャルオフィスを本店にすると、

実在性なしとされる可能性が高くなります。

銀行から訪問調査されても対応できる場所が求められます。

(3)事業実態説明の事業計画書を準備

事業実態の実在性を示すために、

締結済みの顧客との売買契約書(=複数が望ましい)などを

示すことができればベターです。

まだそうした証拠を示すことができない場合には、

少なくとも、銀行に実現可能性を納得してもらえるだけの事業計画書を

準備しておきましょう。

(注)他に登記簿謄本原本等が各種必要。

法人の所有者が外国法人の場合

法人の株主が非居住者(=外国法人・国外在住者)の場合には、提出書類が増えます。

親会社の上にさらに親会社がある場合などには、

実質的支配者の本人確認資料(=パスポートの写し、

公的機関発行の会社登記・居住者証明書など)も必要となります。

なお、201610月に政府が対日直接投資推進目的に

金融庁経由で3メガバンクに態勢整備を要請し窓口はできていますが、

審査体制(必要書類)に優遇はありません。

AMFニュース [2020年9月22日号]

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浸水被害への備え
中小企業の防災対策と税制・助成金

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浸水リスクを認識し、被害を想定する

最近の豪雨災害による被災状況は目を覆うばかりです。

令和2年7月豪雨は、特定非常災害の指定が閣議決定されました。

事業継続のため河川の氾濫などによる浸水被害リスクを認識し、

これまでの常識にとらわれることなく備えることが求められています。

自治体のHPでは、地域ごとにハザードマップを公開しており、

洪水や高潮による自社の浸水リスクを視覚的に把握し、被害を想定することができます。

過去の被災記録、被災土地の形状も有用な情報です。

事前に講じるリスク対策

浸水が発生する前の現実的な対策として、次のものが検討できます。

保険の付保(水災保証)

電源装置、サーバーの階上への移設

データのクラウド保存

防災・復旧のための設備投資(発電設備、止水板、排水ポンプなど)など

防災のための税制・助成金を活用する

自然災害に備える中小企業者を支援する公的な措置には、
次のものがあります。

中小企業防災・減災投資促進税制(中小企業庁)

中小企業経営強化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受けて

防災・減災設備を取得した中小企業者には、

事業供用年度にて取得価額の20%の特別償却ができる措置が設けられています。

機械・装置(100万円以上)、

器具・備品(30万円以上)、

建物附属設備(60万円以上)。

自家発電設備や排水ポンプ、止水板、防水シャッターなどの取得が対象です。

②BCP実践促進助成金(東京都中小企業振興公社)

東京都が、自然災害や感染症による不測の事態に備えて

BCP(事業継続計画)を実践する都内に本社を置く中小企業者に対し

助成金を交付する制度です。

BCPの実践に必要な設備・物品の購入・設置費用として

上限1,500万円の助成金が交付されます。


BCPの実効性を高めるために

災害発生直前まで、

気象庁の発表するリアルタイム情報やタイムラインを活用して

被害を最小にとどめる措置を講じます。

災害発生前の備えにより、社員の安全確保、設備・データの保全につなげましょう。

AMFニュース [2020年9月15日号]

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 令和2年7月から開始
 自筆証書遺言書保管制度

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法務局が自筆証書遺言書を保管してくれるサービスが

令和2年7月10日から開始しました。

公正証書遺言と自筆証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が公証人に内容を伝えて、

その内容をもとに公証人が公正証書として遺言書を作成します。

2名以上の証人が立ち会う必要もあります。

費用や手間がかかりますが、

公証人が内容の法的有効性をチェックしてくれたり、

原本を公証役場で厳重に保管してもらえたりするメリットがあります。

自筆証書遺言は、遺言者本人が遺言書を自書することにより作成します。

一人で手軽に作成することができ、費用もかかりません。

ただし、相続開始後に家庭裁判所の検認が必要となります。

また、遺言者本人の死亡後、遺言書の紛失等により相続人等に発見されなかったり、

一部の相続人等により隠匿や改ざんが行われたりするリスクもあります。

自筆証書遺言書保管制度のメリット

この制度を利用して、自筆証書遺言書を法務局に保管してもらうことにより、

遺言書の紛失・隠匿・改ざんといったリスクを回避することができ、

あわせて家庭裁判所の検認も不要となります。

遺言者は、法務局に遺言書を預けた後も、預けた遺言書を閲覧したり、

保管の申請を撤回したりすることができます。

また、相続人等は相続が開始した後であれば、

遺言書が預けられているかを確認したり、遺言書を閲覧したり、

遺言書の内容の証明書を取得したりすることができます。

注意点

法務局に保管してもらう際、

法務局の職員の方が自筆証書遺言の方式について

外形的な確認はしてくれますが、

遺言の内容について相談に応じたり、

遺言内容の法的有効性について保証してくれたりするものではありません。

また、この制度の手続はそれぞれ各種確認や手続の処理に時間を要するため、

全ての手続について法務局に予約が必要となっています。

この制度を利用する際には、司法書士さんや弁護士さんにも

相談されることをお勧めします。

AMFニュース [2020年9月8日号]

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   令和2年秋
  雇用保険の最新情報!

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失業保険の給付制限緩和

失業保険とは、雇用保険制度に基づいた求職者給付の基本手当のことで、

会社を退職し転職活動を行う際に受給することができます。

この雇用保険の基本手当は、失業手当や失業給付などと呼ばれることもあります。

これまで、会社を自己都合で退職した場合、

基本手当の受給手続日から原則として7日経過した日の翌日から3か月間は、

基本手当を受給できない期間がありました。

これを「給付制限」といいます。

この度、令和2101日以降に離職した労働者は5年間のうち2回まで、

給付制限が2か月に短縮されることになりました。

給付制限期間が短すぎると、安易な離職を生み出すという懸念もありますが、

本来失業給付は、「失業」または「離職」した労働者に対し、

生活の保障と再就職の援助を行うための制度なので、要件緩和により、

受給者が早期に生活の安定を図ることができると期待されています。


新型コロナによる退職の特例

私たちの生活に多大な影響を及ぼしている新型コロナウイルスですが、

この影響により自己都合離職をした場合は、「特定理由離職者」とされ、

正当な理由のある自己都合離職として給付制限を適用しないこととなっています。

令和2225日以降に、以下の理由で離職をした労働者が対象となります。

同居家族の感染等で看護が必要となった

本人や同居家族に基礎疾患がある、

妊娠中または高齢で、感染拡大防止や重症化防止のため

保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校等に通う子の看護が必要となった

コロナ退職の失業給付日数延長特例

新型コロナウイルスの影響で離職した労働者のうち、

令和2612日以後に基本手当の所定給付日数を受け終わる者を対象に、

最大で60日間、雇用保険の基本手当給付日数が延長されます。

離職日が緊急事態宣言発令以前と、緊急事態宣言発令期間中、

緊急事態宣言全国解除後で対象者の範囲が異なります。

緊急事態宣言発令後の離職は、

特定受給資格者と特定理由離職者が本件の対象となります。

働き方改革や新型コロナの影響で、失業給付制度は少しずつ変化しています。

対象者となる方に伝えてあげたいですね。

AMFニュース [2020年9月1日号]

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レジ袋の有料化と医療費控除
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令和271日からレジ袋の有料化義務

202071日から、すべての小売業でレジ袋の有料化が義務化されました。

医療機関を受診後に交付される、処方箋で薬を購入する際に、

調剤薬局が薬を入れる袋も、対象となっています。

レジ袋は医療費控除の対象となるのか?

調剤薬局では、薬代とレジ袋代が別々に会計されていますが、

レジ袋代も医療費控除の対象となるのでしょうか?

(1)別々に会計されるということは、調剤薬とは別という認識であるから対象外

(2)調剤薬を入手するためのものであるから医療費控除の対象

(3)ケースバイケースで、対象となるものと対象外となるものに分かれる

(4)その他、のいずれでしょうか?

医療費控除とは

処方箋による調剤薬の購入は、

「治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価」として

所得税法で医療費控除の対象とされています。

薬そのものは対象ですが、薬購入時のレジ袋も控除対象と言えるのでしょうか?

医療費控除対象の区分基準として、

医療を受けるに際して直接必要で医療機関等に支払うものは医療費とされています。

また、タクシー代などの医療を受けるのに直接必要なもので第三者に支払う対価も、

医療費に含めることができます。

一方で、自己の都合による差額ベッド代や親族などに支払う付添料、

さらに入院時の病院食以外の外食や出前は、

自己都合による費用として対象外とされています。

以上のことからすると、

「医療品としての調剤薬の購入に際して調剤薬局に支払うレジ袋代」は、

調剤薬を入手するために第三者である調剤薬局に直接支払う費用として

医療費に含めてよいのではないかと考えられます。

一方で、買い物袋(いわゆるエコバッグなど)を持参しないのは自己都合だから

対象外とすべきという意見もあるかもしれません。

しかしながら、買い物に際して、購入者側にまで

買い物袋の持参義務が課されてはいない現状では、

そこまで否定するには無理があるでしょう。

よって、直接調剤薬のみを入れてもらうレジ袋は医療費控除対象、

調剤薬以外の買い物もしていればどちらが主かで決める、

調剤薬を入れるためのエコバッグの購入費用は対象外というように

分かれるのではないかと考えられます。

AMFニュース [2020年8月25日号]

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  進む働き方改革
  制度導入のポイントは

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多様な働き方ができる時代に

時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができるテレワークや、

総勤務時間を変えずにラッシュアワーを避けて通勤をする時差出勤、

社員が自由に出勤・退勤時間を決められるフレックスタイム制の導入など、

新しい働き方が広がってきました。

これらは、近年政府が推し進めてきた働き方改革の一環として、

労働生産性の向上や長時間労働の是正を目標に、

大手企業を中心に浸透してきていましたが、

昨今の新型コロナウイルスの影響により、

より多くの企業でこれまでの働き方を大幅に見直す事態となり、

急速に導入が進んでいます。

利点も多いが、気になる部分も

例えば、会社に出社せずに自宅や外勤先、サテライトオフィス等から

インターネットを通じて、会社のサーバーにあるファイルにアクセスしたり、

仕事の電話に対応したりできるテレワーク。

営業で外回りの後、事務仕事をしに会社に戻る必要がなくなったり、

育児や介護を担う労働者が在宅勤務をすることで

通勤時間を有効に活用できたりするなど時間にゆとりを持たせた勤務を実現できます。

その一方で、社員同士のコミュニケーション不足や、

仕事と仕事以外のメリハリをつけにくい、

長時間労働になりやすい、

勤務時間管理や在席確認が難しい、

情報漏洩のリスクが上がる等の、気になる部分もあります。

時差出勤やフレックスタイム制においても、

勤務開始や終了時刻を調整することで、

私生活との両立がしやすくなるという利点があるのですが、

一方で取引先や他部署との連携業務において時間の設定が難しいことや、

急な会議や電話に応対できない等、

社員が異なる時間に勤務することによるデメリットもあります。

企業側が注意すること

大切なことは、制度に関する就業規則を整備し、適用する社員の範囲を明確に定め、

勤務時間管理をしっかり行うことです。

勤怠システムを活用するのも良いでしょう。

過重労働や反対にルーズな勤務状況とならないよう、

社員本人の時間管理意識も大切です。

ワークライフバランスを意識した、働きやすい環境作りをしたいですね。

AMFニュース [2020年8月18日号]

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新型コロナと雇用の取り扱い
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新型コロナの影響で雇用の維持が困難な時

経済活動は再開したものの新型コロナウィルス感染症の影響はまだまだ続いています。

業種にもより影響に差はありますが、

雇用維持をするのが困難な場合があり、

雇用を続けるか解雇をするか考えた時、

会社の責任となるのか、

この感染症の場合は天災地変に該当するのか、

該当すれば解雇予告手当は必要ないのか等を見てみます。

社員の雇用の維持で考えた時

社員の雇用維持であればすでに知られている雇用調整助成金が申請できます。

支給要件がそろっているならばまだ申請できます。

もし労災保険に加入していなかったとしても、すぐに加入すれば可です。

従業員がアルバイト・パートなどの短時間勤務等で雇用保険の加入対象者がいない時は

緊急雇用安定助成金が申請できます。

41日以降の休業が対象になります。

雇用調整助成金の申請期限は

支給対象期間の最終日の翌日から起算して2か月以内ですが、

124日から531日までに休業初日がある場合は831日までが申請期限です。

それ以降に初日がある場合は930日まで延長され申請できます。


それでも解雇を考えた時

解雇をするにあたり30日前の予告か、
予告を行わず解雇する場合は

30日以上の平均賃金の支払いをすることとなっています。

労働者の責に帰すべき理由や天災地変等により事業の継続が不可能になった場合には

労働基準監督署に解雇予告除外認定を受ける必要があります。

そうすると解雇予告や解雇予告手当を支払わずに即時解雇が可能です。

ただし、今回の新型コロナウイルスが天災地変に該当するかと言えば

そのような扱いはされないでしょう。

事業の継続は不可能であるが一部を解雇すれば足りたり、

一時的な業務停止のような場合は除外認定の対象外でしょう。

どうしても雇用維持が難しい時は、

整理解雇4要件の内容をよく検討した上で行うことになるでしょう。

AMFニュース [2020年8月11日号]

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  チケット寄附金控除と
  ふるさと納税

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チケット寄附金控除とふるさと納税の違い

コロナ対策税制の一つで

「国が認定したイベントチケットを払い戻さない場合は税の控除が受けられる」

という制度ができました。

寄附金控除といえば、地場の特産品がお得に貰えるというふるさと納税が人気です。

ふるさと納税は「個人の所得や控除によって決まる上限金額」より

年間のふるさと納税額が低ければ、

基本自己負担は2,000円で済み、

それ以外は住民税や所得税が減額されるというのが特徴です。

チケット寄附金控除に関しては、ふるさと納税だけに許されている

住民税をたくさん引いてくれる控除がないため、

自己負担は2,000円とはいかず、

税を引く額は最大でもチケット代金の50%程度になります。

ふるさと納税では適用できない、

所得税の「認定NPO法人等寄附金特別控除」が利用でき、

所得税率に依存しない減額になる仕組みです。

ふるさと納税控除上限に影響しない?

細かな計算を省略すると、ふるさと納税の上限は

「個人住民税(税額控除前)所得割額の2割強」となります。

チケット寄附金控除は

基本所得税部分(所得控除を選択適用可)も住民税部分も税額控除で、

ふるさと納税の自己負担が2,000円で済む控除上限金額の計算式に作用しないため、

ふるさと納税の上限が低くなることはありません。

ただし、年間の寄附総額(チケット+ふるさと納税+その他の控除を受けられる寄附)が

総所得の40%(住民税は30%)を超える部分は、

寄附金控除自体が受けられなくなるため

実質ふるさと納税が自己負担2,000円では済まなくなる可能性がありますが、

個人の所得の3割以上を寄附に費やすというのは、

あまり考えられることではないので、

大半の方は「チケット寄附金控除とふるさと納税は

別モノで特に干渉しない」と考えてOKです。


両方の控除手続には注意が必要

ふるさと納税には、

「確定申告しない」

「年間で5か所以内の自治体への寄附であること」

が条件のワンストップ特例申請制度があります。

この制度を使えば確定申告をしなくて済みますが、

対してチケット寄附金控除は「確定申告が必須」となっていますから、

チケット寄附金控除を受ける場合には、

ふるさと納税のワンストップ特例制度が利用できなくなります。

ご注意ください。

AMFニュース [2020年8月4日号]

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キャッシュレス消費者還元事業から
マイナポイント事業へ

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昨年10月から行われていたキャッシュレス消費者還元事業は、

本年6月に終了しましたが、

本年9月からは、マイナポイント事業によるマイナポイントの付与が始まります。

マイナポイント事業とは

マイナポイント事業は、マイナポイントの活用により、

消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、

官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的として行う国の事業です。

国家予算2,500億円が投じられているそうです。

期間は本年9月から来年3月までの7か月間です。

本年9月以降に行われるICカード(電子マネー)・QRコード決済・

クレジットカードなどのキャッシュレス決済サービスがこの制度の対象となります。

マイナポイントは決済サービスの利用(チャージまたは購入)額に応じて付与されます。

プレミアム率はチャージ額または購入額の25%で、上限は5,000円分となります。


マイナポイント取得の事前準備

マイナポイントを取得するためには、以下の事前準備が必要となります。

マイナンバーカードの取得

まず、マイナンバーカードを保有していることが前提となります。

マイナポイントの予約

マイナンバーカードが入手できたら、

次にマイナポイントの予約手続を行うと、マイキーIDが発行されます。

自身のスマートフォン、パソコンで手続するには

専用のアプリ・ソフトのダウンロードが必要です。

パソコンやスマホがない方は、

全国各地に設置してある約9万箇所の支援端末で手続ができます。

マイナポイントの申込み

続いて申込み手続を行い、利用しようとするキャッシュレス決済のID

セキュリティーコードを入力します。

この手続も専用アプリや支援端末で行います。

加盟店側の手続は不要

キャッシュレス消費者還元事業では加盟店側(小売店、販売店等)に

登録手続が必要でしたが、

マイナポイント事業では加盟店に登録手続等は不要です。

AMFニュース [2020年7月28日号]

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チケット払い戻しをしないで、
寄附金税額控除を受ける

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「推し」を助ける? 寄附金控除

「推し」という言葉をご存じでしょうか。

「一推しのメンバー」の略語「推しメン」をさらに短縮させた言葉です。

以前から使われていましたが、趣味の重層化により

そのジャンルの中で「特に好きな」ものを指す言葉として近年使われています。

昨今のコロナ禍により、スポーツや文化イベントは

軒並み中止や縮小の憂き目を見ています。

推したちが苦しんでいる中、「少しでも助けてあげたい」

というファン心理を察した……かどうかは分かりませんが、

コロナ対策税制の1つに

「イベントチケットを払い戻さない場合は税の控除が受けられる」

というものができました。


払い戻し放棄で税額控除になる

申請を行い、文部科学大臣指定を受けた主催者側は、

チケットを買ったお客さんの払戻請求権放棄の申し入れを受けたら、

「払戻請求権放棄証明書」と「指定行事証明書(写し)」を渡します。

お客さん側はその2点をもって確定申告することにより、

税額控除が受けられるようになります。

控除される所得税額は

(チケット代金−2,000円)×40%(所得税率45%の場合は所得控除の方が有利)

となります。

住民税側についての控除も用意はされていますが、

政令によって指定された場合のみの対応となりますので、

お住まいの自治体により異なります。

また、一個人の控除になるチケット代金は年間20万円が上限です。

チケット代金を全額返金してもらった場合と比べると、

この控除を使うと約40%が返金となり、戻りは悪くなります。

ただしチケット代全額が主催者側の売上げになるため

「推しを助ける」という寸法です。

対象にならないものもある

大前提として、イベント主催者側が国に対して申請をしなければ、

この寄附金控除は受けられません。

国内開催も要件に含まれていますから、海外のイベントだとNGになります。

「払い戻しがされた、もしくはされる予定があること」も条件ですから、

「払い戻しはしません」というアナウンスがされているイベントの場合は、

国への申請が通りません。

AMFニュース [2020年7月21日号]

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 年金機能強化法の改正
 短時間労働者や個人事務所は
 適用拡大されます

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年金機能強化法の改正

年金機能強化法(年金制度の機能強化のための国民年金法等を一部改正する法律)が

令和2年5月29日に成立し、6月5日に公布されました。

今回成立した年金機能強化法の概要は、大きく分けて、以下の5項目です。

被用者保険の適用拡大

在職中の年金受給の見直し

受給開始時期の選択肢の拡大

確定拠出年金の加入要件の見直し

その他(年金手帳の廃止など)

短時間労働者の適用拡大

改正前のパートタイマー等の短時間労働者の

被用者保険(厚生年金、健康保険)の適用要件は、以下の5つを満たすことでした。

・週の所定労働時間20時間以上

・雇用期間が1年以上見込まれる

・賃金月額88,000円以上

・学生でない

・常時501人以上の企業500人以下は労使合意で加入可能)

今回の改正では、企業規模要件が段階的に引き下げられます。

令和4年10月に100人超、令和6年10月に50人超となります。

また、勤務期間の要件も1年から2か月超に短縮されました。

パートタイマーが多い企業では、

保険料負担や手続業務の増加など影響が大きくなりそうです。



法律・会計など士業の個人事務所も適用

さらに今回の改正では、従業員数に関係なく非適用業種とされていた

以下の法律・会計等を扱う士業の個人事務所も、

常時5人以上の従業員を使用する場合、適用対象となります

(令和4年10月1日より)。

・弁護士

・司法書士

・行政書士

・土地家屋調査士

・公認会計士

・税理士

・社会保険労務士

・弁理士

・公証人

・海事代理士

社会保険労務士以外で、常時5以上の従業員を雇用する上記に該当する個人の事務所は、

新規適用の手続などを社会保険労務士に相談されることをオススメします。

AMFニュース [2020年7月14日号]

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辞めたいけれど言えない
退職代行サービスが人気の理由

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新入社員が、すぐ辞めてしまった!?

今年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、
多くの企業が

新年度の採用や研修などのスケジュールの大幅な変更を余儀なくされました。

今年度入社の新入社員も、例年行われている入社式や歓迎会など

会社のイベントが中止になったり、

入社当初から在宅勤務となったり、

異例の事態に戸惑った人も多かったのではないでしょうか。

そんな中、今年入社の新入社員がもう辞めてしまったという企業もあるでしょう。

もっとも、大卒新入社員の3年以内の離職率は30%前後の状況が

ここ20年以上も続いており、今年に限った傾向ではありません。

しかし、ここ最近になって新卒を含む2030代の若者をメインに、

退職の際に直接退職の意思を伝えることが難しい労働者に代わり、

退職の意思伝達や処理、交渉(交渉は弁護士がいる場合のみ可能)を

行ってくれる退職代行サービスの利用者が増えているというのです。

なぜ退職代行を使うのか

そもそも、期間の定めのない労働者は

いつでも退職できることとなっており(民法627条)、

会社を辞めるのに会社の許可は必要ありません。

なのにどうして、代行会社を利用するのでしょうか。

その理由として多いのは、次のようなものです。

退職の意思を伝えたが、人手不足を理由に受け入れてもらえない。

パワハラがあり、相手の態度が怖くて退職を言い出せない。

引留め交渉をされたくない

ここから、従業員本人の退職の意思が固まっているのに

企業側がそれを受け入れない状況が読み取れます。

退職したくても言えない、言っても聞き入れてもらえないという思いが

利用者側にあるようです。

企業側が備えるべきこと

原則として退職は労働者の自由であり、

企業は本人の意思を受け入れて速やかに必要な手続きを行うべきです。

代行サービスにより、ある日突然社員が出社しなくなると、

退職理由を聞くこともできない場合が多く、業務の引継ぎも難しくなります。

問題がこじれるのを防ぐためにも、一度は縁あって入社した労働者を、

気持ちよく送り出せるような職場環境を整備することが求められます。

AMFニュース [2020年7月7日号]

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令和2年度2次補正予算成立!
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コロナ対策の予算

新型コロナウイルス対策を柱とした2020年度第2次補正予算案が612日、

参院本会議で可決、成立しました。

「家賃支援給付金」や「休業支援金」の創設、雇用調整助成金の上限額引き上げ、

さらには無利子・無担保融資の大幅拡充などの支援策がスタートします。

中小企業・個人事業者に最大200万円を給付する持続化給付金は、

これまで対象とならなかった創業後間もない企業なども支給対象に加えられました。

中小企業支援向け支援

資金繰り対策(109,405億円)

1. 日本政策金融公庫等が「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等を継続し、

さらに貸付上限額と利下げ限度額の引き上げを実施します。

2. 民間金融機関を通じた実質無利子融資を継続・拡充します。

また、都道府県等による制度融資を活用した民間金融機関の実質無利子融資を継続し、

さらに融資上限額の引き上げを実施します。

3. 資本性資金供給・資本増強支援

長期一括償還の資本性劣後ローンを供給、

機構出資の官民連携のファンドによる出資や債権買取等を実施します。

持続化給付金(19,400億円)

新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受けている事業者に対して、

事業全般に広く使える給付金を支給。

足下の状況等を踏まえ積み増しします。

家賃支援給付金(2242億円)

新型コロナウイルス感染症を契機とした5月の緊急事態宣言の延長等により、

売上の急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、

地代・家賃の負担を軽減することを目的として、

テナント事業者に対して給付金を支給します。

中小企業生産性革命推進事業による事業再開支援(1,000億円)

業種別ガイドライン等に基づいて中小企業が行う、

事業再開に向けた消毒設備や換気設備の設置などの取組を支援します。

中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業(94億円)

各市町村へ専門家を派遣し、中小・小規模事業者からの相談に対応する体制を整備。

また、商工会・商工会議所の相談受付体制を強化します。

AMFニュース [2020年6月30日号]

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 労働保険の年度更新
 ~64歳以上の社員に注意~

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労働保険料の年度更新とは

労働保険の年度更新とは、

毎年6月1日から7月10日までの間に、労災保険と雇用保険について、

前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を申告する手続きで、

労働保険料の「確定申告」といえます。

前回の年度更新で申告した前年度の概算保険料と確定保険料の差額について、

不足分は納付し、余剰分は還付を受けるか、

新年度の保険料への充当を選択することになります。

なお、新型コロナウィルスの影響により、特例として、

今回は831日まで期限が延長されています。

労災保険料と雇用保険料の算定

労働保険料の申告納付は労災保険と雇用保険を1つの申告書でまとめて行いますが、

保険料算定の基礎となる賃金総額は、労災保険と雇用保険で異なります。

労災保険は、パートタイマーやアルバイト等を含むすべての労働者に支払った賃金総額が

保険料算定の基礎になります。

一方、雇用保険は雇用保険被保険者のみを対象とするため、

週の労働時間が20時間未満のパートタイマーや昼間学生など

雇用保険の被保険者とならない労働者へ支払った賃金総額は

雇用保険料算定の基礎から除外します。

64歳以上も雇用保険料の納付対象に

今回の年度更新では、64歳以上の社員がいる会社は注意が必要です。

従来、保険年度初日(41日)に64歳以上の被保険者(以下、高年齢労働者)は、

雇用保険料の納付が免除されていましたが、令和2年度から免除除外となりました。

よって今回の年度更新では、前年度の確定保険料の算定に際して、

昨年41日時点の高年齢労働者の賃金総額は除外し、

今年度の概算保険料の算定には、

今年41日時点の高年齢労働者の賃金総額を含めることになります。

また、雇用保険料の賃金控除も必要ですので、控除漏れがないか確認しましょう。

AMFニュース [2020年6月23日号]

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  知っておきたい
  フリーランスの就業形態

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フリーランスという働き方

近年、ICTの発展や政府の働き方改革の推進により、

「時間」や「場所」にとらわれない、

自分のライフスタイルに合わせた働き方が注目を浴びています。

フリーランスという言葉を耳にしたことがあるでしょう。

企業や団体などと雇用関係がなく、独立して仕事を請け負うこと、

またはその人(個人事業主)を指す言葉です。

その職種は多岐にわたりますが、

代表的なものとしてはITWEB系、コンサル・資格系、士業等が挙げられます。

契約の違いは?会社員とフリーランス

会社員やパート、アルバイト等の労働者は、使用者との間に雇用契約を結んでいます。

これは、一方(労働者)が労働に従事し、相手方(使用者)がこれに対して

その報酬を与えることを約束する内容の契約を言い、

「労働者」は原則として、労働基準法や労働契約法上の保護を受けることになります。

これに対してフリーランスは、独立した事業者同士として、一方が特定の仕事等をし、

その仕事等に対して相手方(依頼主)が報酬を支払うことを内容とする

請負類似の業務委託契約等を結ぶことが一般的です。


雇用契約か業務委託契約か

業務委託契約において、個人事業主は

依頼主と雇用関係がなく「労働者」ではありません。

しかし、業務委託契約を締結しているのに実態は雇用契約に該当するような場合、

契約の形式によらず「使用従属性」の存否をもって

労働者であるのか否かを判断することとされ、

業務委託契約でも労働法規の適用対象となる場合があります。

例えば、働く側が仕事の依頼や業務の指示等に対して断る自由がない、

勤務場所や時間が拘束されている、

仕事の専門性が低い、

報酬が日給や時給で定められている、

会社の備品を使用している等の実態があれば、

例え業務委託契約として仕事を引き受けていたとしても、

雇用関係ありと見なされる可能性が高くなります。

メリットはあるがデメリットもある

フリーランスは、時間や場所的自由度が高く仕事に対する報酬を全て受け取れる半面、

収入や身分保障は何もありません。

これに対し会社と雇用契約を結んでいると、

安定的な給与・身分の保障や労災保険ほか

手厚い社会保険制度の利用ができる等のメリットも多いのです。

AMFニュース [2020年6月16日号]

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   家賃支援給付金
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家賃支援給付金の目的

新型コロナウイルス感染症を契機とした5
の緊急事態宣の延等により、

売上の急減に直する事業者の事業継続を下するため、

地代家賃の負担を軽減することを的として、

テナント事業者に対して給付給する制度が、

令和2年度第2次補正予算案に盛り込まれました。

給付対象となる事業者は、中堅企業、中企業、規模事業者、

事業者等を予定しています。

給付金の計算方法

5
12において以下のいずれかに該当する者に、給付給します。

いずれか1の売上が前年同⽉⽐50%以上減少

連続する3の売上が前年同期30%以上減少

給付額は、申請時の直近の払家賃(額)に基づいて算出し、

給付額(額)の6倍(6分)を給付します。

法人の場合、1カ月分の給付の上限額は100万円です。

具体的には支払家賃(月額)75万円までの部分が23給付、

75万円を超える部分が13給付になるため、

支払家賃(月額)225万円で上限の給付額(月額)100万円になります。

6カ月分では600万円が給付の上限額です。

個人事業者の場合、1カ月分の給付の上限額は50万円です。

支払家賃(月額)37.5万円までの部分が23給付、

37.5万円を超える部分が13給付になるため、

支払家賃(月額)112.5万円で上限の給付額(月額)50万円になります。

6カ月分では300万円が給付の上限額です。


今から準備しておくこと

緊急事態宣言の休業要請等で、

5月に売上が大きく減少した事業者は多いと思います。

昨年5月の売上高と本年5月の売上高とを比較してみることが大切です。

「申請時の直近の払家賃(額)がわかる資料」

(賃貸借契約書や家賃の支払・引落しを証明する資料等)が

手元にあるかどうかを確認しましょう。

令和2528日に閣議決定した「令和2年度第2次補正予算案」の

事業概要をもとに作成しており、内容は変更となる可能性があります。

AMFニュース [2020年6月9日号]

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労働保険の申告延長と納付猶予
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労働保険申告・納付期限の延長と猶予

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、

労働保険料等の申告期限・納付期限(年度更新期間)が延長されました。

また、納付期限が到来している労働保険料等についても、

一定の条件を満たせば納付が猶予されます。

令和2年度労働保険料等の申告・納付延長

令和2年度の労働保険の年度更新期間について、

令和261日~831日に延長することになりました。

労働保険料等の納付猶予の特例

(1)猶予(特例)の概要

新型コロナウイルス感染症の影響により、

事業に係る収入に相当の減額があった事業主の方にあっては、

申請により労働保険料等の納付を1年間猶予することができます。

この納付猶予の特例が適用されると、担保の提供は不要となり、延滞金もかかりません。

(2)猶予の要件

以下のいずれも満たす事業主の方が対象となります。

新型コロナウイルスの影響により、

令和22月以降の任意の期間(1か月以上)において、

事業に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること

②①により、一時に納付を行うことが困難であること

申請書が提出されていること

(3)猶予対象となる労働保険等

令和221日から令和3131日までに

納期限が到来する労働保険料等が対象となります。

(4)申請方法

令和2年度労働保険の全期・第1期分については、

申告・納付期限延長後の令和2831日までに申請してください。

ただし、令和221日から令和2630日までの間に

納期限が到来している労働保険料等については、令和2630日までに申請すれば、

納期限までに申請した場合と同じ取扱いとなります。

所管の都道府県労働局に「労働保険料等納付の猶予申請書(特例)」等を

提出する必要があります。

AMFニュース [2020年6月2日号]

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コロナウイルスの影響で
社会保険料・労働保険料猶予特例

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社会保険料の納付が困難になったとき

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業収入が減少し、

厚生年金保険料や労働保険料の納付が困難になったときの

納付猶予の特例措置が出ています。

厚生年金保険料納付猶予について

猶予の概要……新型コロナの影響により事業等に係る収入に

相当の減少があった事業主にあっては、

申請により厚生年金保険料等の納付を1年間猶予することができます。

この納付猶予の特例は担保の提供は不要で、延滞金もかかりません。

対象事業所……次のいずれも満たす事業所が対象です。

ア、新型コロナウイルスの影響により、

令和22月以降の任意の期間(1か月以上)において

事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること。

イ、厚生年金保険料を一時に納付をすることが困難であること

対象となる厚生年金保険料等……

令和221日から令和3131日までに

納期限が到来する厚生年金保険料等が対象です。

また、この期間のうちすでに納期限が過ぎている厚年保険料等も、

遡り納付特例が利用できます。

申請方法……「納付の猶予申請書」を管轄の年金事務所に提出(郵送可)。

申請書は日本年金機構HPよりダウンロードし、

預金通帳や売上帳等を基に作成してください。


労働保険料の納付猶予について

猶予の概要……新型コロナの影響により

事業に係る収入に相当の減少があった事業主で、

申請により労働保険料の納付を1年間猶予できます。

担保提供は不要で延滞金もかかりません。

対象事業所……厚生年金の対象と同条件です。

申請方法……申請書提出が必要です。

対象となる労働保険料等……

令和221日から令和3131日までに納期限が到来する労働保険料

申請方法……

「労働保険料等納付の猶予申請書(特例)」を所轄の都道府県労働局に提出

(郵送、電子申請でも受付しています)

AMFニュース [2020年5月26日号]

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 国税「新型コロナQ&A」
 新型コロナと役員給与減額

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新型コロナの影響による役員給与の減額

新型コロナウイルス感染症の影響による会社経営へのインパクトは、

日増しに大きなものとなってきました。

中小企業では、どうにか利益を出したいとき、資金繰りに窮したときに

用いられる対策の一つが「役員給与の減額」。

今回の状況下での減額が税法上認められるものなのかどうなのか、

皆様の関心事だと思います。

法人税の取扱いでは、役員給与は

「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」以外の給与は、

損金不算入とされ、年度の途中で「定期同額給与」を改定する場合には、

定時株主総会による通常改定、

臨時改定事由による改定、

業績悪化改定事由による改定によらなければ、損金不算入とされる金額が発生します。


「Q&A」で新型コロナ関連事例を例示

ここで「業績悪化改定事由」とは、法人の経営が著しく悪化したこと、

その他これに類する理由とされています。

「著しい経営悪化」は、単なる赤字では認められず、

悪化のレベルが「著しい」かどうかの認定で、税務署と揉める場合がよくあります。

「Q&A」では、次の2つの事例を掲載しています。

「やむを得ない」「客観的に悪化は不可避」

1.既に業績悪化(イベント請負業の場合)

イベント開催の中止要請に従い、数か月先のイベントが全てキャンセル。

予定した収入がなくなり、家賃・人件費を支払うことも困難となったため、

年度の中途で役員給与の減額を行うこととした。

この場合、既に経営数値や資金面が著しく悪化しているため、

(取引銀行や株主との関係からも)「やむを得ず」減額しなければ

ならない状況にあるのであれば、「業績悪化改定事由」に該当するとしています。

2.悪化見込(主要売上先が観光客の場合)

新型コロナの影響で、インバウンド顧客が激減。

営業時間短縮、社員の出勤調整で対応するが、更なる経費削減も必要な状態。

過激なコストカットは困難なため、まずは役員給与の減額から検討している。

この場合、売上などの数字がまだ悪化していなくても、

役員給与減額などの経営改善策を講じなければ、

急激に財務状況が悪化する可能性が高いという

「客観的な(経営悪化不可避の)状況」にあるときは、

「業績悪化改定事由」に該当するとしています。

AMFニュース [2020年5月19日号]

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新型コロナウイルス感染症に関連する
個人向け助成金等

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新型コロナウイルス感染症に関連する補助金や助成金のうち、

比較的利用しやすい個人向けのものをご紹介します。

特別定額給付金

給付対象者は、基準日(令和2427日)において、

住民基本台帳に記録されている者で、給付対象者1人につき10万円が給付されます。

傷病手当金など

被保険者が業務災害以外の理由により

新型コロナウイルス感染症に感染している場合には、

他の疾病に罹患している場合と同様に傷病手当金が支給されます。

また、業務に起因して感染したものであると認められる場合には、

傷病手当金ではなく、労災保険給付の対象となります。

休業手当など

使用者の都合による休業の場合、

使用者は、休業手当を支払わなければならないところですが、

労働基準法上の休業手当の要否にかかわらず、

経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が休業手当を支払った場合、

雇用調整助成金として一部が事業主に助成されます。

また、子供の臨時休校により仕事を休まざるを得なくなった保護者ために、

休みの間の給与を助成する制度もできました。

フリーランスで働く人のための支援金もあります。

国民年金・国民健康保険料(税)の減免

令和251日から新型コロナウイルスの感染症の影響により

国民年金保険料の納付が困難となった場合の臨時特例手続きが開始されています。

国民健康保険料についても地方自治体が条例等により減免を行います。

住居確保給付金

離職や休業などで収入が減り、家賃を払えない人には、

地方自治体が家賃を補助する「住居確保給付金」という制度があります。

今回、従来より要件が緩和されました。

修学支援新制度

家計が急変した学生には、授業料の減免や、

給付型の奨学金が支給される「修学支援新制度」があります。

AMFニュース [2020年5月12日号]

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国税「新型コロナQA
新型コロナと個人事業者の損失

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国税「新型コロナQ&A」逐次更新中

確定申告時期にぶつかってしまった新型コロナウイルスの感染拡大。

国税庁は、文字通り「柔軟な対応」を行っています。

国税庁HPで公表された税務の取扱いの「Q&A」も逐次更新されており、

わかりやすく、参考になるものが多々あります。

その中でも、個人事業者が見ておきたい

問8「個人事業者の事業所得に赤字(損失)が生じた場合の取扱い」をご紹介します。

個人事業者の事業所得に赤字が生じた場合

個人の事業所得に損失が生じ、

他の所得と通算してもなお赤字(純損失の金額)がある場合には、

青色申告を提出する事業者と

白色申告を提出する事業者で取扱いが異なります。

青色申告者は、純損失の繰越控除(3年)と繰戻還付(1年)ができますが、

白色申告者は、純損失のうち「災害による損失等」の金額のみ、

3年の繰越控除ができます。

<青色申告>

繰戻還付

繰越控除

<白色申告>

繰戻還付→×

繰越控除災害損失〇 その他

変動所得の損失金額は繰越可能

この「災害による損失等」とは、

棚卸資産や事業用固定資産等に生じた災害による損失(保険金等はマイナス)で

一定のやむを得ない支出とされています。


災害(新型コロナ関連)による損失の例

Q&Aでは、新型コロナに関連した「災害による損失等」を例示しています。

〈災害等による損失等に該当するもの〉

飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損

感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損

施設や備品などを消毒するために支出した費用

感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気洗浄機等の購入費用

イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

〈災害等による損失等に該当しないもの〉

客足が減少したことによる売上減少額

休業期間中に支払う人件費

イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料

AMFニュース [2020年5月5日号]

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テレワークで購入した備品の処理
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備品の購入

従業員のテレワークのために、

パソコン、モニターやキーボードを購入した際の会計上の処理は、

通常業務において購入した場合と特に変わりはありません。

つまりそれぞれの該当する科目毎に区分して固定資産台帳に記載して管理します。

また固定資産ナンバーを割り当ててシールを貼る等の現物の管理方法も

通常と変わりません。

税務上は少額資産によって取扱いが異なるため別途対応が必要になります。

パソコン購入についての注意点

個々の従業員がパソコンを購入して後で経費精算すると管理しきれなくなるので、

自宅にパソコンのない社員には会社から貸与することもあるかと思います。

この場合OSを統一するのはもちろんですが、

業務遂行に見合ったスペックの見極めが必要です。

また業務に無関係なプライベートでのソフトウェアのインストールや

情報漏洩の防止のために管理者を設定して適切な管理を行う必要があります。

購入以外の方法

一定数をそろえる必要がある場合は

プリンター等の事務機器のようにリース契約を結ぶこともあり得ます。

リース時にパソコンのスペックをそろえ、

必要なソフトウェアをインストールすることが可能です。

リース契約の会計処理方法について、

国際会計基準に合わせる形で変更する議論が進んでいるため、

現在のファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分ける方法は

変更される可能性が高くなります。

また従業員が自宅のパソコンからインターネットを介して

会社のパソコンのデスクトップ環境にアクセスできる仕組みもあります。

この場合、従業員の自宅のモニターに会社のパソコンのデスクトップ環境を映して

会社のパソコンを二人羽織のように操作できるので、

新規に固定資産を購入し、又はリース契約を交わす必要がありません。

AMFニュース [2020年4月28日号]

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 テレワーク導入と規定整備
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普及に向けた取り組み

テレワークとはITC(情報通信技術)を利用して時間や場所を有効活用し、

事業場外勤務で柔軟な働き方をすることを言います。

元は働き方改革や東京オリンピック開催で普及促進が提唱されていましたが、

現在は感染症の拡大に伴い、テレワークに関する関心が高まっています。

大きく分けると在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークに区分できます。

サテライトオフィスは所属するオフィス以外の

レンタルオフィス等の遠隔勤務施設での就業を指し、

モバイルワークは営業職などが外出中にオフィスに戻らず

移動中に日報などの報告を行うもので、

今は在宅でPC作業のテレワークが増えています。

テレワーク導入は増えてはきているが……

少し前ですが平成30年総務省調査では

従業員数100人から299人事業所でのテレワーク導入率は14.5%と

大企業の46.6%を大きく下回っています。

最近3月の経団連のアンケート(会員1470社のうち398社が回答)では、

テレワークや在宅勤務を始めるか予定している企業は回答者のうち7割に上っています。

検討中も19%いました。

この数字は大企業も含まれているので

中小企業などではまだなかなか進んでいない状況があります。

また、事務系の仕事では在宅勤務がしやすいものの、

工場や現場系の仕事では在宅勤務自体が難しいという面もあります。

一方で上司の中にも部下が仕事をしている姿を

目の前で確認しないと不安と思う人がいる場合もあるでしょう。

導入するために決める必要のあること

会社がテレワークを導入し従業員に自宅や他のオフィスで働かせる場合に、

就業規則の必須事項ではありませんが、

実際にさせるには従業員に通信費や情報通信機器、光熱費等の費用負担を

就業規則で定めておく必要はあります。

今回のような事態で緊急にテレワークを始めて規定整備はできない時でも

労使協定書で取り決めはしておきたいものです。

規定する事項は、

対象者と対象者の許可基準、手続

実施時のセキュリティ等情報通信機器や情報の取り扱いルール

費用負担のルール

実施時の労働時間管理は始業・終業・休憩、時間外勤務、

メールや電話報告義務、中抜け時間の取り扱い、

テレワーク中は常に連絡が取れる態勢など

AMFニュース [2020年4月21日号]

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「納税の猶予」と「納税猶予」
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似て非なるもの

災害・盗難等で損失を受けた時に、国税を一時に納付することができない時は、

手続きをすることによって、納税を猶予してもらえます。

これが「納税の猶予」です。

一方「納税猶予」は政策的に、一定の条件を満たす場合は、

条件を満たさなくなるまで納税を猶予するという納税の繰延べです。

最終的には免除する場合もあります。

一般的には農地相続の納税猶予や、事業承継税制の納税猶予がよく知られております。

両方とも「払うべき税金を待ってもらう」のに変わりはないのですが、

「納税の猶予」は資金に困窮している場合で、差し迫っているのにたいして、

「納税猶予」は資金的な問題とは全く関係ありません。

コロナウイルス関係でも「納税の猶予」

納税の猶予の手続きを行うと、

延滞税の一部が免除(納税の猶予制度の場合は全部が免除されるケースも)され、

原則1年間の猶予が認められ、財産の差し押さえ等が行われなくなります。

今般の新型コロナウイルス感染症において、

国税庁は納税の猶予制度の利用方法や特例も解説しています。

それによると、通常納税の猶予制度には担保の提供が必要となりますが、

新型コロナウイルス感染症の影響によって、

納税の猶予制度を利用する場合については

「財産状況などから担保の提供ができることが明らかである場合を除き、

担保は不要」としています。

納税の猶予の申請に関しては、納期限の前からでも相談は可能ですから、

税務署の担当者や税理士と申請内容や延滞税額や納付計画について

話し合っておくことをお勧めします。

生き残りをかけて策を講じましょう

国税庁の対応だけでなく、経済産業省の資金繰り対策や各種補助金の拡大、

厚生労働省の雇用に関する助成金の拡大等、すでに国はある程度救済策を講じています。

分かりやすい解説等もインターネットにはずいぶんと出ていますから、

利用できる制度が無いか、一度調べてみるのがいいでしょう。

AMFニュース [2020年4月14日号]

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雇用調整助成金の
コロナウイルス関連特例の続報
41日時点

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雇用調整助成金のおさらい

景気変動の影響を受け、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が

労働者の雇用の維持を保つ目的で、

計画的に行う【休業】の際に支払う【休業手当・賃金等】の一部を助成するものです。

補助率は一定期間、中小企業は支払った休業手当の5分の4(解雇がなければ9割)

最長約190日分にアップしています。

受給要件(コロナウイルス特例時)

通常は売上げ減が3か月継続していることや

雇用増員した人数によって制限がありますが、

特例時はその要件が緩和されています。

景気の変動等、経済上の理由であること

・コロナウイルスの影響で市民活動が自粛されたことにより、客数が減った。

・コロナウイルスの影響で風評被害により観光客の予約キャンセルが相次ぎ、

これに伴い客数が減った等、

事業活動の縮小が確認できること

生産量要件を満たしていること

売上高や生産量の直近1か月間の値が前年同期に比べ5%以上減少していること

事業所設置1年未満の場合は、直近1カ月間の値が

令和元年12月に比べ5%以上減少していること

判定対象期間1か月における対象者の休業延べ日数が、

所定労働日数延べ日数の1/20となるものであること

対象者が雇用保険加入者以外も対象になりました

支払う休業手当の額が、平均賃金の6割以上となっていること

事前に労働者代表と協定を結ぶこと

雇用保険適用事業主であること

労働保険料の滞納がないこと

令和2630日までに休業等を開始した場合、計画届の事後提出が認められます。

つまり前年同月から売上5%減

+従業員を休ませて休業手当を支払う

+ある程度の規模の休業を行うなどの条件を満たすと対象の可能性があります。

休業補償を行い働いている人の雇用保護を図ることで

雇用調整助成金の対象になります。

AMFニュース [2020年4月7日号]

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改正職業安定法・求人の不受理について
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求人を行う企業に求められる要件

企業が行う求人について、ハローワークや職業紹介事業者等は、

「原則としてすべての求人を受理しなければならない」と

職業安定法で定められています。

ただし、就職後のトラブルの未然防止を図るため、

一定の企業の求人については受け付けないことが認められています。

その要件が2020330日から追加され、一定の労働関係法令違反の求人者等、

以下の6要件に該当する場合となりました。

内容が法令に違反する求人

労働条件が通常の労働条件と比べて著しく不適当な求人

求人者が労働条件を明示しない求人

一定の労働関係法令違反のある求人者による求人

暴力団員などによる求人

職業紹介事業者からの自己申告の求めに応じなかった求人者による求人

そして職業紹介事業者に対しては、これらのいずれかの要件に該当する場合、

「求人の申し込みを受理しないことが望ましい」と、周知がなされています。

求人企業の自己申告とは

の「自己申告の求め」とは、

求人企業がこの「6要件に該当するかどうか」の自己申告を求めるものです。

厚生労働省が例として掲載している「自己申告書」の内容を見ると、

労働基準法、最低賃金法、育児・介護休業法などの違反行為で、

過去1年の間に労働基準監督署から是正勧告を受けたり、

あるいは改善命令に従わずに企業名の公表がされたりしていないか、

といった質問に対し、チェックシートで回答する形式となっています。

そして、20206月からは、セクハラ、パワハラなども自己申告の対象となります。

この改正の趣旨は、いわゆるブラック企業の問題への対処だけではなく、

求人を行う全ての企業に対して、法令順守やモラルを求めるものといえるでしょう。

人材募集の前に、改めて自社の状況を振り返るために、

このチェックシートを活用してみるのもよいかもしれません。

(求人企業に対する案内及び自己申告書の例はこちら

https://www.jcci.or.jp/fujyuri.pdf

AMFニュース [2020年3月31日号]

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年休付与の賢い方法 5日義務も怖くない!
様々な年休消化の仕方

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年次有給休暇の取得状況

厚生労働省が201910月に発表した就労条件総合調査によると

2018年の年次有給休暇取得率は52.4%と前年から1.3ポイント上昇しています。

取得日数は平均9.4日で大企業ほど取得率が高くなっています。

労働者側の自分の仕事が大変になったり職場に迷惑がかかったりするというためらいも、

取得が進まない原因になっているようです。

厚労省は2020年に取得率7割を目指すとしていますが目標には遠く、

20194月からの働き方改革の一環で年5日の有給休暇取得義務付けがされました。

取得促進のための各制度

年休は原則1労働日単位での取得ですが、各社で決まりを作っておけば良く、

半日年休も60%以上の企業が利用していますし、計画年休も35%が導入しています。

それぞれの特徴を見てみます。

半日単位年休……

労使間の合意により半日年休制度を設け、半日単位で与えることも可能です。

年休を半日単位で付与するにあたって

就業時間のどの時刻で前半と後半に分けるかは労使合意により決めます。

時間単位年休……

年次有給休暇は労使協定により年5日までは時間単位で付与することができます。

従業員はプライベートな用事に充てることもでき小刻みに休みをとることで

仕事が溜まってしまうということもないのでありがたいのですが、

企業側は時間管理の手間がかかることもあるので

システムなどとの連携が必要かもしれません。

計画年休制度……

労使協定に基づいて企業側で計画的取得ができるもので

一斉に又は部署ごとに夏季、年末年始休暇などに合わせて設定もできます。

各人の付与日数の5日を超える日数について計画的に取得してもらうことができます。

働き方改革の年休時季指定……

20194月から働き方改革の一環で

休暇が10日以上付与されている従業員に

5日の有給休暇を時季指定しなくてはならなくなりました。

本人が自分で取得した日や計画年休もこの5日に含まれるので、

5日以上取得している方は対象ではありません。

この時季指定を今まで本来休業日であった休暇に代えて

5日の有給休暇に充てるのは法の趣旨に反するので

労使でよく話し合って協定を交わし、就業規則に載せるのが良いでしょう。

AMFニュース [2020年3月24日号]

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 未婚の方も対象に
 ひとり親・寡婦控除の見直し

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ひとり親も控除が受けられるように

令和2年の税制改正で、未婚のひとり親に対しても

寡婦(かふ)控除と同様の所得控除が受けられることとなり、

同時に寡婦控除にも改正が加えられることとなりました。

また、男女間に格差があった特別の寡婦控除が廃止され

「ひとり親控除」として新設されます。

従来の寡婦(寡夫)控除との違い

今までの寡婦(女性)控除については、
本人の所得が500万円超であっても

扶養親族が居る場合は27万円の控除がありましたが、

寡夫(男性)控除に関しては500万円超の所得がある人については

控除が受けられませんでした。

この男女間の格差は「両者とも控除は無し」という

納税者側から見れば悪い方向で是正が行われました。

所得金額が500万円以下であり、かつ扶養親族に子がいる場合は、

男性でも女性でも、死別でも離婚でも、未婚のひとり親でも一律に

35万円(住民税は30万円)の所得控除となります。

名前も「ひとり親控除」へ変更となります。

この処置は従来の寡夫控除が27万円だったので男性については控除額の増加となり、

今まで控除が受けられなかった未婚のひとり親については

35万円の控除額増加となります。

寡婦であり子以外の扶養親族がいる場合と、

扶養親族が居なくても死別が原因の寡婦の場合は、

従来と同様の27万円(住民税は26万円)の寡婦控除となります。

対して男性の場合は、子以外の扶養親族が居ても、

死別であっても従来から控除は受けられず、改正でもその点に変わりはありません。


「特別の寡婦」の名称は消滅

従来の「特別の寡婦」控除の名称は無くなり、ボーダーラインも若干は変わるものの、

ひとり親控除に引き継がれるので、悪い影響があるのは

「今まで寡婦控除を受けていた所得500万円超の女性」に限定されます。

なお、ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に

「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されている

いわゆる事実婚状態の方は受けられません。

AMFニュース [2020年3月17日号]

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 新型コロナウイルスによる
 確定申告期限延長

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申告期限は令和2416日まで延長

新型コロナウイルスの影響は、税務関係にも波及しています。

令和2227日に、国税庁は所得税及び復興特別所得税・贈与税・

個人事業者の消費税及び地方消費税の申告期限・納付期限について、

令和2416日(木)まで延長することを発表しました。

実際に、34日には税務署職員が

新型コロナウイルス感染症に感染していることが判明し、

該当税務署については総合窓口の業務を一時中断し、消毒作業を徹底。

36日に濃厚接触者と判断された職員については自宅待機の上、

窓口業務を再開するとの発表がありました。

還付申告ならば5年間申告可能

医療費控除・寄附金控除・住宅ローン控除等によって、

還付を受ける方に関しては、そもそも5年間は申告することが可能です。

つまり、令和元年分の還付については、

令和61231日まで申告することができるわけです。

現在の状況を踏まえると、このウイルス騒動が落ち着くまでは、

税務署に行かないという選択肢も視野に入れて良いと思います。

この機会に電子化を検討してみては?

税務に関しては、近年e-Taxの普及や会計システムのクラウド化、

書類のデータ化が進んでいますから、還付申請でない方でも、

税務署に赴く必要がほぼない状態の方が多くいらっしゃいます。

税理士事務所に確定申告や税務・会計業務を依頼している場合でも、

現状に鑑みて、対面での相談等は最小限にするべく、メールや電話等で済まないか、

一度検討してみてはいかがでしょうか。

また、証票等についてはインターネットを介してファイルの受け渡しをしたり、

FAXでやりとりをしたりすることも可能です。

従来の確定申告作成作業や会計監査業務等と異なる動作で

手間取ったりはするかもしれませんが、

確定申告期限が1か月伸びていることですし、

今後の円滑なやり取りのためにも、この機会に思い切って

電子的なシステムを取り入れてみるのも良いのではないでしょうか。

休養も予防には効果的とされていますよ。

睡眠時間は十分に!

AMFニュース [2020年3月10日号]

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 新型コロナウイルス感染症
 中小事業者への支援策

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中小企業・小規模事業者対策として

新型コロナウイルスは中華人民共和国での感染が拡大し、

中国国内の生産活動の停滞や機械部品等の輸入による製造業者へのサプライチェーンに

悪影響を及ぼしています。

日本国内でもイベントの自粛など、経済活動に悪影響を及ぼすことが予想されます。

それにより中小事業者の事業継続にも懸念が生じています。

関係事業者団体への要請

過去の自然災害によるサプライチェーン毀損時には、

下請事業者から、コストが大幅に増加する発注にもかかわらず

親事業者は十分に話し合うことなく、

一方的に通常発注と同一の単価に据え置く

「買いたたき」などの行為があったとの相談が寄せられました。

そこで経済産業省は経営基盤の弱い下請の中小企業に対する影響を考慮して、

通常支払われる対価より低い対価による下請代金の設定や

適正なコスト負担を伴わない単納期発注や部品の調達業務の委託などを

押し付けないようにする。

今回の新型コロナウイルス感染症により影響を受けた下請事業者が、

事業活動を維持再開できるように取引関係を継続するように配慮することを

関係事業者団体に要請しています。

セーフティネット貸付の要件緩和

日本政策金融公庫等政府系金融機関や信用保証協会に対して、

セーフティネット保証により、資金繰り支援を実施しています。

特に、公庫等においては、特別相談窓口を開設し、

資金繰りに不安がある場合は売上高の減少の程度に関わらず、

セーフティネット貸付の対象とするように要件を緩和しています。

信用保証協会に対しても、特に重大な影響が生じている業種について

通常とは別枠での借入債務の80%を保証する5号の実施とともに、

自治体の要請があった場合には

こちらも別枠で借入債務の100%を保証する4号を実施します。

さらに、一時的な業況悪化等の支障をきたしている旅館業者に対し、

経営を安定させるために必要な資金繰りの支援を実施するために、

緊急貸付・保証枠として5000億円を確保しました。

この先もどのような情勢になるか予測できません。

取引先との関係や資金繰りに不安があれば、早めに支援機関の窓口に相談して下さい。

AMFニュース [2020年3月3日号]

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 お金が必要になった時の
 年金担保融資(令和4年まで)

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年金担保融資とは?

どうしてもお金が必要な事情があるときは、
自分で持っていなければ

家族や友人、消費者金融、銀行から借りるということになるかもしれません。

しかしそれ以外にも年金受給中の方であれば「年金担保融資」が受けられます。

その要件は?

申し込み可能者……老齢年金、老齢基礎年金、障害年金、遺族年金を受給している方

融資金額……10万円~200万円

利率(金利)……2.8

資金使途……保健医療、介護福祉、住宅リフォーム、教育、冠婚葬祭、事業維持、債務等の一括整理、生活必需品購入

銀行や消費者ローンだと金利は10%~18%の範囲が多いのですが、

それに比べると年金担保融資は金利がかなり低いといえます。

すでに他で借り入れていた債務整理に充てることも認められています。

また、老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金受給者の方も利用できます。


年金担保融資の利用条件

年金担保融資は前提として「融資希望額」が借り入れ限度額です。

受給している年金の0.8倍以内

1年分。年金から源泉徴収されている所得税額相当額を除く)

② 1回あたりの返済額の15倍以内(元金相当は大体26か月以内で返済する)

融資限度額は「必要な金額」を希望しなければなりません。

また、その額が必要なことを証明する資料(「見積書」「請求書」等)を

添付しなければなりません。

使途自由で限度額内なら何度でも借り入れできる消費者金融や銀行とは違うところです。


定額返済額は1万円単位

年金担保融資は年金を受ける権利を担保に借り入れる制度ですから、

借り入れをした方に支給される年金から指定した額が引かれ自動的に返済されます。

上限は1回あたり年金支給額の3分の1以下、下限は1万円です

(ただし借り入れの決まりがあるので融資額によって

1万円以上になることがあります)。

また、連帯保証人は必要ですが、いないときは信用保証制度が使えます。

シニア層になると消費者金融や銀行からの借り入れが難しくなりますが、

年金担保融資なら60歳過ぎても借りられるので心強い制度ですね。

AMFニュース [2020年2月25日号]

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医療費控除になる? ならない?
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医療費控除になるかならないか

確定申告での申告件数が多い医療費控除ですが、

「これって医療費控除になるのかな?」と疑問を持つようなものについては、

国税庁のWebサイトで、ケースごとに紹介しています。

ちょっと見てみましょう。

入院に伴う費用の医療費控除

入院に際し寝巻や洗面具等の身の回り品の購入は、医療費控除の対象にはなりません。

また、医師に対するお礼や、本人や家族の都合だけで

個室に入院した時の差額ベッド料金も医療費控除の対象になりません。

付添人を頼んだ時の付添料は、

療養上の世話を受けるための費用として医療費控除の対象となりますが、

所定料金ではない心付けや、親族へのお礼の支払いは医療費控除にはなりません。

入院中に病院で出される食事は入院代に含まれるので医療費控除の対象になりますが、

例えば糖尿病の自宅療養で、食事療法のために購入する食品代は

医療費控除の対象になりません。

出産に伴う費用の医療費控除

妊娠と判断されてからの定期検診や検査などの費用、または通院費用は

医療費控除の対象となります。

通院費用については領収書がないものが多いでしょうが、

メモ書き等で記録しておいて、かかった費用が明確に説明できる状態ならば

医療費控除の対象となります。

出産で入院する際に、公共交通機関を使うことが困難で、

タクシーを利用した場合は、医療費控除の対象となります。

ただし、実家で出産するために帰省する交通費は、医療費控除の対象になりません。

ただし書きの裏側に論争あり?

「ただし、●●の場合はよし・ダメ」という記載が多いのは、

過去に納税者と当局の間で論争があったためかもしれません。

親族へのお礼、糖尿病の自宅療養、里帰り出産等は、

いずれも国税不服審判所や裁判で争われた内容となっています。

適用の可否などを含めて見てみると、

医療費控除はなかなか奥深いものに感じられますね。

AMFニュース [2020年2月18日号]

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  医療費控除の基礎知識
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確定申告といえば医療費控除

医療費控除は、その年の11日から1231日までの間に

自分と生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費が、

一定額を超えた場合に所得から控除できる制度です。

サラリーマンの方が「今年は確定申告しないといけないなぁ」

という場合の多くはこれです。

実数を見ても、平成30年度確定申告(翌3月末までの集計)では

医療費控除を受けた人は759.5万人となっています。

日本の世帯数は約5800万世帯ですから、

日本の約13%の世帯は医療費控除をしているということになります。

触れることの多い医療費控除の基礎をおさらいしてみましょう。

対象となる金額は?

医療費控除は保険金などで補填される額を除き、

自分で払った医療費が10万円を超えた金額が控除になります。

ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、

総所得金額の5%を超えた部分が控除になります。

医療費控除の最高額は200万円となっています。

「自分で払った医療費」ですから、

まず健康保険で補填してくれている部分については

医療費控除の計算には入りません。

病院の会計で支払った金額が医療費控除の対象です。

医療費控除を初めて行う人がよく悩んでしまうのが

「保険金などで補填される額」の考え方です。

生命保険契約や高額療養費制度利用、

出産育児一時金で医療費を補填した場合、

その金額分は医療費控除とはみなされません。

ただし、「保険で補填される金額より治療にかかる額が少なかった」場合は

他の医療費から差し引かなくてよいことになっています。

さらに個人の医療保険に関しては、補填金の方が多くても原則課税されないので、

手元に残ったお金は申告する必要はありません。

自由診療はどうなるの?

健康保険のきかない自由診療の医療費でも

「一般的に支出される水準を著しく超えないもの」であれば、

医療費控除の対象となります。

例えば、お子様の成長を阻害しないようにするための歯の矯正は

医療費控除の対象となります。

ただし、「容ぼうを美化するための矯正」は医療費控除の対象になりません。

AMFニュース [2020年2月11日号]

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礼儀正しさが企業に良い効果をもたらす
その差は2倍!

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人を叱るときどんな叱り方をしていますか

2019年末「人を叱るときは人前で」という記事が話題を呼びました。

時代の流れや環境の変化とともにそれぞれに対応したやり方があるので

どれが正解のやり方と断言はできませんが、礼儀正しく接する、ほめることが

企業のパフォーマンスを上げる研究結果をご紹介します。


叱るときも礼儀が大事との結果があります

2007年の米フロリダの研究で、

被験者らが自分たちに敬意が払われていないと感じると、

彼らのパフォーマンスは低下するというものです。

2つのグループに分け片方のグループをけなした後、

単語のつづりを入れ替えるパズルをさせると、

けなされたグループの成績はけなされなかったグループより33%低下します。

また、片方のグループを叱責したのちブレーンストーミングをさせる実験では

叱責されたチームはされなかったチームより58%もアイディアの出が悪くなりました。

これだけではありません。

けなされたり、叱責されているところを目撃するだけでもパズルの成績は25%悪化し、

ブレーンストーミングでも45%成績が悪くなりました。

これが実際の企業内で起こったら生産性が下がり大変なことです。

逆に「礼儀正しく」接するとよい効果が生まれます。

部下に礼儀正しく接したリーダーは

2倍もリーダーとして認められる確率が高くなります。

また礼儀正しいと評価される人物はそうでないと評価される人物より

13%パフォーマンスが高いとの結果が出ています。

礼儀正しさが心理的安心感につながりこれだけの差が出るとされています。

外国人は捉え方が違う場合もあるので注意

外国の方も多く働くようになっている現代、

日本人では人前で叱責したり無礼な態度に対し我慢で終わらせることも、

外国の方では考え方が違うので注意が必要です。

アジア、中東では

「人前で怒るとその人の尊厳を侮辱することになる」と人前で叱責することは

ご法度とされているようです。

日本人でもパワハラといわれてしまうことがあります。

仕事をしているとカッと来ることもありますが、

指導を行うとしても礼儀を忘れないで対応することが重要です。

AMFニュース [2020年2月4日号]

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賃金の時間単価の計算はどうなる?
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案外区別していない時間単価の出し方

一般的に給与計算において時間単価を出すことはよくありますが、

用途によって時間単価の出し方が決まっています。

「平均賃金」といえば全産業や企業内における

全労働者平均といった意味で使われますが、

労働基準法における平均賃金は全く違います。

また、年次有給休暇の日額や時間単価、残業計算の時間単価の出し方など

それぞれ法に定めがあります。

労基法の平均賃金を使う時とは

平均賃金とは「算定すべき事由の発生した日以前3か月間に

その労働者に対し支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除した金額」を言います。

月給、週給は「1労働日当たりの賃金や日給額ではなく

休日も含めた1生活日当たり賃金を算出します。

日給、時間給の場合は前3か月分を労働日数で除し、その6割とされます。

平均賃金が必要なのは、

解雇予告手当を支払う場合……

30日前に予告をしない使用者は30日以上の平均賃金の支払いが必要です。

使用者の責により休業させた時……

会社の都合で休業させた時、

平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなりません。

年次有給休暇を取ったとき……

年次有給休暇に対する支払いは

就業規則等で平均賃金で支払う旨を定めておけば平均賃金での支払いになります。

業務上災害に対し災害補償を行う場合……

休業、障害、遺族、葬祭、打切補償、分割補償等の

補償の給付基礎日額の計算に用いられます。

減給の制裁……

懲戒に該当した等、「制裁の減給を行う時1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、

総額が1賃金支払い期間に総額の10分の1を超えてはならない」とされています。

年次有給休暇取得日の賃金計算

平均賃金

所定労働時間に支払われる通常の賃金

健康保険法の標準報酬日額相当額

一般的にはが多いでしょう

残業代の賃金計算

月給制の場合は1年間における総労働時間を12か月で除し、

月給を1月平均所定労働時間で除した額が時間単価となります。

AMFニュース [2020年1月28日号]

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  令和2年税制改正大綱
  消費課税編

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法人に係る消費税の申告期限の特例の創設

法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人が、

「消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書」を提出した場合には、

消費税の確定申告書の提出期限を1月延長することができるようになりました。

この改正は、令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から

適用されます。


居住用賃貸建物の仕入税額控除の見直し

不動産の消費税還付スキームは、

過去の数度にわたる改正により、封じられてきましたが、

今回も厳しい見直しが入りました。

(1) 課税仕入れの不適用

高額特定資産(税抜1,000万円以上の調整対象固定資産など)に該当する

「居住用賃貸建物」を取得した場合の課税仕入れについては、

仕入税額控除は適用できないこととなりました。

なお、住宅貸付用に供しないことが明らかな部分については、

改正後も仕入税額控除は適用されます。

この改正は、令和2年10月1日以後の建物取得より適用されます

(同年331日までに締結した契約に基づく課税仕入れには適用されません)。

(2)3年以内の住宅以外の貸付け・譲渡

仕入税額控除の適用を認めないこととされた居住用賃貸建物について、

3年以内に住宅以外の貸付けの用に供した場合又は譲渡した場合には、

3年間の実績に応じて計算した金額を、

その課税期間の仕入控除税額に加算して調整することとされました。

<課税期間(取得)>

仕入税額控除なし

<翌課税期間>

<翌々課税期間(住宅以外・譲渡)

仕入税額控除に一定額を加算

住宅の貸付け(非課税)の判定

契約において用途が「居住用」と明らかにされていない場合でも、

建物の状況等から居住の用に供することが明らかなものについては、

非課税とすることとなりました。

高額特定資産を取得した場合の特例

高額特定資産を取得した場合の事業者免税点制度・簡易課税制度の適用制限対象に、

高額特定資産である棚卸資産につき

「納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整」の

適用を受けた場合が追加されました。

AMFニュース [2020年1月21日号]

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令和2年税制改正大綱
個人所得課税(金融・証券)編

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NISA制度の見直し

〈ジュニアNISAは令和5年廃止〉

現行のNISA(少額投資非課税制度)には、

「一般NISA」と少額積立・長期運用の「つみたてNISA」、

未成年者の利用を想定した「ジュニアNISA」の3種類があります。

NISAの利用状況(令和元年6月現在)>

種類/期間/口座数/買付額

一般/5年/1,162万/16.88

つみたて/20年/148万/0.18

ジュニア/5年/33万/0.14

今回の改正により「一般NISA」と若年層の利用が多い「つみたてNISA」は、

5年延長とされますが、

全口座数の2.5%と利用実績が乏しい「ジュニアNISA」は、

延長されないこととなります(廃止後、源泉徴収をせずに口座からの払出しが可能です)。

〈一般NISAは「2階建て」の新制度へ〉

より積立・分散投資を行いやすい制度とするため、

令和6年1月より、「一般NISA」は、

非課税枠を2階建てとする新制度に再編されます。

この制度では、1階部分は「つみたてNISA」と同様に

長期の積立・分散投資に適したものとして告示されたもの(年20万円まで)、

2階部分は、現行の一般NISAから高レバレッジ投資信託など

安定的な資産形成に不向きな一部の商品を

除いたもの(102万円まで)が対象となります。

<新一般NISA(令和6年~10年)>

*2階部分(年102万)

特定非課税管理勘定(仮)

対象:上場株式等のみ

*1階部分(年20万)

特定累積投資勘定(仮)

対象:公募等株式投資信託


エンジェル税制の見直し他

エンジェル税制とは、
ベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して

所得税の優遇措置を行う制度で、

投資時点の優遇制度(所得控除と株式譲渡益からの控除の選択)と

売却時点の優遇措置(対象株式の売却損の繰越控除)があります。

今回の改正では投資型クラウドファンディングを通じて投資されたベンチャー企業が

対象企業に追加されるなど一部の要件が緩和されます。

その他、特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲の拡大や

「資金決済法等改正法」の施行に伴う所定の措置、告知制度の見直しなどが行われます。

AMFニュース [2020年1月14日号]

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 令和2年度税制改正大綱
 個人所得課税(一般)編

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個人課税は「人生100年時代」を意識

令和2年度の税制改正大綱が公表されました。

個人課税は、人口減少・少子高齢化が進む中での「人生100年時代」に

相応しい税制づくりを意識したものとなっています。

低未利用地等を譲渡した場合の特別控除

高齢化の進展に伴い、所有者自身が利用する意向のない土地の増加が

予想されることから、特別控除制度が創設されました。

個人が都市計画区域内にある低未利用土地等を譲渡した場合において、

一定の要件を満たすときは、

長期譲渡所得金額から100万円を控除することができます

(建物譲渡部分については適用されません)。

配偶者居住権等に係る譲渡所得の取扱い

令和24月より施行される民法の「配偶者居住権」「配偶者敷地利用権」について、

取得費の取扱いが明記されました。

〇配偶者居住権等の消滅時(対価受領)

居住建物等の取得費×配偶者居住権等割合減価の額(居住権の設定日~消滅日)

〇配偶者居住権等の消滅前

居住建物等の取得費配偶者居住権等の取得費

未婚のひとり親に対する税制上の措置

昨年の改正で持ち越しとなっていた「未婚のひとり親」の寡婦(夫)控除は、

令和2年分より控除できることとなりました。

適用要件は死別・離別の場合と同様です。

寡婦に寡夫と同じ所得制限(500万円)が設けられます。

国外中古建物の不動産所得の損益通算特例

富裕層を中心に広まっていた国外不動産を利用した租税回避の防止策として、

個人が国外中古建物を有する場合には、不動産所得の計算上、

その損失額のうち国外中古建物の償却費相当額(簡便法適用)は、

生じなかったものとみなすこととなりました。


住宅ローン控除の適用要件の見直し

新規住宅に居住した3年目に従前住宅等を譲渡した場合に、

一定の措置法特例の適用を受けているときは、

住宅ローン控除の適用はできないこととなりました。

その他の改正項目

国外居住扶養親族の扶養控除、医療費控除の添付書類の見直し等が図られています。

AMFニュース [2020年1月7日号]

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予定納税と確定、延滞、還付
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事前収納の確保の制度

経常的な所得の事業所得や不動産所得、

また、法人の所得課税、さらには消費税課税事業者については、

予定納税という制度を用意して、税金の事前収納を確保しています。

給与所得や報酬への源泉徴収も事前収納確保の制度です。

所得税・法人税の予定納税

所得税の予定納税は、
前年分の所得金額や

税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、

当該年の確定申告前に、3分の1ずつ2回予め納付するという制度になっています。

法人税等の場合は、前事業年度の法人税額が20万円を超えると、

その法人税額を前事業年度の月数で除し、これに6を乗じた金額を予定納税額として、

現事業年度開始から6ヶ月経過後2ヶ月以内に納付することになっていて、

予定納税回数は1回です。


消費税の予定納税

消費税の場合は、前課税期間の国税消費税の年税額が48万円を超えると、

予定納税が課されます。

前課税期間の年税額が400万円以下の場合は、予定納税回数は1回で、

4800万円以下の場合は、予定納税回数は3回で、

4800万円超の場合は、予定納税回数は11回で、

それぞれ2ヶ月以内に納付することになります。

消費税の予定納税においては、例えば3回予定納税では、

3ヶ月ごとに区分された各期間のうち最後の期間は予定納税期間とはなりません。

決算期変更があり、課税期間が9ヶ月になったような場合、

最後の3ヶ月は予定納税の期間ではなくなり、

例え、3回目の予定納税の納付書が届いていても、

その納税義務は消滅していることになります。

予定納税の延滞と還付

予定納税の義務は所定の期間の末日に成立するものであるので、

例え滞納していても、確定申告書においては、事前確定納付税額として記載されます。

確定申告書での確定年税額がゼロ、あるいは予定納税額未満の場合は、

還付の申告書となります。

もちろん、還付税額は、未納の予定納税額に充当されるので、

実際の還付にはなりません。

また、予定納税額の滞納には、延滞税が課せられているのですが、

全額還付となる予定納税額に係る延滞税は免除となり、

同時に還付加算金は付されません。

AMFニュース [2019年12月24日号]

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領収書から医療費通知書へ
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医療費控除の要件

医療費控除を所得税の確定申告で受けるには医療費の領収書の添付又は提示が必要で、

特にその明細一覧表の作成は義務ではありませんでした。

それが、平成29年の税制改正で、医療費領収書の添付又は提示が不要となり、

その代わりに、医療費控除の明細書を作成し、添付することになりました。

ただし、領収書の5年間の保存義務があります。

医療費控除の明細書

医療費控除の明細書には、
医療費年額、受診者名、医療機関名、

その他参考事項の4項目を記載することとなっており、

特に各項目別に分別記載することは要求されていません。

ただし、国税庁の用意している「医療費控除の明細書」では、

各項目を分別してそれぞれの年合計を書くという形式になっています。


医療費通知書がある場合

医療保険機関から交付を受けた医療費通知書がある場合には、

その医療費通知書を添付すると医療費控除の明細書の作成添付はしなくて済みます。

医療費通知書には、

被保険者名、受診年月、受診者名、診療機関名、窓口負担額、保険者名が、

受診の都度毎、書かれているので、領収書保存義務もありません。

実態は混合型

ところが、医療費通知書の発行は、
診療等の後、しばらく遅れるので、

年の後半分については、確定申告期限に間に合わないことが多いようです。

実態は、医療費通知書のみの添付で済ますことが出来ず、

通知不足分については、医療費控除の明細書を作成することになります。

また、保険適用外の医療費については、

当然ながら、医療費控除の明細書への記載しか方法はありません。

窓口実負担と記載負担額が異なることもあり、実負担が原則です。


未来のIT化と今年最後の添付方式

でも、この改正からは、
当局の領収書管理事務からの解放も含め、

制度も、手続も、IT時代にふさわしい進化を進めようとしている意志を

感じさせられるところです。

医療費通知書の発行を早め、

確定申告期限に間に合うようにする努力が続けられることと思われます。

ただし、令和元年(2019年)分の確定申告での医療費控除は、

経過措置として、領収書を添付し医療費合計の直接記載で済ませても

よいことになっています。

AMFニュース [2019年12月17日号]

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年間5日以上の有給休暇取得義務化
~有給休暇管理簿は作成しましたか?~

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有給休暇を年間5日以上取得させる義務

「働き方改革」の一環として、労働基準法が改正され、

20194月以降、年次有給休暇が年間10日以上付与される労働者に対して、

年間5日以上取得させることが企業に義務付けられました。

注意すべき点は、

企業の規模にかかわらず全企業が対象、

管理監督者も含まれる、

週の所定労働日数が少ないパートタイム労働者も勤続年数によっては対象となる、

違反に罰則が適用される、などです。

有給休暇の積極的な取得に向けて

有給休暇は、労働者が時季(時期ではない)を指定して、

使用者が時季変更権を行使しない限り、取得が認められます。

本来、労働者の時季指定が出発点ですが、

年間5日以上取得させるよう使用者に義務付けられましたので、

使用者から労働者に積極的な取得を促すことが求められます。

具体的には、取得希望日の事前聴取や、取得奨励日の設定、

労使協定による計画的付与などが考えられます。

ただし、これまで特別休日としていた日を有給休暇取得日に変更した場合、

休日数減少で不利益変更として認められないこともありえますので、注意が必要です。

早めの取得状況確認と「有給休暇管理簿」

20194月以降に付与された年次有給休暇が対象ですので、

早い人は20203月末で施行後1年を経過することになります。

労働基準法では、事業主に有給休暇を取得させる義務は課せられていますが、

労働者に取得する義務はありません。

従って、労働者が取得を拒んだとしても、事業主には取得を促す努力が必要となります。

20204月以降の労働基準監督署の対応が注目されますが、

「有給休暇管理簿」の作成・保存も企業に義務付けられており、

臨検等では取得状況もチェックされます。

勤怠管理や給与計算のソフトに有給休暇管理機能がついているものもありますが、

厚生労働省HPからエクセルファイルのダウンロードが可能ですので、

参考にされてはいかがでしょうか?

AMFニュース [2019年12月10日号]

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  源泉控除対象配偶者と
  同一生計配偶者

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扶養控除等申告書を良く見てみると

年末調整の時期に配られる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、

会社が来年の源泉徴収をいくらにするのかを決めるための用紙です。

この中に、「源泉控除対象配偶者」「同一生計配偶者」と、

あまり聞きなれない単語が出てきます。

1つずつ見てみましょう。

源泉控除対象配偶者とは

源泉控除対象配偶者は、その名の通り「源泉控除されるべき配偶者」です。

控除を受ける本人の令和2年中の所得の見積額が900万円以下であること、

配偶者の令和2年中の所得の見積額が48万円以下で、配偶者控除が適用になるか、

見積額が95万円以下で、配偶者特別控除額が最高額である人が対象です。

この説明で、経理のご担当者様などは「あれっ?」と思ったかもしれません。

令和元年までであれば配偶者控除の場合は所得の見積額は38万円以下、

配偶者特別控除が最高額である人の所得の見積額は

85万円というのがボーダーラインでしたが、

令和2年からの税制では、基礎控除が基本的には10万円上がり、

給与所得控除が基本的には10万円下がるため、

配偶者控除等の判定に利用する「所得額」も

10万円引き上げて考えるようになりました。


同一生計配偶者とは

同一生計配偶者は、控除を受ける本人の所得は問わず、

配偶者の令和2年の所得の見積額が48万円以下の人です。

本人の所得が多く、配偶者控除が受けられない場合、

「源泉控除対象配偶者」のカウントには入らないのですが、

所得の少ない配偶者分の障害者控除は受けるため、この区分が必要となります。

忍び寄る令和2年の恐怖?

先に触れたように、令和2年から

基礎控除や給与所得控除・年金所得控除の改正が適用されます。

所得が2,400万円を超えると基礎控除は減ってゆきますし、

給与収入は850万円を超えると基礎控除の上昇を加味しても、

令和元年の水準より下がります。

また所得の種類や「子育て・介護」等の条件付けによって

額面が変動するようになるため、

来年の年末調整の用紙はもう1枚追加となるようです。

ややこしいですね。

AMFニュース [2019年12月3日号]

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ふるさと納税
国対地方とクラウドファンディング

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印象的な出来事が多かったふるさと納税

個人の所得や控除によって決まる上限金額以内の寄附であれば、

自己負担が2,000円で済むふるさと納税。

そろそろ今年の締め切りである年末が近づき、どの自治体に寄附をしようか、

と考えていらっしゃる方も多いでしょう。

思えば今年はふるさと納税に関して、印象的な出来事が多かった年となりました。

国対地方は司法の場へ

20196月からふるさと納税の新たな運用ルールがスタートし、

対象外とされた泉佐野市が国の第三者機関に対して異議を申し立てました。

協議の結果は国側である総務省の、対象外とする決定は

「法律違反であるおそれがある」として是正を提言された結果とはなりましたが、

その結果をもってしても、総務省は除外決定を覆さなかったことから、

泉佐野市は裁判所に提訴しました。

舞台はついに司法の場に移り、この争いはまだまだ続きそうです。

そもそもこの対象外とされたのは

「お礼の品が寄附額に対して過剰な割合で拠出されていたから」

という理由ですが、泉佐野市については、

寄附金のうち公共施設整備のための基金を積み立てていながら、

その寄附金をお礼の品の費用などに充てていたことが発覚し、

こちらも法律に抵触する疑いがあるようです。

ルールが未完成だった印象の否めないふるさと納税ですが、

今年新たなルールを作成したことにより、

そのほころびが目に見えるようになった感があります。

目的税としての寄附の役目

1031日、沖縄のシンボルである那覇の首里城が火災により全焼、

市がこれを再建するための寄附をクラウドファンディングで募ったところ、

3日目にして寄附額が1億円を突破しました。

この寄附に関しては、お礼の品はもらえないものの、

税の控除はふるさと納税扱いとなります。

首里城への寄附は本来自分の住んでいる自治体への税の一部を、

納税者の意思によって目的税化できるという認知が進んでいる証左でしょう。

功罪様々な事象が起きた今年のふるさと納税ですが、

自治体間の不平等や取り決めに関する不透明さを排して、

皆さんが安心して行えるものにして欲しいですね。

AMFニュース [2019年11月26日号]

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義援金の控除と見舞金の損金算入
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義援金はふるさと納税扱い

今年も災害が多い年となってしまいました。

被害に遭われた方へ、心よりお見舞い申し上げます。

被災地へ寄附された方も多くいらっしゃると思いますが、

寄附した全額が地方公共団体へ拠出するものについては、

個人の所得や控除によって決まる上限金額以内の寄附であれば2,000円の負担で済む

「ふるさと納税」扱いとなります。

 

寄附先でワンストップの可否が決まる

個人が地方公共団体の災害対策本部や役所等に直接寄附をした場合、

確定申告を用いない、寄附先が5自治体以内である場合に利用できる

「ワンストップ特例制度」が利用可能です。

日本赤十字社等が専用口座を設けて、義援金を募集して、

最終的に全額が地方公共団体に拠出されるものも、

ふるさと納税扱いとはなるものの、ワンストップ特例制度は利用できないので、

控除を受けたい場合は、確定申告をする必要があります。

なお、ふるさと納税扱いになる寄附に関しては、法人の場合は

「国等に対する寄附金及び指定寄附金」という扱いになるため、

全額損金算入となります。


被災した取引先に対する見舞金は?

取引先が被災し、お見舞いのお金を出した場合は、

被災前の取引関係の維持・回復を目的とするため、

取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する際には、

交際費等には該当せず、損金の額に算入する、となっています。

また、見舞金だけではなく、自社の製品等の無償交換や補填、

売掛金等債権の全部又は一部の免除をしたことによる損失も、

交際費等には該当しません。

リース等の契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び

災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、

同様の措置となります。

寄附等を受けた取引先では、受領した災害見舞金及び

事業用資産の価額に相当する金額を益金の額に算入することに留意してください。

AMFニュース [2019年11月19日号]

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  源泉徴収票の
  社会保険料「等」の金額

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今年も年末調整の時期が近づいてきました

本年も年末調整を行う時期が近づいてきました。

年末調整は、給与を受ける人それぞれについて、

原則毎月の給与や賞与などの支払の際に源泉徴収した税額と、

その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、

その過不足を精算する手続きです。

去年、年末調整の手続きに際して保険料控除申告書と配偶者控除申告書が

分かれて2枚になるという転換を迎えましたが、

今年は特に改正はなく、去年同様の処理をすれば問題ありません。

しかし、調整後に源泉徴収票を配る際に、従業員の皆さんから

「源泉徴収票の社会保険料等の金額の欄に『内』と書かれたものは何ですか?」

と質問を受ける事が増えているようです。


「内」の正体は……

源泉徴収票の社会保険料等の欄の中の「内」は

「小規模企業共済等掛金控除」の金額を示しています。

そして、大きい数字は「社会保険料控除額」と

「小規模企業共済等掛金控除額」の合算です。

控除の内容は、

<社会保険料控除の対象>

1:健康保険、国民年金、厚生年金等の保険料で被保険者として負担するもの

2:国民健康保険の保険料又は国民健康保険税

3:高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料等

<小規模企業共済等掛金控除の対象>

1:小規模企業共済法の規定によって

独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金

(ただし、旧第二種共済契約の掛金はこの控除ではなく

生命保険料控除の対象となります)

2:確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金

3:地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金

と、なっています。

加入者増加で質問増加

近年、企業型確定拠出年金のマッチング拠出や個人型確定拠出年金(iDeCo)の流行で、

社会保険料等の金額の「内」が使われる機会が増えてきました。

その影響で、質問も多くなっているのでしょう。

経理担当者の方は、間違えずに

「内は小規模、大きい方は社保との合算!」と答えてくださいね。

AMFニュース [2019年11月12日号]

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 働く高齢者の年金増額か?
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在職老齢年金の見直し案

最近のニュースで働く高齢者の年金を減額する

在職老齢年金制度の見直しが行われていることが発表されていました。

現在、在職老齢年金は65歳以上の場合

年金と賃金を合わせた金額が月収47万円を超えると年金が減額されます。

これを62万円程度に引き上げ、年金減額、停止の対象者を減らす方向です。

(※62万円から51万円に引き上げ幅を縮小したとのことです)

60歳から64歳の人は月28万円を超えると減額されることになっています。

これも基準を引き上げるか、60代前半の受給開始がなくなる

男性2025年、女性2030年に自動的に終了するまで

現行のままでいくという案もあります。


70歳まで働くことを前提に

年金財政の危機を言いながらなぜ年金増額を言うのでしょうか?

それは働くと年金が減る仕組みが高齢者の就労を抑える可能性があること。

厚労省の調査では「年金が減らないように就業時間を調整する」方が

65歳から69歳でも4割近くいたことです。

政府は70歳までの就労機会の確保を企業の努力義務とする方針を立てており

長寿社会に備えようと考えています。

保険料を納める人を増やしたい、年金受給開始を75歳まで先送りできるようにしたい、

基礎年金の支払期間を40年から45年にしたいという考えがあります。

高齢で働く人が増えれば年金や医療の保険料を納める

社会保障の担い手も増えることになります。

世代間バランスも課題

一方で制度の廃止や縮小には反対意見もあります。

年金財源の厳しさが増す中で給付を増やすことへの疑問や、

企業が高齢雇用者の給与を決める際

その人の年金受給額を勘案して賃金を決める慣行が一般的であり

裁判でも年金をもらいながらの働きは現役時より減額されることに

一定の合理性があるという考え方をしています。

年金を上げると会社は給与を下げるかもしれません。

65歳以上で厚生年金の支給が停止されている人は現在36万人、受給者の1.4%です。

このような高齢者は収入面では恵まれた方といえるでしょう。

在職老齢年金の財源もさることながら、

現役世代の将来の給付水準が下がってしまう懸念もあります。

どこまで就労促進が実現するのか今後の動向が気になります。

AMFニュース [2019年11月5日号]

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ふるさと納税の申告のおさらい
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年末はふるさと納税の時期です

個人の所得や控除によって決まる控除上限金額以内の寄附であれば、

2,000円の自己負担でお礼の品がもらえるふるさと納税。

すっかり世の中に浸透し、平成30年度(2018.42019.3)の寄附総額は

5,000億円を突破、寄附数は2,300万件を超えており、

地方のグルメや特産品のお取り寄せ方法の1つとしても活用されています。

「今年のふるさと納税の上限は今年の1月~12月の所得や控除で決まる」

という前提があるので、事業所得や不動産所得がある方、

給与所得のみだが決算賞与等の変動要素がある方、

源泉徴収票がもらえるのを待ってからやる方等で、

ふるさと納税は年末にピークを迎えます。

ただでさえ慌ただしい年末にふるさと納税のことで慌てないように、

申告方法をおさらいしましょう。


寄附申告の方法は2種類

5か所以内の自治体への寄附かつ確定申告をしない方に限り、

ワンストップ特例申請が利用できます。

この2015年から始まった特例によって、

サラリーマンの寄附のみの申告が簡単になりました。

1枚の申請書に必要事項を記入して、身分証のコピーを添えて郵送します。

期限は翌年110日までに寄附先の自治体へ必着となっていますから、

年内に手続きが必要です。

ただ、同時期に行われた改正により、

2,000円の自己負担で済む控除上限金額は従来の約2倍になりました。

「欲しいものが多くて、寄附先が5か所を超えてしまいそう」とか、

「医薬品をある程度買っているので

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)を受けたい」とか、

110日までに特例申請書が出せそうもない」といった場合は、

去年から可能となった「ID・パスワード方式の電子申告」を

利用すると良いかもしれません。

一度税務署に行けば貰える

申告用のID・パスワードは、

税務署等で職員と対面による本人確認を行えばもらえます。

このID・パスワードがあれば、従来の電子申告のように、

カードリーダーやマイナンバーカードがなくても電子申告が可能です。

国税庁が毎年開設するWebサイト「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、

そのまま電子申告で手続きができるので、複数自治体に寄附する場合は、

ワンストップ特例申請を出すよりも手間がないかもしれません。

AMFニュース [2019年10月29日号]

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   税務調査と受忍義務
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査察と調査は違います

通常の税務調査は、
所得税や法人税などの申告が

正しく行われているか否かを確認するための任意調査です。

マルサが脱税犯検挙のために裁判所から許可状を取って行う

強制調査(査察)とは異なります。


任意調査とは

任意調査は、調査について納税者の事前の承諾が必要であり、

調査日程も納税者の都合を尊重し、調査は納税者の協力を得て行われます。

(しかし現金商売の場合は現況の把握のため抜き打ち調査もあります。

また国税局の資料調査課の調査も任意ではありますが突然来ます)

任意調査は拒否できるか?

任意調査だからといって納税者の勝手な理由で税務調査を断わることはできません。

納税者は法律上、税務調査を受ける義務を負い、

正当な理由もなく調査に応じないときは

一定の罰則(1年以下の懲役、または20万円以内の罰金)が適用されます。

これを受忍義務と言います。

税務調査の制約

任意調査ですから、税務調査を行う場合には、
時間、場所、範囲、程度について、

調査を受ける側の営業活動をむやみに止めさせたり、

私生活の平穏を乱したりするおそれがあってはならないとの制約もあります。

ですから、取引先の確認を必要とする事態になった時は、

商売に影響する可能性がありますので、納税者の了解なしには行えません。


税務調査を拒否できる場合

税務職員が早朝や夜遅くまで及ぶ調査を求めた場合や、

プライベートな場所に立ち入りを求めた場合は拒否できます。

また納税者の同意なしで金庫や書庫、引き出しなどを開き

現金や預金通帳、個人的な書簡などの検査を行う行為に対しては

抗議して止めさせることができます。

なかには威圧的な言動や裁量権を超えた行為をする者もおりますが、

違法ですから明確に拒絶の意思表示をすることが大切です。

それでも止めない場合は、あまり知られておりませんが、

請願法に則り請願書を提出し、懲戒処分を要求できます。

AMFニュース [2019年10月22日号]

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NISAiDeCoどちらがお得?
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NISA(少額投資非課税制度)

NISAとは、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象となる

個人投資家のための税制優遇制度です。

以下の3種類があります。

(1)(一般の)NISA

毎年120万円の非課税投資枠が設定されます。

非課税期間は最長5年間です。

期間終了後、新たな非課税投資枠への移管

(ロールオーバー)による継続保有も可能です。

(2)ジュニアNISA

未成年者を対象とした少額投資非課税制度です。

未成年者を対象に、年間80万円分の非課税投資枠が設定されます。

原則として口座開設者が18歳になるまでは投資金の引き出しができません。

(3)つみたてNISA

少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。

非課税期間は20年間と長く、購入できる金額は年間40万円までです。

購入方法は累積投資契約に基づく買付けに限られているほか、

購入可能な商品も、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られています。

投資金の途中引き出しはいつでも可能です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、

確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。

掛金を払う時は掛金が小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除され、

運用益が生じた時も非課税で再投資できます。

そして給付を受け取る時も、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、

一時金の場合は「退職所得控除」があるという税制上の優遇措置が講じられています。

ただし、「iDeCo」の加入資格は60歳未満の公的年金加入者に限られます。

また、掛け金は、原則60歳になるまで途中引き出しができません。

この点はデメリットとなりますので、注意が必要です。


どちらの制度がお得?

この2つの制度は、どちらか一方を選択しなければならないものではなく、

両方使うこともできます。

それぞれのメリット・デメリットをよく把握した上で活用しましょう。

AMFニュース [2019年10月15日号]

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  住宅被災支援と罹災証明
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風水害に対しての住宅への被害

今年も台風や豪雨による被害が全国で発生しました。

被害に遭われた方に、心よりお見舞い申し上げます。

災害に遭われた方には、公的に多種多様な支援策が備えられていますが、

今回は壊れた住宅に関しての支援を紹介します。

被災者生活再建支援制度

被害の大きい自治体にお住まいの方で、住宅が全壊又は大規模半壊した場合、

半壊程度ではあるが敷地に問題が発生したりした場合は、

「被災者生活再建支援金」が支給されます。

全壊:100万円 

大規模半壊:50万円 

解体等が必要:100万円

また、住宅の再建方法(建設・補修・賃借)に応じて、

50200万円の加算支給が行われます。

災害復興住宅融資

この融資は独立行政法人住宅金融支援機構の定める基準を満たす住宅であれば、

低金利かつ融資の日から3年間の元金据置期間が設定できる融資です。

住宅建設の場合の限度額は1,650万円となりますが、

金利が少し高くなる特例加算額として510万円、土地取得資金として970万円、

整地資金として440万円までの限度が別に設定してあります。

また、新築や中古住宅の購入等の場合でも、

床面積等の適用条件は異なりますが、この融資制度が利用できます。

災害時の罹災証明問題

2つの制度をご紹介しましたが、この制度を利用できるのは

「罹災証明書で全壊・大規模半壊・半壊となった住宅」が対象となります。

家の被害状況を公的に証明する罹災証明書は

自治体が家屋調査をして発行するものですから、

今年千葉県に大きな被害をもたらした台風15号等、

被害数が多い罹災証明書の発行には、長い時間がかかるケースも出てきそうです。

また、この台風15号による千葉県の住宅被害については、

17,000棟以上が建物の20%~40%が壊れた「半壊」にまで至らない

「一部損壊」の被害となり、これについては国や自治体が

屋根の修理費等の補助を別途設けることになりそうです。

AMFニュース [2019年10月8日号]

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時給1,000円時代に突入
今年も10月に最低賃金が改定されます

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東京・神奈川は時給1,000円超に

毎年10月は、地域(都道府県)別最低賃金の改定月です。

今回は、令和初の改定となりますが、

東京都(1,013円)と神奈川県(1,011円)の最低賃金は、

はじめて時給1,000円台に突入します。

一方、前回単独最下位だった鹿児島県は今回他県より改定幅を大きくしたため、

佐賀県や長崎県などと同額の790円となり、単独最下位(今回15県)を脱出します。

全国平均も時給900円超に

以前から、地域別最低賃金は

全国平均(47都道府県の加重平均)1,000円を目指すと言われていましたが、

今回の改定で全国平均は901円と、はじめて900円を超えました。

近年の上昇ペースが今後も続けば、

あと45年で全国平均も1,000円台に突入することになりそうです。

採用時以外でも最低賃金の確認を

パートやアルバイトを募集する際、

最低賃金を確認して求人を出していると思いますが、

既に雇用しているパートやアルバイトの時給が

最低賃金スレスレだった場合の昇給モレや、

月給制の場合に所定労働時間から換算した時給が

最低賃金を下回っていることなどを見逃すケースがあります。

最低賃金法違反の罰則は重い

最低賃金法違反の罰則は、最低賃金を下回った場合は50万円以下の罰金、

事業場での周知が行われていない場合は30万円以下の罰金、

最低賃金違反を申告した労働者に対して解雇などの不利益な取り扱いをした場合は

6か月以下の懲役または30万円以下の罰金など、軽いものではありません。

産業別の特定最低賃金

地域別最低賃金の他、産業別の特定最低賃金も
都道府県ごとに定められており、

適用業種の特定最低賃金が地域別最低賃金を上回る場合、

特定最低賃金が適用されるので、適用業種に該当する会社は注意が必要です。

AMFニュース [2019年10月1日号]

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    軽減税率Q&A
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201910月よりスタート

軽減税率制度は、大まかに言えば「食品は8%」なのですが、

その細部に着目すると、疑問が出てくることも。

国税庁のWebサイトで、個別のQAが例示されています。

例えば「肉用牛の販売」は「その販売の時点において、

人の飲用又は食用に供されるものではないので、軽減税率の対象ではない」。

それに対して「食用の生きた魚の販売」は

「食用なので軽減税率の対象」となるそうです。

まるでなぞなぞ、軽減税率

なぞなぞのような疑問についても、QAは答えています。

「賞味期限切れの食品を廃棄するために譲渡する場合」については

「期限切れで廃棄するための食用に供さないので、

軽減税率対象ではない」としています。

また、酒類については軽減税率の対象外です。

酒類は「酒税法」に規定するものですから

その範囲である「みりん」は軽減税率の対象にはなりません。

しかしながらアルコール分が一度未満の「みりん風調味料」は軽減税率の適用対象です。

水に関しても「飲用に供されるもの」ならば軽減税率適用、

風呂や洗濯といった生活用水として供給されるものが一緒に提供されていると、

軽減税率の対象とはなりません。

また、ウォーターサーバーのレンタルと水を併せて販売している場合は

「レンタル料」は軽減税率対象外で、「水の販売」は軽減税率の対象です。

その他、「金箔」「重曹」「炭酸ガス」「カタログギフト」等、

判定が微妙な例示がされていますが、

見抜くコツとしては「食用なのか」と「役務の提供ではないか」を注視すると

分かり良いかもしれません。

分からない場合は詳しい人に聞くのが一番

軽減税率かどうか、判断に困る場合は専門家に聞くのが一番です。

また、国税庁は「消費税軽減税率電話相談センター」を開設しています。

軽減税率制度の対象品目の判定や、帳簿・請求書の書き方など、

一般的な質問を受け付けてくれます。

*消費税軽減税率電話相談センター*
平日(20199月・10月は土曜日も受け付け)の9時から17
TEL0120-205-553

AMFニュース [2019年9月24日号]

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 多様化する国税の納付手続 
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最近では国税の納付手続の選択肢が増え、
納税者の利便性が向上してきました。

自分に合った方法を知っておきましょう。


窓口納付

金融機関又は所轄の税務署の窓口で、

現金に納付書を添えて国税を納付する手続です。

振替納税

納税者自身名義の預貯金口座からの口座引落しにより、国税を納付する手続です。

利用に当たっては、

事前に税務署及び希望する預貯金口座の金融機関へ

専用の依頼書を提出する必要があります。

申告所得税及び復興特別所得税の確定申告分(第三期分)、

消費税及び地方消費税の中間・確定申告分については、

法定納期限よりやや遅れて引落しされますので、資金繰りに優しい納付方法です。

コンビニ納付(バーコード)

税務署から送付又は交付されたコンビニ納付専用のバーコード付納付書を使用し、

コンビニエンスストアへ納付を委託することにより国税を納付する手続です。

コンビニ納付(QRコード)

自宅のパソコン等で作成したQRコードを使用し、

コンビニエンスストアへ納付を委託することにより国税を納付する手続です。

現在は「Loppi」又は「Famiポート」端末設置店舗でのみ利用可能です。

クレジットカード納付

インターネット上でのクレジットカード支払の機能を利用して、

国税を納付する手続です。

ただし、納付税額に応じた決済手数料がかかりますので注意が必要です。

インターネットバンキング等

インターネットバンキングやATM等により国税を電子納付する手続です。

利用に当たっては、事前に税務署へe-Taxの利用開始手続を行う必要があります。

ダイレクト納付

e-Taxにより申告書等を提出した後、納税者自身名義の預貯金口座から、

即時又は指定した期日に、口座引落しにより国税を電子納付する手続です。

利用に当たっては、事前に税務署へe-Taxの利用開始手続を行った上、

専用の届出書を提出する必要があります。

AMFニュース [2019年9月17日号]

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  住民票等への旧姓併記
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11月から住民票等への旧姓併記が可能に

旧姓で業務をしている方々には、少し嬉しいニュースかもしれません。

住民票やマイナンバーカード等へ旧姓(旧氏)を併記できるようにするための

「住民基本台帳法施行令等の一部を改正する政令」が平成31417日に公布され、

今年115日から施行されます。

登記はできていたけれど

女性の社会進出等に伴い、旧姓使用については

これまでも様々な場所で議論がされてきました。

商業登記の場面では、一足早い平成27年から、

商業登記簿に役員の旧姓(婚姻前の氏)を

併記することができるようになっています。

しかしながら、たとえ商業登記簿に旧姓が併記されていても、

銀行口座の開設時などに求められる、

運転免許証やマイナンバーカードをはじめとした「本人確認資料」には

旧姓が記載されていません。

金融庁では全国の主要銀行などに対し、

旧姓での口座開設について協力要請を出しているようですが、

本人確認資料に記載された新姓との整合性が取れないことなどを理由に、

旧姓での口座開設を行ってくれるところはまだまだ少ないのが現状です。

銀行口座以外にも、携帯電話の契約やクレジットカードの申し込み等、

本人確認資料を提示しなければならない場面は多く、

登記はできても結局新姓の使用を余儀なくされている方々は少なくありません。


旧姓を併記するには

住民票に旧姓を併記するためには、請求手続が必要です。

旧姓が記載された戸籍謄本等を用意し、住所地の市区町村に対して請求を行います。

住民票に旧姓が併記されると、

マイナンバーカードや公的個人認証サービスの署名用電子証明書にも

旧姓が併記されることになります。

旧姓が各種証明に利用できるようになるため、

たとえば旧姓で契約した保険や携帯電話、銀行口座等を旧姓のまま

引き続き使うことも期待できます。

今回の政令施行により、旧姓の利用機会が一気に拡大するかもしれませんね。

AMFニュース [2019年9月10日号]

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戸籍法改正と相続手続きの円滑化
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戸籍法の一部改正が成立、公布へ

令和元年524日に戸籍法の一部を改正する法律が成立し、

同月31日に公布されました。

国民の利便性向上と行政の運営効率化を目的とした今回の改正では、

どのようなことが可能になるのでしょうか。

戸籍法と戸籍事務の電子化

私たちの親族的身分関係を証明する「戸籍」、

この戸籍の作成や手続き等について定めた法律が「戸籍法」です。

平成6年の改正によりコンピュータを使用して戸籍事務を取り扱うこととなり、

現在では全国1896市区町村のうち1893市区町村で

このコンピュータ・システムが導入されていますが、

各市区町村のシステムがネットワーク化されていないため、

私たちが戸籍を請求するためには

本籍地の市区町村役場で手続きしなければなりません。

たとえば相続手続きで、自分と両親や叔父叔母等親族との身分関係を説明する場合、

その親族の各本籍地へ戸籍を請求することになります。

本籍地と住所地は別の概念であるため、

住所地から遠く離れた場所であることもしばしば。

遠隔地であれば郵送で請求することになりますが、

郵便の往復期間もあり1通請求するのに数週間を要することもあります。

相続手続きの際には、何人もの戸籍を請求しなければなりませんので、

とても時間がかかります。


本籍地以外でも戸籍の取得が可能に

こうした課題を受け、今回の改正では

法務省が一括する戸籍データの管理システムを活用することで、

本籍地以外の市区町村役場での戸籍請求が可能になります。

また、電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)の発行も

可能になる予定です。

このシステムの具体的な運用開始時期については、

公布の日から5年と想定されています。

今回の改正により、これまで煩雑で時間のかかっていた戸籍収集の手間が

大幅に削減され、相続手続き全体の円滑化にも期待が持てそうです。

AMFニュース [2019年9月3日号]

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  ふるさと納税と
  国地方係争処理委員会

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ふるさと納税は20196月に税制改正施行

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、

自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。

2018年度は全体で2,322万件、総額5,127億円の寄附がありました。

今年6月にはふるさと納税の改正が施行され、

総務大臣による指定を受けていない自治体への寄附は、

ふるさと納税の対象外となりましたが、

この指定外とされた自治体である泉佐野市が、総務省に抗議をしています。

国地方係争処理委員会への意見陳述

「6月の改正後からはふるさと納税のお礼の品は用意せず、

寄附のみの受付をする」と回答していた市を、

過去の返礼品割合(寄附額と返礼品の価値の比率)で

指定外にするのは法の遡及にあたるとして、

泉佐野市は「国地方係争処理委員会」へ、審査申出を行いました。

この国地方係争処理委員会は、国の関与のうちに不服のある

地方公共団体の長等からの審査の申出に基づいて審査を行い、

国の関与が違法等であると認めた場合には、

国の行政庁に対して必要な措置を行う旨の勧告等を行う機関です。

税の分野で言えば国税不服審判所と似たような立ち位置でしょうか。


結論は9月上旬予定

泉佐野市の「法の遡及にあたる」との言い分を

総務省は「5月以前の寄附はふるさと納税扱いするものだし、遡及ではない」と反論し、

過去の状況を鑑みた上での指定除外については、

「ふるさと納税指定制度に係る地方税法改正法が当然に想定し、

許容するものだ」と主張しています。

また、この係争については

委員会の規則にない「再答弁書」を総務省が出したことに対して、

泉佐野市が機会の平等に反して公正公平さを欠くと批判し、

再反論書の提出で機会の均等を確保するように求め、委員会側もそれを認めたようです。

ちなみに再答弁書の提出は、規則にはありませんが禁止もされていないようです。

委員会は双方からの意見聴取も踏まえ、

9月上旬までに結論を出す方針ですが、ここまでの泥仕合を見ると、

ふるさと納税制度にはまだまだ整備が必要とも感じられます。

AMFニュース [2019年8月27日号]

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同一労働同一賃金の動向
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雇用対策法から労働施策総合推進法へ変更

4月から働き方改革法が実施され、

年次有給休暇や時間外労働時間の上限規制の問題の次にやってくるのが

同一労働同一賃金です。

正規か非正規かという雇用形態に関わらない均等・均衡待遇を確保し

不合理な待遇差の解消を目指そうとするものです。

昨年6月、最高裁で同一労働同一賃金を争点とした2つの重要裁判の判決がありました。

1.ハマキョウレックス事件

・正規社員と非正規社員の間の手当の不支給等の差別訴訟

・手当や賞与等それぞれの趣旨目的に基づく不合理性の検証が求められた

2.長澤運輸事件

・定年再雇用者の賃金減額の差別訴訟

・定年後の雇用に一定の年収減は容認。ただし自由に年収を下げられる訳ではない

 

時流は差異縮小の方向へ

今年になってからも重要な判決が次々と高裁で出され、

5年超の勤続者に対する差異が問題とされるケースが目立っています。

一方「パート・有期法」においても短時間労働者や、有期雇用者から

待遇差に対する説明を求められた時には事業主は説明をしなくてはなりません。

その待遇の性質・目的を分析し、待遇相違の説明が出来ること、

つまり同一労働同一賃金の本命は

人事制度整備の必要性であることが示されたと言えるでしょう。

これから企業としての対策は

では対応はどのように進めるのがよいでしょうか?

・現状で不合理性があるか否かの判断 

業務内容、責任の度合い、人事評価制度、職責上の責任

人材活用の仕組みの違い、配置転換など

労組、従業員との交渉

・福利厚生や諸手当等不合理か差異の検証

・基本給、賞与、退職金、扶養手当は最高裁の判断待ち

・賞与については正規に出しているならゼロは認められない可能性あり

・賞与、退職金共に業績連動、評価反映、ポイント制等一律でない支給方法の検討

5年を超える長期勤続の非正規従業員についての待遇差は要注意

このようなことを考慮しておけば不合理とはされにくいでしょう。

今から準備しておきましょう。

AMFニュース [2019年8月20日号]

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未払い請求が今までの2.5倍の可能性
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未払い残業には今以上の注意が必要に

厚生労働省の有識者検討会は6月に、

労働者が企業に残業代などの未払い賃金を請求できる期限について、

労働基準法で定めていた「2年」を見直し、

期限を延長する方向で議論をまとめました。

2020年施行の改正民法で、債権消滅時効が原則5年となったことを踏まえたものです。

具体的な延長期間は、今秋にも労働政策審議会で議論されます。

もし未払い残業代が発生していたら法改正後はどのぐらいの金額になるのでしょうか。

積みあがるとこれだけの金額に

例えば月給25万円の社員の方で
残業が11.5時間、月22日の勤務とします。

250,000÷173.8時間(1か月の基本労働時間)=時給1,438

1,438×1.25(残業割増)=残業時給1,798

1,798×1.5時間=2,697円(1日に発生する残業代)

2,697×22日=59,334円(1か月に発生する残業代)

59,334×24月(時効の2年間)=1,424,016

2年間で積みあがる金額は143万円ほどになります。

ここまでは2年間の残業代の金額となりますが、

ペナルティの遅延損害金や付加金が課せられる場合があり、

加味すると11.5時間の残業の人でも2年間で約300万円近い金額が積みあがります。

時効が5年になったら300万円の2.5倍、

750万円まで金額が膨れ上がることも考えられます。


残業代の計算に必要なこと

タイムカード、就業規則、雇用契約書、給与明細、

シフト表、業務日報、パソコンのログイン記録、メールの送受信履歴などが

残業の計算の際には必要になります。

世間相場からみて十分な金額を払っていても、

明確に賃金を区分しておかないと残業代が支払われていないとされるときがあります。

また上記のような証拠がなければ反論することが難しくなります。

そういうことがないようにするためにも働いている方と契約をあいまいにしないで

明確に就業規則や雇用契約書で決めて労働時間の把握をしておく必要があります。

2020年を迎える前にしっかり対策をして、

労使が契約内容をはっきりさせることが必要でしょう。

AMFニュース [2019年8月13日号]

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増税間近!早めの対応を!
キャッシュレス・消費者還元事業制度

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本年10月1日に予定されている消費税率引き上げに伴い、

経済産業省は「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)」を

推進しています。

この事業を利用したい中小・小規模事業者は、

決済事業者を通じて加盟店登録を行う必要があります。

いよいよ引き上げも間近に迫ってきましたので、

登録がお済みでない方は、ご契約の決済事業者に手続を確認しましょう。

ポイント還元事業制度の概要

(1)消費者還元対象期間

201910月から2020年6月までの9か月間となっています。

(2)対象決済手段

クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなど、

電子的に繰り返し利用できる決済手段が対象となります。

(3)補助対象となる中小・小規模事業者

原則として、中小企業基本法に定義される

「中小・小規模事業者」がこの制度の対象です。

ただし、例外として、登録申請の時点で、

申告済みの直近過去3年分の各年又は

各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小・小規模事業者等は

対象外とされていますので、注意が必要です。

ポイント還元事業制度で受けられる補助

この事業では次のような補助を受けることができます

(フランチャイズチェーン等は(1)のみ)。

(1)消費者へのポイント還元

消費者がキャッシュレス決済手段を用いて本制度の対象として登録された

中小・小規模事業者の店舗等で支払いを行った場合、

個別店舗については購入金額の5%、

フランチャイズチェーン等については2%がその消費者に還元されます。

(2)決済端末等の導入の補助

中小・小規模事業者がキャッシュレス決済を導入する際、

端末導入費用の3分の1を決済事業者が負担した場合には、

残りの3分の2を国が補助し、中小企業の負担がゼロになる形で導入支援が行われます。

(3)決済手数料の補助

中小・小規模事業者が決済事業者に支払う加盟店手数料は、

3.25%以下への引き下げを条件とし、

更に国がその3分の1を期間中補助することとなっています。

AMFニュース [2019年8月6日号]

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 消費税増税対策
 プレミアム付商品券とは?

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バラマキと揶揄されても再登場

今年101日から、2020331日までの半年間の有効期間で、

国主導のプレミアム付商品券が使用可能となります。

発行は各地方自治体となっており、

使える場所はその地方自治体のエリア内の小売店となります。

このプレミアム付商品券は、過去を遡れば「地域振興券」として

19994月から9月に流通したものがありました。

景気浮揚策として採用されましたが、

「あからさまなバラマキである」と、政権与党を批判する論調が非常に多く、

未だその印象は払拭できていませんが、

消費税改正に併せて

「消費税増税に対しての低所得者や子育て世代への影響緩和」を目的として、

再度登場の機会を得たようです。

商品券に付与されるプレミアム分は政府が支出する税金ですから、

商品券を使った人は実質的な減税となる、といった具合です。


今回の適用者とお得感

今回、プレミアム付商品券が購入可能な対象者は

住民税(均等割)非課税世帯

②2019930日の時点で0歳~3歳半の子供が居る世帯

となります。

2019年度住民税非課税の方には申請書が郵送され、

必要事項を記入して返送すれば、審査の後購入引換券が届くのでそれを利用します。

子育て世帯には直接購入引換券が届くようです。

購入に関しては、5,000円分が4,000円で買える上で、

最大25,000円分まで購入可能

(子育て世帯は子供1人につき25,000円まで)なので、

5,000円分がお得なプレミアム部分となります。

なお、1枚あたりの額面は500円、おつりが出ないので気を付けましょう。


消費税増税への対策は十分ですか?

国はプレミアム付商品券・食料品への軽減税率・

キャッシュレス決済へのポイント補助・住宅ローン周辺の改正等、

消費税増税に対しての買い控え等、景気の冷え込み対策を数多く準備しています。

この10月からの景気の動向にも注視しつつ、自分がどういう施策に該当するのか、

どのような手続きを取ればいいか等、今のうちに確認をしておきましょう。

AMFニュース [2019年7月30日号]

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  中途採用者の定着率
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採用後の定着率は?

人手不足の続く中、求人募集しても

「良い人からの応募がない」「そもそも応募が全然来ない」

という企業も多いようです。

一方でたとえ良い人材を採用できたとしても

離職率が高いとなかなか人手不足の問題は解決しません。

中途採用者を採用できても定着してもらうまでには

一定の時間や労力がかかります。

定着率は気になるところですが

それを高めて行くにはどのような対策があるでしょうか。

エン・ジャパンの調査による直近3年間で中途入社(正社員)がいる企業を対象にした

「中途入社者の定着」についてのアンケート調査(回答693社)では、

4割が「中途入社者の定着率が低い」と回答しているそうです。

業種別にみると「流通・小売関連」51%、

企業規模では「1000名以上」(48)最も高い割合です。

また、中途入社者が退職に繋がりやすい期間を聞くと

37%が「1か月未満~6か月」と答えているそうです。

3社に1社は入社者が早期の退職者になっていることが分かります。

 

定着率向上のための取り組み

同調査で企業が中途入社者の定着率の向上のために行っていることを聞くと

「定期で行う上司との面談」(53)

「歓迎会での交流」(50%)との回答が多くなっています。

実際の取組による定着率に寄与した度合いが良かったものとしては

「定期で行う人事との面談」、「定期で行う上司との面談」が挙がっています。

また、実際に行っている企業は1割程度ですが

「メンター制度によるフォロー」が挙がっています。

一方で「中途入社者コミュニティへの参加」「社内見学」は

むしろマイナスの影響があるとしています。

 

効果のある取組を取り入れる

人手不足の中、採用後の検討もなしに採用しても

離職率という観点からはリスクがあります。

また、会社側が良かれと思って取り組んでいた

定着率向上のための取組も実際に効果がないことや、

むしろマイナスに働いている例もあります。

給与や休みの増加だけでは不十分な時もあります。

中小企業は上司や経営者との距離が近いので、

例えば社員からの意見に耳を傾け、

会社の改革を積極的に取り入れる等、

ボトムアップ型で効果のある取組を検討しながら進めることが大事でしょう。

AMFニュース [2019年7月23日号]

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 軽減税率対策補助金と
 税制特例の適用の仕方

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軽減税率対策補助金

消費税率が10%になるに伴い導入される

軽減税率制度(複数税率)への対応が必要となる

中小企業・小規模事業者等を対象に、

複数税率対応レジの導入や、

受発注システムの改修等を行う際(リースによる導入も補助対象)に、

次のような「軽減税率対策補助金」の制度が用意されています。

A型:複数税率対応レジの導入等支援

軽減税率対象商品を将来にわたり継続的に販売するために

複数税率対応レジ又は区分記載請求書等保存方式に対応した

請求書等を発行する券売機を導入又は改修する必要のある事業者が使える補助金です。

B型:受発注システムの改修等支援

軽減税率対象商品を将来にわたり継続的に取扱うために、

電子的受発注システムの改修・入替を行う必要がある事業者が使える補助金です。

C型:請求書管理システムの改修等支援

軽減税率に対応するために必要となる区分記載請求書等保存方式に対応した

請求書管理システムの改修・導入を行う必要がある事業者が使える補助金です。

趣旨と注意事項

いずれの類型においても、

レジ・券売機、受発注システム、請求書管理システムを使用して

日頃から軽減税率対象商品を販売・取引しており、

将来にわたり継続的に販売や請求書の発行を行うために

これらを導入又は改修する事業者を支援するものです。

2019年9月30日までに導入又は改修等し、

支払いが完了したものが支援対象となりますが、

申請受付期限もあり、事前申請のもの事後申請のもの等の違いもあるので

注意して下さい。

国庫補助金・圧縮記帳・少額資産

上記の補助金は、国庫補助金等に該当し、

資産の取得になる場合に対応する時は圧縮記帳が出来ます。

また、損金算入による圧縮後の資産の価額が少額減価償却資産に該当するときには、

全額を損金経理することも出来ます。

圧縮記帳制度を適用した場合の減価償却資産の取得価額は、

圧縮記帳後の金額とされており、

少額減価償却資産の判定の価額もそれを承けているからです。

なお、この圧縮記帳は法人税法本法の制度なので、

いわゆる措置法特例の重複適用排除の対象ではありません。

AMFニュース [2019年7月16日号]

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選択制確定拠出年金のメリット
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昨今年金で様々なニュースが流れています。

社員の老後のための選択制確定拠出年金(選択制DC)についてご紹介します。

確定拠出年金とは

確定拠出年金は2001年に始まった制度で、

少子高齢化等の社会の変化に対応するため

個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己責任で運用し、

原則60歳以降においてその結果で給付を受けられる制度です。

国民年金、厚生年金のさらに上の第三階に位置づけられる年金です。

確定拠出年金は個人型(iDeCo)と企業型に分かれ

選択制DCは企業型に含まれます。

選択制確定拠出年金の良い点

選択制DCの特徴は制度を導入するのは会社が行いますが、

選択制の名前の通り利用するか否かは社員が決めます。

利用する場合、社員は自分の給与から

自身で設定した金額を選択制DCへ回して運用することになります。

選択制DCのメリットは原則60歳まで引き出すことが出来ないため

老後の生活資金形成が確実にできます。

また選択制DCへ拠出した分、

給与からの社保料や所得税などの控除額が減額されます。

例えば給与額が31万円で毎月積立2万円と選択制DC28千円を比較すると、

①310,000
−65,000(社保料、所得税)
−20,000
(積立)
225,000

②310,000
−28,000(選択制DC)
−57,000
(社保料、所得税)
225,000

と積立額は8千円の違いがありますが、月の手取金額はほぼ同じです。

掛金に対して老後資金を多く積み立てられるといえます。

選択制確定拠出年金のデメリット

運用で掛金が減額したときなどは責任を従業員本人が負い

年金が減ることもありますが、

定期預金等の元本が減らない使い方もあります。

原則として60歳まで引き出せません。

公的年金、失業保険、傷病手当金、育児休業給付、障害補償年金等の

公的に受けられる補償額が減少します。

社保料や所得税の減少が削減効果は大きいですが、

障害補償年金対象者になったときは

受け取れる金額が減少してしまうこともあるでしょう。

選択制DCのメリットは社員の老後の生活資金形成の選択肢を増やせるという点です。

会社は運用コストが必要になりますが、

安心して働ける会社づくりの一助になるでしょう。

AMFニュース [2019年7月9日号]

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 老後2千万円必要の波紋
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95歳まで生きると2000万円必要?

金融庁が発表した報告書による

「人生100年時代になった現代では老後の生活費が2千万円不足する」

との記述が波紋を呼んでいます。

政府は「年金制度の不安をあおり政策スタンスとも異なる」として

報告書を受け取らないことにしました。

報告書は金融庁の有識者会議が高齢社会の資産形成を促す目的でまとめたもので、

夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯だと年金収入に頼って生活設計する場合、

95歳までの30年間で毎月約5万円の赤字が出ると試算しました。

世代間扶養の年金制度では追い付かない


元のデータは総務省で公表している家計調査報告からの数字で

高齢者の年金を中心とする収入は夫婦で21万円、

税や社会保障費等を含めた支出は26.3万円、

差し引き5万円強が不足するという計算です。

このことは以前から指摘されていたと言いますが、公に報道され波紋を呼んだようです。

少子化で今後年金額が増えるとも考えにくい中、まず知っておくことは、

報告書の数字はあくまで公的年金の平均値から算出したものであり、

2千万円というのは退職金や貯蓄等も含んだ合計だということです。

報告書には「資産寿命」と言う考え方が盛り込まれていて、

健康で長生きするのと同様に経済的に豊かな生活もできる限り長く送りたいとすれば

現役時に資産運用しながら資産を積立て、引退後に上手に取り崩しながら

生活できるように準備していこうという提言とも言えるでしょう。

現役時代から考える

今の時代は専業主婦ばかりではありませんし、

住宅ローンや教育費が50歳位で終わる目途が立てば

そのあと費用を老後資金に回すことも考えられます。

必要なのは平均値ではなく自分の家計の数字に置き換えてみることです。

「わたしとみんなの年金ポータル」等で年金の基礎知識を知って

働き方、貯め方を考えてみることもできます。

60歳の4人に1人が95歳まで生きると言われています。

少子化と長寿化が進む日本で政府は地道に持続する年金制度を構築して欲しいし、

個人も「どうせもらえない」と言うだけでなく

小額でも将来のための積み立てや運用を考える機会としたいものです。

AMFニュース [2019年7月2日号]

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  振込手数料の負担はどっち?
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集金に伺うのが売った側の責務なのか?

営業職も売るだけで終わりではありません。

代金を回収してはじめて一連の商売が一区切りとなります。

ようやく代金が振り込まれて、いざ完了と思っても、

そこで先方から振込手数料が差し引かれていたら、ガックリしますよね。

振込手数料を差し引く側の会社の主張には、

「昔から集金原則が商慣習と決まっている。満額欲しかったら集金に来い!」

といった乱暴なものもあります。

果たしてそれが正しいのでしょうか?

原則はどうなっている?

商売をするにあたり、契約書等で負担者を明示していればそれに従います。

もし、そうした取り決めがなければ、民法や商法の原則に従い、

振込手数料は振り込む側の負担となります。

商売人同士の取引に適用される商法では、

516条で、債務の履行の場所は債権者の現在の営業所であり、

「顧客のところに集金に行く」とは真逆です。

また、相手が商売人でない場合は民法が適用されますが、

ここでも484条で持参債務の原則が規定されています。

振込手数料は弁済の費用ですが、民法485条で債務者の負担とすると定められています。

よって、合意が無い限り、振込手数料は債務者負担が原則なのです。

それでも振込手数料を差し引いてくる場合

債務の送金に際し、振込手数料を差し引いてくるところは、

概して大きな会社が多いようです。

昔からの商習慣だと思い込んでいるのか、

代々先輩からそう躾けられてきたのか、

業界の慣習なのかはわかりませんが、

受取側からは、そうした態度は傲慢にしか見えません。

また、実際の銀行手数料額ではなく、

一律に864円とか87円とか差し引いてくるような会社もあるようです。

対抗策としては、契約書・請求書等で、

「振込手数料は振込人負担」と明記することです。

それでも、発注側が偉いという態度で差し引いてくるところには、

請求書額に振込手数料の金額を上乗せしましょう。

ただし、傲慢な会社はそれだけで取引を打ち切ると騒ぎ始めるかもしれませんので、

注意が必要です。

こっそり、商品代金に加算しておく作戦が、波風を立てない賢い対抗策かもしれません。

AMFニュース [2019年6月25日号]

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 もうすぐ納期特例時期、
 どっちが楽かよく考えてみよう!

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源泉所得税の納期特例の納付は年2

給与等の源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっています。

しかしながら、申請により、1月から6月分は710日、

7月から12月分は翌年120日とすることができます。

この手続きが「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」で、

給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者が申請できます。

新設会社で少人数とか、家族経営の会社等の場合には、

毎月の申告と納付の手間を割愛できるお勧めの制度という説明を受け、

適用しているのではないでしょうか。

資金繰りは大丈夫?

実際に6か月分をまとめて納付する場合、結構な一時金の出費となります。

また、普段やらない業務ですので、

ついうっかり手続きを失念してしまうこともあり得ます。

源泉所得税の申告忘れや納付の遅れにかかるペナルティは結構大きいです。

源泉所得税を納期までに納めなかったときの不納付加算税は、

延滞日数にかかわらず(すなわち一日の遅れでも)、10%のペナルティです。

一定の軽減制度もありますが、気づかぬまま経過すると10%の罰金です。

6か月分だと納付額も大きいので、その10%も結構な金額です。

さらに、納付期限の翌日から納付する日までの日数に

所定の料率を乗じた延滞税も課されます。

これらの罰金は、損金不算入(=会社の経費とならない)で

ダブルパンチの痛手となります。

自社が納期特例向きかどうかを考える

7月と1月の納期限の時期に、お金のサイクルから資金的余裕があり、

かつ、申告業務を忘れない態勢となっている場合には、

源泉税の納期特例向きと言えます。

また、年末調整で住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受ける社員がいて

年末調整還付が大きい場合も、

「源泉所得税の年末調整過納額還付請求」の手間を考えると、

納期特例向きかもしれません。

特例をやめる方法とやめずに納付する方法

この納期特例をやめる場合には、

「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合の届出」を提出します。

要件に該当している場合も、この書式しかありません。 

なお、特例を受けたままで毎月申告し納付するという選択もできます。

とはいえ、混乱をきたすので、シンプルにきっぱりと

毎月手続きに切り替えた方がよいようです。

AMFニュース [2019年6月18日号]

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  仮払金は早めに精算を!
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仮払金とは、現金や預金などによる実際の支払いを

一時的に処理するために用いられる勘定科目です。

未確定のものを一時的に計上するための仮払金が長期間精算されない場合、

給与や貸付金として認定される可能性があることから処理については留意が必要です。

渡切交際費の給与認定

交際費として一定額の金銭を役員や従業員に支給し

精算を行わない渡切交際費の仮払金は、

その支給を受けた役員や従業員の給与等に該当することとなり、

源泉徴収の対象となります。

また、受け取り側である役員や従業員にとっては、

給与所得として所得税や住民税の課税対象となるため、税負担が増えることとなります。

支給対象者が役員の場合、渡切交際費が毎月定額であれば

その金額も定期同額給与の一部として取り扱われ、損金算入が可能ですが、

不定期に渡切交際費を出す場合には、臨時的な役員報酬として、

事前確定届出給与の届出を提出していない限り、

損金不算入となりますので注意しましょう。

貸付金と判断される場合

長期間にわたり精算していない役員などへの仮払金は、

実質的に貸付金と判定され、

受取利息相当額(認定利息)を計上するよう税務署から求められることがあります。

利息相当額の計算は、

会社に金融機関等からの借入金がある場合には実際の借入金の利率とし、

その他の場合には利子税の割合の特例に規定する特例基準割合による利率によって

評価することとされています。

金融機関からの融資にも影響が

社長などへの仮払金で
常態化、長期化しているものがある場合、

税務上問題となるだけではなく、

金融機関から融資を受ける際にマイナスとなる可能性もあります。

社長や役員、その親族への仮払金は、

会社のお金を個人で使う公私混同とみなされたり、

経費計上せずに資産計上することによる赤字隠しの手口と疑われたりして、

評価を下げる要因となります。

仮払金は、税務面・信用面を考慮して早い時期に適正な勘定科目で

処理することが求められます。


AMFニュース [2019年6月11日号]

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   印紙税の基本
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コンビニでごく稀にある印紙の間違い

インターネット上で

「コンビニでの料金支払いの際に高額になったため、収入印紙代を取られた」

という話題が出ていました。

コンビニのレシートや領収書は「金銭又は有価証券の受取書」に該当するため、

5万円以上の受領金額が記載されていれば印紙税が課税されますが、

この印紙税を負担する納税義務者は「課税文章の作成者」ですから、

上記の場合は本来コンビニ側が収入印紙代を負担するものです。

ただ、収入印紙はコンビニでも売られているので、

レジの方に印紙に対する知識がなければ、「収入印紙というのはこのためにあるのか」

と誤ってしまうのも、分からなくはないですね。

印紙税について、基本的なことをおさらいしてみましょう。


印紙が必要なのは「課税文書」

印紙税が課される書類は「課税文書」と言われ、

契約書・手形・定款・預金証明・金品等の受領書など、

1号から20号に分類され、その税額も内容により各種設定されています。

また、電子メール等で課税文書に該当するものを発行した場合には

印紙税はかかりませんが「後で原本の書面を送る」等、

紙で出した場合は印紙税がかかるので注意が必要です。

課税事業者の場合で不動産譲渡等の契約書・請負に関する契約書・

金銭又は有価証券の受取書については、

消費税額を区分記載していれば印紙税は税別で計算してかまいません。

例えば金銭の受取書で税込51,840円(内消費税3,840円)と記載していれば、

本体価格は48,000円ですから、この場合印紙税はかかりません。

免税事業者の場合は税込で計算しますので、上記の場合でも印紙税がかかります。

過誤納は税務署で還付可能

誤って印紙税の課税文書に実際より大きい額の収入印紙を貼り付けたり、

印紙税の課税文章にあたらない文書に収入印紙を貼り付けたりしてしまった場合は、

税務署に「印紙税過誤納確認申請書」を出せば還付の対象となります。

収入印紙は国への手数料の納付などにも利用されていますが、

手数料の支払いのための貼り付けに関しては

還付の対象とはなりませんので注意しましょう。

また、過誤納は現金での還付となりますが、

利用していない印紙については現金に交換することはありません。

郵便局で1枚につき手数料5円で他の額面のものと交換可能です。

AMFニュース [2019年6月4日号]

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  ふるさと納税の見直し
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201961日からの制度変更

一部自治体のお礼の品は寄附に対しての割合が高すぎる、

過度な競争が起きているとして、

今年61日以降の寄附について、

大臣が指定しない自治体に対しての寄附は、

ふるさと納税における住民税の特別控除が適用されなくなります。


ふるさと納税適用外の自治体

201961日以降、ふるさと納税の対象とならない団体は、

東京都(申込書の提出が無かった)、静岡県小山町、大阪府泉佐野市、

和歌山県高野町、佐賀県みやき町の5団体です。

6月から5団体への寄附については、

一部Webサイト・報道等では「寄附金控除が適用されない」

といった文言も見られますが、

「ふるさと納税の特別控除の対象とはなりません」というのが正解です。

実際には所得税の寄附金控除と住民税の寄附金税額控除(本則分)は適用されるため、

適用外の自治体への寄附のすべてが控除されないというわけではありません。

ただし、「2,000円でお礼の品がたくさんもらえる」のが売りの制度ですから、

ふるさと納税から除外された自治体への寄附は「お得でなくなった」ので、

「寄附が集まらなくなる」のは確実でしょう。

指定団体が2パターンある

また、総務省のWebサイトでは
今年61日から翌年930日までと、

今年61日から今年930日までの自治体の

2パターンの指定がされているのが確認できます。

期間の短い自治体については2018年の調査で

返礼割合実質3割超の返礼品を送付している・

地場産品でないものを送付していると名指しされている団体が多いことから

「対象期間が長いと適切でない」として4か月の指定とされているようです。

指定が4か月の自治体は再度7月に

総務省にふるさと納税の適用申出書を出すことになりますから、

今後もふるさと納税の対象外となる自治体が出てくるかもしれません。

「お礼の品やポータルサイト等の利用料を含め、ふるさと納税に係る経費は

寄附金の5割以下とすること」というルールや、

ヒアリングや追加資料提出依頼等がある旨の通達を鑑みるに、

総務省はふるさと納税の運営基準の厳守を徹底しています。

AMFニュース [2019年5月28日号]

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10%? それとも8%?
 軽減税率制度の微妙な判定

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これは消費税が8%の飲食料品?

201910月より、消費税及び地方消費税が
8%から10%に上がりますが、

「飲食料品・新聞は据え置きの8%」となります。

ただし、酒類は10%・外食に該当するものは10%等、

中には軽減税率を適用されないものがあります。

コンビニエンスストアでは、少し前までは

「イートインコーナーは休憩用スペースと改めて飲食禁止とし、

すべて飲食料品は8%適用」という策を検討していましたが、

外食産業などからの反発もあり、

レジ付近に「イートインを利用する方はお申し出ください」といった張り紙を

することになったようです。

申し出があった場合は標準税率の10%が適用されます。

国税庁では特設ページで微妙な判定になりそうなケースを解説しています。


一体資産は2/3が目安

おもちゃ付のお菓子や紅茶とカップを併せて販売する等の、

飲食料品とその他のものを併せて販売しているものに関しては

「一体資産の譲渡対価額(税抜)が1万円以下」

「食品に係る部分の価格の占める割合が

合理的な方法により計算した3分の2以上」であれば、

全体が「飲食料品」として軽減税率の対象となります。

ただし、小売事業者等で割合が不明な場合は、

1万円以下の商品であれば課税仕入れのときに仕入先が適用した税率を

そのまま適用して差し支えないとのことです。


老人ホームの食事提供

有料老人ホーム等で提供される食事は、

一食640円以下かつ1日の合計額が1,920円までは軽減税率が適用されます。

超過した場合は「超過した部分」だけでなく1食分が標準税率の対応となります。

また、老人ホーム設置者と、調理業務を委託している業者との取引は

標準税率が適用されます。

栄養ドリンクの税率

栄養ドリンクのうち「医薬品」や「医薬部外品」に該当するものは

軽減税率の対象とはなりませんが、

該当しないものは「食品」に該当し、その販売は軽減税率の対象となります。

AMFニュース [2019年5月21日号]

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2019年注目の
 勤務間インターバル助成金

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勤務間インターバル導入コースが拡充

働き方改革法案の1つ、

勤務間インターバル制度努力義務化がスタートしました。

それに伴って4月より

「時間外労働等改善助成金勤務間インターバル導入コース」の助成金額が

最大100万円に倍増しました。

どんな助成金なのか

長時間労働を是正するため、

勤務終了後9時間以上の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」を

会社の規則にすることによって働きやすい会社を作っていくことが目標の助成金です。

休息時間を作るには現状の働き方を効率化して

生産性を上げていく必要があるでしょう。

効率化を妨げている以下のような企業の課題解決の費用に助成金が出ます。

人手に頼っている古い機械設備・システムで、調子も良くなく効率が悪い。

働いている時間の記録をとっていない、

または手書きをしていてはっきりとした労働時間の把握ができていない。

業務上の無駄な作業があるようだが把握しきれていない。

労働時間への意識があまりない。

対策としては

であれば在庫管理負担軽減のためのPOS自動食器洗い乾燥機、

携帯型成分分析計、入出荷システム、ダンプカー追加、業務システム、

多機能美容機器、3DCAD専用機など様々な業種、機器が対象で効率化UPを目指します。

であれば出退勤管理システム、打刻機器が対象で

正しい勤務時間の把握やメリハリのある働き方をサポートします。

のような状態であればどんなにいいシステムや機械を入れても、

意識が変わらない限り社内改革は進まないため、

外部専門家による業務意識改善研修を受けることができます。


助成金の注目ポイント

この中で注目なのはの課題解決の有効活用です。

勤務間インターバル制度を採用することで

今まで高くて手が出なかった機械設備やシステムを

会社負担も減らしながら導入や更新ができます。

例えば11時間のインターバル制度を採用して

100万円のシステム導入であれば

3/475万円が助成金で軽減されます(助成上限は100万円)。

働く環境がよくなれば社員も喜ぶでしょうし、

機械導入の負担も減らすので一挙両得といえるでしょう。

今年度注目の助成金をぜひ活用してみてください!

AMFニュース [2019年5月14日号]

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 人材が定着する会社とは
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退職者の埋め合わせの時間やコストも増大

近年、転職者が年間300万人を超え増加傾向が続いています。

一方で少子化が進み企業は恒常的な採用難、人手不足という現状があります。

20192月の転職市場は求人数が4か月ぶりに最高値を更新しました。

新卒者も転職者も非正規社員も採用できない人手不足倒産も出ています。

そこで、採用が困難なら今いる社員に長く働き続けてもらうことを考えてみましょう。

優秀、貴重な若手に辞めてほしくないが

苦労して採用して仕事を覚えて有能な人材に育った人に退職されるほど

「痛い」ことはありません。

有能な社員が企業に長くとどまり能力を発揮すること、

定着をどのようにするのかを考える必要があります。

ある調査では期待していた社員に辞められたことがある管理職は

8割に上ると言っています。

慰留できなかったケースも7割以上です。

退職理由が現在の組織に対する不満が主な原因の場合、

会社側は職場の状況にも気を配る必要があります。

退職者はなかなか本音を話してくれません。

悪い感情が残留者に伝染しないようにしなくてはなりません。

会社に対する良くない噂が最近はSNS等で流布されるケースもあり、

それが採用難の原因にならないとも限りません。

新しい職場を探している人にとって

「社員が長く勤めている」ことは安心材料になります。

苦労して採用した若手社員、組織の中核として活躍する中堅社員、

長年の経験を持つベテラン社員、そのような社員を定着させ、

長く活躍してもらうことは人手不足の今、企業にとって重要課題です。


同業他社より社員定着率向上を目指す

人材定着率は業種により違いますので同業種内での差を考える必要があります。

引きとめたい社員とは業績のよい社員ばかりでなく、

コミュニケーション力やモチベーションの高い人材と言うことができます。

20代転職者の調査では退職理由は労働時間や働く環境、

経営者、上司、同僚との人間関係、会社の成長が見込めない、

の順になっています。

「他にやりたいことがある」の言葉の裏側にこれらが複合的に含まれていると言えます。

長く働き続けるには、労働条件等の「働きやすさ」と

仕事の内容的側面としての「働きがい」の向上で、

仕事を通じた成長感や達成感も重要と言えるでしょう。

AMFニュース [2019年5月7日号]

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   新元号と提出書類
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平成40年は令和何年?


西暦201951日から、日本の元号は「令和」となり、

それに伴って国税庁から「新元号に関するお知らせ」というものが出ています。

それによると「納税者の皆さまからご提出いただく書類は、

平成表記でも有効なものとして取り扱うこととしております」となっています。

ちなみに平成40年は令和で言えば10年です。

今回は区切りが良いので変換しやすいですね。

他の役所の書類は?

改元に伴う元号の年表示の取り扱いについては

「関係省庁連絡会議申合せ」という通知が出ています。

それによると原則各府省が作成する文章は、改元日以降は「令和」を使う。

また、やむを得ず「平成」の表記が残る場合でも、

該当表示は有効となるが、混乱を避けるように、

訂正印や手書きの修正、文章や画面に「表記が平成でも有効」と

注意書き等を入れるように推奨しています。

また、「国民が各府省に申請等を行う場合において、

改元日以降の年の表示が平成とされていても、

有効なものとして受け付けるものとする」と記載されています。

やはり平成でもOK、ということでしょう。


法律や政令はどうなるのか

法律及び政令についても「平成」を用いて

改元日以降の年を表示している場合はそのまま有効となります。

また「改元のみを理由とする改正は行わない」としていて、

「改元以外の理由により改正を行う際についでに直す」という方針のようです。

ただし「改正しないと支障がある場合は、

個別に検討して措置します」としているあたり、

「念には念を」の気持ちを感じる文章です。

穏やかに少しずつ変わる改元

今回の改元は前もって行われる日が分かっており、

システム関係の方は「もっと時間を」と思ったかもしれませんが、

対応は徐々に浸透してゆけばよいといった、柔軟な感じがします。

ただ、外務省は西暦表記を検討する等、変化する姿勢もありました。

この令和という時代、いったいどのように世の中は移ろってゆくのでしょうか。

AMFニュース [2019年4月23日号]

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アルバイトの解雇予告
その一言が思わぬ出費につながるかも

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アルバイトの解雇予告手当は

アルバイトやパートの方に

「もう明日から来なくていい」なんて言ってしまったことはありませんか?

その一言が思わぬ結果を招くことがあります。

このような場合は解雇理由の合理性で無効の判断が出る場合がありますが、

その前に今回は解雇予告手当についてみていきます。

解雇予告手当の計算方法

従業員を解雇しなければならないときは、まず、客観的・合理的理由が必要です。

その上で、

(1) 少なくとも30日前に解雇の予告をする。

(2) 解雇の予告を行わない場合は、解雇と同時に30日分以上の

平均賃金(解雇予告手当)を支払う。

いずれかの手続を行わなければなりません。

平均賃金の計算方法は、

A)過去3か月間の賃金の合計/過去3か月間の暦日数

B)過去3か月間の賃金の合計/過去3か月間の労働日数×0.6

A(B)を比較していずれか高いほうが選択されます。

ここで注意しなければならないのは、

30日分以上の平均賃金=1か月分以上の平均賃金ではないということです。

例えば週2日、日給1万円のアルバイトの方であれば

1か月当たり約8万円の賃金を支払うでしょう。

しかし、即時に解雇してしまうと平均賃金の(A(B)どちらか高いほうの(B)が選ばれ、

その30日分、つまり約18万円の解雇予告手当を支払わなければなりません。

これは1か月分の賃金の2倍以上になります。

コミュニケーションを大切に

昨今は働いている方の労働意識も高くなっており

インターネットで労基法を知っていたり、

なにより人手不足で新しい採用が難しい時代でもあります。

むやみに解雇などを行うと大きなトラブルに発展し

会社への印象悪化につながりかねません。

これからはどのような企業でも働いている人とのコミュニケーションを大事にし

育成していくことにより、会社の存続や発展につなげることが

重要な時代といえるでしょう。

 

AMFニュース [2019年4月16日号]

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  消費税改正に向けた
  住宅ローン控除周辺の改正

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住宅ローン控除は平準化を目指し改正

消費税率の引上げに際し、需要変動の平準化の観点から、

住宅ローン控除についての改正が行われます。

201910月から2012月までに入居する住宅で、

消費税が10%となる住宅については、

控除期間が現行の10年から13年に延長されます。

110年目

住宅ローン年末残高×1

最大40万円)

1113年目

次のいずれか少ない金額

住宅ローン年末残高×1

取得価額(※最大4000万円)×2÷3

長期優良住宅等の場合:50万円・5000万円


「すまい給付金」も拡大

住宅ローン控除は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、

収入が低いほどその効果が小さくなります。

負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、

住宅ローン減税と併せて消費税率引上げによる負担軽減を図るのがすまい給付金です。

このすまい給付金についても、消費税増税に併せて、

給付額の上限引き上げと適用となる収入帯の増加が予定されています。

配偶者控除ありのモデルケースの場合、

消費税8%の場合は給与収入で425万円以下の場合、

30万円の給付が受けられましたが、

10%の場合は給与収入が450万円以下の場合は50万円の給付が受けられます。

また、10万円の給付を受ける場合で見ると

8%時は510万円以下だったのが

10%では775万円以下となります。

なお、給付を受けられるかどうかは都道府県民税の所得割額で判定されるので、

ふるさと納税等で税額を減らしていると、

さらに有利な条件で給付が受けられる可能性があります。


さらにポイント制度も新設

国土交通省は、「良質な住宅ストックの形成」をめざし、

消費税率10%で一定の性能を有する住宅の新築やリフォームに対して、

商品等と交換できるポイントを発行する「次世代住宅ポイント制度」も開始予定です。

この制度は「環境」「安全安心」「健康・高齢者」「子育て・働き方」

に資する住宅の新築やリフォームが対象となり、

上記に資する商品を貰える予定となっていますが、

今のところどんな商品が貰えるかは、まだ公表されていないようです。

AMFニュース [2019年4月9日号]

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   依然健在
   還付金詐欺にご用心!

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ATMを操作しても還付金はもらえません!

所得税の確定申告で還付となった場合、

通常1か月~1か月半程度(電子申告の場合は3週間程度)で

還付金は申告した口座に入金されますが、

電話で何やら難しいことを言い立て、

還付金の送金に問題があるとしてお年寄りにATMの操作をさせ、

預金をだまし取る還付金詐欺があります。

警察・銀行等の努力の甲斐もあって、

平成29年に比べれば30年は認知件数・被害額ともに下がってはいるものの、

還付金詐欺の被害額は年間22.5億円となったそうです。

詐欺グループは税理士の名を騙ったり、国税庁の名前を出してきたり、

銀行職員として電話を掛けてきたりと、

多種多様な手口で皆さんのお金を狙っています。

少しでも怪しいと感じたら、すぐに警察に相談しましょう。


振り込め詐欺は雑損控除の対象ではない

「災害又は盗難若しくは横領によって」資産について損害を受けた場合等には、

一定の金額の所得控除を受けることができます。

これを雑損控除といいますが、国税庁ではご丁寧に

「詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません」と記載しています。

過去には振り込め詐欺について、

国税不服審判所で争ったケースもありましたが、

やはり雑損控除の対象にならないと結論付けられています。


振り込め詐欺被害の救済策

平成19年、国は新たに「犯罪利用預金口座等に係る資金による

被害回復分配金の支払等に関する法律」を制定し、

振り込め詐欺等で利用された金融機関の口座に残っている犯罪被害金の分配を、

被害を受けた人に向けて行うようになりました。

犯罪利用口座は「預金保険機構」からインターネットで公告されるので、

ここに自分が詐欺によって振り込んでしまった口座がある場合、

申請をすることによって

口座に残っている金額・申請人数に応じて分配が行われるようになります。

当然詐欺グループは入金された金をすぐに引き出そうとしますから、

騙されたと分かったら、すぐに口座凍結の申請を行うべきです。

口座に金額が残っていなければ、申請を行っても分配は行われません。

振り込め詐欺等の特殊詐欺は微減しているとはいえ

平成30年で16,000件超、被害額は350億円を超えます。

税金関係でも救済策があってよいのではないでしょうか。

関係各所は様々な注意喚起をしていますが、未だ被害は多いです。

AMFニュース [2019年4月2日号]

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   年次有給休暇の
   時季指定の扱い

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働き方改革と時季指定権

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律で

改正後の労基法では、使用者による年5日の年次有給休暇の

時季指定権が定められました。

20194月より労働基準法の改正により

年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者にかかる年次有給休暇日数の内、

使用者が5日の年休の時季指定権を行使しなければならなくなります。

その場合、企業で計画年休制度を入れて年休を付与したり、

従業員が自分で年休請求をして休んだ場合等、

その日数は時季指定権から外して考えられるのでしょうか。

計画年休が付与されている場合

計画年休とは付与された年次有給休暇の内、

5日を超える分について労使で協定して計画的に

休暇取得日を割り振る事ができる制度ですが、

この計画年休の日数は時季指定権の5日から除く事ができます。

また労働者本人が時季指定した年休も同様に除く事ができます。

半日休暇を取得又は付与した場合

労働者本人の希望で半日の年休を取得した場合は、

これに使用者が同意し本来の取得方法により

休暇取得の阻害にならない範囲で適切に運用される限りにおいて

問題が無いものとして取り扱うとされており、

半日年休については使用者又は労働者が時季指定しても良い事とされています。

その場合は0.5日と扱われます。


時季指定日に労働者が出勤した場合

使用者が新労基法で定められる年5日の年次有給休暇の時季指定に違反すると

対象労働者1人につき30万円以下の罰金が予定されており、

今までには無かった罰則です。

しかし使用者が時季指定しても、業務繁忙等を理由に

労働者が出勤してしまう事もありうる事です。

当日の労務提供義務は無いので帰宅をさせるのが前提ですが、

労務の提供をさせた場合でも、

その後年5日の時季指定権年休が付与できれば違反とは言えないでしょう。

通達によれば年度当初に労働者の意見を聞いた上で年次有給休暇計画表を作成し、

これに基づき年次有給休暇を付与する事等が考えられるとされていますが、

年休取得状況を把握する為には年休取得管理簿は必須となるでしょう。

AMFニュース [2019年3月26日号]

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 修繕費か資本的支出か
 システムキッチンの取替工事

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悩ましい?「システムキッチンの取替工事」

賃貸不動産の管理者は、入居者の退去の際、

内部の建具などの傷みが激しければ業者に修繕を依頼します。

設備の交換に及ぶこともあり、税務上、修繕費とするか、

資本的支出とするか悩ましいものもあります。


システムキッチンは建物と一体の台所?

国税不服審判所でも、システムキッチンの交換が修繕費に当たるか、

資本的支出に当たるか争われた例があります。

あるマンション(築17年)を賃貸していた方が、

その賃貸していた部屋の台所ほか各設備を取り壊し、

新たなシステムキッチンに取替えた工事を

修繕費としたところ税務署から否認されました。

そこで次の理由から、修繕費であると主張しました。

・居住用機能を回復させる工事であること

・建物の基礎や柱などの躯体に影響を与えるものでなく、

建物の現状維持が目的であること

これに対し、審判所は、事案のシステムキッチンは、

建物と物理的に不可分なものであり、

建物の修繕費(既存設備の解体工事)と

資本的支出(新設備の取得)が同時に行われたもので、

建物の価値増加に貢献することから、資本的支出と判断しました。

この裁決では「システムキッチン」について、広辞苑の次の説明を引用しています。

(システムキッチン)

台所の形態の一種で、ある規格に基づいて作られた流し台、

調理台、ガス台、収納部などを自由に組み合わせ一体化して作り付けた台所

このシステムキッチンは、流し台等が建物新築時より床や壁に固定され、

給湯、給排水、電気及びガス設備と連結させて、

初めて住宅内での調理等ができるもので、

建物との物理的な接着度が高く、容易に取り外せないものであったようです。

この裁決では「建物と一体不可分な台所」と判断したものでしたが、

この裁決以前は、「建物と可分・独立」なものとして

「器具備品」と整理する例が多かったようです。

個別の状況に応じて総合的な判断を

ただ、この裁決の判断は一例であり、取替工事については、個別に

「修繕費」か「資本的支出」か、

「既存資産を除却し、新規取得資産の取得」とするか判断する必要がありそうです。

支出金額の内容、

支出効果の実質を見ながら、

既存の資産が「建物」で計上されているか、

「器具備品」で計上されているのか等も確認する必要があります。

AMFニュース [2019年3月19日号]

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 ついに法規制
2019年のふるさと納税改正

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税制改正で過剰競争を抑制できるか

ふるさと納税は通常の寄附金控除とは異なり、

住民税を大きく引いてくれる特別な控除があるため、

個人の所得や控除によって限度額はあるものの、

通常は負担が2,000円で済むようになっており、

自治体が「寄附のお礼の品」を用意することによって、お得な制度となっています。

自治体はこぞって返礼率の高いお礼の品を用意し、

総務省は過剰な競争を避けるべく、

お礼の品についての指針を出すなどしたものの、一向に競争は治まらず、

ついに今年の税制改正大綱で、法的に制限をかけることになりました。

税制改正大綱によると、制限の内容は、

寄附金の募集を適正に実施する都道府県等

返礼品の返礼割合を3割以下とする

返礼品を地場産品にする、等です。

総務大臣は、これらの基準に適合する自治体を

ふるさと納税の対象として指定するようになります。

なお、この内容は201961日以後に支出される寄附に適用されます。

泉佐野市の乱?

以前から出していた「お礼の品の返礼割合を3割以下にしてください」等の

総務省の通知を無視していた自治体の中でも、

泉佐野市は強固な姿勢でメディアを騒がせています。

改正前の2月・3月に、お礼の品に加えて

寄附額の最大20%のアマゾンギフト券を寄附者に贈るキャンペーンを展開しつつ、

法制化についてのプロセスを「地方分権の理念に反しているのではないか」と

メディア等を通じて批判しています。


総務省も強固な姿勢


これに対して総務省も「過去の取組もさかのぼって自治体を評価し、

6月以降のふるさと納税の指定を判断する」という奥の手を検討しているそうです。

総務省としては、通知に従って3割以下の返礼割合とした自治体が

割を食うような事態は避けたい、という気持ちもあるのでしょう。

いずれにせよ、ふるさと納税制度の本来の目的であった

「離れた故郷に自分の税金が払えるように」

といった感情的な部分を思うと、こういった現状は少し寂しく感じてしまいますね。

AMFニュース [2019年3月12日号]

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平成30年度補正
~ものづくり・商業・サービス生産性
向上促進補助金~公募が始まりました

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補助金の趣旨と仕組み

この補助金は中小企業・小規模事業者が取り組む

生産性向上に資する革新的なサービス開発・

試作品開発・生産性プロセスの改善を行うために

必要な設備投資等を支援するものです。

認定支援機関の全面バックアップを得た事業を行う

中小企業・小規模企業が対象となっています。

機械装置費、技術導入費、専門家経費、運搬費、

クラウド利用費などが補助の対象になりますが、

事務所の家賃や電話代など、一般的な諸経費は補助の対象になりません。

ものづくり補助金の特徴ですが、

経費については先に支払い、

決定後に補助金が下りる仕組みになっています。

そのため前もってキャッシュの準備が必要です。


補助上限額・補助率

・一般型:補助上限額100万〜1,000万円、

補助率1/2以内

・小規模型:補助上限額100万〜500万円、

補助率1/2以内(小規模事業者は2/3以内)

一般型は原則1/2以内の補助率ですが、

右欄の加点項目の条件を満たした場合は

補助率が2/3以内になります。

対象要件

「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法で

革新的なサービスを創出する、

もしくは「中小ものづくり高度化法」に基づき

革新的な試作品の開発・生産プロセスの改善の実施に取り組むこと

審査における加点項目

固定資産税ゼロの特例を措置した市区町村で

平成301221日以降に先端設備等導入計画を申請し、

認定を取得した企業(申請中を含む)

総賃金の1%賃上げ等に取り組む企業

小規模型に応募する小規模企業者

過去に購入型クラウドファンディングで

支援金額を集めた企業

平成30年北海道肝振東部地震により被害を受けた企業

今回は、第二次締切は58()となっています。素早く申請が完了する

電子申請の利用をお勧めします(第一次の締切は223日でした)。

AMFニュース [2019年3月5日号]

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学生アルバイトの社会保険適用
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アルバイト学生の社会保険加入は

アルバイトで働く方であっても、

労働時間や出勤日をその会社の正社員と比較して

そのアルバイトの1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が

一般社員の4分の3以上であれば

健康保険・厚生年金に加入させなければなりません。

しかし、学生アルバイトの場合はどうでしょうか?

「学生の本分は勉強でありアルバイトは空いた時間に従事しているだけだから

社会保険に加入させなくともよい」と考えがちです。

しかも学生自身、親の扶養家族になっているのが一般的ですので

本人が社保加入を考える事はないでしょう。

親の健保の被扶養者である所得要件は年収130万円未満であり、

勤務状況が上記の加入義務要件を満たした場合は

健康保険・厚生年金保険の加入対象者になります。

社保加入を避けるためには労働時間や出勤日数の軽減を検討する事になります。

アルバイト学生の雇用保険加入は

労災保険や雇用保険はどうでしょうか?

労災保険は正社員、アルバイト・パート、日雇労働者等名称に関係なく

労働者であれば全員が適用になります。

会社は学生アルバイトが業務上や通勤途上でけがをした場合は労災保険を適用します。

雇用保険の加入要件は、

1)週の所定労働時間が20時間以上である事、

2)31日以上の雇用見込がある事の2つで

アルバイトでも加入対象者です。

原則として昼間学生は雇用保険の加入義務はありませんが、

1)適用事業所に雇用され卒業後も引き続き当該事業所に雇用される事となっている人、

2)休学中の人、

3)定時制課程の学生 

4)前13に準ずる者として職業安定局長が定める場合は加入義務があります。

所得による国民年金学生納付特例の有無

20歳以上で学生の期間中は国民年金保険料の納付特例を使って

納付猶予をしている方も多いと思います。

これを使う場合の学生本人の所得要件ですが、

118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等以下であれば

国民年金保険料納付特例制度が利用できます。

ちなみにアルバイト収入が年103万円を超えると所得税がかかります。

AMFニュース [2019年2月26日号]

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仮想通貨に関する税務上の取扱い
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仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益は、

原則として総合課税の雑所得に区分され所得税の課税対象となります。

取引区分ごとの所得の計算方法

1)仮想通貨の売却

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、

その売却価額と取得価額との差額が所得金額となります。

2)仮想通貨での商品の購入

保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、

その使用時点での商品価額(消費税込みの金額)と

仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

3)仮想通貨と仮想通貨の交換

保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、

その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と

保有する仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

4)仮想通貨の分裂

仮想通貨の分裂に伴い取得した新たな仮想通貨は、

分裂時点において取引相場が存在しておらず、

その時点では価値を有していないと考えられます。

したがって、新たな仮想通貨を取得した時には課税関係は生じず、

実際に売却又は使用した時点で所得が生じることとなります。

なお、その取得価額は0円となります。

5)仮想通貨のマイニング

マイニング(採掘)等により仮想通貨を取得した場合は、

収入金額(マイニング等により取得した仮想通貨の取得時点での時価)から

必要経費(マイニング等に要した費用)を差し引いた所得金額が、

事業所得又は雑所得の対象となります。

法人が仮想通貨を保有する場合

法人が期末において保有する仮想通貨は、

会計上、活発な市場が存在する場合は、

市場価格に基づく価額をその仮想通貨の貸借対照表価額とし、

帳簿価額との差額は当期の損益として処理します。

活発な市場が存在しない場合は、取得価額をもって貸借対照表価額とし、

期末における処分見込価額が当該取得価額を下回る場合には、

処分見込価額を貸借対照表価額とし、

取得価額との差額を当期の損失として計上しますが、

税務上は当該損益の額について申告調整で自己否認することになります。

2017年から急拡大した仮想通貨市場は、今後も法整備等の動向に留意が必要です。

AMFニュース [2019年2月19日号]

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   勤怠時間の把握と
   勤怠システム

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勤怠管理をしていますか?

近年、労働時間の勤務時間を記録していないで

未払い残業などを請求されるケースが増えており、

一旦未払い残業代を請求されると会社側が不利な事が多く、

ほぼ無力で請求された通りの結果になる可能性が高い状況になっています。

働き方改革の一環で労働安全衛生法の改正もあり、

20194月からは管理職の労働時間の把握を企業に義務付ける方針です。

また、労働基準法の改正で残業時間の上限規制(中小企業20204月施行)が強化され、

従業員側と労使協定を交わしても年間720時間、1カ月で100時間未満まで、

2カ月から6カ月平均で月80時間以内となり、

上限規制が守られない時は「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」と

厳しい罰則も予定されています。

まだ、労働時間を把握していない企業では、

勤怠管理をして従業員の労働時間を把握することは急務と言えるでしょう。

勤怠管理の方法とハードル

皆さんの企業では勤怠管理方法は紙、Excel、タイムカード等

何を使用しているでしょうか。

勤怠管理はタイムカードや紙による管理から

ITを活用した勤怠管理システム導入が進んできています。

勤怠管理システムとは、

自動的に勤怠が集計され意図していた集計結果が表示されるものです。

1.出勤簿(勤務表)への客観的な時刻の記録が可能

2.労働時間の集計を自動化する

3.労働時間の管理強化と業務の効率化を両立する、というものです。

導入のメリット、デメリットとしては、

労働時間の客観的把握

労働時間、休暇取得等の管理強化

時間集計、休暇等の業務効率化

上記のは簡単に実現できますが

の業務効率化の実現ができるかどうかがポイントになります。

業務効率化がなぜ重要なポイントかと言えば、

勤怠システムをそのまま使っただけではできない勤怠ルールを定義して

システムに落とし込む必要があるからです。

就業や勤務形態等の状況に対応させる設定が必要です。

いちいち手修正をしていては効率化が図りにくくなってしまう事があるからです。

 

AMFニュース [2019年2月12日号]

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 扶養控除等の是正について
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扶養控除等の是正(扶養是正)とは

所得者の方が確定申告や年末調整で

配偶者控除や扶養控除の適用を受けていたけれども、

実は所得要件などが誤っており、

正しくは控除が受けられなかったということがあります。

そのような場合は、気付いた段階でただちに年末調整の再計算や

修正申告を行って納税する必要があります。

しかし、是正せずそのままにしておくと、

税務署から「扶養控除等の控除誤りの是正について」という通知が送られてきたり、

電話や臨場による税務調査で是正を求められたりします。

これを一般に「扶養是正」と呼んでいます。 

扶養是正にはどのようなものがあるか

所得超過

最も誤りが多いのが、この所得超過です。

配偶者や扶養親族に一定の所得金額があるにもからわらず、

所得者本人がその金額を把握していなかったことによるものです。

重複控除

他の所得者と重複して控除を受けていたというものです。

例えば、共働きの夫婦がどちらも同じ子供を扶養親族として

控除していたようなケースです。

年齢相違

特定扶養親族や老人扶養親族は、

控除を受ける年の1231日時点の年齢がそれぞれ、

19歳以上23歳未満、70歳以上という条件がありますが、

そのような年齢の条件に合致しない人を控除の対象としていたというものです。

その他

扶養控除の対象となる親族は、6親等内の血族及び3親等内の姻族ですが、

それ以外の親族を扶養の対象としていた場合や、

白色事業専従者を扶養の対象としたケースなどがあります。

また、夫と離縁した人が寡婦控除を受けるには、

扶養親族や生計を一にする子がいることが要件

(死別の場合や寡夫の場合は条件が違いますのでご留意ください)ですが、

その要件に当てはまらないというケースもあります。

是正のしかた

年末調整を行っている方は、源泉徴収義務者である勤務先で

年末調整の再計算を行ってもらい、

追加で納付する税金を源泉徴収義務者経由で納税します。

確定申告を行っている方は、所轄の税務署に修正申告書の提出と納税を行います。

徴収義務者は、法定調書合計表や給与支払報告書の訂正分の提出も必要となります。

AMFニュース [2019年2月5日号]

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 法人が受け取る生命保険金
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契約者を法人、被保険者を経営者とする法人契約の生命保険は、

退職金等の準備や経営者の万が一に備えるといった

保障目的からの加入が考えられますが、

支払った保険料の一部もしくは全部を経費として損金計上できることから

節税目的で加入される法人も多いと思います。

支払った保険料の分だけ利益が圧縮され法人税を抑えることができますが、

一方で生命保険金を受け取った際に生じる課税関係についても

把握しておく必要があります。


保険金受取の会計処理

法人が受け取る生命保険金は、所得の計算上全額益金に計上します。

このとき、当該保険に係る支払保険料のうち

資産計上している金額があれば損金に振り替えます。

法人が経営者の遺族へ退職金を支払う場合、

適正額と認められる部分は損金に計上することができます。

また、弔慰金についても一定の金額までは、損金に算入することができます。

したがって、計算上では受取保険金の額から

退職金及び弔慰金の額を控除した残額に対し法人税がかかると考えることができます。


遺族が死亡退職金を受け取った場合

経営者の死亡によって遺族が死亡退職金を受け取る場合、

死亡後3年以内に支給が確定したものは、

相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。

ただし、死亡退職金等については相続税法上、

非課税限度額(500万円×法定相続人の数)が設けられているため、

実際には死亡退職金等の額から非課税限度額を控除した残額に

相続税が課税されることとなります。

また、経営者の死亡後3年を超えて支給が確定した退職金を遺族が受け取った場合には、

一時所得として所得税の課税対象となります。

一般には節税商品と認識されている法人契約の生命保険ですが、

後々の課税関係を理解した上で、万が一の時の保障のため、

確実な資産運用のためなど目的を明確にして

商品選びをすることが重要であるといえます。

商品内容や課税関係をよく確認し、有効に活用しましょう!
 

AMFニュース [2019年1月29日号]

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 働き方改革法と企業の意識
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人材採用・入社後活躍のエン・ジャパン株式会社は、

人事担当者向けの総合サイトで、

経営者や人事担当者に向けて「働き方改革法案について」の

アンケート調査を行いました(回答648通)。

それを基に企業が「働き方改革法案」に対してどこまで認識があるか、

どう感じているかの実態が見えてきました。

1、「働き方改革法案」の認知度

「働き方改革法案を知っているか」という問いには

「概要を知っている」74%、

「内容を含め知っている」21%と

認知度は95%に達しています。

2、経営への支障度合い

「働き方改革法案」が施行される事で経営に支障が出るかという問いには

「大きな障害が出る」9

「やや支障が出る」38%とあり、企業規模が大きくなるにつれて

「支障が出る」と回答する割合が増加しています。


3、経営に支障が出そうな法案について

「経営に支障が出る」と回答した方への

「支障が出そうな法案はどれか」という問いに対しては

「時間外労働(残業)の上限規制」66%がもっとも多く、

次に「年次有給休暇の取得義務」54%、

「同一労働同一賃金の義務化」43%と続きます。

業種別にみると広告、出版、マスコミ関連の

「時間外労働の上限規制」80%、

「年次有給休暇取得の義務化」70%、

商社の「時間外労働の上限規制」74%が目立っています。


働き方改革の時間外労働の上限規制とは

残業時間は月45時間、年360時間を原則とするが

720時間までは延長が可能であり、

繁忙期は単月で100時間未満の残業を例外的に認めるという内容です

2019年4月施行、中小企業は20年から)。

年次有給休暇取得義務は年に5日は

有給休暇を消化させる義務が生じます(19年4月施行)。

働き方については、各人が家庭の事情や自身の体調、結婚、

出産等を抱えて仕事をしているので

国が柔軟に多様化した対応策を示す事が必要と言う意見もあれば、

中小企業には厳しいかもしれないがよい制度とする肯定的な意見もある一方で、

残業の上限規制や有給の義務化は生産性が下がり、

人員を増やせば人件費に跳ね返りコスト削減のため無理をしかねないのではなど、

否定的な意見もあります。

AMFニュース [2019年1月22日号]

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 平成31年度税制改正大綱
 消費税編

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与党大綱、消費増税「確実に実施」と明記

「消費税対策」が中心に据えられた平成31年度の税制改正。

与党税制改正大綱では、

「消費税率10%への引上げを平成3110月に確実に実施する。」と明記され、

現政権の堅い決意を表明しています。

既に3011月に自民党税制調査会が

「消費税率引上げに伴う対策について」の中で対策の大枠を掲げていました。

 

駆け込み・反動減/中小・小規模対策・・・耐久消費財対策(平成31年改正)

逆進性対策・・・軽減税率導入

負の所得効果対策・・・賃金引上げ、幼児教育無償化


「複雑となりすぎた制度」環境整備急務

これが、与党税制改正大綱の「消費税率の引上げに伴う対応」の

3項目に落とし込まれました。

特に軽減税率導入時の混乱が予想されるため、環境整備が急がれます。

 需要変動の平準化に向けた取組み

(価格表示・転嫁対策、住宅・自動車の措置)

 軽減税率制度の実施

(Q&A追加、個別相談、レジ導入支援など)

 医療費に係る措置

(診療報酬の補てん状況を調査・対策)

「屋台でも免税」臨時販売場の出店容易に

東京オリンピック開催に備え、

外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売所制度)が見直され、

事業者が地域の祭りやイベントに免税店を出店する際の手続きが

簡素化されます(「臨時販売場に係る届出制度」の創設)。

現行制度では、屋台など短期間で免税店を出店する場合でも、

常設店同様の提出書類(店の見取図、マニュアル、免税対象品目など)が必要で、

審査に時間がかかるため、申請を見送るケースも多くありました。

この制度の開始は、平成317月からとなります。

急増する金密輸に対策:買取側控除に制限

ニュース等で話題の「金密輸」についても対策が講じられます。

国外から日本に金を持ち込む場合には、

申告を行い、消費税を納める義務がありますが、

密輸業者は金を隠して持ち込み、国内買取業者に消費税を上乗せして販売。

差益を得ていました。

これに対し、

密輸品と知りながら行った課税仕入れは仕入税額控除を認めない、

金・白金の地金の課税仕入れについて、

本人確認書類の保存を仕入税額控除の要件に加える措置がされました(H31.4~)。

政府の計画では、消費税免税店を2万店規模まで増やす目標です。

 

AMFニュース [2019年1月15日号]

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  平成31年税制改正大綱
  個人所得課税(一般)編

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31年税制改正「消費税対策」が重点に

平成31年の税制改正大綱では、

10月に実施予定の消費税率10%引上げに伴う、

駆込み需要・反動減対策(車両・住宅)に重点が置かれ、

単年度ベースで1,670憶円規模の減税措置がされると公表されました。

個人所得課税(金融・証券税制以外のもの)については、次の項目が改正されます。

住宅ローン控除の拡充(国税・減税)

過去の消費増税時に住宅の駆込み需要とその後の販売減を経験していることから、

住宅ローン控除が拡充されました。

3110月から32年末に入居する住宅(消費税10%適用)については、

控除期間が現行の10年から13年に延長されます。

11年目からは計算方法が変わることに注意しましょう。

110年目

住宅ローン年末残高×1%(最大40万円)

1113年目

次のいずれか少ない金額

住宅ローン年末残高×1

取得価額(最大4000万円)×2%÷

空き家の譲渡の特別控除(国税・減税)

適用期限が4年延長され、老人ホーム等に入所したことにより

空き家になった場合においても、一定の要件を満たすものについては、

適用の対象となりました。

また、所有者不明土地を収用した場合の5,000万円特別控除制度が創設されました。

ひとり親(未婚)の非課税(住民税・減税)

自公で議論となっていたのが、
婚姻歴のないシングルマザー等の

「寡婦(夫)控除」の取扱い。

結論は翌年に持ち越しとなりましたが、

次の要件を満たす「ひとり親」の住民税が非課税とされました

(未婚男性の「ひとり親」にも適用されます)。

・児童扶養手当の支給を受けていること

・前年の合計所得金額が135万円以下

なお、所得税の負担が残るため、

給付金17,500円(非課税)が年収365万円までの10万人弱を対象に

支給される見通しです。


その他の改正(ふるさと納税の適正化など)

その他には、

ふるさと納税の高額返戻品禁止(返戻割合3割以下の地場産品に限定)、

仮装通貨の取得価額の計算方法の明確化(移動平均法又は総平均法)、

申告書の源泉徴収票、特定口座年間取引報告書等の添付不要化・記載事項の見直し、

森林環境税(仮)の創設、

公的年金等の源泉徴収見直し等が措置されています。

 

AMFニュース [2019年1月8日号]

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  不動産管理会社に支払う
  不動産管理料の適正額

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賃貸物件を所有する個人が不動産管理会社を設立して、

不動産の管理をその管理会社に委託し、

管理料を支払うことで所得を分散させるという一般的な節税手法があります。

支払った管理料の分を必要経費とし

個人の所得税を抑えることができるというものですが、

不動産管理料が不当に高額である場合、

適正額を超えた部分についてはその経費性を否認されることとなるため、

留意が必要です。

管理料の相場と決定方法

同族経営の不動産管理会社に支払う管理料は、

事業運営方式にもよりますが5%~15%が相場です。

過去の裁判例を参考にして手数料率を決定するという方法もありますが、

表面的な数字ではなく、不動産管理会社が実際に行う管理業務の内容、

その業務の周辺相場、同様の業務を他業者に委託した場合に

いくらまでなら支払うかが管理料決定の基準となります。


同族会社の行為計算否認規定

不動産管理料がその管理業務の実態と
照らし合わせて「不当に高額である」として

否認される場合にその根拠となるのが、

所得税法第157条「同族会社等の行為又は計算の否認等」の規定です。

当該規定は、課税の公平を図る趣旨から、

所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合に適用されます。

同族会社であるがゆえに第三者取引には

通常見受けられないような料金設定がなされた場合、

その不相当に高額な部分が必要経費として認められないこととなります。


適正額と業務上の留意点

管理料については、個々の物件の規模、
地域性、

管理業務の具体的な内容を総合的に勘案し、

業務内容に則して決定することが必要です。

また、修繕費や共益部分の費用をどちらで負担するのかを事前に決定したり、

さらには業務日誌を作成する、

メールやFAXといった日々の業務のやり取りを保管するなど

業務実態を明確にしておくことも重要です。

管理の実態に見合った管理料であることが重要です!

 

AMFニュース [2018年12月25日号]

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 損金不算入の延滞金等と
 損金算入となる延滞金

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3種類の延滞金

納付期限に遅れた場合に科せられる罰金ですが、

国税・地方税・社会保険料で同じような言葉を漠然と使っていても、

その内容に違いがあります。

(1)国税にかかる「延滞税」

国税については国税通則法第60条で納期限後の納付には

「延滞税を納付しなければならない」と定められています。

(注)罰金ではない国税の「利子税」

法人税の申告納付は事業年度終了の日から2か月以内ですが、

所定の場合には期間を延長することもできます。

この延長された期間に対応する利息相当分が

利子税(国税通則法第64条)と呼ばれます。

(2)地方税の「延滞金」

地方税法では、第64(納期限後に納付する法人の道府県民税に係る延滞金)

65(法人の道府県民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)など、

税目ごとに規定があります。

地方税では国税での延滞税や利子税ともに延滞金という用語を使います。

(3)社会保険料の延滞金

社会保険料(健康保険、厚生年金保険、子ども・子育て拠出金)についても、

健康保険法第181条(延滞金)等で、

督促状の指定する期日以降に納付がされたときは

延滞金がかかる旨が規定されています。

損金不算入の延滞金

延滞にかかる罰金を支払った時は、会計上は租税公課等として経費計上します。

しかしながら、罰則的意味のため損金には算入されません。

法人税法第55(不正行為等に係る費用等の損金不算入)

3項一号に国税に係る延滞税等、二号に地方税法の規定による延滞金は

損金不算入とあります。

一方、申告期限の延長にかかる分は罰金ではなく利息なので、損金算入です。

上記規定ではカッコ書きで除外されています。

社会保険料の延滞金は損金算入

社会保険料の納付遅延に伴う延滞金も罰金でありますが、

上記損金不算入の規定で挙げられていないため、損金算入できます。

会計帳簿に面倒がらずに明細を書いておく

延滞金の納付時に上記の区分を会計帳簿に明記しておけば、

決算の時に納付書をひっくり返して探す手間は省けます。

日頃の適切な記帳が大事ということです。

 

AMFニュース [2018年12月18日号]

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 断末魔か、さらに活況か?
 ふるさと納税がますます熱い!

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総務省による規制と横やりの先は?

返礼品競争が過熱気味になった20174月、

総務省が各自治体に対して「返礼割合の高い返礼品」や

「金銭類似性の高いもの」そして「資産性の高いもの」を

自粛するように通知を出しました。

それでも、収まらない自治体間の競争に、

今度は、2019年から法律で規制するとの制度見直しの方針を発表しました。

3割規制による返礼品基準と内容の変化

20174月に返礼品を3割に抑える要請が出ても、

各自治体もすぐには対処できませんでした。

でも、半年から1年かけて、返礼品の内容を少なくしたり

(たとえば500gの内容のものを400gに縮小)、

返礼品をもらえる基準金額を引き上げたり

(たとえば1万円でもらえたものを12千円に変更)して

多くの自治自体は3割規制に従ってきました。

それが一部の自治体の暴走で法規制という方向に向かいそうです。

国がけしかけておいて(=制度を導入したくせに)、

行き過ぎだから規制するとは何事でしょうか?

ふるさと納税は自治体だけで運用すべき

各自治体は、公式ホームページからだけでは

ふるさと寄附金を呼び込むことができず、

ふるさと納税ポータルサイトに運営を委託してきました。

その結果、複数のふるさと納税ポータルサイトが林立しました。

そして、さらに競争が激しくなってポータルサイトは、

広告宣伝としてポイントサイトからの集客に乗り出しています。

本来の寄附金の一部が、ポータルサイトの収益として抜き取られ、

さらにポイントサイトに広告宣伝費として抜き取られているのが現状です。

けしからん!です。

こうなったら自衛(ポイント含め三重取り)

納税者側の対応としては、

少なくなった返礼品の価値を何とかして回復させる手段に出ても

よいのではないでしょうか。

ふるさと納税をする際には、まずは、

「寄附したい自治体の名前+ふるさと納税」で検索をかけます。

大概は、どこかのポータルサイトに事務委託をしています。

その後、どこのポイントサイトがそのポータルサイトを扱っていて

還元率が一番良いかを調べます。

見つかったら、ポイントサイトでポイントをゲットし、

クレジットカード払いでクレジットポイントももらっちゃいましょう! 

返礼品と合わせて三重取りです!!

 

AMFニュース [2018年12月11日号]

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103万円パート勤務時間の調整には
今年から適用の改正に注意

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例年12月はパートの勤務時間の調整時期

例年、12月になると、

配偶者控除目的の勤務調整により、パートさんの休みが増えて、

雇用者側ではその補充等の対応が大変でした。

ところが、平成30年の税制改正で、

その対応に変化が必要であるということについて、

当のパートさん自身が十分に把握できていない状況にあるようです。

平成30年税制改正の配偶者控除・特別控除

(1)配偶者の所得が高ければ考慮不要

これまでは、配偶者控除を受ける人

(以後、わかりやすいように相方と称します)の所得の多寡には関係なく、

働いて所得を得た人(同じく、本人とします)の所得が

38万円以下(=給与収入にして103万円以下)の場合に、

相方が配偶者控除を受けることができました。

そのため、この範囲内にパート勤務を抑える人が

多かったことから103万円の壁と呼ばれていました。

平成30年の税制改正では、相方の所得が一定額以上の場合、

そもそも配偶者控除が適用されないこととなっています。

これは配偶者控除対象の本人が働いておらず、

収入がゼロであっても、適用されません。

本人の合計所得が1,000万円(給与収入1,220万円)を超える場合に適用されません。

所得が900万円超~1,000万円以下(給与収入1,120万円~1,220万円)では

26万円か13万円の適用となります。

(2)パートの勤務調整は相方の所得次第

相方の所得が高ければ、パート勤務の就業時間調整をしても

「配偶者控除対策」という意味はないことになります。

12月に勤務調整をしないで働き続けても問題はありません。

一方で、相方の合計所得が900万円超~1,000万円の人は、

相変わらず、就業時間調整の要望は残るでしょう。


相方の勤務先の家族手当の基準等にも注意

では12月の勤務調整はどうすればよいのでしょうか?

「相方の合計所得が900万円超~1,000万円の人は、

いままで以上にシミュレーションが必要」としか言えません。 

手取り額の損得で考える場合、

配偶者控除の額、

配偶者特別控除の額(相方の所得と本人の所得により1万円から38万円の控除)、

社会保険料の壁130万円(大企業の場合106万円)

も、検討要素となります。

また、相方の勤務先に家族手当の所得基準がある場合は、

それも大きな検討要素となります。

 

AMFニュース [2018年12月4日号]

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H29年改正をおさらい
  医療費控除いろいろ

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提出書類等が変わった医療費控除

平成29年の確定申告から、
医療費控除の適用に書面提出の場合でも

「医療費控除の明細書」を提出すれば、領収書の提出が不要となりました。

また「医療費通知」の添付でも申告を受け付けるようになっています。

さらに医療費控除のミニ版とも言える「セルフメディケーション税制」も

開始されました。

各種注意点を挙げてみましょう。


「医療費通知」の利用に注意

保険組合等から送られてくる「医療費通知」、

もしくは「医療費のお知らせ」と書いてある紙ですが、

被保険者等の氏名

療養を受けた年月

療養を受けた者

療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称

被保険者等が支払った医療費の額

保険者等の名称の全てが記載してある場合、

申告書に添付する事により

確定申告で医療費控除が受けられます。

なお、医療費通知だけで医療費控除の内容を全て補完できる場合は

内容記載の領収書等の保存義務はありません。

ただ、医療費通知は年末11月・12月の医療費について

記載がないケースが多いようです。

また、自費診療等の場合は医療費通知に記載はありません。

よって医療費通知単体で控除申告する事は難しい年もあるでしょう。

未記載の部分については「医療費控除の明細書」の提出が必要となります。

併せて明細書に記載した内容の領収書は

申告期限等から5年間は保存する必要があるので注意しましょう。

セルフメディケーション税制の注意点

セルフメディケーション税制は、市販されている中で

「スイッチ OTC 医薬品」に該当する医薬品を

年間1万2千円以上購入している場合、

最大10万円までの範囲で所得控除が受けられる制度です。

つまり最大8万8千円所得控除が受けられる、

医療費控除のミニ版とも言える制度です。

ただし、この控除を受けるためには

セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に

健康の保持増進及び疾病の予防への取組として

「一定の取組」を行っているという証明が必要になります。

一定の取組とは、健康診断や予防接種を受けているかどうかです。

証明する書類が必要となりますので、健診結果や予防接種の領収書等は

なくさないようにしましょう。

確定申告に向けて、そろそろ書類をまとめる準備をしておきましょう。

 

AMFニュース [2018年11月27日号]

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  電子的控除証明書と
QRコード付控除証明書

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平成30年分からスタートするけど

今年の確定申告制度は個人の申告にとっては手続き的な改革が複数あります。

スマホ向けの確定申告作成コーナーやQRコード付納付書、

そして生命保険料等の電子的控除証明書とQRコード付控除証明書などです。

ただ、この生命保険料等の電子的控除証明書とQRコード付控除証明書は、

今年はほとんど使われる見込みはないでしょう。

申告の方法により使うものが異なる

まず、生命保険会社のサイト等で、

個人の生命保険料控除証明書の電子データを受け取ります。

これが「電子的控除証明書」となり、確定申告をe-Taxで申告する場合に、

そのまま添付書類としてオンライン送信が可能です。

ただ、e-Taxの場合は以前から記載内容を入力して送信することで

証明書等の提出は省略可能だったわけですから、この処理は必要ありません。

書面での提出や年末調整に使うべく、

QRコード付控除証明書」を出すようになるのですが、

ここにはもうひと手間必要で、国税庁ホームページの

QRコード付控除証明書等作成システム」に、

生命保険会社から受け取った「電子的控除証明書」のデータを

送る事によって作成をして、印刷する必要があります。


これからさらに使いやすく

今までのように生命保険会社から送られてくるハガキと同様の扱いができるのが

QRコード付控除証明書」ですが、

自分で印刷するわけですから、手間がかかります。

ですがハガキを紛失してしまった時などは、

再発行に時間がかからずにできて良いかもしれません。

むしろ現状はこのくらいにしか使いどころがないと言えるでしょう。

ただ、これが最終的な形ではありません。

税制調査会の「税務手続きの電子化に向けた具体的取組」によると、

2020年には「電子的証明書」データを個人がそのまま会社に送り、

年末調整の資料提出とする事ができるようなシステムになる予定です。

また、源泉徴収票をスマホのカメラで撮影して、

自動で確定申告書等作成コーナーに反映できるような技術も検討中との事。

税の分野は着実に電子化へと進んでいるようです。

控除のハガキもしばらくはなくならない事を考えると、

今後併用する事になるわけで、逆に会社の担当者は手間が増えるかもしれません。

 

AMFニュース [2018年11月20日号]

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   ついに決別!
   保険料控除申告書
   配偶者控除等申告書

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年末調整の時期になりました

年末調整とは、1月から源泉徴収で払ってきた所得税額と、

年収が確定した時点で再計算した所得税額との過不足を精算する手続きです。

例えば生命保険料の個人での支払いがあったり、

年の途中で扶養する親族が増えたりした場合に、

年末調整で新たに控除を適用してもらう事で、

払い過ぎた所得税を戻してもらう処理です。

今年は書類に異変あり?

平成29年までは

「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」という

長い名称だった書類の内容が2枚に分かれ

「給与所得者の保険料控除申告書」と

「給与所得者の配偶者控除等申告書」になりました。

今までの書類は記載スペースがとても小さかったのですが、

2枚になった事により、とても書きやすくなった印象があります。

しかしながら、ただ書きやすくなっただけでなく、

従業員が配偶者控除を受ける場合、

提出すべき書類の数も増えたので注意が必要です。

配偶者控除の適用には提出が必要!

今までは「扶養控除等申告書」に配偶者を書けば、

それだけで配偶者控除の適用が受けられましたが、

今年からは「配偶者控除等申告書」の提出が必要となります。

これは、配偶者の所得金額だけでなく、控除を受ける本人の所得金額によって、

配偶者控除・配偶者特別控除の控除額が変動するようになったからです。

「給与所得者の配偶者控除等申告書」には、

本人の所得や配偶者の所得について計算する欄が設けられています。


エクセルシートがお勧めです

「給与所得者の配偶者控除等申告書」は、

本人の所得や配偶者の所得を計算しなければならないため、

裏面の所得の速算表で算出する事になるでしょう。

また、今までは「扶養控除等申告書」のみで対応していた配偶者控除の申請が、

もう1枚必要になったので、会社の経理担当者は

従業員に説明をする機会が多くなるはずです。

そんな経理担当者の一助になりそうなのが、

国税庁が配布しているエクセル版の配偶者控除等申告書です。

自動で給与所得控除と控除額の算出をしてくれるので、

経理担当者への計算・入力の質問を減らしてくれるかもしれません。

AMFニュース [2018年11月13日号]

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  来年には法規制?
  ふるさと納税をめぐる動き

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年末の恒例になりつつあるふるさと納税

そろそろ年末の足音も聞こえてきました。

来年は消費税増税・軽減税率導入・年号改正等、身近な税や制度について

大きく変更がある予定となっています。

その中の1つに「ふるさと納税」があります。

ここ数年、大きなうねりとなってすでに国民の認知度は高くなっていますが、

過剰な返礼品競争の末、ついには総務省が「来年より法規制をする」

という方針を示しました。

今は「高すぎるもの」も見逃されている

平成304月には、ふるさと納税は

「返礼品の価値は寄附額の3割にしてください」という

総務省の「要請」が出ていますが、法的拘束力がなく、

逆に3割以上の返礼率を持つ自治体に人気が集まる結果となりました。

総務省は調査を踏まえて「見直しが必要である自治体」を公表したのですが、

「それだけお得な自治体」ということで逆に、拍車を掛けたという事は否めません。

何故発表したのか疑問です。


来年法規制……という事は今年は?

平成309月、総務省はふるさと納税の返礼品について、

規定外のものを扱った自治体に対し、

ふるさと納税制度から外す事も視野に入れ、

来年度から制度の見直しを行うという発表をしました。

これにより、来年4月以降はより一層ふるさと納税の規制が進むとして、

現在駆け込み需要が過熱しています。

ある自治体では、返礼率が高い上に使い勝手が良い「Amazonギフト券」を

総務省の目に付きにくい土日祝日のみサイトに出す等、

ゲリラ戦術の様相も呈しています。

配偶者特別控除絡みで上限にはご注意を!

ふるさと納税は自己負担が2,000円で返礼品が貰えるお得な制度ですが、

今年の自己負担が2,000円で済む寄附の上限は、

今年の収入・所得・控除によって決まります。

今年は配偶者特別控除の変更があり、

去年と同様の収入・控除ですと控除限度額が下がる方もいらっしゃいます。

計算シミュレーション等で確認しましょう。

AMFニュース [2018年11月6日号]

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  退職後支給賞与の
  源泉徴収税と社会保険料

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退職日以後の賞与支払い

賞与は「賞与支給日の在籍者」に対してのみ

支払われるものとしている企業は多いかと思われますが、

就業規則において賞与の支給対象期間に

一定以上在職していた者を支給対象者とすると定める企業も少なくありません。

こういう規定を置いている場合には、

賞与支給日に既に退職している場合でも、

賞与が支給されることになります。


退職所得には該当しない

退職後の支払いであっても、この場合は、

退職に基因して支払われるものには該当しません。

支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している者に

支払われる賞与等と同性質であるので、退職手当等に該当しません。

ここのところは、通達でも確認されています。

源泉徴収の仕方の原則と例外

給与所得者の扶養控除等申告書は、

その給与等の支払者のもとを退職したときにその効力を失うものとされています。

したがって、退職者に退職後に支給期が到来する賞与や

追加払い給与等を支払う場合には、

原則として給与所得の源泉徴収税額表の乙欄で源泉徴収をすることになります。

但し、退職日と同年中の支給で、退職者が未だ再就職しておらず、

従って扶養控除等申告書の提出がなされていないことが明らかな場合には、

退職前に提出した扶養控除申告書がなお効力を有するものとして、

甲欄で源泉徴収をしても差し支えない、との取扱いが所得税の基本通達にあります。

乙欄徴収源泉税と再就職先での年末調整

再就職して、次の雇用者に源泉徴収票を提出する場合、

甲欄による源泉徴収票は次の就職先での年末調整の対象となる給与とされますが、

乙欄の源泉徴収票の給与は年末調整対象給与とはなりません。

社会保険料の控除は?

雇用保険料は債務確定基準で、
雇用保険の被保険者であった期間に

査定された賞与であれば保険料徴収対象になりますが、

健康保険料・厚生年金保険料は、支払日基準で、

資格喪失月の前月までに支給されたものに該当しなければ、

保険料徴収対象になりません。

資格喪失月とは資格喪失日を含む月のことで、

資格喪失日とは、退職日そのものではなく退職日の翌日のことです。

 

AMFニュース [2018年10月30日号]

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 輸出目的であっても国内渡しだと
 消費税が課税・付加されます

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輸出のための購入でも免税にならない事例

海外への物品の輸出については、

消費税が課税されない輸出免税となっています。

しかしながら、物品の引き渡しが国内で行われたものであれば、

国内取引として消費税が付加されます。

販売した者は消費税を購入者に請求し、

課税売上として消費税の申告に織り込まなければなりません。

貿易条件で危険移転の分岐点が変わります

貿易の取引条件の解釈を国際統一するための規則が

インターコムズと呼ばれるものです。

11の規則がありますが、FOBCIF等の用語を耳にしたことがあると思います。

FOB(本船渡し)とは、Free On Boardの略で、売主の義務が本船上で免除されます。

通関を済ませて貨物が船に乗った段階で所有権が移転されます。

輸出者(=売主)の運賃や保険などもここまでで、

以降は輸入者(=購入者)に負担が移ります。

リスク移転が国内であれば 課税取引です

工場で引き渡しをする取引条件がEXWEx Works)です。

売主の敷地内で引き渡せば、運賃や保険なども不要なので、

売主側は安く売ることができます。

一方、購入者側は本体価格だけでよいので購入価格は一番安くなります。

引き取り後の運賃や保険を安く抑えれば、総費用が安く済む目論みです。

しかしながら、最終的に輸出されるものであっても、

取引の場所が国内であれば消費税の課税対象となります。

輸出免税の対象とするためには、輸出者名義の輸出許可証が必要になり、

取引条件は、引き渡し場所が国外となる本船上であるCIF

もしくはFOBとすることが必要です。


国内引き渡しで発生する消費税のトラブル

物品の受け渡しが国内扱いとなる取引条件で売買があった場合、

販売者及び購入者とも消費税申告や税負担を巡るトラブルが発生しかねません。

販売者側が、輸出免税と思って、課税売上に入れないと、

税務調査等で否認され、税金の追加負担となります。

購入者側は、国内取引となったことで思わぬ消費税負担が発生します。

事前の消費税課税事業者選択で申告還付することができない場合、

負担した消費税の取り戻しはできません。

目先の購入額の安さに目がくらみ、大損ということもあり得ます。

取引全体の費用見積もりの際にご注意ください。

 

AMFニュース [2018年10月23日号]

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  消費税軽減税率導入まで
  あと1年!

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消費税軽減税率制度の概要

2019年(平成31年)101日から、消費税及び地方消費税の税率が

8%から10%に引き上げられると同時に、

消費税の軽減税率制度が実施されます。

軽減税率(8%)の対象となるのは、次の2品目です。

飲食料品飲食料品(酒類を除く)

外食やケータリング等を除く。

新聞週2回以上発行される新聞 

(定期購読契約に基づくもの)


区分記載請求書等保存方式が始まる

軽減税率制度の実施に伴い、

消費税等の税率が8%と10%の複数税率になりますので、

2019 10 1日から2023930日までの間は

税率ごとの区分経理が必要です。

また、区分経理に対応した帳簿及び請求書等の保存も要件となります。

適格請求書等保存方式(インボイス方式)

2023 10 1 日以降、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、

「適格請求書等保存方式」いわゆる「インボイス方式」が導入されます。

適格請求書(インボイス)は、適格請求書発行事業者として

登録を受けた事業者でなければ交付できませんので、

適格請求書発行事業者となるためには、

202110 1日以降、登録申請書を税務署に提出しておかなければなりません。

免税事業者は、課税事業者となることを選択し、

登録申請書を提出すれば適格請求書発行事業者となることができます。


レジの導入はお早めに

複数税率対応レジを導入することで、

区分記載請求書等の発行が簡単にできるようになりますし、

今なら軽減税率対策補助金が1台当たり最高で20万円受けられます

(※資本金額など一定の条件があります)

軽減税率対策補助金は今年8月現在で

約7万以上の事業者に交付されたとのことです。

メーカーによっては人気商品が欠品となっていて、

納品までに時間がかかるケースも見受けられるようになってきました。

軽減税率対策補助金の補助事業の完了期限は

2019930日まで延長されていますが、

補助金に限りもありますので、早目の対応をおすすめします。

中小企業庁の補助金申請の審査が厳しくなっていますので、

書類作成は適正に。

 

AMFニュース [2018年10月16日号]

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「領収書」と「領収証」
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「領収書」か「領収証」か?

民法では「受取証書」としています。

要は金銭を支払った者が受け取った者に、

受け取った旨の証拠となる書類の交付を請求でき、

その請求に基づいて公布された書面を「受取証書」としています。

これがいわゆる「領収書」又は「領収証」です。

「金銭の受取」を「領収」と言うことから「受取証書」が「領収証書」となり

「領収書」や「領収証」として一般に使われているものと推測されます。

その意味ではどちらも同じで、どちらでも良いと言うことになります。

国税庁では領収書領収証

「領収証」や「領収書」が関係する税法は印紙税法です。

国税庁は以下のように言っています。

〈金銭又は有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書

「金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。

受取書とはその受領事実を証明するために作成し、

その支払者に交付する証拠証書をいいます。

したがって、「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと、

受取事実を証明するために請求書や納品書などに

「代済」、「相済」とか「了」などと記入したものや、

お買上票などでその作成の目的が金銭又は

有価証券の受取事実を証明するものであるときは、

金銭又は有価証券の受取書に該当します。〉

総称として「領収書」と言い、その中の一つとして「領収証」を上げています。

受領の事実は支払いの事実

「領収書」であれ「領収証」であれ、

受領事実を証明するために作成された証拠証券ですから、

逆にその「領収書」や「領収証」を貰った側から言えば、

払った事実を証明する証拠証券でもあります。

ですから支払った経費等の証明資料として、非常に便利な資料となるわけです。

しかし、銀行を経由して振り込んだ場合は、

銀行取引の明細を見れば支払いの事実は証明できますので、

領収書や領収証の発行をしない場合が多いのです。

カード決済の場合も、カード決済の明細書を保管しておけば

支払いの事実は証明できます。

ただその支払いが経費か否かは内容によりますので、

何に使ったかわかるようにしておく必要があります。

 

AMFニュース [2018年10月9日号]

 

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  シリーズ勘定科目
        預金勘定

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預金の種類

「普通預金」「定期預金」「積立定期預金」「当座預金」が
なじみの深い預金です。

勘定科目としてはそれぞれの名称で科目を設定しても良いし、

まとめて「預金」勘定としても構いません。

管理上は分けた方が管理しやすいため

多くの企業では分けて勘定科目を設定しております。

ただ決算書などには、現金と合わせて「現預金」として一括表示する場合が

多々見受けられます。


預金と貯金

銀行(都市銀行・地方銀行・ネットバンク・信用金庫・信用組合)には、

お金を預けて代わりに運用してもらいますので「預金」と呼んでいます。

一方の郵便局・農協・漁協は、お金をためて置くので、「貯金」と読んでいます。

郵政民営化後はゆうちょ銀行となりましたが

「貯金」という名称はそのまま使用されています。

もっともポピュラーなのが「定額貯金」です。

定額を積み立てる預金ですが、半年経過後はいつでも解約できる

ゆうちょ銀行独特の預金です。


外貨預金

外貨預金は預金通帳や取引明細書の記載は全て外貨ですが、

記帳は日本円で行います。

面倒なのは相場が日々変わることです。

例えば1ドル=110円の時に100ドルの売上があり、

入金時の相場が1ドル=120円だった場合、

更に決算時の相場が1ドル=115円となった場合を想定すると

以下の処理となります。

売上時

(売掛金) 11,000 (売上)11,000

入金時

(外貨預金)12,000(売掛金)11,000

(為替差益) 1,000

決算時

(為替差損)500  (外貨預金)500

外貨取引が滅多にない会社でしたら上記の処理でも構いませんが、

外貨取引が多い会社は毎日変わる為替レートで処理していると

極めて煩雑になりますので、

期の初めに年間の為替レートをあらかじめ決め

期中は全てそのレートで処理します。

決算期末に期末のレートで換算し為替損益を認識します。

しかし期の途中に大きく為替レートが動き、

期の初めに設定した為替レートと大きく異なった場合は、

期の途中で変更することもあります。

 

AMFニュース [2018年10月2日号]


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修繕費と資本的支出
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修繕費と資本的支出

国税局は「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち

当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると

認められる部分に対応する金額」を資本的支出と言っています。

ですからそうならなければ修繕費ということです。

しかしその判断は非常にあいまいかつ微妙で、

その判断に迷う場合は結構あります。

国税当局もそのへんは認識しており、形式基準を公表しています。

その内容を整理し、迷った時の判断基準にしましょう。

第1次判定……支出金額が20万円未満か

又はおおむね3年以内の周期で発生するかどうかで

判定、該当すれば修繕費で処理します。

第2次判定……次に明らかに資本的支出になるもの、

明らかに修繕費になるものがあれば、

それぞれ資本的支出、修繕費で処理します。

第3次判定……2次判定で処理した残額が、

次のイ、ロのいずれかに該当すれば

その残額を修繕費で処理できます。

イ.60万円未満

ロ.修理・改良等を行った資産の前期末現在の取得価額

(未償却の帳簿残高でなく買った時の価額)のおおむね10%相当額以下

第4次判定……1次から第3次判定の基準でも

判定できない場合には、その部分については「73基準」を適用して

形式的に区分することも可能です。

この「73基準」とは、法人が継続して

その金額の30%相当額か、

その修理・改良等をした資産の前期末における取得価額の10%相当額の、

いずれか少ない金額を修繕費とし、

残額を資本的支出とする経理をしているときはこれを認めるとされています。



請求は一括でなく詳細に

上記はいずれにせよ修繕費か資本的支出か判断できない場合です。

判断できない場合とは往々にして修理もしたけど

ついでに補強や機能のUPを図ったような場合で、

請求が一括でどこまでが修理かわからないといった場合が多いのです。

そのため、修理と補強や機能UP部分が明確になるように

請求書を記載してもらうことが肝心です。
 

 

AMFニュース [2018年09月25日号]

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シリーズ勘定科目
      現金勘定

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経理上「現金」勘定で処理するものは?

硬貨や紙幣といった貨幣(お金)のほかに、

金融機関ですぐに換金できる通貨代用証券も含まれます。

通貨代用証券とは

他人振出小切手、送金小切手、郵便為替証書、

配当金領収書、期限の到来した公社債利札 などです。

また貨幣といっても円とは限りません。

ドルや元等他国の通貨も「現金」勘定で処理します。


他国の通貨(外貨)の処理

外貨も経理上の表示は○○円と円表示ですが、

その外貨を取得した時の円相場と

決算時点での円相場が違っているときは、

為替差損益で残高を修正します。

例えば1ドル=120円の時に10,000ドル取得した場合、

「現金」勘定には1,200,000円と記帳されます。

しかし決算時点で1ドル=110円となった場合は、

以下の処理をします。

(為替差損)100,000/(現金)100,000


仮想通貨はどうなるの?

仮想通貨は、通貨といっても現物がありませんので

「現金」勘定ではなく、「仮想通貨」勘定を設けて

別途処理するのが現状では妥当です。

外貨同様決算時点で、相場が変わっていれば

損益勘定で修正します。


現金取引は減っている

現在多くの企業では現金取引は少なく、

ほとんどが銀行を通じた決済となっておりますので

「現金」勘定が登場する場面は少なくなっております。

企業が従業員の交通費や立替金を清算する場合は

「小口現金」勘定を使い、

「現金」勘定とは区別して管理します。


現金商売は日々の管理を

しかし小売業や飲食業などは日々の現金商いですから、

現金勘定の管理は日々行う必要があります。

最近ではつり銭までレジが計算してくれますので

間違いは少なくなりましたが、

つり銭間違い等で売上の伝票やレジ集計等と

現金が合わない場合も多々見受けられます。

その場合は「現金過不足」勘定で

残高を合わせておく必要があります。

現金商売をしている小売店や飲食店には

突然税務署の調査官が来て、

レジの現金とレジ集計表との突合を

してゆくこともよくあることです。

注意しましょう。

 

 

AMFニュース [2018年09月18日号]

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    固定資産税は気を付けて

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固定資産税は賦課決定


所得税や法人税は納税者本人が税額を計算し申告して税金を納めます。


それに対し、固定資産税は役所が不動産を一方的に評価して納税額を決め、


それを納税者が納めます。



固定資産税にはプロがいない


お役所のやることだから間違いはないだろうと思いがちですが、

 

結構間違いは多いのです。


その原因は対象不動産に対して

 

圧倒的に評価人員が不足しているということです。


東京都の場合、都内に土地は約221万筆、


家屋は約160万戸あると言われています。


これらを全て実地調査することは不可能と言われています。

 

また、都の職員は都税事務所に就職するのではなく東京都に就職し、

 

職場のローテーションで固定資産税の現場に配属されますが、

 

定年まで固定資産税係ということはなく


23年で別の部署に配属されますので常に素人集団です。


こういった傾向はどの自治体も同じです。



まずは納税通知書を見直してください


固定資産税の納税通知書は読みにくいでしょうが、


以下のことを確認してください。


土地の所在・家屋の所在、家屋番号


自分のものか確認してください。


登記地目・家屋の種類・用途、構造


現況と異なっていないか?


地積・家屋面積


実際の面積と相違がないか?


ただし、実測をする場合はかなりの費用が掛かります。


価額


住宅用地の場合、評価額と課税標準額は異なります。


当然課税標準額の方が小さいはずです


(ちなみに住宅用地の場合、住宅1戸につき200㎡までは1/6です)。



おや?と思ったら


自治体の窓口に出向いて課税資料を請求してください。


土地なら「土地現況調査票」、


家屋なら「再建築評点計算書」「基準年別計算書」


(自治体により名称が異なる場合があります)が


必ずあるはずです。


明らかにおかしい場合は、「審査申し出」を行ってください。


しかし「審査申し出」は


原則として3年に1回の基準年度の限られた期間ですので、


窓口で「再調査」の依頼をしてみてください。


自治体により対応していただける場合もあります。

 

AMFニュース [2018年09月11日号]

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     日本国内の外国における

    消費税免税と仕入税額控除

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日本の米軍基地は国内なのか国外なのか

日本にある米軍基地は、日本国内の外国であって、

治外法権の地とされています。

しかしながら、消費税法第2条第1項第1号は、

「国内」を「この法律の施行地」と定義しており、

日本の主権が及ぶ領土、領海及び領空が、

日本の国内法である消費税法の施行地に含まれることは明らかであり、

米軍基地が日本の領土内にあることを疑う余地はありません。

そのため、米軍基地内での資産の譲渡等も、

国内において事業者が行った資産の譲渡等として、

消費税法により、消費税を課することとされています。


日米地位協定による消費税免税

一方で、現実的な取扱いでは、

日米地位協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律により、

米軍基地内での資産の譲渡等は、

所定の要件を満たせば、免税とされています。

これは、日米地位協定は条約であり、

国内法である消費税法よりも優先適用されるためです。


免税なのに仕入税額控除は適用されません

所得税法等の臨時特例法の7条は(消費税法の特例)を定めています。

同条1項で、

「合衆国軍隊等の用に供するために購入するもの、個人契約者又は法人契約者が

その締結した建設等契約に係る建設、

維持又は運営のみの事業の用に供するために購入するもので

合衆国軍隊の用に供されるもの等」は免税とされています。

ここで注意をしなければならないのは、

日米地位協定で消費税免税とされているものは、

輸出免税と同じではなく、非課税であり、

課税売上割合の算定上も非課税扱いで、

仕入税額控除が出来ない点にあります。

この辺の理論的な扱いは、国税不服審判所の裁決

(平成26年5月8日、平成281220日等)を参照してください。

米軍基地内の消費税は、

「治外法権の外国だが国内取引だから原則課税」

「日米地位協定特例法で免税」

「消費税の計算に当たっては、輸出免税ではなく、

非課税扱いだから仕入税額控除の枠外」となります。

米軍基地周辺の方には米軍基地と商売上の取引がある方も少なくないことでしょう。

直接取引を行うのか、

間に第三者が介在した取引になるのかによっても、

特例法の適用が変わってきます。

商売の流れが変わったときなどは特に留意が必要です。

三沢、横田、厚木、横須賀、岩国、佐世保、

嘉手納、普天間近辺で商売されている方は

関係する話かもしれません。

 

AMFニュース [2018年09月04日号]

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     交際費課税の特例延長

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年額800万円までか、全体の50%か

法人が支出した交際費は原則として損金不算入ですが、

平成26年度税制改正から、

資本金1億円以下等の中小法人については

支出する交際費等のうち年800万円以下は

損金として計上するか、

接待飲食費の50%相当額を損金計上するかの

選択適用ができるようになりました。

また、中小法人以外の法人でも、

接待飲食費の50%相当額を

損金計上できるようになりました。

当初は平成28年までの特例措置となっていましたが、

28年度税制改正で303月まで、

そして今年の30年度税制改正で

32331日までに開始する事業年度まで、

と適用期限が延長されました。


5,000円以下の接待飲食費の扱いに注意

昔から実務上は5,000円以下の飲食費は

会議打ち合わせでの飲食との区分が曖昧でしたが、

平成18年度改正より飲食に関する接待費が

5,000円以下であれば税務上交際費に含めず、

全額を損金計上できる事が明記されました。

ただしその法人の役員・従業員・親族に対する

接待等のために支出するものは、

5,000円以下であっても交際費に該当しますので

注意が必要です。

また、帳簿書類への記載は、

飲食のあった年月日

参加した得意先等の方の氏名や関係

参加した人数

飲食費の額と店の名前・所在地

等を明記する必要があります。

よく経理担当者から

「この領収書のお店、誰と行ったんですか?」

と聞かれる社長も多いかもしれませんね。

お付き合いの多い場合は

「分からなくなるからすぐに領収書に

相手の名前を書いておく」

という方もいらっしゃいます。



交際費課税は景気のバロメーター?

昭和29年度の税制改正から導入された交際費課税制度ですが、

過去には頻繁に改正が行われていました。

世相や景気によって左右されがちな交際費課税ですが、

ここ最近の特例措置の延長に鑑みると、

政府は景気の回復を最優先にしていることが見て取れます。

 

AMFニュース [2018年08月28日号]

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      介護保険の被保険者

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介護保険2種類の被保険者

 

介護保険の被保険者は第1号被保険者と第2号被保険者に分かれます。

 

第1号被保険者は市区町村に居住する65歳以上の人であり、

第2号被保険者は市区町村に居住しかつ医療保険制度に加入している

40歳以上65歳未満の人です。

 

普通、会社員は2号被保険者に該当します。

 

市区町村に居住している事が前提ですので

住民票を除票して国外に居住している場合は介護保険制度の対象にはなりません。

 

第2号被保険者の介護保険料

 

医療保険(健康保険)に加入している2号被保険者の介護保険料は、

会社から支払われる報酬から健康保険料と共に天引きされます。

 

また、国民健康保険の加入者は国民健康保険料と共に

納付書で払うか口座振替で支払います。

 

第2号被保険者で給与所得者の給与天引きはいつから控除されるのでしょうか?

 

満40歳に達した月から控除されますが、

介護保険料は健康保険料の天引きの規則と同じなので

「当月支払いの報酬から控除できる社会保険料は前月分」のルールに基づき

誕生月の翌月に支払われる報酬から天引きされます。

 

賞与では、支払われた月が40歳になった月と同じ場合は

誕生日前でも介護保険は徴収されます。

 

一方、退職日と40歳誕生月が同じ月の場合は

月途中の退社であれば退職日が誕生日後でも保険料は徴収しません。

 

さらに65歳になった時には第1号被保険者になるので

介護保険料は徴収せず年金からの特別徴収になります。

 

被扶養者の妻が40歳になったら

 

健康保険の被扶養者が40歳になっても

被保険者から被扶養者分の介護保険料は徴収しません。

 

健康保険組合で特定被保険者制度を採用している組合は

被扶養者が40歳になった時は被保険者から介護保険料を徴収します。

 

国民健康保険は被扶養者という概念でないため、

同居家族が40歳になれば各々の分が徴収されます。

 

受けられる介護サービス

 

第2号被保険者は指定されている特定疾病が原因で介護状態になったら

認定後介護サービスを受ける事ができます。

 

第1号被保険者は理由は問われず介護状態になったら

認定後、介護サービスを受けられます。

 

介護保険の適用を受けるには医師の意見書と市区町村への申請、

認定調査により判断されます。

 

AMFニュース [2018年08月21日号]

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   給与所得控除に関する一考察

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給与所得控除の一律引き下げとは


税理士会や税の専門家の間では、課税の公平という観点から

現在の給与所得控除は多すぎるのではないかという意見が多数派です。

 

他の先進国との比較でも多すぎるという意見が主流となっております。

 

そこで今年の税制改正では、給与所得控除が一律10万円の引き下げとなり、

上限額も220万円から195万円に引き下げられました。

 

但し給与所得控除には生活保障的な配慮がありましたので、

基礎控除を一律10万円上げることで、

年収850万円までの給与所得者の税負担は変わりませんでした。

 

給与所得控除は多すぎるのか?


所得税は、収入から必要経費を引いて計算された所得金額から

最低限の生活保障を担保するために所得控除を引いて課税所得金額を求め

税率を掛けて計算されます。

 

給与所得控除というと所得控除の一種と勘違いされそうですが、

実は必要経費として概算で計上できる経費のことです。

 

商売では年収1000万円でも仕入や光熱費・交通費等必要経費が掛かります。

 

これらを控除して400万円の利益が出て

これを個人事業所得として申告した場合は、

1000万円-600万円(必要経費)=400万円が所得金額ということになります。

 

この商売を会社にして利益の400万円を給与でもらうと

会社の利益は0円で個人は給与所得ということになり、

給与所得の必要経費である給与所得控除が引けることとなります。

 

改正後でも124万円の給与所得控除が引けるため、

個人の所得金額は276万円ということになります。

 

こういった節税は一般的に普及しており、

多くの個人商店はほとんどが法人化して一族みんなで給料をもらうことで

かなりの節税効果を発揮しております。

 

現実は単純ではない


現在の所得計算において、課税の公平を図るということを厳密に突き詰めれば

給与所得控除は無くさなければならなくなると思います。

 

しかし一方で利子・配当・不動産等の不労所得といわれている、

働かないで得た所得と労働の対価が同じ所得計算で良いのか

といった議論もあります。

 

これには各国の国民性や歴史的背景が深くかかわっていて、

そう簡単に結論の出る問題ではないと思われます。

 

AMFニュース [2015年04月28日号]

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最大で7,000万円が非課税

直系尊属からの贈与特例が拡充

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高齢者層から若年世代への早期移転

近年の資産税は「高齢者層から若年世代への財産の早期移転」を促
す改正が相次いでいます。

特に平成27年からは、「直系尊属」から「直系卑属」への贈与につ
いて大胆な軽減措置がいくつも施行されます。

特例税率~直系尊属から成人者への贈与

まず、平成271月からの贈与から既に適用されている「特例税率」
が挙げられます。

平成27年分以後の贈与税率は、「一般税率」と直系尊属から20歳以
上の者への贈与に対する「特例税率」の2つに区分されました。
この「特例税率」は「一般税率」に比して累進度が緩和された軽減税
率です。

住宅取得等資金の非課税制度の延長・拡充

また、平成27年改正では「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受け
た場合の非課税」措置が平成316月までに延長されるとともに非課
税金額も拡充されています。

今回の改正の特徴は、「住宅取得資金非課税限度額」(消費税8%契
約・中古住宅の個人間売買)と「特別住宅取得資金非課税限度額」
(消費税10%契約)の2つの非課税枠が設けられたことです。

これは消費税率改訂時の住宅需要へのインパクトを緩和するために消
費税率10%が適用される契約がされる時点での贈与について別枠を設
けたものです。
このような非課税限度額が「8%契約」「10%契約」と別枠で設けら
れていますので、8%契約で購入した家屋を、後に10%契約でリフォ
ームした場合等はこの非課税枠を「ダブル」で適用することができます。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税

また、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」制度
の「結婚・子育て」版が設けられました(平成274月以後の贈与から
適用)。

こちらは、直系尊属が子・孫等の結婚・子育て資金を金融機関に信託・
預入等をした金額のうち1,000万円までは非課税とする制度です。

複数の非課税制度を適用した場合

これらの「直系尊属」からの贈与の特例を最大限適用した場合、教育資
金贈与非課税(1,500万円)+結婚・出産資金贈与非課税(1,000万円)+住
宅取得資金非課税(H27優良住宅・1,500万円)+特別住宅取得資金非課税
(H28.10H29.9・優良住宅3,000万円)7,000万円が非課税となります。


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AMFニュース [2015年04月21日号]

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 許認可事業の事業承継対策

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社長の平均年齢は過去最高齢の59.0歳!

帝国データバンクが行った2015年全国社長分析によると、社長の平均
年齢推移は一貫して上昇を続けており、2014年は59.0歳と過去最高を
更新したそうです。

自分が作り上げてきた事業を、更に育ててくれる後継者に引き継がせた
い、そんな想いで事業承継に取り組んでいる社長も多くいらっしゃることと
思います。

事業承継を巡っては様々な経営資源が問題の対象になりますが、本日
は「許認可」に焦点を当てて考えてみます。

許認可事業は承継される?

会社で行っている事業が何らかの「許認可」を得ている場合、その事業
は預貯金や株式などの資産と違い、必ずしも次世代へ引き継がれるとい
うわけではありません。

許認可を取得する際、

「ヒト(人的要件)・モノ(物的要件)・カネ(財産的要件)」
の三要件を満たすことと掲げられている場合が多く見受けられます。

のうち、もし社長自身が「ヒト」の要件を満たしその許認可を取得して
いると、社長が退くことで、事業そのものを維持できなくなってしまうこと
もあるのです。

ここでは、建設業を例に挙げます。

建設業許可の承継に必要な人的要件

建設業許可の取得では、「経営管理業務責任者(経管)」と呼ばれる経
営を管理する人と、「専任技術者(専技)」と呼ばれる技術面を担う人の
存在が求められます。

この二者は誰もがなれるものではなく、経管は建設業許可業者の役員
として少なくとも5年以上の経験、また専技は一定の資格を取得してい
るか、10年以上の実務経験を積んでいるといった条件が課されています。
もし社長がこの経管と専技の役割を担っている場合、社長が引退してし
まうと「ヒト」の要件を満たせず、許可の取消し事由になってしまう可能性
がありますので、事業の承継をするためには、後継者としてこうした一定
条件をクリアできる人員を確保していかなければなりません。

許認可事業の事業承継は早めの対策を

ご自身の経営されている事業に許認可が与えられている場合は、今一度
その取得要件を確認してみましょう。
建設業許可に限らず、「ヒト」が許認可の維持に必須となっているものが多
い中、このように要件を満たすまで長い年月を要するケースもありますので、
長期的な対策が必要です。


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AMFニュース [2015年04月14日号]

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 ダイバーシティと女性の活躍

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個々の違いを認め合い組織力向上を目指す

安倍政権の成長戦略の1つである「女性の活躍推進」が重要課題として
進められています。

少子高齢化や労働力不足、企業活動のグローバル化などの対応という
点において企業経営を取り巻く環境は様々な人材が活躍できる「ダイバ
ーシティ(多様性)」が必要となってきました。

高齢者、女性、外国人などを活用し、日本人、男性、正社員、長時間労
働を前提にした今までの働き方から転換し、多様な人材が活躍できる職
場組織の実現が不可欠な時代になってきています。
多様な人材の活用は必要ではあるが、このような多様な人材や働き方を
推進するダイバーシティを進めるにはトップの問題の取り上げ方にもかか
っています。

一方組織を動かす時に様々な意識や価値観をまとめるのはたやすいこと
ではありません。

それを実行に移すのは職場レベルの反発や抵抗も生じやすいものです。
よその会社が行うならば良い事に思えても自社で導入するにはハードル
高く感じます。

例えば制度や法律を変えて休暇を作っても、休暇の後に長時間労働にな
るのでは意味がありません。
きがいと働きやすさを求める

企業が女性の活躍を進めるには何が必要でしょうか。
女性の支援と言うと、出産育児制度の導入は法的整備もあり実施率は高
いのですが、その後働き続けられるかどうかは別の問題です。
女性に限りませんが働きがいを感じる為には人材育成を後押しし、スキル
を身に付け「仕事の与え方」「結果のフォローアップ、フィードバック」等男性
だけでなく女性にも同様な教育が必要でしょう。

そして意欲を引き出し、離職防止のための柔軟な労働時間等働きやすい弾
力的な制度で勤務継続が可能な働き方を選択できる事も大切でしょう。
しかし休暇制度支援があったとしても、責任のある仕事は任せにくい、移動
させにくい等の理由で育休後のキャリアが積みにくい現状があります。
女性が家庭と仕事の両立をするには、今後増えてくる親の介護責任を担う
男女従業員も含めてフルタイム等、画一的な働き方ばかりではなく、たやす
くはできないかもしれませんが仕事の責任を果たした上でキャリアも積む事
が出来る柔軟な組織作りが必要な時代が来るでしょう。

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AMFニュース [2015年04月07日号]

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個人事業も開業は大変?

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確定申告も終わり、ほっとしている方も多いと思いますが、これ

から個人事業を始めようとされる方へ、開業にあたっての留意点

です。

個人事業は法人設立と違って簡単に始められそうですが、個人事業

者の場合であっても、税務署へは様々な届出が必要となります。

開業届や青色申告の承認申請、専従者のいる場合には青色事業専
従者に関する届出など、片手ではおさまらないほどの書類の提出が
必要です。

原則的な効力発生は

新規に開業した場合、多くの書類は開業後1~2ヶ月の間に提出す
ればよいことになっています。
例えば青色申告の承認申請は開業後2ヶ月以内に提出すれば、
開業の年から青色申告者として確定申告をすることになります。
つまり開業後1~2ヶ月の間にこれらの書類を提出すれば、開
業時点から各規定が適用されることとなります。

例外的な規定
その1 源泉徴収の納期の特例

従業員に給与を支払うような場合には所得税を源泉徴収し、その
翌月10日までに国に納付することとなっていますが、給与の支払
を受ける者が常時10人未満である事業所等については、申請書
を提出した場合には特例としてその納付を

1月(7~12月分)と

7月(1~6月分)の

年2回とすることができます(これを源泉徴収の納期の特例と言
います)。

例えば4月1日に開業して開業と同時にその申請書を提出した
ような場合には4月分から6月分の給与に係る源泉税をまとめ
て7月に納付すればよいと考えがちです。

ですがこの申請書は提出月の翌月末日に承認がされるものと
なっておりますから4月1日に提出した場合、特例の効力発生
は5月31日となり、1回目の納付日である5月10日は特例の適
が受けられず、4月分の源泉税を納付しなくてはなりません。

その2 消費税課税事業者選択届

この届出は、開業した年の1231日までに出せばよいこととなっ
ております。

しかし、開業時に多くの届出を済ませてしまいますから、開業
から1231日までにかなりの間隔があると、ついつい忘れて
しまう場合があります。

ご留意ください。

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AMFニュース [2015年03月31日号]

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棚卸資産の評価方法 

   低価法の適用漏れがあったら?

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「低価法」の網羅性の要求度はどこまで?

棚卸資産の低価法を適用した会社特にその種類が多い会社は「低価法の
適用漏れがあったらどうなるのか?」と心配になることがあるかもしれません。
確かに、期末に存在する棚卸資産のすべてについて調査を行い、網羅性を確
保するには多大な労力を要し、全購入品について低価の事実の発生の有無を
判定することは事実上不可能といってもよいでしょう。

計においては、会計方針として棚卸資産の評価基準に低価法を選択した場
合に、「つまみ食い」的に低価法が適用されれば、「利益操作」につながるもの
と理解されています。

金額的に重要性が低いものならば、さほど問題とされない場合もあると思いま
すが、「恣意的な運用をしていない」という環境を確保する意味で、ルール作り
やマニュアルの継続的・安定的な運用を図りたいものです。

税務上全額が否認されないか?
一方、税務上の心配ごとは、「棚卸資産の一部に低価法の適用漏れがあった
場合には、適用全体が否認されてしまうことはないのか?」ということだと思い
ます。

実はこれについて、法人税においては法令にも、通達にも触れたものは何も
ありません。

一般には「低価法の適用全体が否認されることはない」と理解されています。
つまり、棚卸資産の一部について低価法の適用漏れがあったとしても、法人
の所得金額と納税額が増えるだけです。

法人が単に権利を放棄したというだけであって、法人が任意に評価損の損
金算入を行わなかったものとして取り扱われるだけの問題となります。

申告時の減算調整はできるのか?
ここで法人税法における低価法については、特定の事実が生じた場合の
評価減(会計上の強制評価減)と異なり、損金経理を要求していません。
従って、会計で取り込まなかった低価法の評価損があった場合に、この洩
れがあった評価損相当額を法人がその申告時に減算調整することは許容
されているものと解されています(税務調査による減額更正は難しいでしょう)。


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AMFニュース [2015年03月24日号]

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H28.1.1以後の譲渡から適用 上場株と

 非上場株の損益通算不可

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H25改正 株式譲渡損益通算ルールの変更
平成28年から「金融所得一体課税」が導入され、株式の譲渡損益の
通算ルールが変わります。
今年のうちは上場株式の譲渡でも非上場株式の譲渡でも同じ「株式
等に係る譲渡所得」(分離課税)に変わりがありませんので、同一
所得内で損益として通算が可能です。ただ年明け後は「上場株式等
(上場株式+特定公社債)に係る譲渡所得」と「非上場株式等(非
上場株式+一般公社債)に係る譲渡所得」に建付けが変わることに
なります。

従ってH28.1.1以後の譲渡については、上場株式と非上場株式の譲
渡損益を通算することはできません。
株価低迷期の事業承継策で行われていた「非上場の自社株譲渡で生
じた益を上場株の譲渡損とぶつける」などのプランは実行できなく
なります。

非上場株譲渡の「損出し」は要注意!

この新法適用までは1年間の時間がありますので、当年中に上場株
式を譲渡して、そこで生じた益をできるだけ非上場株の譲渡で生じ
た損で相殺しようと考える方もいるかもしれません。

ここで気をつけたいのは、非上場株式譲渡の税法の取扱いです。

「時価」取引でない場合、課税トラブルを招くことがあり、特に譲
渡損が生じるときには注意が必要です。

1)個人株主から個人へ低額譲渡

個人株主が時価の1/2以下で譲渡した場合には「譲渡損はなかった
もの」とみなされます。

この場合「上場株式の譲渡益と非上場株式の譲渡損を通算する」と
いうプランは成立しません。

買手個人側も「著しく低額」な譲り受けは贈与税が課税されます。

2)個人株主から法人への低額譲渡

個人株主が法人へ低額譲渡した場合には、時価で譲渡したものとみ
なして課税されます(「みなし譲渡」)。

また、買手法人側も受贈益課税を受けます(自己株式等を除く)
「時価」課税トラブルを避けるには、この非上場株式の「時価」の
算定については、所得税・法人税・相続税の各通達規定が絡んだ専
門的な知識が必要となります。非上場株式の取引をお考えの際には、
事前に税理士に御相談下さい。


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AMFニュース [2015年03月17日号]

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厚生年金保険  資格取得時の本人確認

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社会保険資格取得時の届出・本人確認

入社した時に厚生年金保険の資格取得届を年金事務所や健保組合

経由で提出しますが、平成2610月から厚生年金被保険者資格

取得届を提出する際は本人確認の事務が一部変更されています。

 

これはマイナンバー制度の導入により平成281月から公的年

金等の社会保障分野や税分野で、マイナンバー利用が開始される

事に向けた取り組みだとしています。

マイナンバーは住民票コードを基礎にして作成され、平成27

10月以降に市区町村から住民票の住所に通知カードが送られて知

らされます。

 

基礎年金番号の無い方は

資格取得時に基礎年金番号を持っていない方は従来通り、運転免許

証などで本人確認を行いますが、届け出る住所は住民票の住所であ

る事が必要となりました。

 

原則的には日本国内に住所がある20歳以上の人は基礎年金番号を持

っています。20歳未満や外国人の方のように基礎年金番号を持って

いない人、年金手帳を紛失し、番号の分からない方等は運転免許証、

住民基本台帳カード(写真付)、有効期限内のパスポート、在留カー

ド、国や地方自治体が発行した資格証明書(写真付)等で本人確認を

する事になっています。さらに日本年金機構で届出のあった住所と住

民票上の住所をネットワークシステムの本人確認照合で確認していま

す。その際本人確認できない場合は資格取得届は返却されます。

 

外国籍被保険者のローマ字氏名表記

外国人の方の年金記録を適正にするため、外国籍の方の厚生年金保険

資格取得届の提出をする時はローマ字表記の氏名を持つ方について、

「ローマ字氏名届」も併せて提出する事になりました。

届者には在留カード、住民票の写真に記載のあるローマ字氏名とふり

がなを記入し、住民票上で漢字の氏名、通称の氏名がある方はそれも記

入します。

すでに被保険者である外国人の方についても「ローマ字氏名届」の受付

は行なわれていますので、まだ届けていない時は届出をしておきましょう。

 

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2015年03月10日号]

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青色事業専従者に対する退職金

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青色事業専従者に対する退職金

個人事業者の所得の金額の計算上、青色事業専従者に対する退職金

の必要経費算入は認められておりません。

夫が個人事業者で、妻が専従者のようなケースですね。

所得税法では、専従者が受ける給与は給与所得の収入金額とするも

のとされています。

したがって、退職所得の収入金額とされるものは、専従者給与とす

ることを予定されていないと解されています。

 

専従者が利用できる共済制度

ただし、直接退職金を支払うことができなくとも、小規模企業共済

や中小企業退職金共済(中退共)を利用することが考えられます。

実はどちらの共済制度も、従来は個人事業者の専従者の加入が認め

られていなかったものですが、平成23年より加入ができることと

なりました。

この場合、小規模企業共済では専従者を「共同経営者」として、中

小企業退職金共済では、専従者を「従業員」として加入することに

なります。

そのため、青色専従者の場合は、「共同経営者」か「従業員」かの

ステイタスを選択せざるを得ないため、重複して加入することは

できないこととなります。

 

小規模企業共済制度を利用する場合

小規模企業共済に加入する場合、青色事業専従者は「共同経営者」

として自己が契約する形になります。

したがって、その掛金は青色事業専従者の所得控除(小規模企業

共済等掛金控除)を適用して、専従者の所得税額などを減らす形

となります。

 

中小企業退職金共済制度を利用する場合

一方、「従業員」の立場で加入する中小企業退職金共済の掛金は、

専従者給与を支払う個人事業者の事業所得などの所得の金額の計

算上、必要経費に算入することになります。

退職金を直接支払う場合には、必要経費算入が認められていないの

に、中退共の掛金が必要経費となることに疑問がないわけではない

ですが、他の従業員がいる場合に、すべての「従業員」が加入(普

遍加入)して平等に取り扱われ、「従業員」性が担保されていること

が前提となります。

 

どちらの制度も受取時には、一時金の場合には、退職所得(任意解

約の場合は一時所得)、年金の場合には、雑所得とされます。

 

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2015年03月03日号]

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退職後の傷病手当金と失業給付

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傷病が再発した時、傷病手当金は?

傷病で休職していた人が職場復帰した後に再発し、その後退職する

事となった場合、休業中に傷病手当金を受給していた時は再発した

のが支給期間内であれば手当金を受給出来ます。

傷病手当金の支給期間は支給開始日から16ヶ月です。

その間で残りの期間の分が支給対象期間となります。

 

退職後の傷病手当金は?

退職する時に傷病手当金を受けていた人は資格喪失日までに継続し

1年以上被保険者期間があれば、支給対象期間までは引き続き傷

病手当金を受給できます。

但し、継続給付となりますので、継続して受給しない時は対象から

外れます。

資格喪失時に傷病手当金を受給中で退職後も継続して受給していた

人が途中で傷病が回復して、就労可能状態になり、一旦傷病手当金

受給を中止するとそこで終了となります。

再び傷病が悪化しても資格喪失後の傷病手当金は受給できません。

 

傷病による退職後の失業給付は?

雇用保険の失業等給付は、就職しようとする積極的な意思があり、

いつでも就職できる能力がある人が失業状態であれば受給できま

す。ですから傷病状態ですぐには就業できない時は失業状態とは

言えません。本人に働く意思があり、医師が働ける状態と診断し

ている場合には失業等給付が受給できるでしょう。

 

傷病手当金と失業給付の併給は無い

傷病手当金は労務不能状態であるから受給できる手当であり、失

業等給付は働く事が出来る状態で失業中に支給されるものである

ので両者の手当の目的は相反するものです。

もし、傷病が治り、求職活動をしている時、失業等給付を受給中

に傷病が再発して働けない状態となった場合には、失業等給付の

受給期間は就職した日の翌日から起算して原則1年ですから、そこ

で給付が終了してしまいます。

しかし傷病等の理由の場合、引き続き30日以上働けない状態とな

った時には受給期間の延長を申し込む事が出来ます。

1年の期間にプラス最大3年まで延長可能です。

 

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2015年02月17日号]

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正しい期間損益計算    発生主義とは何か?

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「収益・認識の認識基準」は2つある!

会計の重要な役割に「損益計算」があります。この「損益計算」を

算式で表せば、次のようになります。

総収益-総費用=純利益(純損失)

会社や個人事業者の方などビジネスを行う方にとっては、事業年度

や年という「期間」ごとに損益の計算を行う必要があるため、その

期間の損益を計算することを「期間損益計算」といい、上記の算式

の総収益や総費用がどの「期間」に属するか決めることを「認識」

といいます。

この収益・費用の認識基準の基本的なものには「現金主義」と「発

生主義」の2つがあります。

 

「現金主義」では収入・支出の時に計上

「現金主義」とは、収益が現金で収入した時()に、費用は現金を

支出した時()に計上する基準です。このやり方は、単純であると

ともに、客観性や確実性に優れていますが、今日の複雑な経済活動

の下では、掛取引などの信用取引も多く、現金主義では、事業の努

力(費用)と成果(収益)が必ずしも一つの期間に関連づけられな

いこともあり、「期間損益計算」の基準としては有用でない面を持っ

ています。

 

「発生主義」では「取引」の発生時に計上

これに対して「発生主義」とは、現金の収支によらず、収益・費用

が「発生」した時(期)に計上する基準になります。「発生」とは

簿記の考え方から言えば、「資産」「負債」「純資産」に増減をもた

らす「取引」が生じることと言い換えられます。

たとえば、商品の販売時には、「売掛金」という代金の請求権が生

じることになります。

この「売掛金」が生じることは、簿記では「資産」が増加する「取

引」と捉えているため、実際に現金が回収されるのをまたず、商品

を販売した時点で売上(収益)を計上すると考えるわけです。

 

貨幣性資産の裏付け(実現主義)も大事!

ただ、商品を販売した時というだけでは、「得意先と契約した時」

なのか、「商品を引渡した時」なのかわかりません。そこで「実現主

義」の考え方が援用されます。

「実現」とは「その財貨や役務が貨幣性資産の裏付けを持つこと」

です。

商品販売の場合、「商品の引き渡し」をもって、反対給付である「売

掛金」が請求できるため、「引渡しの日」に売上を計上することにな

ります。

 

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2015年02月10日号]

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高額療養費の自己負担額改定

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医療費の支払いが高額になった時

けがや病気で入院等をし、医療費の支払額が高額になった時、自己

負担が一定の額を超えた場合、申請により後から払い戻される制度

が健康保険の{高額療養費制度}です。

高額になる事が事前に分かる場合には「限度額適用認定証」を保険

交付してもらい医療機関に提示しておくこともできます。

その場合は支払い時に減免された額を支払うだけで一時的な大きな

負担をしなくても済むようになっています。

 

払い戻しを受ける場合は

高額療養費を申請して払い戻してもらうには病院等の領収証も必要

になりますが、病院は保険者に提出される診療報酬明細書(レセプ

ト)の審査を経てから支払いが行われるので診察月から3ヶ月以上

はかかるのが普通です。

申請は全国社会保険協会や加入している健康保険組合です。

また、被保険者が同じ月に入院や通院があったり、複数の医療機関

に受診したり、被扶養者が医療機関に受診した時は自己負担限度額

を世帯で合算する事が出来ます。

 

さらに高額医療費を受けた月が直近12カ月間に3回以上あった時は

4回目から自己負担額が軽減されます(多数該当)

 

平成271月から自己負担限度額改定

これまで70歳未満の被保険者に係る自己負担限度額は所得区分が3

段階でした。

改正では上位区分が増え次のように5段階に区分されます。

①標準報酬月額83万円以上の人

252,600円+(医療費-842,000円)×1

(多数該当限度額140,100)

②標準報酬月額53万円以上83万円未満

167,400円+(医療費-558,000円)×1

( 同     93,000円)

③標準報酬月額28万円以上53万円未満

80,100円+(医療費267,000円)×1

( 同     44,400円)

④標準報酬月額28万円未満の人

 57,600

( 同     44,400円)

⑤市町村民税が非課税の人

35,400

( 同   24,600円)

 

今回は70歳以上の方の変更はありません。

 

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2015年02月03日号]

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戸籍の附票

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1 戸籍の附票が必要な場合

所得税や相続税、贈与税の申告に際して、戸籍の附票が添付書類と

されている場合があります。

添付が要求されている場合でも、住民票の代替物として戸籍の附票

が必要な場合と、住民票の添付の有無に拘らず、戸籍の添付が要求

される場合があります。

戸籍の附票の添付を要求される主な場面は、居住用財産の譲渡や相

続や贈与、相続時精算課税にかかる相続や贈与、です。

2 戸籍の附票とは

ところで、戸籍謄本や抄本については誰でも一定の知識を持ってい

るでしょうが、戸籍の附票と言われると、エッ!! それって何? 

と思う人も多いのではないでしょうか。

戸籍の附票は戸籍の一部なのだろうから、戸籍法に定めがあるのだ

ろう、と誰しも思われるでしょうが、戸籍法には定めがありません。

3 住民基本台帳法での戸籍の附票の定め

戸籍の附票の定めは住民基本台帳法にあり、次の事項を記載するも

のとしています。

1.戸籍の表示(=本籍および筆頭者)

2.氏名

3.住所

4.住所を定めた年月日

住民基本台帳法によると、戸籍の附票は、戸籍を管理する市町村で

作成します。住民票に新たな記載事項が生じ、それが戸籍の附票に

関係するものであって、戸籍の本籍地が他市町村の場合は、その事項

を当該他市町村に通知することになっています。

なお、住民基本台帳には本籍地の記載があります。

 

4 戸籍の附票と住民票

住民票には、前住所、現住所の2点が記載されていて、他の市町村に

異動すると、転居先住所が追記載された上で、住民票の除票として、

その異動前の住所地の役所で保管されます。

戸籍の附票には、住民票の移動の手続きさえしていれば、住所の移転

記録の全てが記載されているため、住所の変遷の証明書となります。

ただし、戸籍自身が転籍、婚姻除籍などにより新戸籍となると、旧戸

籍における附票は引き継がれません。

 

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2015年01月27日号]

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会社の変更と外国籍従業員の届出義務

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1 外国人従業員の届出義務

 外国籍従業員を雇用されている企業の皆様、「所属機関等に関する

届出」という手続きをご存知でしょうか?

これは、平成247月から始まった新しい在留制度により新設され

た制度で、雇用関係や婚姻関係などの社会的関係が在留資格の基礎

となっている方が、その関係に何らかの変更が生じた場合、その旨

を届け出なくてはならないという義務を外国籍の方本人に課すもの

 です。

 正確には、平成2479日以降に上陸許可や在留資格の変更、在

 留期間の更新許可を受けた方に届出義務があるため、外国籍従業員

 全員にこの義務が課されているというわけではありませんでしたが、

 制度の施行から2年が経過し、現在ではほとんどの方が対象になっ

 ています。

 

2 会社の移転や名称変更のとき

 では、「社会的関係に何らかの変更が生じた場合」とは、実際どの

 ような場合を指すのでしょうか。

たとえば就労目的の在留資格、いわゆる「就労ビザ」を取得してい

る方の場合、その就労ビザは会社との「雇用関係」により付与され

ていますので、会社を離職したり、他社へ転職したりすると、社会

的関係に変更が生じたとして届出を行うことになります。

つい忘れてしまいがちなのが、会社の名称や所在地に変更があった

場合です。

法務省では、届出を行わなくてはならない変更事項として、「所属

機関の消滅、所属機関との契約の終了・新たな契約の締結があった

とき」の他、「日本にある契約機関の名称・ 所在地に変更が生じた

場合」と定めています。

「そういえば今年は会社を移転した」「社名変更をした」という企

業様で、もし外国籍従業員を雇用していらっしゃいましたら、従業

員の方が所属機関等に関する届出を行っているかどうか、ぜひ一度

確認してみてください。

 

3 届出を怠ってしまうと・・・

残念ながら、まだまだ認知度の低いこの届出。しかし、最近では届

出を怠った状態で在留期間の更新申請などを行うと、審査過程で、

別途確認の連絡や資料提出の通知が来るケースも見受けられるよう

になりました。

 

届出を怠った場合は20万円以下の罰金に、虚偽の届出をした場合は

1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることもあります。

届出義務を課されているのは外国籍の方本人ではありますが、会社に

変更が生じた場合には、合わせて従業員に対し届出の案内したいとこ

ろです。

 

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2015年01月20日号]

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平成27年度税制改正 資産課税編

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資産課税については、改正項目の多くは拡充、期限の延長です。

 以下、その内容を概観していきます。

 ●住宅取得等資金贈与の非課税枠の見直し

 直系尊属から贈与された住宅取得等資金の非課税措置については、

 その適用期限を平成31630日まで延長しています。

 また、非課税限度額についても、住宅取得等に消費税10%が適用

 される場合とそれ以外の場合に分け、その上で、良質な住宅とそ

 れ以外に区分し、消費税10%適用の場合、住宅取得に係る契約の

 締結期間が平成2810月~平成299月までは、良質な住宅取

 得には非課税枠は最大3,000万円、それ以外の住宅取得には最大

 2,500万円とする等の改正が行われています。

 さらに、良質な住宅家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4

 以上に該当する住宅家屋等が加えられています。

なお、東日本大震災の被災者に関しても一部非課税限度額が異な

るものの同様な改正がなされています。

●結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置

具体的な内容は、

①親・祖父母(贈与者)は金融機関に子・孫(受贈者20歳以上50

歳未満)名義の口座を開設

②当該口座に結婚・子育て資金を一括して拠出

③子・孫ごとに1,000万円を非課税とする

④贈与者死亡時の残高を相続財産に加算するが2割加算はない

⑤受贈者が50歳に達する日に残高があれば贈与税を課税

⑥適用期限は、平成2741日~平成31331日まで

なお、結婚・子育て資金の払出し可能な使途ですが

結婚費用(限度額300万円)、不妊治療、子の保育費、出産費用

●教育資金贈与の一部見直しと期限延長

適用期限は、平成31331日まで延長、そして、特例適用対象

となる教育資金の使途の範囲に、通学定期代、留学渡航費

●非上場株式に係る納税猶予の一部見直し

非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予について、事業承継の円滑

化の観点から贈与税の納税義務が生じないよう一部改正

具体的には、1代目が存命中に、2代目が3代目に株式を贈与した場

合(3代目が納税猶予制度を活用して再贈与を受けること)には、

猶予されていた贈与税の納税義務が免除される等の改正です。

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2015年01月13日号]

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平成27年度税制改正 個人課税編

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 個人課税については、配偶者控除を中心とした各種控除や税率構造

 等の大きな改正は見送られました。

 以下、主な改正項目を概観していきます。

 ●国外に居住する親族の扶養控除の適正化

 国外扶養親族21人もの扶養控除の適用を受けていた事例があり、

 その適用に疑義のあるものも散見されることから、適用を適正に

 するための改正が行われました。

 具体的には、国外に居住する親族に係る扶養控除等の適用を受け

 る納税者に対して、確定申告書等に次の書類を添付し、又は当該

 確定申告書等を提出する際に提示することを義務付けるものです。

 ①親族であることが確認できる書類(例:戸籍の附票の写し、

 出生証明書)

 ②納税者が親族の生活費等に充てるための支払を行ったことを確

 認できる書類(例:送金依頼書、クレジットカード利用明細書)

 この改正は、平成28年分以後の所得税について適用されます。

 ●国外転出時の譲渡所得等の課税の創設

 租税条約上、株式等のキャピタルゲインなどは居住地国課税

 です。これを利用し、含み益のある株式を保有したまま、株式等

 の譲渡非課税国に出国し、その後に売却することで、課税を逃れ

 ることができます。

 これを防止するため、一定の高額の資産家を対象に、出国時に

 未実現の含み益に対して特例的に課税する規定を創設しました。

 具体的には、出国時に有価証券の評価額が1億円以上の者であ

 り、かつ、出国直近10年以内において5年を超えて居住者であ

 った者が対象です。

 また、未実現に対する課税ですので、納税資金が不十分である

 ことを勘案し、一定の要件を具備することで納税猶予が選択でき

 る措置も講じられています。

 なお、この改正は、出国者(特例対象者)の有する有価証券等

 を贈与、相続又は遺贈により非居住者に移転した場合にも適用が

 ありますので留意が必要です。

 適用は、原則、平成2771日以後に国外転出をする場合又

 は同日以後の贈与、相続若しくは遺贈からです。

 ●未成年者のNISAの創設

 年間投資上限80万円、非課税期間5年間、非課税投資総額が最大

 400万円で、18歳になるまで原則として払出し不可といった要件が

 あります。

 適用は、原則、平成2811日以後の申し込みからです。

 今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2015年01月06日号]

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「黒ネコ」と「たいやき」の昔話

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平成2710月の消費税増税は延期

 平成261118日、安倍首相は、GDPが2四半期連続でマイナ

 ス成長になったこと等を踏まえ、平成2710月に予定していた消

 費税10%の増税を平成294月まで延期する方針を発表しました。

 また、平成294月増税時のタイミングでは、景気条項を付するこ

 となく、延期する考えがないことも示しています。

 自公両党はこの再増税時に「軽減税率」の導入を目指しています。

 与党税協が示した軽減対象範囲の8類型

 これは消費税の標準税率より低い税率を「生活必需品」に適用する

という議論です。

 6月に与党税制協議会は「飲食料品」の「軽減税率」の対象範囲の

 8パターンを示しています。

 ①全飲食料品、②全飲食料品-酒、③全飲食料品-酒-外食、④全

 飲食料品-酒-外食-菓子類、⑤全飲食料品-酒-外食-菓子類-

 飲料、⑥全飲食料品-酒-外食-菓子類-飲料-その他の加工食品

 (=生鮮食品)、⑦米、みそ、しょうゆ、⑧精米

 この「軽減税率」の議論は、低所得者ほど税負担が重くなるという

 「逆進性」を緩和することが目的で、欧州の付加価値税(日本の消

 費税に相当)では、食料品や書籍に導入されています。

 一方で「軽減税率」導入には、否定的な議論もあります。①対象品

 目の「線引き」が困難であること、②食料品の軽減税率は高所得者

 にも恩恵が及ぶこと、③事務処理コストに零細事業者が耐えられな

 いことなどが挙げられます。

 「線引き」問題は昔からあった?!

 欧州の軽減税率導入時点では世の中の取引が今ほど複雑ではありま

 せんでしたが、現代はサービスとモノが複合的に組み合わさってい

 るだけに、今の欧州の付加価値税でも「線引き」問題は大きな課題

 を抱えています。確かにテイクアウト、出前、ケータリング、イート

 インや居酒屋の酒とソフトドリンクが混ざった「飲み放題メニュー」

 など「線引き」が難しいものがあります。

 「線引き」の話は物品税時代もありました。「黒ネコのタンゴ」は

 「童謡(非課税)」に当たらないので課税(歌謡曲扱い)となった

 のに対し「およげ!たいやきくん」は童謡に当たるため非課税と判

 断されました。間接税課税の難しさはいつの世も同じです。

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AMFニュース [2014年12月23日号]

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「その他の」と「その他」の違い

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 「法令用語」は日常会話と異なる

  税理士という職業柄、税法など法律の条文にはよく目を通します。

 そこで目にする法律の中には、日常生活では特に意味の違いがない

ような言葉でも、立法技術上、特有の意味で使われている言葉があ

ります。 

このような「法令用語」の特有の意味を厳密に理解できなければ、

法令解釈は難しくなります。

 「その他の」と「その他」は意味が違う?!

  その一例を紹介すると法令用語としての「その他の」と「その他」

では意味が異なります。

  どちらも、その直前にある語の例示として、より広い意味の語を

引き出す言葉ではありますが、法令用語の「その他の」は「包括的

例示」、「その他」は「並列的例示」と呼ばれ、使い分けがされてい

ます。

 「その他の」の場合は、直前に置かれた名詞が後に続く内容の広い

言葉の一部をなすものとして、その中に含まれる場合に用いられます。

 「例示の『の』」と呼ばれることもあります。例えば「佐藤さんそ

の他の社員」という場合には、「佐藤さん」は「その他の社員」に含

まれます(包括的例示)。

 一方、「その他」の場合は、その語の前後の語句は独立していて,後

に続く語とは別個の概念として並列的に並べる場合に用いられます。

 「佐藤さんその他社員」という場合には、「佐藤さん」と「その他社

員」は別個の概念なのです(並列的例示)。

 

前者の場合、「佐藤さん」は一応「社員」の一員であることは間違い

ありませんが、後者の場合、ひょっとしたら「佐藤さん」は「社員」

ですらないかもしれませんね。

 

「その他の」「その他」ばかりの条文は…

 

 税法の中でも「その他の」「その他」がよく使われる条文は厄介です。

 

たとえば租税特別措置法では「交際費」とは

 

①交際費、接待費、機密費その他の費用で

②法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する

③接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出

するもの

 

と規定されています。交際費等を包括する「その他の費用」は何な

のか、得意先等と並列例示される「その他事業の関係がある者」、接

待等と並列例示される「その他これらに類する行為」は何なのか―と

考えながら、条文を読んでいるわけです。

 

今回の担当は、山下。

 

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AMFニュース [2014年12月16日号]

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国外居住の扶養親族 扶養控除適用の厳格化

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扶養控除の適用要件

 ①配偶者を除く年齢16歳以上の親族

②親族の年間の合計所得金額38万円以下

③納税者と同じ家計で生活する

この3つの要件ですが、納税者の自己申告であり、適用にあたって

は、特にその事実を証明すべき書類、例えば、親族であることを証

明する戸籍謄本等、所得を証明する源泉徴収票等、そして、同居以

外の場合、同一家計での生活を証明するための、送金の事実を証明

する書類等の提出は不要となっています。

 

国外居住者の扶養親族

扶養控除の適用可否について、対象となる親族が国内に居住してい

れば、上記の3要件を確認することはそう難しくありませんが、対

象親族が国外に居住しているとなると、その確認は容易ではありま

せん。

要件の1つである、合計所得金額38万円以下の判定に関しては、そ

の親族が我が国で得た所得、すなわち国内源泉所得だけで判定します

ので、その把握はそう困難ではありません。

しかし、親族の証明、親族への生活費の送金事実の証明となるとなか

なか厄介です。

国際結婚で国外に親族がいるようになった場合、我が国のように戸籍

制度が確立していれば、親族であることを証明すべき公文書のような

書類の提出を求めることもできますが、制度が整備されていないとす

ると、その信用性が担保できません。

また、同じ家計で生活していることの証明ですが、生活費の海外送金

などの明細書等があれば問題ないのですが、現地で直接現金で渡した

場合などは、その事実を客観的に証明することは困難です。

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AMFニュース [2014年12月09日号]

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マイナンバーが始まる

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 ① マイナンバー制の期待するもの

 マイナンバーの制度により、行政機関、地方公共団体その他の行政

 事務処理機関の有する個人情報が、名前による管理から、番号によ

 る管理に変わるので、名寄せが簡便になり、行政機関、地方公共団

 体等の間における個人情報の照会・提供がスムーズになり、行政機

 関等の間の業務連携が密に、正確になると、期待されています。

 ② マイナンバー制の予定していないもの

  マイナンバー法には、「個人番号利用事務」、「個人番号利用事務実

 施者」と定義された言葉がありますが、これは、行政機関等の公的

 機関のことであり、マイナンバー制度は、行政事務処理機関が利用

 するための制度であることを明示しています。

 マイナンバー法には、「個人番号関係事務」、「個人番号関係事務実施

 者」と定義された言葉がありますが、これは、民間の個人・組織を

 含むものとして規定されており、「関係事務」とは公に対してマイナ

 ンバーを含む情報を伝えることがその内容となっています。

 民間でのマイナンバー利用は予定されておらず、逆に、民間での、

 マイナンバーの一般的な収集・保管は禁じられています。

 ③ 個人番号関係事務実施者の責務

 法律の要請により、個人からマイナンバーの情報提供を受けるとき

 には、成りすまし防止のため、写真付身分証明書等で本人確認するこ

 とを要し、その後、それを目的外に利用することは禁止されており、

 また、禁止されているマイナンバーの収集・保管、特定個人情報ファ

 イルの作成に該当しないように注意しておくことも必要になります。

 個人情報を5000件以上保有する企業が個人情報保護法の規制対象でし

 たが、マイナンバー法では、件数制限なく、1件でも他人のマイナン

 バーの情報提供を受けたら保護規制の対象になります。

 ④ マイナンバーを扱う上での知恵

  民間事業者も民間個人も、マイナンバーの取扱いや情報提供は強制

 されておらず、協力の要請をされているだけです。

  マイナンバーの情報漏洩を避け、公への提供以外に提供忌避を図るに

 は、極力、印刷物へのマイナンバーの印刷は避けるべきでしょう。たと

 えば、本人に交付する源泉徴収票にはマイナンバーを印刷せず、本人が

 自分で手書きで記載してもらうようにするのがベターかもしれません。

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AMFニュース [2014年12月02日号]

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親族からの受取家賃及び

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様々の理由によって保有する貸付用のアパート等の一室に、無償又は低額で子ども夫婦などの親族を住まわせることがあります。

 無償の場合には、親族の対応する固定資産税や減価償却費等の費用を必要経費に算入することはできません。

 低額な家賃を受け取っていたとしても、固定資産税等の費用を下回るような金額の場合には、親族の対応する固定資産税や減価償却費等の費用を必要経費に算入することはできません。

 必要経費は、所得税において、 

「…不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額…これらの所得の…総収入金額を得るため直接に要した費用…所得を生ずべき業務について生じた費用…」 

とされています。

 収入を得る業務のために生じた費用のみが費用となるということです。

 親族間では、無償でなければ、若干の家賃を受け取っていれば収入を得るための費用として、必要経費に算入できるのかというと、そうとは言えません。

 家賃が著しく低額等であれば、それはもはや親族に対する生活扶助等のための貸付けで、収入を得る業務のために行う貸付けとはいえず、必要経費に算入できないと判断されます。

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AMFニュース [2014年11月25日号]

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    日本では5種類あります。 「保税地域」とは ?

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皆様、「上屋」という漢字を読めますか?

 「うわや」と読みます。貿易関係のお仕事をなさっている方にはお馴染みですよね。

 「上屋」は、一般的には、貨物の積み降ろしや、一時的に保管する場所を指します。

 これは「倉庫」を「warehouse」ということから「ウェアハウス」の「ウェア」が訛ったものとされています。

 warehouse」は、4本の柱に屋根だけを付けたものというイメージだそうです。

 卸売業を表す言葉としても用いられています。

税法では、平成6年までは「保税上屋」という用語が関税法に規定されていましたが、その後の改正で「保税倉庫」とあわせて、「保税蔵置場」(Tax-free bounded warehouse)という用語に統一されています。

 「保税蔵置場」というのは、

 ①輸出の許可を受けた貨物、

 ②輸入手続が済んでいない貨物、

 ③日本を通過する貨物(これを「外国貨物」といいます)を置く

 ことができる場所として、税関長が許可した場所をいいます。

 許可後は原則として2年間、外国貨物の積卸し・蔵置をすることができます。

 「保税」とは関税の徴収を留保すること 

「保税」とは関税の徴収を一時留保することをいいます。また、外国から輸入された貨物を、「保税」の状態のままで置くことができる場所のことを「保税地域」(bounded area)といいます。

 「保税地域」は、主に港湾や空港の近くに設けられています。

 船や飛行機で輸出入する貨物は一旦「保税地域」に搬入され、所轄の税関に輸出申告・輸入申告を行ってはじめて、輸出貨物の船積みを行ったり、輸入貨物を国内に引き取ったりすることができます。

 この手続の間は、関税の徴収が一時的に留保されるというわけなのです。

日本の「保税地域」は全部で5種類

 「保税蔵置所」も「保税地域」の一つになります。

 珍しいケースでは、映画会社の試写室が「保税蔵置所」となっていることがあります(未通関の外国映画のフィルムを扱うため)。

この他にも「指定保税地域」「保税工場」「保税展示場」「総合保税地域」があり、日本では全部で5種類の「保税地域」が定められています。

 今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2014年11月18日号]

「取引の二面性」「仕訳」とは何か

「仕訳」 とはすべての取引の記録手続き

「仕訳」 とは、会社(又は個人事業者)が行うすべての取引がどのように起こったのか記録する手続きです。

また、取引が生じたときに最初に行う会計手続でもあります。会計処理の手続きは、一般的には次のような流れになっています。

  1. 取引
  2. 仕訳帳
  3. 総勘定元帳(元帳)
  4. 貸借対照表・損益計算書(試算表)
  1. 「売上(収益)が300万円増加した」
  2. 「借入金(負債)が300万円増加した」

この場合、「複式簿記」では「現金」が増加するとともに「売上」(又は借入金)を増加すると二つの勘定科目の記録をするわけですが、いきなり「元帳」に二つの勘定科目の増減を記帳するわけではありません。

まず「仕訳帳」の「借方」「貸方」という二つの欄に、勘定科目や金額を記入し、取引日と内容をその発生順に記録していきます。

  1. (借方)現金300(貸方)売上300
  2. (借方)現金300(貸方)借入金300

この手続きにより「現金300が増加し、売上(又は借入金)300が増加した」と記録され、この「仕訳」により増減した勘定科目の数値を「元帳」に「転記」します。

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2014年11月11日号]

目標設定ファシリテーション

あまり聞きなれない言葉ですが、先週セミナーに参加して学んだばかりの報告です。

“ファシリテーション”とは会議やミーティングの場で、参加者に発言を促したり、話し合いの流れを整理することによって合意形成や相互理解をサポートする手法・技術のことを言います。

“ファシリテーション”で目標設定

「目標設定会議」で管理者がファシリテーションを行なう方法を例示すれば、次の通りです。

  1. 経営目標とその背景・設定理由を説明し、全員のQ&Aにより、理解させる。
  2. 自部署の役割、責任、前期の業績と反省、今期業績に関する管理者としての決意を述べた上で、自部署の課題、目標設定について具体的な提案を求める。

    (出席者を数名ずつのグループに分け、5~10分程度のグループミーティングを要請し、その結果として提案してもらうと、全員が参加、発言しやすくなる。)
  3. 提案内容を、白板などに列挙、可視化し、全員が比較検討出来るようにする。
  4. 提案内容が多い場合は、重要な項目に絞るため、(2)と同様の方法で点数評価(5点~1点など)を求め、合意形成する。
  5. 達成水準、達成方法について(2)~(4)と同様にファシリテーションを行なう。
  6. 後日、全員の意見を参考に管理者として決定した部署目標を発表し、チーム目標・個人目標設定面接へ移る。
“ファシリテーション”の効果

このような一見面倒な“ファシリテーション”は、総意による部署目標の設定や達成プロセスでの協力態勢が出来るばかりでなく、個人目標設定の前提となる相互の役割が全員に理解され、達成プロセスでの社員間の前向きなコミュニケーションなど一時の手間には替えられない効果があります。

経営者・管理者の留意点

ファシリテーション参加者は、日常業務、目標達成プロセスで、現場で顧客、関係者、現物に接し、現実を良く知っており、部署目標設定に当って、その総合的な情報を引き出し、活用することは的確な目標設定に役立つばかりでなく、社員の目標達成への主体性の源泉となることを確信して実行しましょう。

今回の担当は、山下。

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AMFニュース [2014年11月04日号]

接待飲食費とその範囲

何度か取り上げていますが、再度確認願います。

平成26年度改正で、交際費課税についてはその適用期限を2年延長し、飲食(社内接待費を除く)のための支出額の50%相当額を損金の額に算入できることとしました。

資本金の額1億円以下の法人

資本金の額1億円以下の法人では、平成26年4月1日以後に開始する事業年度から、その支出する交際費等のうち接待飲食費(社内飲食費を除く)の50%と年800万円とのどちらか有利な金額を控除した金額が損金不算入となります。

事例による損金算入の選択

資本金の額1億円以下の法人の交際費等の内訳は次のとおりです。

  1. 1人当たり5,000円以下の社外飲食250万円
  2. 1人当たり5,000円超の社外飲食1,800万円
  3. (2)以外の交際費850万円

この場合、損金算入額は、定額控除額との比較を行わなければなりません。

比較検討の結果、(2)の飲食費1,800万円の50%を選択した方が900万円損金算入となり、(3)の800万円の定額控除より有利になります。

接待飲食費の範囲

例えば、次に掲げる費用はこの接待飲食に係る飲食費に含まれるかどうかです。

  1. 得意先を飲食に接待するために飲食店へ送迎した送迎費
  2. 食料品の中元
  3. 得意先のゴルフ接待に伴う飲食費
  4. 得意先と飲食後にその飲食店で購入した飲食物のお土産代

(1)の送迎費と(2)食料品の中元は、飲食に含まれないとされ、(3)のゴルフは、ゴルフが主たる目的でその一環としてなされる飲食は含まれないが、ゴルフ終了解散後、別に単独で行われる飲食は含まれるとしています。

(4)ですが、飲食に付随するものとして含まれるとされています。

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